チャンス作るも1点遠く 強豪・東洋大に惜敗

ア式蹴球女子
第36回関東大学女子リーグ 前期第4節
早大 0-0
0-1
東洋大
【得点】
(早大)なし
(東洋大)64分:宮本妃菜里

 再三にわたって延期されてきた関東大学女子リーグ(関カレ)前期第4節東洋大戦が、アウェイ東洋大グラウンドで行われた。試合は序盤からア式蹴球部女子(ア女)が、前からの守備で相手の攻撃を封じ込め優勢に。しかし64分、繰り返し与えたCKの場面で失点を許してしまう。その後も前半同様大いに攻め続けたが同点弾は生まれず試合終了。0-1で関カレ3度目の黒星を喫した。

 

日体大、東洋大という強豪2校と続けて対戦となったがいずれも敗戦。しかし2戦とも内容は充実しており、収穫も多かった

 

 試合展開はア女優勢に進んだ。最終ラインからパスを回してくる東洋大に対し、前線から統一された積極的な守備で応じ、ペースをつかませない。19分、DF夏目歩実(スポ3=宮城・聖和学園)が縦に鋭く送ったボールをFW吉野真央(スポ4=宮城・聖和学園)がフリックパス。受けたFW髙橋雛(社4=兵庫・日ノ本学園)が一つ運んで右サイドのFW生田七彩(スポ1=岡山・作陽)まで。ダイレクトのシュートはミートしなかったが、一度も相手に触らせることのない、流れるような攻撃だった。また30分、DF井上萌(スポ4=東京・十文字)のロングボールを相手DFが処理しきれず、髙橋が奪ったところで腕がかかり、エリア前数メートルと絶好の位置でのFKを獲得する。先制点が期待されるシーンだったが、井上の狙いすましたシュートはわずかにゴール左上。井上自身も頭を抱えた。

 

57分に髙橋が放ったシュートは惜しくもポスト直撃。他にも好機はあったがWEリーグ内定を勝ち取っている相手GK今井を前に完封を喫した。関カレでの完封負けは11試合ぶり

 得点チャンスを多く作りながら、0-0のまま後半へ突入。後半に入っても相手のパスの進路をふさぐ前線・中盤の守備で、ショートカウンターを狙う。すると57分、その中盤の守備からボールを奪い、前線左サイドで待っていた髙橋へ。囲まれながらもキープし、振り向きざまに放ったシュートは惜しくもニアポストを叩いた。ア女の先制点も時間の問題かと思われた63分、裏に抜けだした相手FWが、今季関カレ初先発となったGK丸山翔子(スポ2=スフィーダ世田谷FCユース)と1対1に。それでも「近距離の方が得意」と話す丸山が、超人的な反応で至近距離のシュートを弾き出し難を逃れる。だがピンチはこれで終わっていなかった。64分に連続で献上したCKを一度は防いだものの、2度目を押し込まれ0-1。ア女ペースであっただけに、あまりにあっけない失点となった。懸命に得点を狙うア女は75分、相手CBの間を抜けだした髙橋がGKとの1対1の場面を作り出すが、ブロック。チャンスを活かせない。最後まで攻め続けたが、相手のGKを中心とした堅い守りを崩すことができず敗北。勝ったスタッツも多かっただけに、悔しい敗戦となった。

 

今季初の関カレ出場となった丸山。公式戦で長らくピッチに立てていなかったのにもかかわらずスーパーセーブをみせた

 

 「サッカーは勝負の世界、の一言です」と後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)。多くのチャンスを作り、リーグ内でも抜群の得点力を持つ東洋大のシュートを4本に抑えながら敗戦することとなった。それでも選手たちの表情は暗いものではなかった。「できていたところは沢山ある」とMF笠原綺乃(スポ3=横須賀シーガルズJOY)が語るように、この日の守備のコンセプトは大いに機能し、これがプレーした選手たちの自信にもつながったのだろう。19日には皇后杯関東予選決勝という舞台で、全く同じ相手と相まみえることになっている。より大きな舞台での、ア女のリベンジに期待したい。

(記事、写真 大幡拓登、写真 前田篤宏)

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 21 丸山翔子 スポ2 スフィーダ世田谷FCユース
DF 夏目歩実 スポ3 宮城・聖和学園
DF 堀内璃子 スポ3 宮城・常盤木学園
DF ◎8 井上萌 スポ4 東京・十文字
DF 15 田頭花菜 スポ2 東京・十文字
MF ブラフ・シャーン スポ4 スフィーダ世田谷FCユース
MF 14 笠原綺乃 スポ3 横須賀シーガルズJOY
FW 廣澤真穂 スポ4 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
FW 10 髙橋雛 社4 兵庫・日ノ本学園
FW 11 吉野真央 スポ4 宮城・聖和学園
FW 27 生田七彩 スポ1 岡山・作陽
◎=ゲームキャプテン

 

スターティングフォーメーション

 

 

後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)

――今試合を終えてどういう感想を持っていますか

 サッカー、勝負の世界だったなという一言ですね

――内容的にはア女が制しましたけど、悔しさはありますか

 めちゃくちゃありますね。セットプレーの失点も悔しいですけど、逆に言えばあれだけセットプレーを取っても点を取れなかったこと、シュート数は多いしペナの侵入回数もある中で点を取り切れなかったこと、失点したことも悔しい部分ですけど、足りなかったところを詰めて、また積み重ねたいと思いました。

――今日は守備の形を変えた中で、東洋相手に自由にやらせませんでした

 東洋はすごく流動性のあるチームなので、めちゃくちゃ特別というわけではないんですけど、はっきりゾーンを敷いて去年から東洋、メニーナとか中盤が多くて流動してくるチームとやるときは、ゾーン守備をやっています

――やはり何度かあった決定機を逃したところが大きかったですか

 逃した本人が一番悔しいと思うんですけど、ただああいう形を作れていること、しかも狙い通りの守備からだったり、ネガティブにばかり捉えるのではなくて。決めてくれると嬉しいですけど

――日体大戦に続き悲観はしない敗戦という感じですか

 そうですね。結果は結果として、足りなかったから勝てなかったということなので受け止めてますけど、自分たちが準備したことにたいしてできたことは自信にするべきだと思いますし、この過密日程の中で今日も交代がなかったですけど、まず選手たちが本当によく頑張ってくれていると思うので。これは前期なので後期で、ホームでリベンジする機会もありますし、そこでしっかり返したいと思います。

――今は長期的に過密日程が続く疲労と、短期的な疲労の2つがのしかかってます

今日に関しては流れがずっとよかったので、誰かを入れるよりこのまま押し切ろうという判断をしましたけど、今けが人が多い中で(生田)七彩とかがフルで出られているのあれば、それを彼女自身がチャンスと捉えて頑張ってほしいです。

 

MF笠原綺乃(スポ3=横須賀シーガルズJOY)

――19日の前哨戦でもあるこの一戦を終えて感想はいかがですか

 自分たちが準備してきたこと、特に守備のところはできてたところがたくさんあって。相手はポゼッションサッカーをしてくるので、守備のところで発揮できたのは良かったと思うんですけど、結果的にセットプレーで失点して負けてしまったので、そこはすごい悔しいです。

――最近は中盤での出場が多く、チームの内容も徐々に良くなってきています

 自分たちのサッカーは守備から入る、いい守備をして攻撃に移るというのが特徴だと思うんですけど、守備の場面でできてることはたくさんありますけど、その次に得点を取るというところが最近課題かなと思っているので。次19日は同じ相手なので、そこは修正して得点を取るところを意識していきたいです。

――今日はどんな準備をして試合に入りましたか

 東洋は特徴的なサッカーをしてくるのでいつもとは違う守備のスタイルだったんで、周りの人と声を掛け合いながらマークの受け渡しだったりとかは頭に入れてました。

――決定機自体の数を増やしたいか、あった決定機を決め切れなかったかでいうとどちらの方が課題ですか

 今日の試合に関しては東洋より早稲田の方が決定機としては多かったので、コーナーだったりも多くてそこを決め切れなかった(ところです)。早稲田の攻撃でCKが連続していた時もあったので、そういうところで決め切る力も今後トーナメントで重要になってくるかなと思います。

――リベンジも兼ねた19日に向けて意気込みをお願いします

 今日出た成果と課題をしっかり見つめなおして中3日というハードなスケジュールだけど、同じ相手とできるチャンスがあるので次こそは絶対に勝ちたいと思います。

 

GK丸山翔子(スポ2=スフィーダ世田谷FCユース)

――悔しい敗戦になりましたが、率直にいかがですか

 良いところは沢山あったのですが、一つの失点で負けてしまい悔しいです。

――リーグ内でも得点力のある東洋大戦相手の90分間は自信につながったんじゃないでしょうか

 久しぶりの試合で緊張もしていたのですが、失点がなければ満足のいく試合でした。たった1点でしたが、チームを救える選手になりたいと今日強く思いました。

――内容的にはア女がやりたいことのできた試合だったと思うのですが

 ディフェンスラインはよく声が出ていて、前線の選手もその指示を聞いて良い守備ができていました。前からボールを奪うこともできましたし、そこに関してはチーム全体の自信にもつながったのかなと思います。

――失点シーンに関してはどうでしょうか

 流れの中での守備はよくできていた中で、セットプレーからの失点しました。このレベルの戦いになると、攻めでも守りでも一つのセットプレーがとても重要になってくると思うので、もっと自信を持ってプレーできるように練習から取り組んでいきたいです。

――キーパーにとってはCKからの失点は防ぐのは難しいと思うのですが、それでも悔しかったですか

 もう少し強く味方に声をかけてアラートに準備させていたり、ファーストでチャレンジしたりと、もう一つ自分のレベルが高かったらできていたこともあったので悔しいです。

――チームを救うビッグセーブもありました

 しっかり準備してセーブできたので、自分の中で自信につながったかなと思います。

――1対1のセーブは得意ですか

 近距離の方が比較的得意だと思います。

――今季初の関カレ出場になりましたが、かける思いはありましたか

 関カレにはいつもあまり関われない中で、2人がケガをしてしまいチャンスが回ってきました。無失点で終わりたかったのですが、少しの気の緩みが失点につながってしまいもったいなかったと思います。

――相手はリーグ内の強豪でしたが、今日の敗戦をどう生かしていきたいですか

 自分が出るかはわからないですが、また月曜日に東洋大戦後があるので、チームとしても個人としてもしっかりと準備をし直して次は絶対勝てたらいいと思います。