難敵に手痛い敗戦 優勝が遠ざかる結果に

ア式蹴球女子
第35回関東大学女子リーグ戦 後期第10節
早大 0-0
0-1
東洋大
【得点】
(早大)なし
(東洋大)52分 林みのり

 関東大学女子リーグ戦(関カレ)第10節、ア式蹴球部女子(ア女)は東洋大と対戦した。現在暫定3位のア女は、関カレ優勝を目指すためになんとしてでも勝ち点3を取りたいところ。序盤は相手に押し込まれる時間が続くが要所は抑え、0−0で前半を終える。しかし、後半開始直後にゴール前での混戦から失点してしまうと、その後はチャンスを作るものの決定機をものにできない。そのまま0-1で勝ち点を得ることはできなかった。

 

あわや失点の場面でファインセーブを見せる石田

 

 東洋大は前回対戦時に引き分けている相手。この日も序盤は両チームともなかなか決定打が生まれなかった。その中でもサイドチェンジを繰り返し、チャンスを作り出したア女のファーストシュートは12分。左サイドでボールを受けたMF蔵田あかり(スポ4=東京・十文字)が右足を振り抜き、ミドルシュートを放つ。枠を捉えたシュートは惜しくも相手GKに阻まれ、得点にはつながらない。そこから相手の圧力を受け、徐々に自陣でボールを持つ時間が長くなり始める。22分にはDF陣の裏にできたスペースを突かれ、ゴール前でノーマークの相手にシュートを打たれてしまう。あわや失点の場面だったが、GK石田心菜(スポ1=大阪学芸)がファインセーブ。その後も石田が好セーブを連発し、0−0で試合を折り返した。

 すっかり日が落ちて迎えた後半、52分に試合は動いた。自陣ゴール前中央の混戦から相手の蹴ったボールが、これまで幾度となくシュートを防いでいた石田の手の上をすり抜け、ゴールネットを揺らす。「密集した中でうまく連携が取れず、ボールにディフェンスにいけませんでした」とⅮF夏目歩実(スポ2=宮城・聖和学園)。勝利のためには2点が必要となったため、早い段階で試合を振り出しに戻したいア女は、細かいパスをつなぎ、再三相手ゴールに攻め入る。だが決定機はつかめず、刻一刻と残された時間は失われていく。アディショナルタイムにMF並木千夏(スポ4=静岡・藤枝順心)が豪快にミドルシュートを放つが、ボールはゴールポストの上へ逸れてしまった。その直後に試合終了のホイッスルが鳴り、ゲームセット。0−1で敗北した。

 

中央にボールを持ち運ぶ蔵田

 

  渇望した勝ち点を得ることができず、関カレ優勝から1歩遠ざかったア女。東洋大との差は「ゴールを決め切る力。それに尽きる」と蔵田は話す。後半東洋大に許したシュートはわずか2本だったが、そのうちの1本を守りきれずに失点した。あと一歩のところを詰めきれなかった点が敗因だ。今シーズン初となる連敗を喫したが、優勝の可能性がなくなったわけではない。関カレも残すところあと3試合。また、今後も関東女子リーグ戦、皇后杯、全日本大学女子選手権(インカレ)と戦いは続く。「切り替えるしかないし、やるしかない」(蔵田)。頂点を目指し続けるア女の挑戦は、まだまだ終わらない。

(記事 内海日和、写真 手代木慶)

 

スターティングイレブン

 

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 石田心菜 スポ1 大阪学芸
DF 2 船木和夏 スポ3 日テレ・メニーナ
DF ◎10 加藤希 スポ4 アンジュヴィオレ広島
DF 22 夏目歩実 スポ2 宮城・聖和学園
DF 29 田頭花菜 スポ1 東京・十文字
MF 7 蔵田あかり スポ4 東京・十文字
→68分 26 木南花菜 スポ1 ちふれASエルフェン埼玉マリ
MF 8 並木千夏 スポ4 静岡・藤枝順心
MF 18 三谷和華奈 スポ2 東京・十文字
→HT 15 吉野真央 スポ3 宮城・聖和学園
MF 30 築地育 スポ1 静岡・常葉大橘
→56分 6 ブラフ・シャーン スポ3 スフィーダ世田谷FCユース
FW 9 廣澤真穂 スポ3 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
FW 11 髙橋雛 社3 兵庫・日ノ本学園
◎=ゲームキャプテン

 

MF蔵田あかり(スポ4=東京・十文字)

――今日の試合を振り返っていかがですか

お互いに負けられない試合で、拮抗(きっこう)すると分かっていました。自分たちにもチャンスがあった中で、『決めきる』という最後の部分の差が出てしまったと思います。

――東洋大と早大にはどんな違いがあったのでしょうか

純粋にゴールを決め切る力ですかね。それに尽きると思います。

――東洋大はどのような相手だと分析されて試合に臨みましたか

前期も戦っていたので、相手は組織的に攻撃も守備もやってくるため、すごくやりづらい相手だということはみんな思っていました。その中で、相手の攻撃や守備に対する自分たちの攻撃や守備を統一することを意識して練習に臨んでいましたね。

――特にディフェンス面ではどのようなことを意識されていましたか

相手は食いついたそのスペースをうまく使ってビルドアップしてくるので、奪い切れるところで(ボールを取りに)いくことはもちろんなのですが、自分たちも組織的に守ることを意識しました。横ずれと縦ずれをしっかりして、スペースを与えずにゾーンで守ることを意識していました。

――蔵田選手自身ミドルシュートなどチャンスがありましたが、振り返っていかがでしょうか

私が攻撃でボールを持つ時間が少なかった分、一個のシュートを決めきれなかったことは、4年としても、ピッチに立っている11人としても、すごく責任は感じています。

――次戦への意気込みを教えてください

この負けを真摯(しんし)に受け止めて、この試合の中で自分たちができたことはあると思います。それも踏まえて、切り替えるしかないですし、やるしかないと思うので、今回出た課題を東京国際戦までには直して、結果にこだわって絶対に勝ちたいと思います。

ⅮF夏目歩実(スポ2=宮城・聖和学園)

――連敗という結果に終わってしまいましたが、試合を振り返っていかがですか

サイドバックが頼れる二人で、自分がセンターバックで責任を持ってやらなきゃとか、これまで若葉(後藤、スポ2=日テレ・メニーナ)に頼っていた部分があって、若葉のためにも早稲田のゴールを守らなきゃと思っていました。日体大戦から全部失点しているので、ディフェンスの立場として、攻撃陣が頑張ってくれているのに情けない、申し訳ないです。(失点を)ゼロに抑えて(ア女の)リズムを作りたいので、失点を重ねたことに責任を感じています。

――今季の公式戦出場時間がチームの中で最長です。多大な貢献をしていると思いますが、ご自身としては満足していないということですか

試合に通年出させてもらっている分、もっと自分が何かを示さなければならないし、その自覚をもってピッチに立つべきだと思っています。今の状況を見ると、一週間練習でやってきたことが結果に表れていない、失点してしまっています。結果が全てとは言いませんが、リーグですし、公式戦なので結果が付いて来ないと意味がないと思います。

――今回の敗戦で、関カレ連覇から非常に遠ざかってしまった印象です。チーム内ではどのように捉えられていますか

この試合を含めて4連戦あったので、全員で勝ちに行こうと思っていました。この負けを受け止めてもチームは前を向いています。まだ3戦残っているので、優勝を獲りに行こうとみんなが高い意識を持っています。

――GK石田選手(心菜、スポ1=大阪学芸)がファインセーブを連発していました

守備範囲がすごく広くなっていて、きわどいところでも出てくれるので安心感があります。最近は落ち着いてプレーしてくれているので、心強いなと思います。

――失点シーンを振り返ってください

混戦の状況でなかなかクリアもできず、細かいところでつながれてしまいました。密集した中でうまく連携がとれなくて、ボールにディフェンスに行けませんでした。一歩がでなかったというか、少しのずれなのですが、相手のレベルが高かったです。もっともっと突き詰めなければならないと思いましたし、ちょっとの気の緩みだったり、時間的に貪欲に球際強くいけないのが、チームの現状ですし、足りていない部分なのかなと思います。

――敗戦をどのように今後生かしていきたいですか

すぐ水曜日に試合がありますし、まだまだ連戦が続きます。再来週から関東リーグ(関東女子リーグ)もあるので、チーム内で競い合いながら上を目指して、両リーグとも優勝を目指して貪欲に積み上げていきたいです。