終了間際の劇的決勝弾!難敵下し準々決勝進出

ア式蹴球女子
皇后杯関東予選2回戦
早大 0-0
1-0
帝京平成大
【得点者】(早大)78‘廣澤

 今シーズン初黒星を喫した筑波大戦(●0ー1)から中3日。「日本一」へとつながる皇后杯関東予選(関東女子選手権)が開幕した。この大会3連覇中のア式蹴球部女子部は、昨年度関東大学女子サッカーリーグ戦(関カレ)王者の帝京平成大と対戦。負ければ終わりという一発勝負の独特の緊張感によるものなのか、両チーム硬さが目立ち、試合は拮抗した展開になる。このままPK戦に突入するかと思われたが、試合終盤にクロスに反応したFW廣澤真穂(スポ2=神奈川・東海大相模)が値千金の決勝ゴールを決めア女が勝利。勝てば皇后杯出場が決まる準々決勝へ駒を進めた。

 前半、最初にチャンスをつくったのはア女だった。3分、MF髙橋雛(社2=兵庫・日ノ本学園)が敵陣でボールを受けるとMF加藤希(スポ3=アンジュヴィオレ広島)を経由し駆け上がってきたDF船木和夏(スポ2=日テレ・メニーナ)に展開。クロスは惜しくも合わなかったが、息の合ったコンビネーションで相手ゴールに迫った。対する帝京平成大もア女のパスミスやセットプレーからア女ゴールに迫るが、ア女の若き守備陣がゴールを許さない。安定した守りを続ける守備陣のためにも先制点を奪いたいア女は14分、MF村上真帆(スポ4=東京・十文字)のスルーパスに船木が抜け出すとマイナスのクロスを供給。中央でMF松本茉奈加(スポ4=東京・十文字)が合わせたが、これはディフェンスにブロックされてしまう。その後もCKやサイド攻撃などで得点を目指したア女だったが、相手の強固な守備を崩すことはできずに前半終了。スコアレスで前半を終えた。

決勝点を演出した浦部

 後半、得点が欲しいア女は髙橋と廣澤が前線に並ぶ形に配置変更。これについて廣澤は「FWとして役割を果たすために中央にいた」という意図があったというが、徐々に中央でボールが収まるようになり、攻撃にリズムが生まれてきた。44分には前を向いた村上が左サイドの松本へスルーパスを供給。これはオフサイドの判定だったが、配置変更により村上が前を向いて受ける回数が増え、ア女の攻撃に迫力が増してきた。じわじわと攻勢を強め帝京平成大ゴールに迫るア女は、クーリング・ブレイク後さらに攻勢を強める。そして78分、ついに待望の瞬間が訪れる。ア女が波状攻撃を仕掛ける中、左サイドでDF浦部美月(スポ1=スフィーダ世田谷)がボールを受けると、中央にクロスを供給。このクロスに髙橋が競り勝つと、ボールは廣澤のもとへ。廣澤が倒れこみながら放ったシュートはゴールネットを揺らし、ついにア女が先制に成功する。「あまり覚えていない」(廣澤)という、まさに気持ちで押し込んだゴールであった。その後得点を目指し果敢に攻撃を仕掛ける帝京平成大に対してア女は一歩も引かず、落ち着いたボール回しと効果的な攻めで相手に自由を与えず試合終了。準々決勝進出を決めた。

殊勲の得点を決めた廣澤

 難敵を下し、皇后杯出場に王手をかけたア女。理想の試合展開とはならなかったが、内容よりも結果が求められる試合でしっかりと勝ち切ったことは評価できるだろう。次戦の相手は難敵・神奈川大だが、持ち前の連動した攻撃と粘り強い守備で勝利を奪い、皇后杯出場を決めたいところだ。

 また、この試合ではア女の若さが際立っていた。スタメンのうち、1,2年生が6人という非常に若い構成。前年の同試合は2人であったことからもその若さが伝わるだろう。特に1年生にとっては大学入学後初めてのトーナメント方式の大会となったが、「試合前は緊張していたが、落ち着いてプレーすることができた」(DF後藤若葉、スポ1=日テレ・メニーナ)の言葉通り、それを感じさせない堂々としたプレーで勝利に貢献していた。ポテンシャル十分の彼女たちが、この大会を通じて一回り成長する姿にも期待したい。

(記事 稲葉侑也 写真 橋口遼太郎)

スターティングメンバー

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ◎1 鈴木佐和子 スポ4 浦和レッズレディースユース
DF 船木和夏 スポ2 日テレ・メニーナ
DF 25 堀内璃子 スポ1 宮城・常盤木学園
DF 25 後藤若葉 スポ1 日テレ・メニーナ
DF 28 浦部美月 スポ1 スフィーダ世田谷
MF 10 村上真帆 スポ4 東京・十文字
MF 並木千夏 スポ3 静岡・藤枝順心
MF 14 加藤希 スポ3 アンジュヴィオレ広島
MF 11 松本茉奈加 スポ4 東京・十文字
→58分 27 三谷和華奈 スポ1 東京・十文字
FW 髙橋雛 社2 兵庫・日ノ本学園
FW 廣澤真穂 スポ2 神奈川・東海大相模
◎はゲームキャプテン
監督は福田あや(平20卒)
コメント

FW廣澤真穂(スポ2=神奈川・東海大相模)

――試合を振り返っていかがでしたか

厳しい戦いでしたが自分達の準備がしっかりできていたので、焦らず最後まで戦い勝利を掴むことができてよかったです。

――相手は昨年関カレ優勝の帝京平成大でした。どのような準備をして試合に臨みましたか

スカウティングや試合に向けてどんなことが起きてもすべてのことを想定内にするための準備をしてきました。前日の練習を含めてチーム内での激しい戦いのおかげでチームの雰囲気も良くなったと思います。

――得点シーンについてお伺いします。終了間際での値千金の決勝ゴールとなりました。振り返っていかがですか

高橋さんが競ったときに絶対勝つと信じて予測して動きました。あまり覚えていませんが気づいたらゴールに入っていたのですごく嬉しかったです。

――前半はなかなか効果的な攻撃ができず、無得点に終わりました。どのような点に課題がありましたか

負けられない戦いだったので全体的に緊張感があり少し焦ってしまっていたように感じます。どんな状況でも自分達のサッカーをできるようにしなくてはいけないと思いました。

――後半は中央にポジションを移しましたが、どのような狙いがあったのでしょうか

FWとして役割を果たすためにも必ずゴール前に1人いなくてはいけないと思い中央にいました。

――廣澤選手ご自身はこのあと、世代別日本代表候補のトレーニングキャンプに参加されると思います。意気込みを聞かせてください

コロナの影響で中々活動ができなかったので高いレベルでできることはすごく嬉しいです。まだまだこれからなので個人の成長としてもチームの成長につなげるためにも多くのことを吸収して帰ってきたいと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

負けられない戦いがまだまだ続くので1試合1試合チーム全員で戦って行きたいと思います。
応援よろしくお願いします!

DF後藤若葉(スポ1=日テレ・メニーナ)

――試合を振り返っていかがでしたか

――大学入学後初めてのトーナメント戦でしたが、緊張などはありましたか

試合前は緊張していましたが、キックオフしてからは落ち着いてプレーすることができたと思います。

――きょうは1年生3人、2年生1人というとても若いDFラインだったと思います。どのようなことを意識して試合に臨みましたか

コミュニケーションをこまめに取り合うことを意識しました。歳が近いからこそなんでも楽に言い合える関係だったのでそこも良かったと思います。

――試合を通じて安定した守備が保たれていたと思います。実際にプレーしていていかがでしたか

相手のフォワードがキーマンになってくるということはスカウティングで分かっていて、自分の仕事は明確だったのでうまく守ることができて良かったです。

――ここ数試合、安定した守備が続いています。手応えはいかがですか

自分の持ち味は粘り強い守備だと思っているので、このまま続けていければと思っています。

――後藤選手ご自身はこのあと、世代別日本代表候補のトレーニングキャンプに参加されると思います。意気込みを聞かせてください

久しぶりの代表活動ですし、気づけばW杯まで半年を切っているので一回一回のトレーニングを無駄にすることなく自分の今持っている力を出しきってきたいと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

次節も無失点に抑えて勝利し、本戦出場を決めたいと思います。無観客試合ですが引き続き応援よろしくお願いします。