第25回関東大学女子リーグ戦 | ||||
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早大 | 3 | 1-2 2-1 |
3 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18 |
【得点】 (早大)26’蔵田あかり、49’山田仁衣奈、90+1’廣澤真穂 (ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)21’、71’大澤春花、30’錦織美紀 |
ア式蹴球部女子(ア女)にとって、7月28日に行われた日テレ・メニーナ戦(●0-2)以来となる関東女子リーグ戦(関東リーグ)後期第5節。自力優勝を決めるために何としても勝ち点3が欲しいア女は、ホーム東伏見でジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18と対戦した。試合は予想以上に押される時間帯が続くが、試合終了間際にFW廣澤真穂(スポ1=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)がこぼれ球を押し込み3-3。優勝に向けて最低限必要な勝ち点1を手にした。
4-4-2の布陣で臨んだア女。立ち上がりからゴールへの意欲を見せ、U19日本代表帰りの廣澤がファーストシュートを放つ。しかし、徐々に自陣右からのクロスを多く許すようになると、相手FW中尾萌々を起点とした攻撃を前にして幾度となくピンチを招く。そして21分、GK川端涼朱(スポ3=東京・十文字)の体を張った守備もむなしく、浮かせたボールをヘディングで決められ、先制点を献上してしまう。反撃に出たいア女はサイドチェンジを交えて攻撃を試みるも、不必要なボールロストによって逆に攻め込まれる場面が目立つ。それでも26分、MF村上真帆(スポ3=東京・十文字)のロブパスにMF蔵田あかり(スポ2=東京・十文字)が反応し、1点を返すことに成功した。ところが喜びもつかの間、相手のロングシュートによってゴールポストに当たったボールを詰められ、追加点を与えてしまう。何とか主導権を握ろうと攻勢を強めるア女だったが、スペースをうまく消され、パスの出しどころに苦戦。サイドから上がろうにも枚数が足りず、全体的に重心が下がった陣形になってしまう。結局状況を打開できないまま、1-2で前半を終えた。
ロブパスを狙う井上
前半の流れを断ち切りたいア女は、後半開始早々に村上が奪ったボールからパスがつながる。相手GKが取り損ねたところをFW山田仁衣奈(スポ4=大阪・大商学園)が落ち着いてシュート。同点ゴールを挙げ、試合を振り出しに戻す。ここにきて前半の課題だった最終ラインからのビルドアップも少しずつ復調の兆しを見せる。ハーフタイムに投入されたDF井上萌(スポ1=東京・十文字)からのロングフィード、蔵田のスピードを生かしたカウンターなど、攻撃のパターンも増加。次第に攻撃のかたちがうまくはまり始める。しかし71分、最終ラインでのパスミスからゴールを許し、2-3と再びリードを許す展開に。その後ディフェンスラインの裏を狙うもパス供給がワンテンポ遅くなってしまうア女。チャンスをつくろうと試みるも、ほとんど決定機は生まれない。しかし勝ち点を失いかけたアディショナルタイム、CKから流れたボールをDF中田有紀(スポ4=兵庫・日ノ本学園)がMF中條結衣副将(スポ4=JFAアカデミー福島)に託す。DF小林菜々子(スポ4=ジェフユナイテット市原・千葉レディース)が「(ボールを)持った時に絶対こっちを見てくれる」と絶対的信頼を置く副将のロングパスが、上がっていた小林の頭上に吸い込まれるように落ちる。小林のシュートは惜しくもGKに阻まれたが、廣澤がこぼれ球を押し込んだ。土壇場で追いついたア女。そのまま3-3で試合終了の笛が鳴り響いた。
シュートを狙う廣澤。アディショナルタイムには貴重な同点ゴールを決めた
なかなか思うように試合を展開することができず、引き分けに終わったア女は関東リーグ11連覇を自力で決めることはできなくなってしまった。しかし相手の再三の猛攻に対し、必死の粘りで引き分けに持ち込むことができた経験は、これからの関東リーグ最終節、全日本女子選手権(皇后杯)、全日本大学女子選手権(インカレ)での苦境を迎えた際に生かされるだろう。次を見据えた女王の目には、『勝利』しか見えていない。
(記事 手代木慶、写真 森迫雄介、山崎航平、永池隼人)
スターティングイレブン
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早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 16 | 川端 涼朱 | スポ3 | 東京・十文字 |
DF | 5 | 源関 清花 | スポ4 | ちふれASエルフェン埼玉 |
→HT | 31 | 井上 萌 | スポ1 | 東京・十文字 |
DF | 4 | 小林 菜々子 | スポ4 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | 35 | 船木 和夏 | スポ1 | 日テレ・メニーナ |
DF | 3 | 中田 有紀 | スポ4 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 11 | 松本 茉奈加 | スポ3 | 東京・十文字 |
MF | 10 | 村上 真帆 | スポ3 | 東京・十文字 |
MF | ◎8 | 高瀬 はな | スポ4 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18 |
→82分 | 7 | 中條 結衣 | スポ4 | JFAアカデミー福島 |
MF | 13 | 蔵田 あかり | スポ2 | 東京・十文字 |
→78分 | 2 | 冨田 実侑 | スポ3 | 岡山・作陽 |
FW | 34 | 廣澤 真穂 | スポ1 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
FW | 9 | 山田 仁衣奈 | スポ4 | 大阪・大商学園 |
→78分 | 32 | 高橋 雛 | 社1 | 兵庫・日ノ本学園 |
リザーブ:DF6佐々木呼子(スポ3)、DF27黒柳美裕(スポ2)、DF36ブラフシャーン(スポ1)、MF17阪本未周(スポ3)、FW30土居明日香(スポ4) | ||||
◎=ゲームキャプテン 監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘) |
コメント
MF高瀬はな主将(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)
――きょうの試合を振り返って
前の試合に続いて勝たないといけない試合で、失点が多くなってしまったので、反省点の多い内容だったかなと思います。
――きょうのゲームプランは
相手にロングキックのうまい選手がいる中で、プレスを掛けるタイミングをチームで話し合っていたのですが、全体的に間延びしていましたし、前半は特に組織的に守備ができませんでした。
――前半から相手に苦しめられる時間が続きました
相手がうまかったのもありますが、自分たちがスペースを与えてしまったり自分たちのミスからだと思うので、もったいなかったです。
――後半から連係が良くなった印象ですが、ハーフタイムで共有したことは
中盤と最終ラインのスペースを与えすぎてしまっていたので、ディフェンスラインを一つ押し上げる意識と、中盤も間で顔を出してうまく組み立てることを話し合いました。後半立ち上がり悪くなかったですし、相手の嫌なところを突いて攻撃できていましたが、その流れでもう1、2点取りたかったのが正直なところです。
――後半DF井上萌選手(スポ1=東京・十文字)を投入して、ロングボールの通る場面が増えた印象です
萌は組み立てられる選手で、つなげられるしロングキックも蹴れるので、ビルドアップに良い影響を与えてくれます。きょうはしっかり組み立ての部分からやらないといけなかったので、そういった意味で流れを変えてくれたと思います。
――追加点を取りたい中、攻撃がワンテンポ、ツーテンポ遅れてしまう場面がありました。連係面を総括していかがですか
前半と比べると後半の方が良い場面は多かったですが、失点のところだったり単純なイージーミスがまだまだ見られる現状なので、これから1点2点が大事となってくる試合が続くので、そういったところは突き詰めていかないといけないですし、1本のパスにこだわる練習をしていきたいと思います。
――全体通してサイドなどで、攻撃が窮屈になる場面が多かった印象です
特にサイドでハマる場面が多くて、ボール保持者だけじゃなくて受ける選手もそうですし、お互いにかみ合わない場面が多かったので、そこはもうどんどん要求し合って、合わせていくしかないので、練習からもっとコミュニケーションが必要だなと思います。
――なんとか11連覇の可能性を残しました
一度皇后杯を挟んでしまうのですが、それこそ皇后杯で良い流れを持っていけるようにしっかり修正していきたいですし、やっぱり連覇を途絶えさせたくないので。他力にはなってしまいますが、しっかり自分たちができることを全力でやるだけなので、そこ(連覇)に向かってしっかり修正していけたらと思います。
DF小林菜々子(スポ4=ジェフユナイテッドレディース市原・千葉レディース)
――試合を振り返って
同点で終わってしまったことはすごく残念だったのですが、点を3点決めることができたのはプラスに、3失点してしまったことは課題としてこれから取り組んでいきたいなと思います。
――前半押される時間が長かったですが
結構1対1で負けている部分だったり、簡単な自分たちのミスでチャンスをつくられることが多かったので、小さいことですがその積み重ねかなと思います。
――失点シーンをそれぞれ振り返っていかがですか
1失点目はクロスからヘディングで、自分の前後に相手がいてその背後の選手に決められてしまいました。その時のクロッサーに対してのアプローチであったり、中のマークの付き方はすごくあいまいだったので、今までそういったミスがなかった分、インカレの前に小さなずれがあったことに気づかされて良かったなという感じです。2失点目がシュートがゴールポストに当たってこぼれた球を押し込まれました。あそこは1対1の部分で負けていたというのと、その前のプレーがぐちゃぐちゃで、(ボールを)取られた後のポジショニングが悪かったです。相手が攻撃している時の守備はそれなりにできているのですが、その後の守備に一つ課題があるのかなと思いました。3失点目は、自分のパスミスが原因です。プラス、ビルドアップで前に行けない時間帯が多かった中でパスをカットされたのは良くなかったなと思います。あとはキーパーと連動できずに失点してしまったので、全部ミスだなと思っています。
――後半は選手交代でビルドアップに変化があったかと思いますが、実感としてはどうでしたか
萌(井上)は1年生ながら縦パスがすごく上手なので、それぞれの長所が発揮できていたかなと思います。あとは茉奈加(MF松本、スポ3=東京・十文字)も足が速い選手なので、右にいると相手も怖がって来れていないなという印象があったのでやりやすかったです。
――同点ゴールに絡んだシーンはいかがでしたか
CKの延長線だったので前にいようと思っていて、結衣(MF中條副将、スポ4=JFAアカデミー福島)はキックがすごく上手な選手なので、(ボールを)持った時に絶対こっちを見てくれるなというのは分かっていて、目も合いましたし。ただ、自分で決めることはできなくて、詰めていてくれたヒロ(FW廣澤真穂、スポ1=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)が決めてくれて良かったなと思います。
――関東リーグ11連覇に望みをつなぎました
きょう勝てば自力優勝がまだ残っていたのですが、同点ということで他力になってしまいました。ですが、11連覇にそんなにこだわらず、次の試合で勝つことを目標に頑張りたいなと思います。
――皇后杯に向けて
皇后杯は一番好きな大会なので、なでしこリーグ1部の相手とも対戦できることに感謝してもちろん挑戦者として全力で勝ちに行きたいなと思います。
DF中田有紀(スポ4=兵庫・日ノ本学園)
――サイドバックの攻撃参加の仕方が、前半と後半で変わったように見えたのですが
センターバックが代わって、井上(萌)にボールが入った時に、サイドハーフに直接つけられるボールが増えたのが1つの理由かなとは思います。だから自分も前向きにボールを受けられるようにはなったのですが、シュートまで至らないのはもったいなかったです。
――相手陣内でプレーする時間も増えましたね
前半に比べたらあったのかなとは思います。幅を取った攻撃はできたのかなとは思いますが、失点を踏まえてもビルドアップの部分では課題がたくさん残りました。
――3失点について、DFとしての反省点はありますか
単純に自分たちからの(ミスによる)失点というのは、最終ラインでは絶対にやってはいけないですし、1失点目も2失点目も、球際と言ってしまっては簡単ですが、1対1の競り負けやセカンドボールへの反応の遅れに、意識の薄さが出たのかなと。本当にそこを改善しないと(今後も)こういう結果で終わってしまうなと思います。
――勝ち点22で4チームが並んだ状態で最終節を迎えます
本当に点を取るしかないので。得点することが一つと、これ以上失点をしないことに責任を持って勝ちたいと思います。
FW山田仁衣奈(スポ4=大阪・大商学園)
――きょうの試合を振り返って
関東リーグ11連覇に向けて勝たなくてはいけない試合でしたが、自分たちの戦う姿勢や勝ちたいという気持ちがなかなか見られませんでしたし、プレー強度もそうですが、根本的なところを突き詰めなければいけないことが多く見られた試合でした。
――ツートップを組んだ廣澤真穂選手とのコンビネーションは
お互いの特長を理解しているので、自分はヒロをうまく使うイメージで、距離感を意識しました。試合中ヒロの動きを見てプレーするのは意識しているところだと思います
――前半の攻撃は縦のパスが効いていた印象です
事前の分析でも、相手のセンターバックと中盤のあいだにスペースができることはわかっていたので、そこをうまく使えれば良かったのですが、うまくサイドを使えるシーンが前半1つくらいしかなくて、サイドには(足が)速い選手がいるので、そこを使えるよう調整したいです。
――後半は攻守ともに改善が見られましたが、ハーフタイムに話したことはありますか
全体を通して良いイメージはなかったです。ビルドアップが低かったりそれに伴ってFWの動きも止まったりしてリズム感がなく、自分がのぞきながらリズムをつくったりする中で合わせられたら良かったと思いますが、サイドの崩しという点では何度か良い場面があったのでそこは残しつつ、自分たちで相手を動かしたりできるプレーを増やしたいです。
――後半は特に降りてきてボールを受ける場面が多く見られましたが
「裏に引っ張れ」というベンチからの指示もあったのですが、センターバックとボランチの間のスペースを有効に使いたいと思いました。ただ、ビルドアップが低かったりボランチとの距離があったりして孤立してしまったり、自分自身収められないシーンがあったのでそこは修正したいです。
――得点シーンを振り返って
あかり(MF蔵田、スポ2=東京・十文字)が抜けた時にヒロと自分とまっちゃん(松本)が走り出してて、攻撃に厚みがあったのは良かったですし、ヒロのシュートのこぼれ球に対して、しっかり準備ができていたと思います。
――失点が少ないチームから3点取りました
得点が取れたところはプラスに考えていいと思いますが、同じ分失点してしまっているというのは、まだ足りないところが多いので、修正してまずは失点をしないというところと、このまま確実に点を取れるように、特にFW陣は意識したいです。
――試合後コーチやチームメイトと長時間お話されていましたが
何ができていないかというところもそうですが、まずきょうはピッチで戦えてなかったというか、球際、声、準備などのベースの部分があまり感じられなかったです。4年生が多く出ている中で引っ張っていかなければならないのに、チームとしてうまくいっていなかったので、これから皇后杯と関東リーグが残っていますが、まず気持ちの部分、一番大事なところをもう一度見つめ直してやっていきたいです。
――関東リーグ優勝の可能性は残しました
負けてる状況で、最後点を取れたというのは大きかったと思いますし、11連覇というプレッシャーはありますが、最後の1試合勝つというのもそうですが、まずは自分たちがやらなければならないことをしっかり見直して、最後短い期間ですがしっかりやっていきたいです。
――来週の皇后杯に向けての意気込みをお願いします
日体大は嫌なイメージがありますが、自分たちらしさを出しつつ勝ち切れるように、次につなげられるようにやっていきたいなと思います。