第41回関東女子選手権(兼)皇后杯全日本女子選手権関東地区予選 | ||||
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早大 | 2 | 0-1 2-0 |
1 | 東洋大 |
【得点】 (早大)50’松本茉奈加、59’廣澤真穂 (東洋大)33’牛久保鈴子 |
前日、難敵の日テレ・メニーナ(メニーナ)を下し(◯2-0)、見事全日本女子選手権(皇后杯)出場を決めたア式蹴球部女子(ア女)。この日は中0日の連戦の中、東洋大と対戦した。33分に自陣でのミスから先制点を献上したが、後半は完全に試合の主導権を握り、MF松本茉奈加(スポ3=東京・十文字)とFW廣澤真穂(スポ1=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)の得点で逆転。勝負強さを見せつけるかたちで東洋大を下し、山梨学院大の待つ決勝へと駒を進めた。
ア女は前日のメニーナ戦と同じく、ボックス型の4-4-2でキックオフを迎えた。サイドバックが幅をとり、前列のサイドハーフが起点となって逆サイドへ展開することで相手を揺さぶりにかかる。5分、松本からパスを受けたFW高橋雛(社1=兵庫・日ノ本学園)が逆サイドへ展開し、敵陣深くまで侵入。10分にはバックパスを受けたMF村上真帆(スポ3=東京・十文字)がDFラインの裏へパスを通し、チャンスを演出した。いずれもシュートには至らなかったが、じわじわとアタッキングサードへ攻め入っていく。また、各選手が適切な距離感を保ち続けることで裏のスペースをケア。東洋大のカウンターを封じ、決定機を与えることもなく落ち着いたゲーム運びを見せた。しかし次第に単純なミスが増え始めると、33分に一瞬の隙を突かれる。自陣でボールを奪われゴール前へボールを入れられると、GKとDFの連携ミスで対処を誤り、ゴールに流し込まれ失点。主導権を握りながら先制点を献上し、1点ビハインドで前半を終えた。
勝ち越しゴールを決め、ガッツポーズをみせる廣澤
1点を追うア女は、後半開始と同時に前日のメニーナ戦で殊勲の2ゴールを挙げた廣澤を投入。44分、その廣澤がいきなりクロスからポスト直撃のヘディングシュートを放ち、得点の匂いを漂わせる。50分、GK近澤澪菜(スポ1=JFAアカデミー福島)のロングフィードを高橋が落とし、左サイドの松本へ。鋭くカットインして放った強烈なシュートがゴールに突き刺さり、後半の早い時間帯で試合を振り出しに戻した。一気に逆転まで持ち込みたいア女は、54分にMF高瀬はな主将(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)をピッチへ送り出し、さらにボールの支配率を高めにかかる。そして58分、高瀬が相手DFの間で縦パスを受けると、裏のスペースへ抜け出した廣澤へスルーパス。相手GKが飛び出してきた中、廣澤は体勢を崩しながらシュートを流し込み、リードを奪った。その後も高橋と村上のミドルシュートや、松本を起点としたサイド攻撃で攻撃の手を緩めなかったア女。後半は相手に1本のシュートすら許さない一方的な展開で試合を進め、2-1で勝利を収めた。
パスのタイミングを図る近澤。公式戦初出場を果たした!
リードを許しても動揺することなく勝ち切る『横綱相撲』を展開し、3年連続となる決勝進出を決めたア女。試合を通じてほとんど決定機を与えず、東洋大に得意なかたちをつくらせなかった。連携ミスによって先制点を献上した場面や「相手に対してどういくのかが明確になっていなかった」(松本)という選手たちの反省の弁が表すように、チームとしての甘さは依然として残るが、今大会を通じて徐々に課題が改善されているのもまた事実。特に長く懸案事項であった立ち上がりの不安定さは、この試合では顔をのぞかせることはなかった。「この連戦に勝てたことで、かなり自信もついてきた」と高瀬。3連覇を達成し、この自信を確固たるものにしてみせる。
(記事 森迫雄介、写真 永池隼人、石井尚紀、橋口遼太郎)
※試合時間は80分(前後半各40分)
スターティングイレブン
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早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 33 | 近澤 澪菜 | スポ1 | JFAアカデミー福島 |
DF | 2 | 冨田 実侑 | スポ3 | 岡山・作陽 |
→76分 | 5 | 源関 清花 | スポ4 | ちふれASエルフェン埼玉 |
DF | 4 | 小林 菜々子 | スポ4 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | ◎7 | 中條 結衣 | スポ4 | JFAアカデミー福島 |
DF | 35 | 船木 和夏 | スポ1 | 日テレ・メニーナ |
MF | 17 | 阪本 未周 | スポ3 | 大阪・大商学園 |
MF | 14 | 田中 実夏 | スポ4 | セレッソ大阪堺レディース |
→55分 | 8 | 高瀬 はな | スポ4 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18 |
MF | 10 | 村上 真帆 | スポ3 | 東京・十文字 |
MF | 11 | 松本 茉奈加 | スポ3 | 東京・十文字 |
FW | 30 | 土居 明日香 | スポ4 | ちふれASエルフェン埼玉 |
→HT | 34 | 廣澤 真穂 | スポ1 | ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ |
リザーブ:GK16川端涼朱(スポ3)、MF19桝田花蓮(スポ2)、MF26加藤希(スポ2)、FW9山田仁衣奈(スポ4) | ||||
◎=ゲームキャプテン 監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘) |
コメント
MF高瀬はな主将(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)
――きょうの試合を振り返って
昨日のメンバーとは違いましたが、相手もメンバーをかなり変えてきた中で、どういう試合になるかわからなかったのですが、自分たちはいつも通りしっかり力を出すだけでした。先制はされましたが、その後しっかり立て直すことができて、勝ててよかったです。
――メンバーの大幅変更は昨日の時点で決まっていたのですか
いや、試合前に伝えられました。ですが全然、誰が試合に出てもおかしくないような力の差なので、昨日控えだった人も落ち着いて試合に入れてたかなと思います。
――前半を振り返って
前半は守備にまわる時間が多くて、ディフェンスラインにかなり人が入ってしまって重くなってしまった部分がありました。ですが1失点で抑えられたことはよかったですし、その後崩れすぎなかったことも一つの力だと思うのでよかったです。
――連係ミスからの失点でしたが、具体的にいかがですか
アクシデントと言えばアクシデントなのですが、一瞬足が止まってしまった部分ではあったので、最後までやり切るということをもう少し集中してできてればなと思いました。
――失点はありましたが、前半は選手間の距離感が良かった印象です
昨日からここが悪かったと言ったところも特になかったですし、引き続き距離感良く守備をすることは全員が意識していた部分でした。いい部分がいっぱいあって、チームの総力戦というところでも力を見せられたかなと思います。
――後半は主導権を握る展開となりました
後半は自分たちの体力の面にも自信があって。やっぱり大学相手だとこういう拮抗(きっこう)した試合が続くと思うのですが、後半走り負けないということは自分たちの強みでもあるので、そこをきょうの試合でも出せたことはよかったと思います。
――アシストシーンを振り返って
未周(阪本、スポ3=大阪・大商学園)もうまくボールを引き出す動きをしてくれた中で、相手が(その動きに)つられて。ヒロ(廣澤)もいいタイミングで走ってくれたので、そこのスペースに出すだけでした。周りの連係が取れたいい動きだったかなと思います。
――ここ数試合は後半に勝負をかけるシーンが増えている印象です。これはチームとして狙っていることなのですか
自分たち的にはもっと前半からペースを握りたいという話は課題として捉えているのですが、後半さらにギアを上げられることはいい意味で捉えればプラスの面ではあると思います。もっと言えば、その後半の強みを前半から出していくことが今後の課題かなと自分は思います。
――前半からスイッチを入れるという面で、この試合をどう評価していますか
前からプレスにいこうという話はしていたのですが、その中で能動的に守備ができていない部分が見られたので、もっと主体的に守備ができたらとは思いました。
――決勝に向けて意気込みをお願いします
山梨学院大は今シーズン初めての相手ですが、メニーナ(日テレ)、東洋大との連戦に勝てたことでかなり自信もついてきましたし、その自信というのを次の決勝戦でも出して、思い切り勝負していきたいと思います。
MF松本茉奈加(スポ3=東京・十文字)
――昨日から数人メンバーを入れ替えて臨まれましたが、振り返って
最初の入りがあまりよくなくて、相手に先制点を取られてしまったのですが、前よりは試合中に改善することができていたので、そこはよかったです。
――具体的にどのような点で入りが悪かったですか
守備から入ることができなかったです。相手に対してどういくのかが明確になっていなかったので、曖昧な状態で試合に入っていて、相手に押し込まれてしまいました。
――きょうの試合では左サイドバックがDF船木和夏選手(スポ1=日テレ・メニーナ)でした
和夏がライン際で開いて受ける方が自分と和夏のプレーの幅が広がると思っていました。和夏のいいところを消さないように、かつ自分のプレーが良くなるポジショニングを意識して、常にコミュニケーションをとってやるようにしました。
――4-4-2のボックス型の左サイドハーフとしてはどのようなことを意識されていますか
サイドで受けてサイドで崩すことがサイドハーフの役割だと思いますし、サイドで起点をつくることを意識しています。前までは自分が最初から張ってしまっていた部分があったので、守備から入ってそこから一気に広がると自分のかたちになることが増えました。
――得点はイメージ通りでしたか
練習はしていたので、入った時はうれしかったです。
――得点までの流れを教えていただけますか
ディフェンスラインが思い切り蹴ったボールに、ヒロ(FW廣澤真穂、スポ1=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)とヒナ(MF高橋雛、社1=兵庫・日ノ本学園)がヘディングでつないでくれたこぼれ球を狙うイメージで自分は絞っていて、ちょうど流れてきてあとは自分でいこうと思っていました。
――決勝は3連覇が懸かりますが、プレッシャーはありますか
プレッシャーというより、自分たちは常にチャレンジャーという気持ちでやっていきたいと思います。大学生同士なので、自分たちで考えてプレーしたいです。
GK近澤澪菜(スポ1=JFAアカデミー福島)
――公式戦のデビュー戦となりました
デビュー戦でしたがみんな励ましてくれましたし、思い通りにいくプレーはそんなになかったですが、チームが勝てたのでよかったかなと思います。
――きょうは失点のシーンもありましたが、連携面に関してはどのように考えていましたか
自分はAチームでやる機会も少なくて、いつもとは違うセンターバックと組むことも少なかったのですが、復帰してこれからもそういった連携を求められる事は多くなると思うので、修正していければいいなと考えています。
――きょうの同点ゴールのシーンも近澤選手のロングボールから始まった攻撃でしたが、ロングボールを蹴ってチャンスにつなげるシーンが多くあったかと思います。自身の攻撃面についてはどのように考えていますか
ロングボールは自分の1つの武器だと考えているので、その部分で得点につなげることが出来たのはうれしいですし、そこは継続していこうと思います。
――これからの自身の意気込みを教えてください
無失点という部分にはキーパーとしてこだわるべきだと思いますし、課題のビルドアップの所でも、積極的にビルドアップに参加してチームの勝利に貢献できたらいいなと考えています。
FW廣澤真穂(スポ1=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)
――連日の試合となりましたが、リカバリーはいかがでしたか
もともと「試合展開によっては(きょうの試合も)行くぞ」と言われていたので、しっかりケアをして準備していました。
――ベンチから見ていて、前半の戦いぶりはどう映りましたか
主導権は握っていましたが、得点機をつくれない時間帯があったので、もう少しゴールに向かいたいなと思っていました。
――実際に後半頭から投入されましたが、どういうプレーで変化を加えようと思っていましたか
まずは前から全力でプレスをかけて、流れを早稲田に引き戻すことを考えていました。
――結果として連日の決勝ゴール。あの得点を振り返って
(高瀬)はなさんがボールを持っていた時に(DFラインの)裏にスペースがあって、パスが出てくると思って走ったらGKが飛び出してきたので、ダイレクトじゃないと入らないと思ったので、「入れ!」と思いながら流し込みました。
――来週の皇后杯予選決勝への意気込みをお願いします
本戦でベスト8に入ることを目指しているので、その通過点としてしっかり優勝したいです。