第35回関東大学女子リーグ戦 後期第7節 | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 5 | 4-0 1―0 |
0 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18 |
【得点】 (早大)13分 蔵田あかり、21分 吉野真央、32分 三谷和華奈、42分 加藤希、65分 後藤若葉 (ジェフU18)なし |
「有観客で行われたホーム最終戦で、前半から勢いよくいった結果、勝利することができた」。関東女子リーグ(関東リーグ)後期第7節、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18戦を振り返って、MF加藤希主将(スポ4=アンジュヴィオレ広島)は晴れやかな表情を見せた。
今シーズン参加してきた2つのリーグ戦を締めくくる試合は、MF蔵田あかり(スポ4=東京・十文字)の先制点を皮切りに、ゴールショーの様相を呈した。前半だけで一挙に4得点を奪うと、後半もDF後藤若葉(スポ2=日テレ・メニーナ)が追加点を決め、5点差まで突き放す。守備陣も無失点に抑え、ア式蹴球部女子(ア女)は関東リーグ女王として、最高のかたちでリーグ戦の幕を下ろした。
先制点を奪った蔵田を祝福する選手たち
試合開始の笛とともに始まった怒涛(どとう)の攻撃は、13分に実を結ぶ。「どんどん前に仕掛けることで、相手になるべく攻撃させないことを意識していた」と話す蔵田が先制。続いて20分、1点目を御膳立てしたFW吉野真央(スポ3=宮城・聖和学園)がこぼれ球をゴール左隅に押し込み、追加点を奪う。さらに32分、「(ボールが)来たのが本当にゴールラインぎりぎりで、ほぼ角度ゼロというところだったので、ポストに当てそうだと思った」と回想するMF三谷和華奈(スポ2=東京・十文字)がゴールネットを揺らした。そして42分、CKのチャンスでキッカーはMF並木千夏副将(スポ4=静岡・藤枝順心)。一度はボールがエリア内からはじき出されたが、再び並木がクロスを上げる。すると、昨シーズンは得点を量産していた主将が混戦を制し、今季初得点に成功。終始相手を圧倒したア女は、4点差で試合を折り返した。
迎えた後半は「相手が前からプレスをかけてきたり、早いタイミングで裏を狙ったりしていた」(加藤)と相手の変化に対応しきれず、一進一退の攻防が続く。押し込まれる時間帯もあったが、ここまで公式戦15試合に出場しわずか2失点のGK近澤澪菜(スポ3=JFAアカデミー福島)を中心とした守備陣が、献身的なプレーでゴールを割らせない。ようやく65分、状況の打開を期した後藤が最終ラインからカウンターに持ち込む。中央を切り裂き、単独で30メートルを駆けあがると「自分で結果を残すことよりもチームで勝つことが一番」と語る吉野にパス。エリア右で再びボールを受け、FW顔負けの冷静さでダメ押しの5点目を突き刺した。その後もFKやCKで相手ゴールを脅かしたア女。5-0で試合を終え、ホーム東伏見でのラストマッチを白星で飾った。
得点後、ベンチで抱き合う後藤(中央、5番)
今シーズンの戦績は、31勝4分5敗。「関カレ(関東大学女子リーグ)でなかなか勝てない試合が続いた中で、もう一回挑戦者としてサッカーを楽しもうという雰囲気がチーム全体にある」(加藤)ことが、大量得点で勝利できた要因だろう。毎週連戦という過酷な日程を乗り切ってきた37人は、万感の思いで観客に頭を下げた。
勝利の美酒に酔いしれる暇もなく、皇后杯本選が始まる。『WEリーグ所属チーム撃破』という目標を掲げるチームの課題は、フィニッシュの精度と戦術変更をした相手への適応だ。まずは四国学院大学香川西高等学校戦(11月27日)で、さらなる飛躍を遂げたア女が歓喜の輪をつくる。
(記事 手代木慶、写真 富田紘史、永田怜)
リーグ戦を終え、笑顔のア女
早大メンバー | ||||
---|---|---|---|---|
ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 近澤澪菜 | スポ3 | JFAアカデミー福島 |
DF | 2 | 船木和夏 | スポ3 | 日テレ・メニーナ |
DF | 5 | 後藤若葉 | スポ2 | 日テレ・メニーナ |
DF | 22 | 夏目歩実 | スポ2 | 宮城・聖和学園 |
MF | 6 | ブラフ・シャーン | スポ3 | スフィーダ世田谷FCユース |
→HT | 17 | 井上萌 | スポ3 | 東京・十文字 |
MF | 7 | 蔵田あかり | スポ4 | 東京・十文字 |
→61分 | 26 | 木南花菜 | スポ1 | ちふれASエルフェン埼玉マリ |
MF | 8 | 並木千夏 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
→69分 | 30 | 築地育 | スポ1 | 静岡・常葉大橘 |
MF | ◎10 | 加藤希 | スポ4 | アンジュヴィオレ広島 |
MF | 18 | 三谷和華奈 | スポ2 | 東京・十文字 |
FW | 11 | 髙橋雛 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
→HT | 19 | 笠原綺乃 | スポ2 | 横須賀シーガルズJOY |
FW | 15 | 吉野真央 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
→15 | 12 | 黒柳美裕 | スポ4 | 宮城・聖和学園 |
◎=ゲームキャプテン |
MF加藤希主将(スポ4=アンジュヴィオレ広島)
――試合全体を振り返っていかがでしたか
有観客で行われたホーム最終戦で、前半から勢いよくいった結果、勝利することができたので、すごくうれしいです。
――挑戦者として思いを新たにした直近2試合でしたが、チームの雰囲気は皇后杯に向けてどのように変わってきていますか
関カレ(関東大学女子リーグ)でなかなか勝てない試合が続いた中で、もう一回挑戦者としてサッカーを楽しもうという雰囲気がチーム全体として最近はできているので、いい雰囲気だと思います。
――前半に一挙4点を取り、ご自身も今季初得点されました
今年はサイドバックというポジションであり、攻撃参加したいと思ってもなかなか点が取れませんでした。コーナーキックのこぼれ球がちょうど自分の目の前に転がってきたので、得点できてすごくうれしく思います。
――後半は攻め込まれるタイミングも多かったですが、相手が変わってきたのか、それともア女に足りない部分がでてきたのか、前半との変化についてはどのように感じましたか
後半は相手が前からプレスをかけてきたり、早いタイミングで裏を狙ったりしていたので、自分たちが変わったというよりは相手が戦い方を変えてきたというのが個人としての印象です。しかしこの前から圧をかけてくるという戦い方は、関カレの時にも課題になっていましたし、まだ自分たちとして乗り越えなければならない課題なのかなと思います。
――それでも0点に抑えられたのは、これからにとってすごく大事なことなのではないかと思うのですが、守備面の評価はいかがですか
センターバックやGKを中心に最後まで粘り強く守れましたし、体を張って守るシーンもあったので、最後は気持ち、ではないですがそういう守備をDF陣として目指さないといけないなと思います。
――最高のかたちでホーム戦を締めくくりましたが、これからまず迎える皇后杯に向けて目標や抱負を聞かせてください
皇后杯では、チームとしてWE(リーグ)所属チーム撃破という目標があり、そのためにはまずなでしこリーグの他のチームを倒さなければならないと思うので、まずは香川西(四国学院大学香川西高等学校)との試合に向けて、また来週から積み上げていきたいと思います。
MF蔵田あかり(スポ4=東京・十文字)
――試合全体を振り返っていかがでしたか
土日の連戦が今日で最後っていうことと、東伏見でのホーム最終戦ということもあったので、とにかく勝っていい雰囲気で終わらせたいと思っていました。結果的に無失点で勝利を飾ることができたのでよかったなと思います。
――相手に対してどのような対策をしていましたか
自分がサイドで、自分とマッチアップする選手が高い位置をとってくるのでそれを警戒しつつ、自分もどんどん前に仕掛けることで相手になるべく攻撃させないことを意識していました。
――先制シーン振り返っていかがですか
いいリズムで目の前にパスがきたので、あとは決めるだけでした。
――得点を常に意識していましたか
今日はコーチからどんどん前に仕掛けて、90分出場できなくてもやりきってこいとに言われていたので、それが結果につながったのかなと思います。
――皇后杯に向けて意気込みお願いします
今日の土日の連勝を踏まえて、チームも全体的に上がってきているので、いい雰囲気のまま来週の練習をして、一回戦で勝てるように頑張りたいと思います。
FW吉野真央(スポ3=宮城・聖和学園)
――試合全体を振り返っていかがですか
自分たちのやりたい攻撃とかリズムで試合をつくることができてよかったなと思います。
――効果的なプレスでボール奪取に貢献されていましたが、守備でのご自身の評価はいかがですか
しっかりと後ろからの指示があってやりやすかったですし、自分たちは守備からつくるチームなのでもっともっと守備頑張りたいと思います。
――攻撃に関してはラストパスなど、自分自身というよりはお膳立てをするシーンが多く見られましたが、何か意識していたことはありますか
もちろんゴールは最初に見ていますし、打てれば打つと決めているんですけど、自分で結果を残すことよりもチームで勝つことが一番なので、自分よりいいタイミングで打てる人がいればその人にボールを出すようにしています。
――2点目のゴールシーンを振り返ってください
いいクロスが入ってきて、自分のところにこぼれてきたので打ち切ろうと思って打ったら入りました。
――来週からいよいよトーナメントの一発勝負の皇后杯が始まります。目標と抱負をお願いします
自分たちが挑戦者だという気持ちを忘れずにひとつひとつ目の前の勝利に向かって全員で戦っていきたいと思います。
MF三谷和華奈(スポ2=東京・十文字)
――試合全体を振り返っていかがでしたか
昨日今日と2連戦での久しぶりの有観客試合で、なおかつ関東リーグ(関東女子サッカーリーグ)最後という、ア女にとってもすごく大事な試合でした。でも、しっかりと大量得点で勝つことができ、また個人的にも得点に絡むことができてすごく良かったなと思います。
――積極的にサイドを駆け上がっていた印象があるのですが、どういった狙いがあったのでしょうか
スピードを生かしたドリブルや、1対1で高い位置まで行って相手の守備ラインを下げられるということが自分の武器だと思っているので、それを存分に発揮しようと思っていました。しっかり深い位置まで取れれば相手のサイドバックも上がってきづらくなります。自分も体力が削られますが、相手もついていくことで同様に削られていくと思います。よく廣澤真穂さん(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)が「攻撃こそ最大の守備」ということをよく言っているので、それを引用させていただきます(笑)。
――得点のシーンを振り返っていかがですか
ボールが流れてきたらいいなとは思っていましたが、まさか流れてくるとは正直思っていませんでした。しかも来たのが本当にゴールラインぎりぎりで、ほぼ角度ゼロという所だったので、ポストに当てそうだと思いましたが、なんとかしっかり決めることができたので良かったです。
――5点差をつけての圧勝となりましたが、それについてはいかがですか
今週1週間、チームとしてすごくまとまって質の高い練習ができたという手ごたえがありました。昨日の試合でもそうなのですが、交代選手含め全員が共通認識を持ってゴールに向かったり、守備をしたりすることができていました。関カレ(関東大学女子リーグ)では負けが続く厳しい状況もあったのですが、皇后杯本選を前にしっかりとチームとして準備できたことは、すごく良かったなと思っています。ここからまだまだこのチームは成長できると思うので、オフを挟んでしっかりと練習したいなと思います。
――最後に、皇后杯本選に向けての意気込みをお願いします
昨年は本当に悔しい負け方をしてしまって、個人的にも交代で出場できたものの最初の3分で交代になるという経験をしているので、しっかりとチームに貢献できるようなプレーをしたいと思っています。またWEリーグ所属チーム撃破という目標もあるので、しっかりと高い目標を持って、決勝進出や優勝を目指して頑張りたいなと思います。