関東大学女子リーグ戦第3節 | ||||
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早大 | 0 | 0-1 0-0 |
1 | 筑波大 |
【得点者】(早大)なし |
苦しい試合だった。関東大学女子リーグ戦(関カレ)第3節、2連勝を目指しつくばの地に乗り込んだア式蹴球部女子(ア女)は2連勝中の筑波大と対戦した。連戦の影響もあってか前節から4人の選手を入れ替えたア女。序盤から主導権を握ったが、立ち上がりから圧を強める筑波大に対して効果的な攻撃を仕掛けることができず、逆に前半アディショナルタイムにセットプレーから先制を許してしまう。後半に入り積極的な選手交代やフォーメーション変更で得点を目指したが、最後までネットを揺らすことはできずに試合終了。公式戦初黒星を喫した。
試合は序盤から拮抗した展開になる。5分、MF黒柳美裕(スポ3=宮城・聖和学園)が積極的なミドルシュートを放つと直後の7分にはその黒柳のパスを受けたDF船木和夏(スポ2=日テレ・メニーナ)がアーリークロスを供給。このクロスは合わなかったが、ア女がボールを保持する時間を増やしながら相手ゴールに迫っていく。しかし「DFラインでのワイドな展開ばかりで攻撃にリズムが生まれなかった。前のポジションの選手が流動的に動ければ崩せたと思う」とMF阪本未周(スポ4=大阪・大商学園)が語ったように、メンバー変更の影響からか連動した動きがほとんど見られず、攻撃は停滞してしまう。近いポジションの選手同士のパス交換も目立ち、これまでの試合で攻撃の起点となっていた最終ラインからのフィードもあまり見られなかった。それでも圧倒的にボールを保持し相手にチャンスをつくらせないア女だったが、前半終了間際の45+4分、相手にCKを与えるとこぼれ球を押し込まれ先制を許してしまう。「あの時間帯での失点が歩かないかで試合の流れが大きく変わる」とGK鈴木佐和子主将(スポ4=浦和レッズレディースユース)が振り返ったように、絶対に失点してはいけない時間帯で失点し、1点ビハインドでハーフタイムを迎えた。
積極的な仕掛けを見せた三谷
後半開始からFW松本茉奈加(スポ4=東京・十文字)を投入し得点を目指したが、引いて守る筑波大の守りを崩すことはできない。すると60分、MF並木千夏(スポ3=静岡・藤枝順心)に代えてFW廣澤真穂(スポ2=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)を投入し、フォーメーションを4-4-2に変更。「用意していたものではなかった」(阪本)という大胆な策はベンチの“何としてでも得点を奪いに行く”という強い意志を感じさせるものだった。すると徐々に縦パスが増え始め、前線で孤立していたMF髙橋雛(社2=兵庫・日ノ本学園)が廣澤と関わりながらボールに絡む機会を増やしていく。すると76分、右サイドから供給されたクロスはファーサイドでフリーの真田のもとへ。しかし真田が放ったシュートはゴールキーパーに阻まれゴールネットを揺らすことはできず、この日最大の決定機を生かすことはできなかった。その後も果敢に攻めたものの5-4の2ラインでゴール前を固める筑波大の守備を崩すことはできずに試合終了。筑波大に完封勝利を献上した。
肩を落とす選手たち
試合後、選手の口から聞こえたのは悔しさ、自身のプレーへの不甲斐なさだった。あくまで「ベストなメンバー」(阪本)ということだったが、前節までの布陣と今節の布陣を比較すると、連携、戦術理解に大きな差があると言わざるを得ない。しかし新体制が始まってからまだ4試合という中で、あまり出場機会を得ていなかった選手たちが公式戦を経験したことは今後に向けて大きな財産となるだろう。試合中に修正することはできなかったが、出場した選手それぞれが自分の役割、課題を再認識することでチーム力の向上につながるはずだ。そして、今週末からは皇后杯関東予選が開幕する。初戦の相手は難敵・帝京平成大だが、皇后杯出場、そして大会5連覇を達成するためには負けるわけにはいかない。厳しい戦いが予想されるがチーム一丸となり、1つ目の「頂」へ挑戦する。
(記事 稲葉侑也 写真 手代木慶、内海日和)
スターティングメンバー
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 鈴木佐和子 | スポ4 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 4 | 船木和夏 | スポ2 | 日テレ・メニーナ |
DF | 13 | 桝田花蓮 | スポ3 | ちふれASエルフェン埼玉マリ |
DF | 25 | 後藤若葉 | スポ1 | 日テレ・メニーナ |
DF | 28 | 浦部美月 | スポ1 | スフィーダ世田谷 |
MF | 5 | 阪本未周 | スポ4 | 大阪・大商学園 |
→69分 | 10 | 村上真帆 | スポ4 | 東京・十文字 |
MF | 6 | 並木千夏 | スポ3 | 静岡・藤枝順心 |
→60分 | 9 | 廣澤真穂 | スポ2 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
MF | 7 | 髙橋雛 | 社2 | 兵庫・日ノ本学園 |
→88分 | 22 | 吉野真央 | スポ2 | 宮城・聖和学園 |
MF | 15 | 黒柳美裕 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
→83分 | 14 | 加藤希 | スポ3 | アンジュヴィオレ広島 |
FW | 17 | 真田彩葉 | スポ3 | 広島文教女子大附 |
FW | 27 | 三谷和華奈 | スポ1 | 東京・十文字 |
→46分 | 11 | 松本茉奈加 | スポ4 | 東京・十文字 |
◎はゲームキャプテン 監督は福田あや(平20卒) |
コメント
GK鈴木佐和子主将(スポ4=浦和レッズレディースユース)
――試合を終えての率直な感想を教えてください
勝って次戦への弾みをつけたかったのでとても悔しいです。それに自分のプレーにもがっかりです。
――今シーズン初黒星となりました。この結果をどのように捉えていますか
この結果を素直に重く受け入れなければいけないと思います。やはり優勝を目指している以上負けることは許されませんし、自分たちが試行錯誤しながらやっていたとしても勝たなければ意味がないと思います。負けた試合にも良し悪しがあると思いますが、個人的には悪い負け方だったと思います。
――絶対に失点したくない時間帯での失点でした
失点に関しては私の準備不足が原因でした。あの時間帯での失点があるかないかで試合の流れが大きく変わると思います。相手の狙いを予測して、味方とコミュニケーションをもっと取るべきでしたが、少しずつ足りなかったことが失点に結びついてしまいました。あそこはGKが責任を持って守りきるべきでした。
――後半は前がかりになったラインの裏を狙われピンチになるシーンが見られました
特に後半は相手がカウンターを狙ってくることをわかっていたのですが、リスク管理が足りませんでした。そこは守備陣で改善していきたいと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
今日出た課題を次戦までの短い期間でどれだけ改善できるかが鍵となってくると思います。次戦は負けたら終わりの試合なので、より一層全体で緊張感と危機感をもって練習していきたいと思います。
MF阪本未周(スポ4=大阪・大商学園)
――試合を終えての率直な感想を教えてください
負けという結果以上に、主導権を圧倒的に握れていた中で決定機をつくりきれずに負けたことが本当に悔しいです。改めて得点、失点ともに一点の重みを感じる試合でした。
――前節から大きくメンバーを入れ替えましたがどのような意図があったのでしょうか
確実に言えるのは、メンバーを落とすといった意味合いでの起用ではありません。監督も「ベストなメンバーを選んだ」とおっしゃっていましたし、替えの効かない選手はいないほどア女の層は厚いと思います。ただ、普段で出ているメンバーでもっと他のメンバー全員がのびのび強みを発揮できるようにしてあげたかったです。前節からの大幅なメンバーチェンジを行った試合で負けると、これからいろいろなメンバーに託して試す機会を与えることにマイナスなイメージがつきかねません。だからこそ、必ずこの試合には勝ちたいと思って試合に入ったので本当に悔しいです。
――前半はなかなか攻撃の形をつくることができませんでした
相手のDFラインとMFラインが引いてセットしてくる中で、うまく相手を剥がしてシュートを打てる場面を作り出せずにいました。DFラインでのワイドな展開ばかりで前線の一人一人の距離間が広くなっていたので、FWやウイングに入ってからの攻撃にリズムが生まれませんでした。ワイド展開を有効に使うためにも、前のポジションの選手がお互いに流動的に動いていい距離間で角度をつくり、ダイレクトで細かいパス回しができていたら崩せたと思います。
――後半途中から4-4-2に変更しましたが用意していたオプションだったのでしょうか
用意はしていませんでした。相手が引いてくる中でワントップの髙橋に対して相手が2枚いて孤立していたこと、前に厚みをもたせて得点を狙いたかったことへの対策として得点力もキープ力もある選手を2トップにおいたのだと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
皇后杯予選は負けたら終わりのトーナメント戦なので、必ず勝ちきります。今日までに出た課題を突き詰めて、ただ今の状態を悪いとも思いすぎず、できている部分は継続して最高の準備をして挑みたいです。
MF並木千夏(スポ3=静岡・藤枝順心)
――試合を終えての率直な感想を教えてください
悔しいです。早稲田がボールを保持する時間が長いなかで、得点に繋がるプレーが少なかったと思います。
――どのようなゲームプランで試合に臨みましたか
立ち上がりからガンガンくる相手に対してセーフティに、相手の勢いに押されないようにすることを意識しました。自分たちの流れの中で先制点を取りたかったです。
――今シーズン初スタメンでしたがどのようなことを意識しましたか
中盤でのルーズボールをマイボールにすることと、ゴール前の崩しやクロスに対して2列目から関わっていくことを意識しました。
――試合を通じて苦しい時間が続きましたが、今のア女の課題はどのような点だと思いますか
引いた相手を崩すためのアイデアとその共有、やゴール前の勝負強さ、得点への貪欲さが課題だと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
週末から皇后杯の関東予選が始まるので、きょうの試合で出た課題を少しでも改善させて、まずは気持ちから、絶対に勝ちにいきたいと思います。