中2日で迎えた試合に3発快勝! 今季初の男女アベック勝利も

ア式蹴球女子
第36回関東大学女子リーグ 前期8節
早大 1―0
2―0
筑波大
【得点】
(早大)27分:髙橋雛、70分:廣澤真穂、90+2分:三谷和華奈
(筑波大)なし

 ア式蹴球部女子(ア女)は11日、関東大学女子リーグ(関カレ)前期8節を戦った。対戦相手は3日前の水曜日に関東女子リーグで戦ったばかりの筑波大。3日前からメンバーを大幅に入れ替えた筑波大とは違い、ア女は10選手が2試合連続でスタメンに名を連ねた。プロの世界でもめったにない中2日での戦いであったが、序盤からその疲労を感じさせないプレーが続く。5分にFW髙橋雛(社4=兵庫・日ノ本学園)のミドルシュートのこぼれ球にDF船木和夏主将(スポ4=日テレ・メニーナ)が反応しネットを揺らした。いきなり先制かと思いきや、船木がわずかにオフサイドポジションにいたためノーゴールとなった。
 
 それでもア女のペースは崩れない。守備の要・DF夏目歩実(スポ3=宮城・聖和学園)が言うように、ア女は「守備を土台」としているチーム。ハイプレスや奪われた後の即時奪回が効果的で、ボールの保持、非保持、どちらの局面においてもゲームはア女に支配されていた。すると27分、背後にランニングしたFW吉野真央(スポ4=宮城・聖和学園)に合わせてMFブラフ・シャーン(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)からピンポイントのロングボールが送られる。吉野がこれをヘディングで落とすと、髙橋が強烈なミドルを放った。今度こそ正真正銘のゴールで、先制に成功した。

 

自ら奪ったPKを決めた三谷。スタメンながら後半の早い時間帯にベンチに下がることが多かった今季だったが、今節初めてフル出場を果たすと後半アディショナルタイムに得点。今季初得点となった。

 

 後半はMF三谷和華奈(スポ3=東京・十文字)が右サイドで躍動した45分間となった。70分に持ち前の鋭く切り込むドリブルで相手をかわし、シュート性のクロスを入れる。相手GKが弾くも走り込んでいたFW廣澤真穂(スポ4=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)が詰めてゴールに押し込んだ。そして後半アディショナルタイム、今度は独特なリズムのドリブルでDFを抜き去ると、相手がたまらずファウルで止めた。これがペナルティエリア内であったため、PKに。三谷はこれを迷わずゴール左に突き刺し、今節の躍動を自身の今季初得点で締めくくった。
 
 ア女は中2日の過密日程をものともせず、見事な試合運びで勝利した。また、同日に試合を行ったア式が今季初勝利し、ア女・ア式のアベック勝利も成し遂げた。次節からア女と熾烈な優勝争いをするであろう山学大、帝平大、東洋大との3連戦が待っている。強敵を相手にしたア女の戦いぶりを見るのが待ち遠しいばかりだ。

(記事 前田篤宏、写真 前田篤宏、永田怜)

 

(写真は築地)システム上、中央での攻撃が多かった今節。すなわち奪われる位置は中央のレーンの比率が高かった。中盤のプレス、FW陣のプレスバックだけでなく切り替え時にDFラインからの指示の声がグラウンドに響き渡っていたのも印象的であった

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 近澤澪菜 スポ4 JFAアカデミー福島
DF 夏目歩実 スポ3 宮城・聖和学園
DF 堀内璃子 スポ3 宮城・常盤木学園
DF ◎5 船木和夏 スポ4 日テレ・メニーナ
MF ブラフ・シャーン スポ4 スフィーダ世田谷FCユース
MF 三谷和華奈 スポ3 東京・十文字
MF 19 築地育 スポ2 静岡・常葉大橘
MF 26 宗形みなみ スポ1 マイナビ仙台レディースユース
FW 廣澤真穂 スポ4 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
FW 10 髙橋雛 社4 兵庫・日ノ本学園
FW 11 吉野真央 スポ4 宮城・聖和学園
→76分 18 白井美羽 スポ2 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
◎=ゲームキャプテン

 

後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)

――今節は前線からの守備でリズムを作っていたと思いますけど、ここについてはどう考えていますか

水曜日もそうでしたけど、しっかり相手陣内に押し込める展開は予想ができたので、攻撃の距離感がいいということはそのまま守備の距離感もいいということにつながっていくと思います。そもそも切り替えて奪うというのはどこが相手でもそうですけど、今回は特に攻撃でしっかり押し込んだ後に奪うというのは、攻撃の距離感が良ければより取りやすいですよね。その辺が出たんじゃないかなと思います。

――廣澤選手が帰ってきて早速点も取りましたけど、やはり背番号9の存在感は大きいですか

9だけではなくて、今年は船木を中心に4年生が非常にピッチの中でも存在感があるので、引っ張って言ってくれているなと思っています。

――築地選手の存在感は攻守で非常に大きいものがあると思いますけど、今はどういう評価をされていますか

水曜日の試合から危ないところをしっかり潰してDFラインの一つ手前で攻撃の芽を摘むというのは非常に大きな仕事ですよね。それを2試合通してやってくれたなと。あとは守備だけではなくて、今日は特に振る仕事も、後半は特に(三谷)和華奈へのいいボールも出て、しっかり仕事をしてくれたなと思っています。素晴らしかったと思います。

――三谷選手は今日が初めてのフル出場で、それまでは後半の早い時間帯に交代していましたけど、これまでと今節の違いはどういったものがありましたか

基本的にBADで代えるというよりはリズムを変えたいとか、そういう意図が多いので、三谷がこれまで代えられていたのは悪かったというよりはフレッシュな違うキャラクターを、という意図だったので。今日に関しては前半低い位置だったのを後半は修正して前線に飛び出る動きも出てきていたので、もう少しそのままやってもらいたいなというところでした。後は相手の17番は、フィジカルの強いいい選手なので、そこへの守備でもしっかり抑えていたので、そういう意図もありました。

 

FW廣澤真穂(スポ4=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

相手は(前回とメンバーが)違うんですけど前回大量得点した相手だったので、相手が対策を打ってくるっていうのはわかっていた中で、長い間ボールを支配していたんですけど、ちょっと得点が取りきれなかったっていうところがあって、悔しいなって思います。

――ご自身の得点シーンについて振り返ってもらっていいですか

ハーフタイムの時に(三谷)和華奈に速いボールをクロスで入れてっていうふうに言ってたんですけど、和華奈が持った瞬間に速いボールくると思って走り込んだらちょうどボールがこぼれてきて、押し込むっていう形でしたけど、得点を取れてよかったです

――今日のメンバーでのプレーは久しぶりだったと思うんですけどどうでしたか

3年間やってきたメンバーがほとんどだし、他のメンバーも実力があるのでそこはあまり心配していないです。

――今日のシステムもいつもと違ったと思うんですけど、やりにくさは感じなかったですか

初めてのフォーメーションだったのでやってみなきゃわからないって感じだったんですけど、試合展開的には、ブロック引いてきた相手に対してはずっと回しながら得点チャンスを伺うしかないので、そういう中でしっかり点をとって勝ち切れたっていうのはよかったなと思います。

――システム上両ウイングが深みを取らず、中央での裏抜けが結構あったと思うんですけど、そこについてはチーム内でコミュニケーションを取ってましたか

真ん中に人が多い分みんなが足元になってしまったらなかなか相手の裏を狙うことができないのはわかっていたので自分としては、相手を裏返すこと、深い位置を取るとかが得点チャンスにつながると思って、そこを意識して裏に走っていました。

――守備は前線からのプレスだったり奪った後の速攻だったり、そこら辺は合格点でしたか

前が人数が多いので奪われた後にすぐに取り切らないと後ろが3枚で後ろの人のプレッシャーになってしまうので、奪われた後の切り替えはチームとしての絶対条件と掲げていることでもあって、試合を通してできてよかったです。

――コンスタントに点数取られてますけど、どういうところが生きているなって感じてますか

得点っていうところは毎回の試合で意識しなきゃいけないなと思っていて、最高学年としてしっかり背中で見せられる選手になりたいと思って、結果を残していきたいという強い気持ちでやっています。

 

DF夏目歩実(スポ3=宮城・聖和学園)

――今節は関カレ連敗を阻止したという意味でも大きいゲームだったと思いますけど、振り返っていかがですか

前節から悪い流れ、雰囲気みたいなものがあったので、今日の試合は負けられない戦いというの(意識)はあったし、3連戦という厳しいハードスケジュールの中でしたけど、全員がいい準備をしてきたから得られたのかなと思います。

――前線からの守備で後ろからよくコーチングされていたのが印象的でした。ここの守備について意識していたことはありますか

毎週相手のスカウティングから入っているので、それで守備を組み立てて全員で共通意識を持って守備をしていく中で、後ろからのコーチングは自分は重要だと思っています。自分の強みにしている部分でもあるので、最後の方はいい感じにはまりましたけど、前半はあたふたしてなかなかはまり切らず、決定的なシーンはなかったですけど、ちょっとづつ危ないシーンが増えてきたので、そういった小さなところは改善すべき部分かなと思うので、まだまだ伸びしろはあると感じています。

――水曜日と同じ相手、メンバーが変わった相手とやるやりにくさは感じたりしましたか

自分たちはほとんどメンバーを変えずにシステムも変えていなかったので、相手的には想定しやすい戦いだったのかなと思うので、そういった面ではポゼッションの仕方や崩しというのはなかなかはまり切らず、やりにくさを感じる点もありましたけど、(相手は)メンバーも違いましたし目の前の相手にどう戦っていくかということが重要だと思っていたので、言うほどのやりにくさは感じていなかったです。

――2試合連続無失点で終えて、システムやメンバーが少し変わっても安定して守備を見せ続けていると思いますけど、その要因についてはどう考えていますか

自分たちは守備からの攻撃、守備が土台とチームとして練習の中からやってきていると思うので、守備陣がというよりかは全員が高い意識を持って強度を強く行っている分、全体で守り切れているのかなとは思っています。