第35回関東大学女子リーグ戦 後期第1節 | ||||
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早大 | 2 | 0-0 2-0 |
0 | 日大 |
【得点】 (早大)69分 築地育、89分 白井美羽 (日大)なし |
蝉の鳴き声が響き渡る灼熱のアウェイ会場で、関東大学女子リーグ(関カレ)後期が幕を開けた。ア式蹴球部女子(ア女)は前半から積極的にシュートを放つもゴールとはならず、スコアレスで折り返す。それでもMF築地育(スポ1=静岡・常葉大橘)の先制点で均衡を崩すことに成功。試合終了間際にはMF白井美羽(スポ1=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)が2点目を追加し、見事に関カレ4試合ぶりの勝利を飾った。
ヘディングで得点を狙う築地
日大は前期に2-1で下しているものの、最後まで苦しんで白星を手にした相手だ。試合開始直後、FW廣澤真穂(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)のファーストシュートで早速チャンスを作ったア女。幸先良いスタートを切ると、幾度も相手ゴールに迫る。29分、CKのチャンスを得るとMF並木千夏(スポ4=静岡・藤枝順心)の放ったボールを相手GKがパンチング。こぼれ球をすかさずFW髙橋雛(社3=兵庫・日ノ本学園)が詰めようと試みる。惜しくもバーに嫌われたものの、相手ゴールを脅かした。だがその後は日大の堅守を前に、ボールを持つだけの時間が続く。反対にパスミスを拾われ、ピンチを招いてしまう場面も。ここはGK近澤澪菜(スポ3=JFAアカデミー福島)のファインセーブに救われ、0-0で試合を折り返した。
後半もチャンスは作るが決めきれず、なかなか得点を奪うことができない。試合が動いたのは69分。DF加藤希主将(スポ4=アンジュヴィオレ広島)のクロスにゴール前の髙橋が反応する。これを相手GKが弾き、ボールはゴールラインを割ってCKを獲得。そこに「常にゴールに向かう姿勢は持っている」と話す築地がファーに走り込み、頭で合わせた。一度は相手DFに当たったものの、再び自らの左足を振り抜いて待望の先制点を決める。得点に湧いたア女だったが、すぐさま切り替え、福田あや監督(平20スポ卒=神奈川・湘南白百合学園)は白井を起用。さらなる得点を狙って迎えた89分、廣澤がペナルティエリア付近で粘り強くボールをキープし、髙橋へパス。2人の崩しから、白井が期待に応える追加点を流し込む。終盤は完全に主導権を握り、そのまま2-0で関カレでは久々の白星を手にした。
追加点を喜ぶ白井(右)と笠原
試合を振り返って白井は「チームが最近あまり勝てていなかったので、点を取って勝ったことで少しでもチームに勢いづけられた」と手ごたえを口にした。今回の2ゴールはいずれもフレッシュな1年生の得点だ。今後も新たなストライカーが誕生し、廣澤、髙橋の二大巨頭を脅かせるかに期待がかかる。しかし、相手の3倍のシュート数がありながら2得点に留まった点は注視すべきだ。決定力を高めれば、ア女は向かうところ敵なしと言えるだろう。9月は関東女子選手権(皇后杯関東予選)、秋には皇后杯本選も待ち受ける。一戦必勝で相手を撃破し、ア女の名を轟(とどろ)かせたい。
(記事 手代木慶、写真 朝岡里奈、小山亜美)
※前期第4節慶大戦は8月22日に延期
スターティングイレブン
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 近澤澪菜 | スポ3 | JFAアカデミー福島 |
DF | 5 | 後藤若葉 | スポ2 | 日テレ・メニーナ |
DF | ◎10 | 加藤希 | スポ4 | アンジュヴィオレ広島 |
DF | 20 | 浦部美月 | スポ2 | スフィーダ世田谷FCユース |
DF | 22 | 夏目歩実 | スポ2 | 宮城・聖和学園 |
MF | 8 | 並木千夏 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
MF | 19 | 笠原綺乃 | スポ2 | 横須賀シーガルズJOY |
→89分 | 26 | 木南花菜 | スポ1 | ちふれASエルフェン埼玉マリ |
MF | 30 | 築地育 | スポ1 | 静岡・常葉大橘 |
FW | 9 | 廣澤真穂 | スポ3 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
FW | 11 | 髙橋雛 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
FW | 15 | 吉野真央 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
→69分 | 28 | 白井美羽 | スポ1 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
◎=ゲームキャプテン 監督:福田あや(平20スポ卒=神奈川・湘南白百合学園) |
MF白井美羽(スポ1=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)
――試合全体を振り返って、率直な感想はいかがですか
前半と後半の最初、外から見ていて、相手が引いてきている中でボールは持っているんですがフィニッシュまでは行けないという状況が続いていました。そういう停滞している中で、自分はまだフレッシュなので、入ることで裏抜けなどの動きを出そうかなと思っていました。
――実際入ってみて感触はいかがでしたか
裏抜けは相手のラインが下がるので、自分が動くことで味方がスペースを作れました。そこは思った通りに動けたと思います。自分は元々出ていた真央さん(吉野、スポ3=宮城・聖和学園)のプレースタイルとは少し違うんですが、自分のプレースタイルでプレーしていいよと言われたので、そこは意識してできたかなと思います。
――指示としては気負わず自由にというものでしたか
はい。とにかく点を取るようにという指示でした。
――実際に得点されました。そのシーンを振り返っていかがですか
真穂ちゃん(廣澤、スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)と雛さん(社3=兵庫・日ノ本学園)が最後で崩してくれて、自分は走り込んで決めるだけだったので、2人のおかげだと思っています。
――取った瞬間はどんな思いでしたか
(ピッチに)入ったときに点を入れることを求められていたし、チームとしてもゴールまで行っているけど点が取れない状況だったので、うれしかったです。
――個人でもチームでも、結果についてはどう感じていますか
チームが最近あまり勝てていなかったので、点を取って勝ったことは少しでもチームに勢いづけられたかなと思います。
――次戦に向けての意気込みをお願いします
梅雨明けでどんどん暑くなってきて、体力的にもきついところはあるんですが、このまま勝ちを積み重ねて勢いよく勝っていきたいです。
MF築地育(スポ1=静岡・常葉大橘)
――今日の試合を全体的に振り返っていかがですか
すごく暑い中の試合で、小さいミスが積み重なったり足が止まってしまったことがありました。ただ、後半は自分たちの流れに持ってこれたのが良かったです。
――日大にはどんな対策をして臨みましたか
自分たちが前回勝っていたので、シンプルに蹴ってくるのではないかというのと、そのまま日大の特徴を生かして前プレでくるというのをスカウティングして、どっちにも対応できるようにしていました。前半も後半もスカウティングで調べたことがでてきていたので、臨機応変に対応できたと思います。
――ハーフタイムでは何を話しましたか
福さん(福田あや監督、平20スポ卒=神奈川・湘南白百合学園)から、前半自分たちがやっていることはいいけど、細かい部分でミスが多かったので、そこをしっかりできるように意識するようアドバイスされました。後半思い切り動けるように意識しました。
――ご自身の中で後半にかけて変化はありましたか
前半は足が止まっていたり、ミスを恐れて消極的になってしまったので、自信を持って思い切り動けるように意識しました。
――先制点のシーンを詳しく振り返っていただけますか
CKからファーに走って、一回ヘッドで合わせたボールをはじかれてしまったので、それをもう一度自分の左足で押し込みました。
――最近の好調の要因は何でしょうか
常にゴールに向かう姿勢は持っています。ですが、まずは守備からチームの流れをつくるというのを意識しているので、それが巡ってきて自分がいい形でボールをもらえているのかなと思います。
――今日はとても暑い中試合が行われました。コンディションはいかがでしたか
前半暑くて体が止まってしまったので、これから暑さに慣れてくる中でも自分のプレーをしたり、最後の最後まで足を伸ばすようなプレーをしたいと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
また守備からボールを回収していい攻撃につなげたいと思います。