第36回関東大学女子リーグ戦 後期1節 | ||||
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早大 | 1 | 1-0 0-0 |
0 | 大東文化大 |
【得点】 (早大)12分:吉野真央 (大東文化大)なし |
強い日差しが降り注ぐ大東文化松山キャンパス、アウェイの地で関東大学女子サッカーリーグ(関カレ)の後期戦が幕を開けた。大東文化大との対戦は、つい一週間まえに行われたばかり。公式戦では今季4戦目と、互いに手の内を知り尽くした中での戦いとなる。12分にMF白井美羽(スポ2=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)が放ったシュートをFW吉野真央(スポ4=宮城・聖和学園)が体でそらし先制点を挙げる。その後も試合をコントロールするが追加点は出ず1-0で終了。関カレ後期初勝利を飾った。
短期離脱が続いた吉野は関カレでは開幕節以来となるゴールを決めた
シーズンに同じ相手と4度も戦えば、お互いの癖や特徴も分かってくるというものだ。大東文化大は前週に引き続き、前からのプレスは緩めに、中央のラインを固めてア式蹴球部女子(ア女)の攻撃を遮断しにかかってきた。10分、相手のCKでフリーになった選手のヘディングシュートを食らうがGK近澤澪菜主将(スポ4=JFAアカデミー福島)が横跳びでかき出す。流れを相手につかませない、チームを救うビッグプレーとなった。すると12分、FW髙橋雛(社4=兵庫・日ノ本学園)の速いクロスに白井が合わせる。枠に飛んだシュートをゴール前の吉野が体でそらし、貴重な先制点を挙げた。吉野は「当たっちゃいました。あれは美羽のゴールです」と苦笑いを見せた。40分にはDF田頭花菜(スポ2=東京・十文字)のロングボールを収めた髙橋が、華麗に相手DFをかわすと左足でインカーブのかかった鋭いシュート。これはクロスバーに嫌われたが、大いに追加点を匂わせる展開で試合を折り返した。
先制ゴール未遂となった白井。激しい中盤争いの中で関カレでの出場機会を増やしつつあり、指揮官の口からも期待の言葉が出た
後半頭からFW廣澤真穂(スポ4=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)を投入し追加点を狙いに行くア女。ゲームを落ち着いてコントロールしながら、密集した中盤を飛ばすロングボールで一発を狙う。55分にはMF宗形みなみ(スポ1=マイナビ仙台レディースユース)が中盤から持ち出して、クロスに吉野が合わせるが相手GKに阻まれゴールとはならない。すると直後の56分、ラインの裏を取られペナルティ外から強烈なシュートを食らう。しかしここは守護神・近澤が涼しい顔で反応し、失点を許さない。攻撃では、中盤の底で宗形、最終ラインから一歩前に出たDF井上萌(スポ4=東京・十文字)の二人が長短のパスでタクトを振るい、展開を支配する。しかしアディショナルタイム、相手FWに裏抜けを許し、ヘディングシュートが飛び出した近澤の上を通過しネットを揺らす。まさかのドロー決着かと肝を冷やしたが、ここはオフサイドの判定で難を逃れた。結局お互いに得点は出ず、1-0で試合終了。前半の吉野の得点が、決勝点となった。
通常より多くセーブ機会があったが、最後の砦としてア女ゴールを割らせず。終盤には相手との交錯で倒れ込み、ヒヤッとする瞬間があったが負傷は免れた。
ア女はこれで4連勝。続いていた複数得点こそ出なかったが、上々の滑り出しと言えるだろう。各ポジションで選手を入れ替えて戦った今節は、新たな可能性も見えたに違いない。チームが待ちわびた、前線の吉野の復調もこの日一番の収穫と言えそうだ。持ち前のハングリー精神に、王者の風格すら見える。大きな目標に着々とその歩を止めないア女から、後期も目が離せない。
(記事 大幡拓登、写真 前田篤宏)
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 近澤澪菜 | スポ4 | JFAアカデミー福島 |
DF | 2 | 夏目歩実 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
DF | 4 | 堀内璃子 | スポ3 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 8 | 井上萌 | スポ4 | 東京・十文字 |
DF | 15 | 田頭花菜 | スポ2 | 東京・十文字 |
MF | 7 | 三谷和華奈 | スポ3 | 東京・十文字 |
MF | 14 | 笠原綺乃 | スポ3 | 横須賀シーガルズJOY |
→HT | 9 | 廣澤真穂 | スポ4 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
MF | 18 | 白井美羽 | スポ2 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
MF | 26 | 宗形みなみ | スポ1 | マイナビ仙台レディースユース |
FW | 10 | 髙橋雛 | 社4 | 兵庫・日ノ本学園 |
FW | 11 | 吉野真央 | スポ4 | 宮城・聖和学園 |
◎=ゲームキャプテン |
スターティングフォーメーション
後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)
――2戦連続で同じ相手との一戦になりましたけど、今日は振り返っていかがですか
これは後期の一節目だったんですけど、結果としては1―0だったんですけど後期に向けてチームとしてトライしようとしていることをやっていく中でのポジティブな収穫と、今日もアツかったのでフィジカル的な部分も含めて改善するところと、両方が出た試合だったかなと。内容としては私としては収穫の大きかった試合だったかなと思います。
――大きな区切りがなくなってしまってやりにくさもあると思いますが、その中で連戦が待っているという日程ですが、ここについてはいかがですか
一番は選手たちの疲労度が激しいなというところです。連戦の中でけが人も多くてこの暑さでというところです。だからこそどうやって戦うかが大事ですよね。どうやって攻撃するのか、どのタイミングでどの位置から始めていくのかを短い時間ですけどブラッシュアップしていきたいなと思います。
――前半戦で言うと次が大一番になりますけど、東洋戦に向けて意気込みだったりはありますか
まずは東洋は今日の試合を延期になっているんですよ。だからフレッシュな状態で来るのでまずはフィジカルの部分かなと。ほぼ90分出ているのでとにかくこの2日はコンディションを整えることが一番かなと。この暑さなので(笑)。これがホームだとアイスバスに入れてとかできるんですけど、アウェイなのでここからバスで帰ってとなると。あした1日でどれだけ回復してくれるかという感じですね。東洋は大学の中でも独特なので、スカウティングもしたうえで今の自分たちができることをぶつけていきたいなと思います。
GK近澤澪菜副将(スポ4=JFAアカデミー福島)
――1-0での勝利となりましたが、振り返っていかがですか
前節も大東文化大とやって、相手の選手が前からプレッシャーをかけてくるしパワーがあるというのは分かっていたので、その部分をどういうふうにディフェンスと連携して封じていくかというところと、背後のボールに対して自分がどういうケアをしていくのかという部分にフォーカスして試合に入りました。封じ方や声掛けはできましたけど背後へのボールの部分はピンチも作ってしまったので、そこは東洋大戦に向けて改善していきたいなと思います。
――具体的にどういうふうに改善すればよくなると考えていますか
枚数は足りているんですけど。そこは準備の質だと思うし、自分がもう一つ早く声をかけるとか自分のマネジメントの部分、それだけで結構防げるんじゃない冠と思うので、そこをもっと意識したいです。
――今日はこれまでに比べるとピンチも多く作りましたが、とはいえここ最近はずっと無失点勝利を続けています。チームの守備について最後尾から見ていてどう感じていますか
自分が出る場面がそもそも少ないので、最終ラインやアンカー、中盤のところで封じて、体を張って守備してくれているので、その中でたまに来たボールに対しては自分が仕事してという感じです。自分というよりほかのフィールドプレーヤーが頑張ってくれています。
――次は強豪の東洋大との戦いが待っています。前半戦も残り2節となりました。前半戦のここまでの戦いを踏まえてあと2試合どのように戦っていきたいですか
他の関カレのチームと比べるとア女は2失点で、だいぶ失点数が少ないのでそれだけ守備には力を入れているしそれがちゃんと結果として見えているので、このまま後ろはゼロで終えたいなと思っています。その中でも相手も手ごわい大学が多いので攻撃のバリエーションだったり最後の決め切るところだったりを練習の中でもっともっと要求してやっていきたいなと思います。
FW吉野真央(スポ4=宮城・聖和学園)
――得点を決めてチームを勝利に導いたという形になりましたけど振り返っていかがですか
あの得点はほぼ(白井)美羽のものなんで(笑)。美羽が打ってよけようと思ったんですけど、よけられなくて当たっちゃって自分のゴールになっちゃったんですけど。美羽のゴールです。
――最近はピッチ外のところで苦しい状況が続いていますけど、その上で今日の試合はいかがでしたか
自分のコンディションがなかなか整わない時期が続いていて、でも今週はしっかり準備できたし今日もチャンスをくれたので、出るからには責任を持ってやろうと思いました。まだまだですけど、今の自分の全力は出せたかなと思います。
――ここ数試合大量得点が続いていましたけど今日は1得点でした。ボール保持のところに対してはどう捉えていますか
もちろん点を取ることは大切ですし、点を取れば自分たちの自信につながることは確かで、前節が4―0で今日が1-0という僅差だったんですけど、その中で自分たちの課題もありました。正直悔しいですけど、それが自分たちのできることなので。得点が多い少ない、これはもちろん大切ですけどみんなで勝てたことは大きいことですし、これからも続いていくので今日も色んな課題が見えたのでそこを直していければなと思っています。そこまでネガティブには感じていないです。
――今季のア女は守備を重要視しています。その中でもちろん前線からの守備も欠かせないですが、FWとしてどういうことを意識していますか
前からプレスをかけるア女のスタイルではFWがめちゃくちゃ重要だし、人一倍走らないといけないところでもあるので、自分はそこも課題なのでしっかりプレスをかけて少しでもチームの助けになればなと思っています。
――来週は東洋大との一戦と前半戦の最終節が控えています。意気込みはありますか
もちろんチーム全員で勝つことは大前提で、その中でも自分にできることを与えられた時間でできるかが大切だと思っているので今は全力で頑張りたいと思います。