試合を決めた村上の左足! 宿敵下し5連勝!

ア式蹴球女子
第33回関東大学女子リーグ戦
早大 0-1
2-0
日体大
【得点】
(早大)52’山田仁衣奈、86’村上真帆
(日体大)39’李誠雅

 台風の影響で2週間ぶりの試合となった、関東大学女子リーグ戦(関カレ)第7節。関カレ5戦無敗、目下4連勝中のア式蹴球部女子(ア女)は日体大と対戦した。前半から見事な連携で相手ゴール前に迫ったア女。しかし、相手の粘り強い守備の前になかなかゴールを奪うことができないでいると、日体大にFKのこぼれ球を押し込まれ、先制点を献上してしまう。それでも後半、FW山田仁衣奈(スポ4=大阪・大商学園)の目の覚めるようなシュートで同点に追いつくと、終盤には山田のパスを受けたMF村上真帆(スポ3=東京・十文字)のミドルシュートで逆転。宿敵・日体大を下し、関カレ5連勝を飾った。

 昨年度全日本大学女子選手権の決勝で負けた因縁の相手との対戦、ア女は序盤から積極的に仕掛ける。2分、MF松本茉奈加(スポ3=東京・十文字)のクロスにMF蔵田あかり(スポ2=東京・十文字)が飛び込むと、3分にはDF中田有紀(スポ4=兵庫・日ノ本学園)のクロスに松本が反応。いずれも得点には至らなかったが、2本のクロスからチャンスを演出した。4分には日体大にCKのチャンスが訪れたが、ここはGK川端涼朱(スポ3=東京・十文字)が混戦の中パンチングで逃れ、事なきを得る。その後は山田の単独突破からのシュートやFW廣澤真穂(スポ1=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)、山田、松本の流れるようなパスワークから着実に相手ゴールに迫っていく。すると21分、山田のパスを受けた松本が完璧に抜け出すと、ペナルティーエリア内で倒される。しかし主審の笛は鳴らず、惜しくもPK獲得とはならなかった。自分たちの流れの中で先制点が欲しかったア女だったが、日体大の狙いがはっきりとした守備と、シンプルに裏を狙ってくる攻撃に苦戦し、徐々に流れを奪われる。特に、ア女の4枚のディフェンスラインに対して前線に4枚を並べてくる相手の布陣になかなか対応することができなかった。そんな嫌な流れを変えられずにいると、39分にFKのこぼれ球を押し込まれ、先制を許してしまう。前半終了間際にはCKのこぼれ球を松本がボレーで狙うが、相手GKのファインセーブに防がれ、得点することはできず。ア女は1点ビハインドで前半を終えた。

同点ゴールを決め、喜ぶ山田(写真左)ら選手たち

 後半、「相手のサイドバックが裏に弱いことに気づき始めた」(MF高瀬はな主将、スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)ア女は、右サイド起点に攻撃を仕掛けていく。すると52分、こぼれ球をうまく収めた山田が左足一閃。放たれたシュートはゴール左上に突き刺さり、同点に追いつく。畳みかけたいア女は同点ゴール直後の53分、蔵田の単独突破からCKを獲得。得意のセットプレーから逆転ゴールを目指すが、11人全員で守る相手の守備を崩すことはできず。試合を通じて8本ものCKを獲得しながら得点につなげられなかったことは、この試合の課題といえるだろう。だが、その後も流れの中からチャンスを量産。65分にはDF源関清花(スポ4=ちふれASエルフェン埼玉)のシュート性のクロスを相手GKがファンブルしたこぼれ球を高瀬が狙うと、75分にはDF中條結衣副将(スポ4=JFAアカデミー福島)のシュート性のロングフィードが相手GKの頭上を越えポストに直撃。そのこぼれ球を村上が蹴り込みゴールネットを揺らしたが、惜しくもオフサイドの判定でゴールとはならない。ボールを保持し押し込む時間が続きながらも逆転ゴールを奪えなかったア女だったが、「全員が(追加点を)取れると思っていたのでとにかく攻め続けるだけ」(高瀬)、「同点で焦る場面でもなかったので、自分たちでリズムをつくりながら攻撃する」(山田)と、チームとして共通認識を持ち、焦らずに攻撃を続けていく。すると86分、山田のパスをフリーで受けた村上が左足で強烈なミドルシュートを決め、遂に逆転に成功する。このゴールが決勝点となりア女が勝利。関カレ5連勝を飾った。

逆転ゴールを決めた村上

 先制を許しても焦らず自分たちのサッカーを続け、逆転勝利を収めたア女。「試合間隔が空いて余計に試合がしたいという気持ちが増えた」と村上が語るように、試合を通じて勝利への気迫が感じられた。また、この勝利で関カレ開幕から6戦無敗となり、リーグ優勝も見えてきた。今節のような戦いを続け、頂点を目指したい。

(記事 稲葉侑也、写真 森迫雄介、永池隼人)

スターティングイレブン

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早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 川端 涼朱 スポ3 東京・十文字
DF 源関 清花 スポ4 ちふれASエルフェン埼玉
DF 35 船木 和夏 スポ1 日テレ・メニーナ
DF 中條 結衣 スポ4 JFAアカデミー福島
DF 中田 有紀 スポ4 兵庫・日ノ本学園
MF 13 蔵田 あかり スポ2 東京・十文字
→88分 32 高橋 雛 社1 兵庫・日ノ本学園
MF 10 村上 真帆 スポ3 東京・十文字
MF ◎8 高瀬 はな スポ4 ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18
MF 11 松本 茉奈加 スポ3 東京・十文字
FW 34 廣澤 真穂 スポ1 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
FW 山田 仁衣奈 スポ4 大阪・大商学園
リザーブ:GK33近澤澪菜(スポ1)、DF31井上萌(スポ1)、DF36ブラフシャーン(スポ1)、MF14田中実夏(スポ4)、MF17阪本未周(スポ3)、MF19桝田花蓮(スポ2)、MF26加藤希(スポ2)、FW土居明日香(スポ4)
◎=ゲームキャプテン
監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘)

コメント

MF高瀬はな主将(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)

――きょうの試合を振り返って

どの試合ももちろんそうですが、やはり今回は絶対に勝たなければいけない相手だったので勝利できてよかったです。

――きょうのゲームプランは

相手は攻撃時にサイドバックの攻撃参加が特徴としてあったので、守備ではそのサイドバックにしっかりついていく、奪った後は相手のサイドバックのスペースをいかに早く使っていけるかが重要と話していました。

――前半は相手にうまくボールを奪われてしまっていた印象です

相手の読みだったり動き出しの部分でやられてしまっていた部分はあったのですが、徐々にその速さに順応して、自分たちのペースに持っていけたと思います。

――失点シーンを振り返って

スズ(GK川端涼朱、スポ3=東京・十文字)のところで接触があって、一瞬動きが止まってしまいました。ただ、それまでの守備は悪くなかったので、失点後もやることは変えず、追加点を失わずに抑えることができたことはよかったと思います。

――また前半、攻撃は悪くない印象でしたが、無得点に終わりました

崩しは悪くなかったですし、決定力の部分だけでした。(得点が)入らなくてもそれをやり続けることで後半のように得点が生まれると思っていましたし、入らないことに焦りや不安はなかったです。

――後半は右サイドを起点にする場面が多かった印象です

相手のサイドバックが裏に弱いことに気づき始めて、そこからの攻撃が多くなったと思います。キヨ(DF源関清花、スポ4=ちふれASエルフェン埼玉)とあかり(MF蔵田、スポ2=東京・十文字)の連携もよく、いい崩しができていたと思います。

――FW山田仁衣奈(スポ4=大阪・大商学園)選手のゴールで、早い時間帯に同点に追いつきました

それまでの崩しもよかったですが、あのシュートは完璧だったと思います。そこからさらにみんなで「もう1点取りに行くぞ」という気持ちが強まるきっかけになりました。

――同点後は相手に思うように攻めさせませんでした

追いついた側はメンタル的にも余裕が出てくるので、そこからさらに勢いに乗れたと思います。

――また同点後は押し込む時間帯が続きましたが、なかなか得点が奪えませんでした

追加点までに時間はかかりましたが、全員が(追加点を)取れると思っていたので、とにかく攻め続けるだけでした。

――それでもMF村上真帆(スポ3=東京・十文字)選手のゴールで勝ち越し。山場の一つをものにできた点について

やることは変えず、ひたすらやり続けた中で得点に結びついたので、素直にうれしかったです。本当にナイスシュートでした。

――首位をキープしていますが、今後に向けて意気込みをお願いします

リーグはまだ全く気の抜けない状況ですが、今自分たちのできることを確実にやり続ければ結果はついてくると思うので、また次節に向けて万全の準備をしていきたいです。

MF村上真帆(スポ3=東京・十文字)

――きょうの試合を振り返って

なんとか逆転勝ちして結果を残せたのはよかったのですが、攻撃ではもう少しチームでイメージの共有をしなければいけないと思って、守備ではルーズボールの対応をもっと予測して対応しておかないといけないと思いました。

――台風で試合間隔も空きましたが、問題ありませんでしたか

逆に試合間隔が空いて余計に試合がしたいという気持ちが増えたので、それはそれでよかったのかなと思います。

――嫌な時間帯に失点を喫しましたが、あの時間帯を振り返って

相手が主導権を握ってる時間帯で失点してしまって、相手がより勢いに乗ってしまったので、あの時間帯はしっかり全員が我慢強く耐えなければいけないと思いました。

――同点に追いついた後もなかなか決定機まで持ち込めませんでしたが、あの時間帯を振り返って

同点になってからなかなかチャンスはつくれなかったのですが、同点に追いついたことで徐々に自分たちの時間が増えてきたので、前半よりは落ち着いてプレーできたと思います。

――終盤に見事なミドルシュートを決めましたが、あのシーンを振り返って

スカウティング係の人が枠外シュートとか枠内シュートの数をメモしてくれていて、それをハーフタイムに見せてもらって自分自身のシュート数が足りないなと思っていました。マツ(MF松本茉奈加、スポ3=東京・十文字)が「もっとシュート狙える」って試合中に言ってくれたので、少し遠い距離だったのですが、シュートを打つという選択ができました。もう少しコースを狙いたかったのですが、とりあえず入ったのでよかったです。

――山場の一つである日体大戦に勝利したことは、チームにとっても大きいと思います

相手はなでしこリーグの試合もあってフルメンバーではなかったのですが、その中でも勝てたことは次につながったと思います。この勝利をうまく自分たちの自信につなげていきたいです。

FW山田仁衣奈(スポ4=大阪・大商学園)

――きょうの試合を振り返って

まずこの試合をしっかりと勝ち切れたことはとても大きいと思います。先制点を取られましたが、自分たちで声をかけ合って、そこから立て直せたことはチームとして成長した部分だなと感じています。

――試合を通じて調子が良さそうな印象でした

調子がいいというか、最近は波がなくコンスタントにプレーできているという印象です。周りとコミュニケーションを取りながら連携が取れているので、そこが良い点だと思います。

――嫌な時間帯での失点でしたが、ハーフタイムにどのようなことを話しましたか

失点はしましたが、自分たちの中で「内容は悪くないし、やれている」という感覚はありました。失点の仕方もセットプレーから押し込まれたかたちだったので、悲観的に考えず切り替えて、やることは変えず後半力を出し切ろうと円陣で話しました。

――同点ゴールを振り返って

あの距離は自主練でずっと練習していたので、コースも見えたし思い切って打ちました。最近の練習でも自分の中でのシュート意識が高まってきているので、これからももっと貪欲に狙っていきたいと思います。

――同点になった後、自分たちが流れをつかんでいる中でなかなか逆転できませんでした

流れはつかんでいる中で、同点で焦る場面でもなかったので、自分たちでリズムをつくりながら攻撃するという感じだったと思います。次の1点が大きいこともみんなわかっていたと思うので、後半はしっかり無失点で抑えられたことは大きいと思います。

――その中で終了間際に逆転できた点について

ボールを受けてターンした後に真帆(村上)が距離感よく、いい位置で顔を出してくれていました。真帆のシュートが素晴らしかったです!あの時間に点が取れたのも、最後まで勝ち切ることを全員が意識できていたからだと思います。

――この勝利で優勝に近づきました

優勝のことはあまり強くは考えていません。もちろんタイトルを獲ることが一つの目標ですが、ただ一戦一戦勝ちにこだわっていきたいと思っています。

――次節への意気込みをお願いします

次は筑波大ですが、勝ちにこだわって全力で戦いたいと思います。