WEリーグ・日テレ・東京ヴェルディベレーザ(ベレーザ)は9日、DF船木和夏主将(スポ4=日テレ・メニーナ)の加入決定を発表した。高校時代に同クラブのアカデミーである、日テレ・メニーナに所属した船木にとっては4年ぶりの古巣復帰とも言える。今季、ア式蹴球部女子(ア女)からWEリーグクラブへの加入内定はなんと5人となった。
2000年8月10日生まれ。166センチ。ア女からは今季5選手のWEリーグ加入が決定
左右のサイドバックを主戦場とする船木は、入部当初からア女の主力として出場機会を重ねてきた。参加する諸リーグの優勝争いは言うまでもなく、2年生時の全日本大学女子選手権(インカレ)の初戦敗退や3年生時のインカレ全試合完封優勝など、大学サッカーの酸いも甘いも知り尽くしたチームの心臓だ。能力に卓越したものがあるのは言うまでもないが、最高学年となった今季は主将としてリーダーシップも発揮。後期は負傷離脱などで出場機会を減らしたものの、ア女で出場した最後の公式戦となった関カレ最終節(東洋大戦、●0-1)ではサイドバックの位置から最前線への鋭いパスなどがさえわたっており、抜群の個の力を見せていた。
サイドに張ってもよし、中に切り込むもよし。高い技術をもって左右のサイドバックを器用にこなせる
船木のプレイヤーとしての特徴は挙げればきりがない。両足の高精度なクロス、豊富な運動量、ライン際でのボールさばきや守備時の正確な判断と、すべてが水準以上の完成されたサイドバックだ。そして彼女のプレーで最も特筆に値するのが、そのポジショニングである。ビルドアップ時には大きくインサイドに入りパスを受け、攻撃時には同サイドのウイングを追い越してワイドにかつ高い位置取りで相手マーカーに混乱をきたす。ビルドアップやハイインテンシティに重きを置く現在のア女のメンバーの中でも、最もモダンな選手のひとりと言えるだろう。アンダー世代の代表選出経験も豊富だ。2015年のU-16日本女子代表選出を皮切りに繰り返し世代別のなでしこメンバーに名を連ね、フランスやアメリカなど海外遠征も経験。また今年7月には全日本学連選抜メンバーに選ばれ活躍を見せた。
ベレーザは日本女子サッカーリーグの創設6クラブの一つで、獲得タイトル数は日本一という名門中の名門である。また1月28日に行われた皇后杯決勝では強豪INAC神戸レオネッサを4-0と圧倒して優勝した。また今季のWEリーグカップでも2位に輝いており国内屈指の強さを誇る。リーグ戦では約3分の1を終えて4位と、伸び悩んではいるものの巻き返す余地は十二分にある。レベルが非常に高いクラブだからこそチーム内での激しいポジション争いが待っている一方で、乗り越えることができれば大きな飛躍を遂げることができるだろう。また、ベレーザの本拠地は味の素フィールド西が丘。昨年大学日本一に輝いた地であると共に、今年帰ることのできなかったピッチでもある。船木自身思うところはあるはずだ。ア女での4年間で得たものすべてをその手に携え、今度はプロの世界に身を躍らせていく。
(記事 大幡拓登、前田篤宏、 写真 前田篤宏)
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