第27回関東女子リーグ戦 後期第3節 | ||||
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早大 | 7 | 2-0 5-0 |
0 | 筑波大 |
【得点】 (早大)16分,オウンゴール、44分 吉野真央、51分 髙橋雛、56分 築地育、67分 廣澤真穂、68分,87分 髙橋雛 (筑波大)なし |
前日の関東大学女子リーグ(関カレ)から、2日連続の試合となったア式蹴球部女子(ア女)。天候不良によるピッチ状況の悪化や連戦によるコンディション面での不安といったネガティブな要素もあったが、7発の大勝を成し遂げる。後半から投入されたFW高橋雛(スポ3=兵庫・日ノ本学園)のハットトリックに代表されるように、持ちうる攻撃力を爆発させ、今季の公式戦無敗記録をさらに伸ばした。
ハットトリックを達成した髙橋の1点目
前半は、特に右サイドで起用されたDF後藤若葉(スポ2=日テレ・メニーナ)やFW廣澤真穂(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)が空いたスペースをうまく使うかたちで、チャンスを多く創出した。すると、16分、右サイドを起点にさっそく得点が生まれる。ロングボールを受けた後藤が個人技で中へ切りこむと、ライン裏に抜けたFW吉野真央(スポ3=宮城・聖和学園)へスルーパス。吉野のシュートは一度は相手GKに阻まれたが、こぼれ球を収めた廣澤のシュートは相手DFのオウンゴールを誘い、早い時間での先制に成功した。その後は何度も決定機を作るが、中央を固めてきた相手に対し決め切れない場面が続く。それでも前半終了間際でのCKに吉野が見事に頭で合わせ追加点。2点のリードで折り返した。
髙橋を含む3選手を入れ替えた後半は、交代選手を中心にさらに攻勢を強める展開になる。51分、中央で細かなパスワークの流れから高橋が豪快に決めると、続く56分、エリア内でボールを受けた高橋が相手をかわした後折り返しに反応した築地が押し込んでゴール。「(髙橋のところに)詰めていって、点が取れたのでおいしいところをもらってしまった」(築地)と笑顔を見せる。この時点で4点という大量リードを得たア女であったが、なおも豊富な運動量を発揮し、攻撃の手を緩めることはなかった。67分にはエリア内で相手DFを背負った廣澤がそのまま反転してシュートを放ち、ネットを揺らすことに成功。その後も高橋が連続して得点を決め、途中出場ながらハットトリックを達成するとともに、チームに7点目をもたらし、試合を締めた。
廣澤(9番)のゴールを祝福する選手たち
攻めては、長短織り交ぜたパスワークや個人技で7点を奪う爆発力を見せ、守っては素早いプレスやインターセプトで相手に決定機を与えない集中力を見せたア女。前日の関カレではスコアレスドローに終わったが、攻守にわたって存在感を見せていたDF桝田花蓮副将(スポ4=ちふれASエルフィン埼玉マリ)は「試合を通じて点を取るという課題に向き合い続けることができた」と収穫を口にする。また、髙橋は「どの相手にも精度やつながりを持って対応できるというところをもっと高めないといけない」と語り、さらなる成長を見据える。今季未だ負けなしのア女に、慢心はない。
(記事 青山隼之介、写真 内海日和、手代木慶)
スターティングイレブン
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 16 | 石田心菜 | スポ1 | 大阪学芸 |
DF | ◎3 | 桝田花蓮 | スポ4 | ちふれASエルフェン埼玉マリ |
DF | 5 | 後藤若葉 | スポ2 | 日テレ・メニーナ |
→HT | 20 | 浦部美月 | スポ2 | スフィーダ世田谷FCユース |
DF | 22 | 夏目歩実 | スポ2 | 宮城・聖和学園 |
→80分 | 24 | 大森美南 | スポ2 | 八王子学園八王子 |
DF | 26 | 木南花菜 | スポ1 | ちふれASエルフェン埼玉マリ |
DF | 29 | 田頭花菜 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | 6 | ブラフ・シャーン | スポ3 | スフィーダ世田谷FCユース |
→HT | 10 | 加藤希 | スポ4 | アンジュヴィオレ広島 |
MF | 28 | 白井美羽 | スポ1 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
MF | 30 | 築地育 | スポ1 | 静岡・常葉大橘 |
FW | 9 | 廣澤真穂 | スポ3 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
→73分 | 25 | 藤田智里 | スポ2 | 神奈川・大和 |
FW | 15 | 吉野真央 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
→HT | 11 | 髙橋雛 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
◎=ゲームキャプテン 監督:福田あや(平20スポ卒=神奈川・湘南白百合学園) |
DF桝田花蓮(スポ4=ちふれASエルフィン埼玉マリ)
――試合全体を振り返っていかがですか
前半から相手が引いてゴール前を固められていて、なかなか点がとれないなかで、自分たちでもあまりうまくいっている感触はありませんでした。前日の試合が引き分けで終わっているのもそうですが、点をとるというのが課題というなかで、そこを一番の目標をしていました。思うように得点が決まらない状況でも、じれずにピッチ内でもコミュニケーションをとりながら、結果的に点も多くとれましたし、試合を通じてその課題に向き合い続けることができたのが成果だったかなと思います。
――事前の戦術面ではどのようなことを考えていましたか
スカウティングで、相手が引いてくるのは想定していたので、その相手に対して焦らずにボールを動かしながら、相手が固めて守っているのを崩すためにはパスの質だったりシュートの精度が重要になってくるので、そこにこだわろうと。あとは、相手が自分たちからボールを奪った後は前に蹴りこんでくるのも共有していたので、攻めている時間が長くてもそこのリスク管理を集中しようと話していました。
――特に右サイドを使うシーンも多く見られましたが、その点については
右サイドバックが高い位置をとって攻撃参加できていたので、そこを起点にして、サイドの裏のスペースをよく使って、相手が守りにくいかたちに持ち込もうというのはハーフタイムでも話していたので、そこを狙いとして攻撃が実行できたのはよかったかなと思います。
――後半は、積極的に攻撃に参加されていましたが、振り返っていかがですか
後半ポジションが1列上がっていて、個人的にはそこが一番好きな場所でもあったので、そこはやっていて楽しさを感じました。前半では攻撃が停滞していたので、守備とのバランスはとりつつ、相手の守備のかたちを崩すということを意識していました。
――次戦に向けてお願いします
関東リーグは連勝のまま来ていますが、相手のレベルに関係なく自分たちがよりレベルアップできるようにしたいです。今回も、点は多くとれましたが、一つ一つのパスの質であったりチーム内でも連携であったりは、高められる部分があるので、結果だけにとらわれず、妥協せず高めあうことで今後も勝ち続けられればなと思います。
FW髙橋雛(社3=兵庫・日ノ本学園)
――試合全体を振り返っていかがでしたか
昨日の関カレ(東洋大、△0-0)で、強い相手に対して何もできなかったので、自分たちの課題が多く見つかりました。それを踏まえて今日の関東リーグでは、全体としてどんどん自分たちの強みを出していこう、チーム全体でやろうとしていることを出し切ろうといって入りました。結果的には大量得点で勝てたのですが、これがどの相手にもできるような精度やつながりを持っていくことが自分たちの目指すところです。どの相手にも対応できるというところをもっと高めないといけないなと思った試合でした。
――昨日見えた課題を具体的に教えてください
いつもよりプレッシャーが早い、スライドが早いという細かいクオリティが高い相手に対して、いつもと同じテンポで動かしていたら周りの人との距離感が(適切ではない)。目を合わせないとつながらないので、ひとつのパスの精度だったり、崩しの部分だったりもスピード感や技術面で課題があると思います。
――7-0という快勝でしたが、ハットトリック達成おめでとうございます!
ハットトリックできたことは良かったのですが、絶対決めきらなきゃいけない場面はあったので、心に残って反省しています。みんながつないでくれたいいパスこそ決めないと、そのパスが意味がなくなってしまうので。そこで決めきっていかないと強い相手になったら勝ち切れないと思うので、崩しが上手くいったときこそ決めきるという自分の課題があります。そこを改善していきたいです。
――6試合ぶりの得点ですが、後半45分間の出場で3得点でした
前半外から見ていて、2列目からの飛び出しが有効だと感じていて、裏のスペースも空いていたのを認識していました。その上で周りとコミュニケーションをとりながらゲームに入れたので、スムーズに試合に溶け込めて得点につながったと思います。
――チーム全体として今日得た収穫を教えてください
まだまだですが、つながりの部分で成果が出たと思っています。どう動いたらどこにスペースが空くかをチームで共有していたからこそ連動できたので、そこが良かったかなと思います。
――来週は再び筑波大との一戦ですが、次戦に向けての抱負を聞かせてください
意識することは変わらないので、一つ一つのプレーにこだわることだったり、自分のポジションならもっとゴールに貪欲になる、決め切るというところを自分が思っている以上に高めて、絶対に勝ち切りたいです。
MF築地育(スポ1=静岡・常葉大橘)
――今日の試合を振り返っていかがですか
前半から自分たちのサッカーができなかったので、それは改善点です。しかし、後半は流れに乗ってテンポよくパスを回して点をたくさん取れたのでそこは良かったと思います。
――ご自身のプレーを振り返っていかがでしょうか
サイドに出たり、真ん中に入ったりとポジションが何度か変わったのですが、気持ちを切らさずに自分の武器である粘り強い守備から試合に入っていくことができました。最終的に雛さん(高橋雛、社3=兵庫・日ノ本学園)のところに詰めていって、点が取れたのでおいしいところをもらってしまったカタチですが(笑)。良かったと思います。
――高橋選手に言いたいことなどはありますか
試合のテンポを作ってくれて、試合の流れも良くなったので「ありがとうございます」と言いたいですね(笑)。
――どのようなことを意識してピッチに入られましたか
自分のプレーをしようということを意識しました。まだまだ改善するところはあるのですが、自分の個性を出しながらチームのサッカーができるようになっていきたいです。
――前半は「自分たちのサッカーができていなかった」とおっっしゃっていましたが、具体的に何ができなかったのでしょうか
味方の選手と合わせてスペースを使ったり、真ん中でもう少しボールをかき出して、テンポを作りたかったです。そこは改善点ですね。
――雨でしたが、ピッチの状態はいかがでしたか
アップからピッチの状況を把握して入れたので、そこまで困らずにプレーができました。
――そのような状況では具体的に何を意識されるのですか
場所によってボールが止まってしまったり、流れてしまったりという違いが出てきます。やりながら「ここはちょっと止まってしまうな」ですとか、「サイドの方がボールが流れやすいな」などとピッチの状態を意識していきますね。
――昨日も試合がありましたし、来週末も2連戦です。チームで戦うことができている理由は何でしょうか
チームの一人一人が自分のケアについてできることを最大限に行っています。また、それでも足りない部分は頼りがいのあるトレーナーさんたちが自分たちのことを見てくれています。この二つが理由だと思いますね。
――今後の意気込みを教えてください
もっともっと自分らしく、思いっきりプレーしながら、チームの勝利に貢献できるように頑張ります!