関東大学女子リーグ戦 | ||||
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早大 | 5 | 4-0 1-0 |
0 | 日体大 |
【得点者】(早大)14’36’加藤 26’三谷 33’高橋 87’吉野 |
皇后杯予選(関東女子選手権)を経て、約1か月ぶりに行われた関東大学女子サッカーリーグ(関カレ)第4節。ア式蹴球部女子(ア女)は『頂』奪還に向けたライバル、日体大と対戦した。前半はMF加藤希(スポ3=アンジュヴィオレ広島)のゴールをはじめとして、一挙4得点。後半にもMF吉野真央(スポ2=宮城・聖和学園)が追加点を決め、圧倒的な差を見せつけて勝ち点3を獲得した。
GK鈴木佐和子主将(スポ4=浦和レッズレディースユース)が「プレスのかけ方について入念に話し合って試合に臨んだ」と言うように、序盤から球際の争いが激しい試合が展開された。先制は14分、ファーサイドのDF船木和夏(スポ2=日テレ・メニーナ)を狙ったCKがこぼれたところを、加藤が気持ちで押し込む。そして主導権を握るア女は、皇后杯予選ではなかなか見ることができなかった流動的なパスワークを披露。26分にはFW高橋雛(社2=兵庫・日ノ本学園)の折り返しにFW三谷和華奈が(スポ1=東京・十文字)反応し、落ち着いて流し込んだ。その後も「低い位置からビルドアップを仕掛け、相手が食いついてきたタイミングで裏を狙う(村上)」というア女の意図が結実。33分に高橋とFW廣澤真穂(スポ2=神奈川・東海大相模)のパス交換から、最後は高橋が3点目を決めた。直後の36分にも、抜け出した加藤がGKと1対1に持ち込む。そのまま左足を一閃、4点目を追加した。45分を通して右サイドを中心に相手の守備を幾度となく切り崩し、得点を量産することに成功したア女。前半だけで4-0と、日体大を大きく突き放した。
シュートを放つ加藤
ハーフタイムには福田あや監督(平20卒)から「もう一度0対0の気持ちで得点をとりに行こう(村上)」と指示が飛んだ。しかし迎えた後半、アグレッシブさに欠けたア女は勢いを落としてしまう。選手同士の距離感がつかみきれず、前半ほどボールをうまく回せない。「守備の部分で、前から能動的に動けていなかった(加藤)」ことも停滞の要因だろう。それでも高い守備力を見せ、日体大をゴールに寄せ付けない。そして終了間際の87分、途中出場の吉野が放った力強いシュートによって、5点目を加えることに成功。ライバルを零封しただけでなく、5-0の大差をつけて白星を飾った。
得点後喜ぶ選手たち
皇后杯予選から大幅に改善し、修正力を見せたア女。だが、監督が「全体的な切り替え、ハードワークの部分が課題として残った」というように、まだまだブラッシュアップの余地はある。また練習から好調を維持してスタメンを勝ち取った三谷や、短い出場機会ながら結果を残した吉野を筆頭に、チーム内の競争も激化。互いを刺激し合う雰囲気が醸成されていることも、ア女のさらなる飛躍につながるだろう。次戦の相手の神奈川大は、前回対戦時に100分間得点を奪うことができなかった難敵だ。強固になった守備、改善された攻撃を武器に勝利をーーア女の成長は止まらない。
(記事 手代木慶 写真 稲葉侑也)
スターティングメンバー
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | ◎1 | 鈴木佐和子 | スポ4 | 浦和レッズレディースユース |
→70分 | 21 | 近澤澪菜 | スポ2 | JFAアカデミー福島 |
DF | 4 | 船木和夏 | スポ2 | 日テレ・メニーナ |
DF | 29 | 堀内璃子 | スポ1 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 25 | 後藤若葉 | スポ1 | 日テレ・メニーナ |
DF | 28 | 浦部美月 | スポ1 | スフィーダ世田谷 |
MF | 10 | 村上真帆 | スポ4 | 東京・十文字 |
MF | 6 | 並木千夏 | スポ3 | 静岡・藤枝順心 |
MF | 14 | 加藤希 | スポ3 | アンジュヴィオレ広島 |
MF | 27 | 三谷和華奈 | スポ1 | 東京・十文字 |
→74分 | 17 | 真田彩葉 | スポ3 | 広島文教大附 |
FW | 7 | 髙橋雛 | 社2 | 兵庫・日ノ本学園 |
→70分 | 11 | 松本茉奈加 | スポ4 | 東京・十文字 |
FW | 9 | 廣澤真穂 | スポ2 | 神奈川・東海大相模 |
→70分 | 22 | 吉野真央 | スポ2 | 宮城・聖和学園 |
◎はゲームキャプテン 監督は福田あや(平20卒) |
コメント
福田あや監督(平20卒)
――前節からメンバー変更がありましたが、どのような意図がありましたか
三谷が練習から調子を上げていたのできっと何かやってくれると思って起用しました。
――皇后杯予選を準優勝で終えた後のリーグ初戦でしたが、どのような準備をしましたか
決勝では負けたものの積み重ねの成果は間違いなく出ていたので、そこは前向きにとらえて、その中でチームとしてもう一段階あがろうという話をしていました。
――前半だけで4得点を奪いましたが、監督の目にはどのように映りましたか
攻撃をテーマに今週は練習をしていた中で選手たちがしっかりと結果を出してくれたので良かったです。
――ハーフタイムにもう一度0から点を取りに行こうと話していたと伺いました。後半の内容、結果についてはいかがですか
後半はそういう思いでやろうといっていたものの、切り替えの部分が遅くなってしまった気がしてて、良い攻撃のためには積み重ねてきた良い守備を徹底しないといけないと思ったので、そういう意味では全体的な切り替え、ハードワークの部分が課題として残ったとは思っています。
――4-3-3から4-4-2に変更した意図を教えてください
いくつか試合を戦う中でオプションを持っておいたほうがいいと思うので複数のフォーメーションにも挑戦してきました。今はチームとしてはまる要素が多い4-4-2を採用しています。
――これまでサイドで起用していた松本選手を中央で起用された意図は
フォーメーションだけでなく、個人としても複数のポジションをこなせるようになってほしいと考えているので、そういう意図で起用しました。
――守備陣は下級生の台頭が目立ちますが
(状態、プレーの質が)良いからというシンプルな理由で起用しています。きょうの三谷もそうですが年齢は気にせず良い選手を起用しようと考えていますし、1年生も(高校年代までで)経験を積んでいる選手たちなので経験という意味でも不安はありません。
――最後に、ことしのア女をどのようなチームにしたいか教えてください
エネルギッシュ、力強さの象徴である『太陽』のようなチームです。見ている人もやっている人も元気を得られるサッカー、太陽のようにチーム全体、個人がキラキラ、ギラギラしているような 伝わってくるようなサッカーをしよう、そういうチームになろうと話しています。また太陽は熱すぎると嫌われる存在でもあるので、相手に嫌われるくらいエネルギッシュな選手、チームになろうという意味も含まれています。
GK鈴木佐和子主将(スポ4=浦和レッズレディース)
――今日の試合を振り返って
前半の早い時間に点が取れたのは自分たちにとって課題であった部分を改善することができたと思うので、良かったと思います。
――どのような狙いをもって試合に臨みましたか
試合前はまずは自分たちが今まで積み上げてきた守備から入るという部分をしっかりやっていこうという意味で、守備の仕方、プレスのかけ方について入念に話し合って居合に臨みました。
――きょうの守備の出来は
課題はありますが、できたことのほうが多かったと思います。前プレで相手の陣地でとりきることができていたので継続したいと思います。
――攻撃に関してはいかがでしたか
前回の試合で負けてからこの1週間は攻撃に力を入れて、チームの共通認識を深めてきました。ただ、試合となると(これまでは)難しい部分があったので、結果としては良かったですが、まだ自分たちが納得できる攻撃ではなかったと思います。
――下級生が出場機会を増やしていますが、チームの雰囲気は
もう学年関係なく11人に選ばれるための競争は激しいので、メンバー外の選手も試合に出るために一生懸命やっているので雰囲気はとても良いと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
次の相手は神大なので、しっかりと勝ち切りたいと思います。
MF村上真帆(スポ4=東京・十文字)
――試合を振り返って
先週でトーナメントが終わりまたリーグ戦が再開するということで、全員で気を引き締めて、リーグ戦は優勝するぞという気持ちで臨みました。
――決勝で負けた皇后杯予選から1週間、どのような準備をしてきましたか
決勝もそうですし、大会を通して得点を奪いきれないというのが自分たちの課題であったので、攻撃の部分を修正する練習を行ってきました。
――その成果が5得点という結果に結びつきました
自分たちの動き方の質で得点チャンスを崩してしまっていたので、得点を奪うためのポジショニングであったり、ボールへの飛び込み方であったりを意識した結果が得点につながったと思います。
――攻撃はどのような狙いがありましたか
相手が前からプレスをかけてきたので、その裏を狙っていました。ただ最初から裏を狙うのではなく、低い位置からビルドアップを仕掛け、相手が食いついてきたタイミングで裏を狙うということを全員が意識していました。
――守備に関してはいかがでしたか
90分間を通して予測と準備を意識すること、自分のマークにボールが出た時にはそこで取りきるくらいの気持ちで球際を厳しく当たることを共通認識として持っていました。
――ハーフタイムの指示は
リーグ戦ということで得失点も重要であるので0もう一度0対0の気持ちで、得点を取りにいこうと話していました。
――次戦に向けて意気込みをお願いします
リーグ戦はもう負けられないので、攻撃はしっかりと得点を取って、守備は無失点に抑えて勝ちたいと思います。
MF加藤希(スポ3=アンジュヴィオレ広島)
――今日の試合に向けてどのような準備をして臨みましたか
久しぶりの関カレだったので、ホームなので皆で戦えました。相手は日体大ということで強いチームなので、こちらもしっかりチーム全体で準備しました。
――前半2点決められましたが、それぞれについていかがでしたか
皇后杯予選でも入りかけて結局押し込めずに得点できなかったということがあったのですが、1点目はコーナーキックからの交錯したところだったので最後までゴールネットを揺らすということを意識して気持ちでゴールしました。2点目は相手のディフェンスの選手が結構食いついてきていたので、裏のスペースをとってキーパーとの1対1をしっかり決めきることができたので良かったです。
――後半は一転してなかなか得点できませんでしたが、前半との違いは何だったのでしょうか
後半になって自分たちの距離が遠くなってしまってあまりボールが回せませんでした。あとは守備の部分で、前から能動的に動けていなかったというのが、後半あまりうまく攻撃につなげられなかった点だと思います。
――ご自身の今日の良かった点と課題を教えてください
前半から守備にも行けていましたし、裏抜けだったり、自分は献身的なプレーが特徴だと思っているのでそこを出せたところです。課題としてはシュートシーンで、後半決めきれなったこともあったのでそこの決定力だったり、クロスの質が課題かなと思います。
――次戦に向けて一言お願いします
連戦となりますし、皇后杯予選でもあたっていて難しい相手なのでチーム全体で準備していきたいと思います。