第30回全日本大学女子選手権 準々決勝 | ||||
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早大 | 3 | 2-0 1―0 |
0 | 日大 |
【得点】 (早大)11,14分 廣澤真穂、67分 吉野真央 (日大)なし |
昨年はまさかの初戦敗退に終わり、2年ぶりの進出となった全日本大学女子選手権(インカレ)、準々決勝。ア式蹴球部女子(ア女)は、今大会がインカレ初出場となる日大と対戦した。前半早々にFW廣澤真穂(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)の2ゴールで試合を有利に進めると、後半にもさらに1点を追加し、3-0。試合を終始支配し、味の素フィールド西が丘で開催される準決勝への進出を決めた。
2ゴールを挙げた廣澤の1点目
「初戦という壁を乗り越えたこともあって、あまり緊張せずに試合に入れた」(廣澤)と振り返るように、試合開始直後から前線がスムーズな連携を見せ、日大ゴールを脅かした。すると11分、左サイドの突破から中央のFW髙橋雛(社3=兵庫・日ノ本学園)がシュートを放つ。一度は相手GKにセーブされたものの、「こぼれてきそうな予感がした」と即座に反応した廣澤が冷静に流し込んで先制点を挙げる。廣澤にとってはこれが今シーズン公式戦20得点目のメモリアルゴールとなった。さらに14分には髙橋のスルーパスに抜け出した廣澤が追加点を挙げ、リードを広げる。早い時間帯に2点差をつけて試合の主導権を握ったア女は、前半だけで14本ものシュートを浴びせる猛攻で相手を圧倒。守っては、前線からの激しいプレス、素早い切り替え、流動的なポジション取りで相手のシュートを3本に抑え、集中したプレーを見せた。
後半になっても攻撃の手を緩めることなく攻め続けるア女。ハーフタイムからの出場となったMF三谷和華奈(スポ2=東京・十文字)が右サイドの突破から51分、52分と立て続けに好機を演出する。63分には、途中出場のMF築地育(スポ1=静岡・常葉大橘)がワンタッチで相手をかわしてシュート。交代で入ってきた選手も、ア女の攻撃に勢いを与えるプレーで活気をもたらす。ようやく実を結んだのは67分。左サイドからのボールを受けた髙橋が中央のFW吉野真央(スポ3=宮城・聖和学園)へパスを供給する。「点を取ることは自分が絶対にしないといけない仕事の一つ」とあくまで淡々と振り返る吉野が巧みなターンから足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。その後も最後まで集中力を切らさず戦い続けたア女は、磐石の試合運びで3-0の完勝を収めた。
3点目を決めた吉野(中央右)を囲む選手たち
兵庫では攻守がかみ合って連勝し、勢いに乗って次の東京ラウンドへと臨む。2試合連続での複数得点、無失点と攻守において一定の成果を挙げたが、「後半から相手のペースになりかけた時があった」(吉野)と課題も見つかった。次戦の相手である筑波大は、連勝記録を伸ばしていた関東大学女子リーグ前期で唯一敗戦を喫した相手だ。準決勝までの残り1週間に、全てが懸かっている。悲願の『頂』へ、慢心せず確実に歩みを進める。
(記事 栗田優大、写真 有川隼翔、富田紘史、取材 前田篤宏、大幡拓登、橋口遼太郎、手代木慶)
スターティングイレブン(ア式蹴球部女子提供)
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 近澤澪菜 | スポ3 | JFAアカデミー福島 |
DF | 2 | 船木和夏 | スポ3 | 日テレ・メニーナ |
DF | 5 | 後藤若葉 | スポ2 | 日テレ・メニーナ |
DF | 22 | 夏目歩実 | スポ2 | 宮城・聖和学園 |
→80分 | 4 | 堀内璃子 | スポ2 | 宮城・常盤木学園 |
MF | 6 | ブラフ・シャーン | スポ3 | スフィーダ世田谷FCユース |
MF | 7 | 蔵田あかり | スポ4 | 東京・十文字 |
→HT | 18 | 三谷和華奈 | スポ2 | 東京・十文字 |
MF | 8 | 並木千夏 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
→62分 | 30 | 築地育 | スポ1 | 静岡・常葉大橘 |
MF | ◎10 | 加藤希 | スポ4 | アンジュヴィオレ広島 |
FW | 9 | 廣澤真穂 | スポ3 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
FW | 11 | 髙橋雛 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
→80分 | 17 | 井上萌 | スポ3 | 東京・十文字 |
FW | 15 | 吉野真央 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
→68分 | 19 | 笠原綺乃 | スポ2 | 横須賀シーガルズJOY |
◎=ゲームキャプテン |
FW廣澤真穂(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)
――試合全体を振り返ってください
初戦という壁を乗り越えたこともあって、あまり緊張せずに試合に入れたかなと思います。それでも0-0で戦っている時は、プレッシャーを受け続けますし、焦らされる展開でした。それも3年間こういったトーナメントをやり続けて感じていたことで、だからこそ早い時間帯に先制点を奪うことができ、ア女のサッカーをできるようになったかなと思います。
――ご自身の先制点を振り返っていただけますか
サイドからボールが入って、雛(髙橋、社3=兵庫・日ノ本学園) が打ったシュートのこぼれ球でした。(髙橋が)打った時に、ボールがこぼれてきそうという予感がしました。反応して勝手に動いていた、という感じでした。天然芝のピッチで、ボールがバウンドしやすいということは初戦やウォーミングアップの時から分かっていたので、(浮いたボールを)抑える、ということは意識してシュートを打ちました。
――このゴールが公式戦で20得点目になると思います
試合前にトレーナーに教えてもらったんですが、あまり意識はしていなかったです。ただ、点を獲ることはFWにとって宿命だと思っているので、インカレという舞台で20得点目を決めることができて良かったと思います。
――次の相手はまだ決まっていませんが、西が丘で戦えることについてどう感じますか
自分が1年生の時は西が丘で、2年生の時には西が丘にも行けず、悔しい思いをしているので、今度はその舞台で勝って4年生を送り出し、笑顔で終わりたいなと思います。
FW吉野真央(スポ3=宮城・聖和学園)
――ベスト4進出されましたが、試合を振り返っていかがですか
良い意味で初戦とは違った緊張感で挑むことができました。一番は早い時間に得点できたことで、自分たちのサッカーがしやすかったと思います。後半から相手のペースになりかけた時があったので、準決勝ではそういった甘さなどを詰めてやっていきたいなと思います。
――日大に対してどういった印象を持って、どういった戦術で対応をしようとしていましたか
日大さんはリーグでもやっていた一人一人の球際や粘り強い守備など堅実なサッカーをしてくるので、そういった部分を想定していました。ただ4番や10番がゲームメイクしてくると想定していたのに、そこを自由にしてしまったのは今後の課題だと思います。
――3バックと4バックを流動的に使い分けていますが、どういった守備をしていますか
3バックでも4バックでも自分たちの状況に合わせて流動的に変えています。そこもまだまだ甘いと思ったので、はっきりしていきたいと思います。
――ご自身はインカレ初得点となりました
点を取ることは自分が絶対にしないといけない仕事の一つだからやれて良かったですし、それまでもみんながつなげてくれたので良かったです。
――西が丘に帰れて去年の悔しさを晴らせるかなと思います。去年は東伏見で見ていたということも含めて、西が丘でプレーする意気込みを聞かせてください
1年生の時はスタンドで応援していて、2年の時はけがでサッカーすらできていない状況でした。そういった悔しさやいろんな思いがあるので、それを糧にして西が丘では思い切り暴れたいなと思います。