関東大学女子リーグ戦 | ||||
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早大 | 3 | 2-0 1-0 |
0 | 帝京平成大 |
【得点者】(早大)3’三谷 41’松本 75’桝田 |
関東大学女子リーグ(関カレ)最終節、前節山梨学院大を下し優勝を確定させたア式蹴球部女子部(ア女)は前年度王者の帝京平成大と対戦した。開始早々に先制したア女だったが、その後は相手にボールを保持される時間が続いた。だが効果的な守備で相手の攻撃を無力化。決定機をほとんど作らせない。攻撃では得点が欲しい時間に効率良く点を奪うことに成功し、終わってみれば3-0の快勝。関カレを7連勝で終え、優勝に花を添えた。
前節から4人メンバーを入れ替えて試合に臨んだア女。第3節の筑波大戦(●0-1)では大幅なメンバー変更の影響で攻撃がかみ合わず、結果は敗戦。今節もDFラインを3枚入れ替えるなど大幅な入れ替えがあったため苦戦が予想された。しかし前半開始早々の3分、FW松本茉奈加(スポ4=東京・十文字)のパスに抜け出したMF三谷和華奈(スポ1=東京・十文字)がゴールネットを揺らし、早い時間に先制することに成功。直後の7分にはFW高橋雛(社2=兵庫・日ノ本学園)のスルーパスに抜け出した松本がキーパーをかわしゴールまであと一歩に迫るが、ボールが流れたためシュートは打てず、惜しくも追加点とはならなかった。
立ち上がりから主導権を完全に握ったと思われたが、その後は我慢の展開に。「セカンドボールを拾えない」(GK鈴木佐和子主将、スポ4=浦和レッズレディースユース)時間帯が続き、相手に終始ボールを支配されてしまった。それでも相手のシュートシーン時に最後まで体を寄せるなど、連携がうまくいかない中でも個人がやるべきことを遂行し、決定機を作らせない。すると41分、ハーフライン付近でMF村上真帆(スポ4=東京・十文字)がボールを受けるとMF阪本未周(スポ4=大阪・大商学園)を経由し右サイドのMF加藤希(スポ3=アンジュヴィオレ広島)に展開。その加藤のスルーパスに松本が抜け出すとキーパーとの一対一を冷静に決めきり、追加点を獲得。2-0で前半を終えた。
貴重な追加点を奪った松本
ハーフタイムに「奪った後のサポートを早くしよう」と再確認したア女は、前がかりになった相手最終ラインをしつこく狙い、攻撃のチャンスを作り出す。すると75分、CKから3点目を奪う。村上の左足から放たれたキックに中央で合わせたのは、この日が復帰戦となったDF桝田花蓮(スポ3=ちふれASエルフェン埼玉マリ)。本人も「まさか自分が決めるとは思っていなかった」と振り返るサプライズゴールが生まれ、試合を決定づけた。後半中盤から終盤にかけては交代が続き選手が流動的になったが、鈴木を中心とした守備陣が最後まで集中を切らさず、被シュート0で試合終了。大幅なメンバー変更があったが強さを見せつけ、関カレを終えた。
指示を出す夏目
8勝1敗、得失点差+21と圧倒的な成績で優勝を収めたア女。主将の鈴木も「自信につながる大会になった」と振り返ったように、敗れた筑波大戦(●0-1)、決定力不足に苦しみ4連覇を逃した皇后杯予選からの成長は著しい。しかし、主将が見据えるのはあくまでその先だ。関東大学女王の誇りを胸に、関東リーグ優勝、皇后杯上位進出に向け邁進する。
(記事 稲葉侑也 写真 橋口遼太郎)
スターティングメンバー
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | ◎1 | 鈴木佐和子 | スポ4 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 2 | 冨田実侑 | スポ4 | 岡山・作陽 |
→ | 28 | 浦部美月 | スポ1 | スフィーダ世田谷 |
DF | 24 | 夏目歩実 | スポ1 | 宮城・聖和学園 |
DF | 3 | 佐々木呼子 | スポ4 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 13 | DF桝田花蓮 | スポ3 | ちふれASエルフェン埼玉マリ | MF | 5 | 阪本未周 | スポ4 | 大阪・大商学園 |
MF | 10 | 村上真帆 | スポ4 | 東京・十文字 |
→ | 26 | 笠原綺乃 | スポ1 | 横須賀シーガルズJOY |
MF | 14 | 加藤希 | スポ3 | アンジュヴィオレ広島 |
→ | 18 | 關陽南子 | 文構3 | 大阪教育大付 |
MF | 27 | 三谷和華奈 | スポ1 | 東京・十文字 |
→ | 8 | 蔵田あかり | スポ3 | 十文字VENTUS |
FW | 7 | 髙橋雛 | 社2 | 兵庫・日ノ本学園 |
→ | 9 | 廣澤真穂 | スポ2 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
FW | 11 | 松本茉奈加 | スポ4 | 東京・十文字 |
◎はゲームキャプテン 監督は福田あや(平20卒) |
コメント
GK鈴木佐和子主将(スポ4=浦和レッズレディースユース)
――試合を振り返って
メンバーが結構変わった中で不安も大きかったですが、早い時間に先制することができたので良かったです。
――ディフェンスのメンバーが大幅に変わりました
この一週間の練習でコンビネーションが合わない部分が多かったですが、自分達でリスク管理の部分をしっかりしていこうという話をしていました。その点に関してはうまくいったと思います。
――本日のメンバーは早い段階から決まっていたのでしょうか
最終的にはきのう決まったんですが、ある程度メンバーが入れ替わることは決まっていました。完全に知ったのは今日です。
――優勝が決まったなかどのようなモチベーションでのぞまれたのでしょうか
優勝は決まりましたが悪い意味での余裕を持たずに、最後勝ちきろうというのは全体で話していました。
――チームの雰囲気がとても良いように感じました
試合前にメンタルコーチの方からお話がありそれが良い風に働いたと思います。ピッチのメンバーもベンチのメンバーもいい雰囲気が作れたのかなと思います。
――先制点の後は苦しい時間が続きました
セカンドを拾えない場面が多かったり、浮いてるボールを相手に触られてしまう場面が多かったので、そこを改善できたら良かったですがそこの切り替えは少し遅かったと思います。だからあのようなバタバタしてた時間が続いてしまったのだと思います。
――キーパーや最終ラインからロングボールを蹴るシーンが目立ちましたが意識していたものでしたか
本来であれば後ろからつないでいきたかったのですがビルドアップの部分でまだコミュニケーション不足だったと思います。
――前半の攻撃についてはいかがでしたか
前半は守備が中心だったのでそこまで攻撃について意識していませんでしたが、前線が効率よく点を取ってくれたと思います。
――ではハーフタイムはどのようなことを話しましたか
守備はそのまま粘り強く続けること、奪った後のサポートが遅かったので、その部分を改善すること、もっと横に繋ぐ場面を多くすることを話しました。
――あまり出場機会が多くない選手に対して積極的に声かけをしてるシーンが目に止まりました
何かを意識してやっていたわけではないですが、普段ベンチだったりベンチ外の選手が声をかけてくれるので、きょうは役割が変わったのかなと思います。
――終盤は攻め込まれましたが無失点に抑えました
集中力が切れてくる時間帯でしたがオフェンスラインと中盤の二人にはリスク管理を意識しようと声をかけていましたそれは良かったと思います。
――関カレ全体についてお伺いします。8勝1敗という結果でしたが手応えはいかがですか
筑波大戦の敗戦がが良い糧になったと思います。関カレの後半は良い形で勝てた試合が多かったと思います。
――主将の目から見て今のチームの出来は何点ですか
75点です。のびしろを考えてこの点数にしました。この大会ではチームとしての自信がついたかなと思っています。
――25点伸ばしたいところはありますか
この先の相手は格上だったり簡単に勝てない相手が続くので攻守ともに細かい部分で突き詰められる部分があるのかなと思います
――最後に意気込みをお願いします
の大会でつけた自信を十分に発揮して、格上の相手にも怯えず戦っていきたいと思います。
DF桝田花蓮(スポ3=ちふれASエルフェン埼玉マリ)
――今日の試合を振り返っていかがですか
今までと違うメンバーで、私も復帰戦でした。みんなとはとにかく声を掛け合いながらやろうと話していて、それを実践できたのですごく良かったです。
――DFラインも総入れ替えとなりました。チームとして意識していたのはやはり声の部分でしたか
声を出すことに加えて、攻めているときに前がかりになることが多いのでリスク管理を徹底してやろうとDFラインとキーパーと話をしました。それは出来たと思うので良かったです。
――ご自身としても復帰戦になりました。どのような思いがありましたか
公式戦は久しぶりだったので、試合の感覚の部分が意識としてありました。とにかく声を出して、感覚を取り戻そういう意識でした。
――試合感がなく難しい部分もありましたか
チャレンジアンドカバーの、カバーの部分やスライドしての対応などで、試合の序盤は中々感覚が掴めず、遅れてしまう場面もありました。近くの選手と話しながら段々と慣れてきて、時間が進むにつれて思い通りのプレーができました。
――早々に先制点を奪いましたが、その後はボールを持たれる時間が長くなりました。どのような意識でしたか
最初に点を取れたので、ゲームとしては落ち着くのかなと思っていました。しかし、逆に相手の攻撃の勢いが増して、押し込まれる展開にはなりました。ただ、かなり自分たちのやることは明確だったので、試合前に話していたことをまずは徹底してやるということがわかっていました。そんなに慌てることはなかったです。
――ご自身の得点のシーンを振り返ってください
得点は真帆さんのボールが良くて、当てるだけという感じでした。
――やはり嬉しかったですか
嬉しかったです。2ー0で、少し怖い点差だったので、後半も得点が欲しいなと思っていました。ただまさか自分が決めるとは思っていなかったです(笑)。しかし、普通に嬉しかったです。
――後半もボールを持たれる時間は長かったですが、決定的なチャンスを与えることはありませんでした
前半にピンチというか危ないシーンはありました。それを修正することができて、後半はマークの受け渡しやスライドも前半よりスムーズになっていることは自分たちでも思っていたので、そこが修正できたから対応が良くなったのかなと思います。
――この先の関東リーグ、皇后杯への意気込みを教えてください
いまチーム状況的にも全員で練習から競い合って、いい雰囲気で来ています。さらに競争も厳しくなるので、ここからは小さい事をしっかりと積み重ねて、次の関東リーグでは競争した上でゲームの時には全員で一致団結してやりたいなと思います。
――今シーズンこの先のご自身の目標はありますか
関東リーグもですし、皇后杯、インカレとどんどん相手も強くなっていくと思います。まずはしっかりと試合に出て、ポジション的にはセンターバックなので、ア女のゴールをしっかりと守って、攻撃陣が点を取ってくれるように、ディフェンスで失点をしないようにプレーをしたいと思います。また、自分は体を張れるところには自信を持っているのでそこを伸ばしていきたいです。
――その上でゴールが奪えたら最高ですね
はい(笑)。