運動量と集中力で圧倒 関カレ白星発進!

ア式蹴球女子
関東大学女子リーグ戦第2節
早大 0-0
1-0
武蔵丘短大
【得点者】(早大)56’船木

 関東大学女子サッカーリーグ(関カレ)第2節、第1節が延期となりこの日が実質的な開幕戦となったア式蹴球部女子部(ア女)は、前節神奈川大に終了間際の失点で敗れた武蔵丘短大と対戦した。前半は圧倒的にボールを保持しながらもリズムが単調であまり多くのチャンスをつくれなかったア女だったが、後半は2列目や両サイドバックの積極的な飛び出しが増えたことにより攻撃が活性化し、56分にDF船木和夏(スポ2=日テレ・メニーナ)のゴールで先制に成功する。その後は追加点こそ奪えなかったが、危なげない試合運びで勝利。関カレ初陣を白星で飾った。

 試合開始直後の6分、いきなりア女にチャンスが訪れる。FW廣澤真穂(スポ2=神奈川・東海大相模)の単独突破からCKを獲得。MF村上真帆(スポ4=東京・十文字)から供給されたクロスに船木がフリーで合わせたが、これは惜しくも枠の上に外れる。得点にこそつながらなかったが、早くも得点のにおいを感じさせるシーンだった。しかし、その後は「前半はなかなかリズムを変えられず、相手の守備に苦しめられた」という船木の言葉通り、単調なテンポの攻撃が目立ち、効果的な攻撃を仕掛けることができない。逆に、「自分たちのミスからピンチになる時間帯もあった」とMF髙橋雛(社2=兵庫・日ノ本学園)が語ったように、自陣近くでのボールロストからカウンターを食らい、あわや失点というシーンも見受けられた。相手のカウンターはチームとして素早い戻りで防いだが、得点を奪うこともできずスコアレスで前半終了。機能していたとは言い難い内容の前半であったが、廣澤の積極的な仕掛けや髙橋のバー直撃のシュートなど個人で打開しようとする姿勢や、ボールを奪われた際の切り替えの速さなど評価できる点も多かった。

CKから多くのチャンスを作り出した村上

 ハーフタイムに「味方同士の距離感、相手を引き出すようなボールの動かし方」(GK鈴木佐和子主将、スポ4=浦和レッズレディースユース)を修正点に挙げたア女はMF並木千夏(スポ3=静岡・藤枝順心)を投入し、攻撃の活性化を図る。52分、その並木が持ち上がり左サイドのDF浦部美月(スポ1=スフィーダ世田谷)に展開すると、浦部のクロスに船木がダイビングヘッドで合わせる。シュートはバーを直撃し惜しくもゴールとはならなかったが、前半は見られなかった連動した攻撃で相手ゴールに迫った。また、浦部のクロスに船木が飛び込んでいることからもわかるように、後半は両サイドバックの積極的な攻め上がりが目立った。主導権を完全に握ったア女は56分、中央でボールを受けた船木がループ性のシュートを放つと、ボールはキーパーの頭上を越えてゴールイン。ついに先制に成功する。ゴール前の混戦の中でキーパーの位置を見極め、「キーパーの頭上を狙っていた」(船木)という狙い通りのシュートを決める技術の高さを見せつけるシーンであった。その後もア女は積極的なミドルシュートや素早い攻守の切り替えによるルーズボール回収など、豊富な運動量と集中力で相手を圧倒する。65分にはDF後藤若葉(スポ1=日テレ・メニーナ)のフィードに廣澤が反応。惜しくもボールは長かったが、1本のパスからあわやキーパーと1対1の局面を作り出した。結局追加点は奪えなかったが、相手にほとんどチャンスを与えず1-0で試合終了。重要な開幕戦を勝利で飾った。また、試合終了間際にはMF真田彩葉(スポ3=広島文教女子大附)、FW三谷和華奈(スポ1=東京・十文字)を投入。短い時間ながら随所で存在感を発揮し、チームの逃げ切りに貢献した。

積極的にシュートを放つ髙橋

 “内容では圧倒的したが1得点しか奪えなかった”という評価も、“1得点しか奪えなかったが内容では圧倒していた”という評価もできる試合であった。もちろんチャンスを決めきることは今後の課題であることは間違いないが、それ以上に無失点勝利、また過去2年間勝利することができていなかった関カレ初戦を白星で飾ったことは評価できるだろう。次戦は中3日の連戦。相手は2連勝中の筑波大である。短い時間の中で課題を修正し、連勝を飾るア女の姿に期待したい。

(記事 稲葉侑也 写真 手代木慶、山崎航平)

スターティングメンバー

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 鈴木佐和子 スポ4 浦和レッズレディースユース
DF 船木和夏 スポ2 日テレ・メニーナ
DF 25 後藤若葉 スポ1 日テレ・メニーナ
DF 13 桝田花蓮 スポ3 ちふれASエルフェン埼玉マリ
DF 28 浦部美月 スポ1 スフィーダ世田谷
MF 阪本未周 スポ4 大阪・大商学園
→46分 並木千夏 スポ3 静岡・藤枝順心
MF 10 村上真帆 スポ4 東京・十文字
MF 14 加藤希 スポ3 アンジュヴィオレ広島
MF 髙橋雛 社2 兵庫・日ノ本学園
FW 廣澤真穂 スポ2 神奈川・東海大相模
→88分 27 三谷和華奈 スポ1 東京・十文字
FW 11 松本茉奈加 スポ4 東京・十文字
→88分 17 真田彩葉 スポ3 広島文教女子大附
◎はゲームキャプテン
監督は福田あや(平20卒)
コメント

GK鈴木佐和子主将(スポ4=浦和レッズレディースユース)

――試合を振り返っていかがですか

私たちにとって開幕戦でもあったのでかなり緊張していました。簡単には勝てないとわかっていましたが、予想以上に我慢が続く、難しい試合でした。

――(前節が中止になり)1週間空いた中での試合でしたが、どのような準備をされましたか

いつも通り準備しました。何か特別なことをするのではなく、今までやってきたことをさらに積み上げました

――前半は何度かチャンスがあったものの、得点を奪うことはできませんでした。後ろから見て、チームの攻撃はどのように見えましたか

攻撃のリズムが一定になってしまい、なかなかシュートまでいけませんでしたし、ゴールに嫌われてしまう場面も多くあって焦ってしまいそうになったのですが全体が集中力を保てていたので心配はなかったです。

――ハーフタイムにはどのようなことを話しましたか

相手のロングボールを意識しすぎて味方同士の距離感が悪かったのでまずそこを修正するのと、相手のラインが低く、ゴール前を固めてきたので相手を引き出すようなボールの動かし方をしようと話しました。

――終盤に投入された2人の積極的な仕掛けが印象的でした。公式戦3試合を終え、チーム作りの手ごたえはいかがですか

今年のチームには試合の流れを変えてくれる選手や与えられた役目をしっかり果たすことができる選手が多いと思います。理想とするチームにはまだほど遠いですが確実に近づいていると思います。

――次戦への意気込みをお願いします

次戦まで時間は短いですがしっかり準備して、全員で勝ちたいと思います。

MF髙橋雛(社2=兵庫・日ノ本学園)

――試合を振り返っていかがですか

 前半はチャンスが多くあった中で決めきれず、自分達のミスからピンチになる時間帯もありました。後半からは、話していたことを体現していき、ボールを保持する時間もチャンスも増えたことで点に結びつけることができました。試合の中で修正できたことは、評価できる試合だったと思います。

――前半から積極的な仕掛けが見られましたが、何か意識していたのですか

 後ろ向きでボールを受けることが多かったのですが、ただそれだけでは相手にとっても怖くないので、チャンスがあれば自分で前を向いて仕掛けていくことも意識していました。

――無得点で迎えたハーフタイムにはどのようなことを話しましたか

 もっと距離間をよくするために、スペースを開けて誰かが入るという連動した攻撃や、相手のラインが低いのでロングシュートを打っていこうという話で後半に臨みました。私自身後半は前半よりもポジションに捉われず、自由に顔を出してボールを受けていこうと意識しました。

――結果的に1点しか奪えませんでしたが、多くのチャンスをつくれていたと思います。攻撃面の手ごたえはいかがですか

確かにチームとして多くのチャンスがあり、私もゴールできるシーンが沢山ありました。良いところまでは行っていても決めないと意味がないですし、私自身、決めきるという所は、絶対に突き詰めていかないといけない部分だと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

 中3日という連戦ではありますが、課題を修正し、チーム一丸となって挑みたいと思います。また個人としても、結果に拘っていきたいです。

DF船木和夏(スポ2=日テレ・メニーナ)

――試合を振り返っていかがですか

前半はボールを保持する時間が長い中でリズムを変えることができず相手の守備に苦しめられましたが、後半は徐々にパスのテンポを上げてリズムをつくることができました。1点しか決めることができなかったのは課題ですが、最後まで集中して戦えたことは良かったと思います。

――得点シーンを振り返ってください

相手のキーパーはあまり上背がなかったので、浮き球のシュートにはチャンスがあると考えていました。ゴール前でボールを受けたのでシュートを打ちましたが、狙い通りキーパーの頭上を越すことができてよかったです。

――後半は特に高いポジショニングが目立ちましたが、何か指示はあったのですか

特に指示はありませんでした。攻撃では自由にやらせてもらっています。

――守備陣の出来についてはいかがですか

最後まで集中できていたと思います

――次戦への意気込みをお願いします

中3日での試合ですが、今回出た課題を改善して万全の状態で挑みたいと思います。