セットプレーから先制するも…終了間際に失点し勝利逃す

ア式蹴球女子
関東女子リーグ戦
早大 0-0
1-1
群馬FCホワイトスター
【得点者】(早大)52’高橋 

 関東女子リーグ(関東リーグ)第2節。3ヶ月ぶりの再開となったこの大会で、13連覇を目指すア式蹴球部女子部(ア女)は群馬FCホワイトスターと対戦した。序盤は攻守で苦しめられたア女だったが無失点で折り返すと、52分にセットプレーから先制に成功。試合を優位に進めた。しかし終了間際、後ろからのつなぎの部分でミスが出てしまい失点。失点後は猛攻を仕掛けたが実らず、今季リーグ戦初めての引き分けとなった。

 この日の相手の群馬FCホワイトスターは、皇后杯予選決勝で敗れたア女にとって因縁の相手。「一度負けた相手には負けられない」と各選手が語ったように、ア女のプライド、そしてこの2ヶ月間の成長を示すためにも絶対に負けられない試合であった。

 しかし試合は苦しい展開となった。「立ち上がりはセーフティーに臨んだ」(MF村上真帆、スポ4=東京・十文字)ア女だったが、ロングボール主体の戦術を採用する群馬にとってはまさに得意な展開。前線2トップの絶妙なポジショニングや出入りに苦戦し、思い通りの試合運びをすることができなかった。しかし、2か月の間に成長したア女もただでは終わらなかった。局面に人数をかける相手に対して、大きなサイドチェンジから左右に揺さぶり得意のサイド攻撃を展開。また、MF阪本未周(スポ4=大阪・大商学園)の状況を見た積極的な飛び出しや2トップの連動したポジションチェンジなど、選手が試合の中で考え状況を良化させた。結果的に得点を奪うことはできなかったものの、試合の中での修正力という点で成長を感じさせるものだった。

得点を演出した村上

 ハーフタイムに前線からのプレス、切り替えについて再確認したア女は、徐々に相手の運動量が落ちてきたこともあり、試合を優位に進めた。すると52分、ゴールから距離のある位置でフリーキックを獲得。村上の左足から放たれたボールをファーで待っていたDF堀内璃子(スポ1=宮城・常盤木学園)頭で合わせると、その折り返しをFW高橋雛(社2=兵庫・日ノ本学園)が冷静に流し込み先制に成功。狙い通りのオーガナイズされたセットプレーから、待望の先制点をもぎ取った。得点後はややペースダウンしたものの、途中出場のMF松本茉奈加(スポ4=東京・十文字)やMF蔵田あかり(スポ3=十文字VENTUS)が積極的な仕掛け、ハードワークでチームに勢いをもたらした。しかし追加点を奪えずにいると、迎えた90分、最終ラインのつなぎの部分でミスが生まれ失点。目前まで迫った勝利は、無情にもこぼれ落ちてしまった。

先制後、喜び合う選手たち

 9月の群馬FCホワイトスター戦での敗戦から多くを学び、その後の関東大学女子リーグ(関カレ)を7連勝で優勝したア女だったが、またしても勝利することはできなかった。しかし、得たものも大きかった。DF後藤若葉(スポ1=日テレ・東京ヴェルディメニーナ)の「大人と大学生の違いを感じることができた」という言葉通り、これからア女が戦わなければいけない“大人”のチームとこのタイミングで再び戦うことができたのは大きな経験となるだろう。1週間の休息を経て、「なでしこ1部チーム撃破」という大きな目標への挑戦が始まる。

(記事 稲葉侑也 写真 手代木慶)

 

スターティングメンバー

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ◎1 鈴木佐和子 スポ4 浦和レッズレディースユース
DF 佐々木呼子 スポ4 宮城・常盤木学園
DF 25 後藤若葉 スポ1 日テレ・東京ヴェルディメニーナ
DF 29 堀内璃子 スポ1 宮城・常盤木学園
DF 24 夏目歩実 スポ1 宮城・聖和学園
MF 阪本未周 スポ4 大阪・大商学園
MF 10 村上真帆 スポ4 東京・十文字
MF 14 加藤希 スポ3 アンジュヴィオレ広島
MF 27 三谷和華奈 スポ1 東京・十文字
蔵田あかり スポ3 十文字VENTUS
FW 髙橋雛 社2 兵庫・日ノ本学園
11 松本茉奈加 スポ4 東京・十文字
FW 廣澤真穂 スポ2 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
◎はゲームキャプテン
監督は福田あや(平20卒)
コメント

MF村上真帆(スポ4=東京・十文字)

――試合を振り返って

前回負けている相手ということもあって勝ち切りたかったんですが、決めきるところを決めきれなくて引き分けてしまったのはすごい悔しいです。

――皇后杯予選で負けた相手でしたが、やはり意識していたのですか

一度負けた相手だから負けられないというのもありますし、これからも勝ち続けなければいけないということは考えていました。

――どのような対策や狙いをもって臨まれましたか

皇后杯の後から攻撃に重きを置いて練習をしてきて、それを関カレでも発揮することができていたので得点を奪えたことは良かったと思います。相手は蹴ってくるという特徴があるのでまず切らせないということセカンドボールの回収、自分たちが攻撃している時のリスク管理という三つを徹底しようと話していました。

――立ち上がりはあまりボールを持てませんでした

最初は自分たちもセーフティに臨みましたし相手も蹴ってきたのでバタバタしてしまいました。その中でワンテンポ落ち着かせるシーンが必要だったと思います。

――ロングボールを使うシーンが目立ちました

サイドの選手はスピードが持ち味ですし、相手もサイドを警戒していたわけではなかったので、 左右に揺さぶって開いた中央のスペースを使おうという意識をしていました。

――前半は得点を奪えませんでした

攻撃の形が定まらないと言うか、今は誰かが動いたスペースを使うことを意識しているんですが、もう少しそれを実行できたら良かったのかなと思います。

――前半の守備についてはいかがでしたか

前半は無失点だったという点はよかったですが、ゴール前でシュート打たれてしまった場面が多くあったので、 このまま続けていたら点を取られていたと思います。なのでハーフタイムにもう一段階ギアを上げてもっと強く行こう、力を出し切ろうということを話して後半に臨みました

――ハーフタイムに話したことは実行できましたか

結構できたと思います。相手の運動量が落ちたということもあって自分達にも余裕ができました。前線の流動性を活かした攻撃ができたと思います。

――先制点についてお伺いします。あのキックは狙い通りでしたか

そのシーンは若葉が大外にボールを求めていたので、そこを狙って折り返しを狙おうと思っていました。そうしたら結果的に璃子(堀内)が反応して、最後は雛(高橋)が詰めてくれるって狙い通りの形が得点に現れたと思います。

――キックの調子はいかがですか

だいぶ上がってきたと思います。苦しい時間にセットプレーから得点を奪えるとチームは楽になると思うので、これからも大事にしていきたいと思います。

――先制後はチームとして共通認識はありましたか

チャンスがあれば取りに行くけど、無理はしないという感じで、時間帯も早かったので、試合の状況を見ながらという感じでした。その中でチャンスを決めきれなかったのが勝利出来なかった理由だと思うので、その力を身に着けたいと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

皇后杯は負けたら終わりですし、大学生じゃない相手なので、しっかり対策して一戦一戦買っていけるように頑張っていきたいと思います。

FW髙橋雛(社2=兵庫・日ノ本学園)

――皇后杯予選のリベンジを兼ねた試合でしたが、いかがでしたか

同じ相手にもう一度負けるわけにはいかないし、 4年生最後のホーム戦だったので絶対に勝ちたいという気持ちで臨みました。

――不本意な引き分けだったのではないでしょうか

前半なかなか攻撃の面でも守備の面でもうまくいかないことが多くて、ハーフタイムで修正して後半変えました。それでいい形もできてきて、セットプレーで得点出来て最初にリードできたことは良かったと思います。でも、最後勝ち切るところがまだまだ足りないところだと思いますし、最後のところで点を許して引き分けというのは本当に悔しいです。最後まであきらめないことだったり、時間によった判断だったりをもっとチームで共有しながら成長していかないといけないと思います。

――どのような対策をした結果、前半なかなか動けない展開になったのでしょうか

相手は前のFWの二人がキーマンとなって、DFラインからのロングボールの勢いで来るというのを想定していたので、まずは蹴らせないことを意識してやろうといっていました。でもなかなか切り替えの部分が上手くいかず、ワンテンポ遅れて出たりしてしまいました。細かいところをできていなかったということをハーフタイムにもう一回みんなで共有してやろうとできました。

――その結果後半にご自身で1点決められました

あの得点は折り返しに反応するというイメージがあったので、中に入るというよりはこぼれたボールの方を狙っていました。いいところに来たので、押し込むだけという感じでした。

DF後藤若葉(スポ1=日テレ・東京ヴェルディメニーナ)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

今日は皇后杯予選で一回負けている相手だったので、同じ相手に二回も負けることはできないと思って、勝ちにこだわっていこうっていう気持ちでやったんですど、最後の最後で決められてしまったのでやっぱりこれから皇后杯本戦に向けて大人の相手と大学生の違いっていうのを見せられたのでいい勉強になったかなと思います。

――今日の相手に対してどのような対策をしてきましたか

今日の相手は前回の戦った時に前線の二人の選手がスピードがあってうまく、そこに放りこんでくるので、そのボールを蹴らせないようにするために前がかりのプレスをかけたり蹴られた後の対応をバックラインを中心にやっていこうという話でやっていきました。

――ハーフタイムなどでどんなことを話し合いましたか

最初の十五分は今シーズン1の前がかりのプレスで行こうって言ってたんですけど相手の守備のリズムに合わせてゆっくりやってたぶんそれが守備にも影響してて守備も全然前がかりのプレスがかかってなかったのでもう一回切り替えて後半の初めはプレスを守備を中心にやっていこうという話になりました。

――後半の早い時間に先制しましたがその後もう一点取ろうとかちょっと下がろうという意識はありましたか

まだ結構早い時間帯だったので引くにも相手がパワーを持ってきていたので受け身になったらやられるなと思ったのでもう一点取りに行けたらよかったんですけどそこで自分たちのミスから失点してしまったので皇后杯やインカレはトーナメントで負けられない試合が続いていくのでそういう部分ではいい経験になったけど勝ちきれなかったという部分では悔しいです。

――次の試合への意気込みを教えてください

次はもう皇后杯で自分たちの目標として皇后杯っていうのはなでしこリーグの普段戦えないチームと戦えるすごくいい経験なので一つでも勝ち進んで一つでも多くの試合をして自分たちの経験につながればいいなと思います。