2点リードを守り切れず…。下位相手に痛恨ドロー

ア式蹴球女子
第25回関東女子リーグ戦
早大 2-0
0-2
日テレ・メニーナ
【得点】
(早大)21’、43’松本茉奈加
(メニーナ)71’柏村菜那、82’土方麻椰

 順延されていた関東女子リーグ戦(関東リーグ)第6節、日テレ・メニーナ(メニーナ)戦が、早大東伏見グラウンドで行われた。前期最後となるこの試合は、勝利すれば群馬FCホワイトスターをかわして首位に浮上できる大一番。勝ち点3を獲得して前期優勝を飾りたいところだったが、終始メニーナにペースを握られる苦しい展開となる。前半に鋭いカウンターから2点のリードを得たものの、逃げ切ることができずに後半に追いつかれドロー決着。4勝2分1敗の2位でリーグ戦を折り返すこととなった。

前線に多彩なタレントを擁しながら下位に低迷しているメニーナに対し、序盤から押し込まれるア式蹴球部女子(ア女)。中盤でボールを回されながら自陣深くまで侵入する場面が目立ち、右サイドのMF松永未夢のカットインやMF眞城美春のチャンスメイクで何度もゴールを脅かされる。それでも時間が経つにつれて、ア女にもカウンターから攻撃を仕掛ける場面が増え始める。FW高橋雛(社1=兵庫・日ノ本学園)、FW廣澤真穂(スポ1=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)を起点にして、前がかりになっているメニーナの裏のスペースを狙った。すると21分、劣勢のア女が均衡を破る。自陣でボールを奪うとそのまま前線にボールを送り、廣澤と高橋で右サイドを突破。敵陣深くまで侵入した高橋が速いボールをゴール前に送り、これにMF松本茉奈加(スポ3=東京・十文字)が合わせてネットを揺らした。その後はより攻勢を強めるメニーナに対して、ア女は効果的にカウンターを織り交ぜながら対処し時計の針を進めていく。すると44分、相手CKを跳ね返すと、そのまま松本が自陣からドリブルを開始。ピッチ中央を独走してすぐさまバイタルエリアまで到達すると、フリーの廣澤へパスを送る。廣澤のシュートはGKに阻まれたものの、こぼれ球に反応したのは松本。この日2点目となるゴールを挙げ、2点リードで前半を折り返した。

得点が決まり、喜ぶ松本(中央)ら選手たち

 前半終了間際に貴重な追加点を挙げたことで精神的に優位に立ったかに思われたが、後半もメニーナの分厚い攻撃に晒され、何度もピンチを招く。それでもポストや相手の決定力不足に助けられながら無失点に抑えていたが、71分にPKを献上。これを冷静に決められ、1点差まで詰め寄られた。さらに攻勢を強めるメニーナ相手に反撃の糸口をつかめないまま守勢を強いられていると82分、FW土方麻椰にネットを揺らされ試合を振り出しに戻される。その後もメニーナに攻め込まれるが守備陣が体を張って対応し、3点目は与えず。2−2のドローに終わり、苦しみながら勝ち点1を獲得した。

スタメンに復帰した並木

 前後半通じて倍以上のシュートを浴びるなど、終始メニーナにペースを握られたこの試合。相手の攻撃のキーマンを捕まえきれず、自陣に押し込まれる時間が長引いた。鮮やかに見えた前半の2得点に対しても、川上嘉郎監督(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘)は「反撃に転じた時に、運よく点が取れた」と厳しい評価を下す。今後は再現性を持った必然的なプレーを増やしていくことが求められる。今節で前期リーグの7試合が終了。2位でリーグを折り返すことになった。「誰が出ても戦えるチームにならなくてはいけない」(川上監督)。2週間後に行われる後期開幕戦は、11連覇を狙うア女にとっての試金石となる。

(記事 森迫雄介、写真 菅沼恒輝)

スターティングイレブン

関連記事

船木がリーグ戦初ゴール! 苦しみながらも勝ち点3を奪取(6/03)

荻原・田中弾で勝ち切ったア女 上位対決制し2位浮上!(5/20)

高橋2発!主力欠く中価値あるドロー(5/14)

早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 鈴木 佐和子 スポ3 浦和レッズレディースユース
DF 27 黒柳 美裕 スポ2 宮城・聖和学園
DF 35 船木 和夏 スポ1 日テレ・メニーナ
DF 36 ブラフ シャーン スポ1 スフィーダ世田谷FCユース
DF 37 吉野 真央 スポ1 熊本・聖和学園
MF ◎8 高瀬 はな スポ4 ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18
MF 10 村上 真帆 スポ3 東京・十文字
MF 11 松本 茉奈加 スポ3 東京・十文字
MF 12 並木 千夏 スポ2 静岡・藤枝順心
→73分 17 阪本 未周 スポ3 大阪・大商学園
FW 32 高橋 雛 社1 兵庫・日ノ本学園
→87分 18 荻原 優花 スポ3 宮城・常盤木学園
FW 34 廣澤 真穂 スポ1 ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
リザーブ:GK16川端涼朱(スポ3)、DF4小林奈々子(スポ4)、DF5源関清花(スポ4)、MF14田中実夏(スポ4)、MF19桝田花蓮(スポ2)、MF20秋山由奈(スポ4)、FW30土居明日香(スポ4)
◎=ゲームキャプテン
監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘)

コメント

川上嘉郎監督(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘)

――きょうの試合、振り返っていかがですか

以前からメニーナはボールの持ち方も連携も良かったですし、昨年は前期で1−3で負けていたりしたので、そういう点ではずっとボールを回された展開になりましたね。

――カウンターがうまくはまった前半と後半の違いは

前半は反撃に転じた時に、運よく点が取れましたと。後半はそこまでもいかない時間が長かったというか、反撃ができるような動きが少なかった。意図的に相手にボールを回させて、ボール奪取してから反撃に転じるというところまでには至っていないので、それができない限り「たまたま」、「偶然」で話が終わってしまいますね。

――この試合で得た勝ち点1の意味をどう捉えていますか

負けなかった、ということでしょうね。2点を取って、取り返されて、勝ち越されはしなかった。そこは戦う意志などが反映された結果だと思います。

――2週間後には後期リーグが始まります、前期の7試合を踏まえてどのように戦っていきたいですか

誰が出ても戦えるチームにならなくてはいけないというのが現在目指しているところですし、きょうも1年生が5人出ましたけれど、出られなかった4年生もいるので、みんなで力を高めていきたいですね。ユニバーシアードや世代別日本代表の大会もありますし、そこに(ア女の選手が)招集されることがあっても戦えるチームにすることが大事だと思います。

MF松本茉奈加(スポ3=東京・十文字)

――試合を振り返って

この試合を勝つか引き分けるかで後期にいい形で入れると監督から話があった中で、引き分けではなく勝ちを狙っていたため、悔しい展開だったと思います。

――得点シーンを振り返って

スカウティングの時からカウンターは一番得点を入れるのに有効だと思っていたので、前の選手がボールを持った時は上がるという意識をもってプレーしました。そのため点につながったと考えています。

――攻撃の機会が少ない中で、プレー面で意識したことはありますか

自分のところではボールを収めることができず、逆に右サイドの千夏(MF並木千夏、スポ2=静岡・藤枝順心)とかがボールを収める機会が多かったので、そこをスイッチに逆サイドに来ることを予測して走ることを意識していました。

――松本選手側のサイドで日テレ・メニーナの攻撃が展開されることが多かったですが、守備で意識したことはありますか

中盤は絶対に崩されたくなかったので、最初は中から守備を行いサイドに出たところで取り切りたかったのですが、やはり相手のレベルが高く、ボールを取り切れずに苦し紛れの守備になってしまったことが多かったと思います。

――次節に向けて意気込みをお願いします

前期の尚美学園大戦ではいい試合をできていましたが、失点しているので、失点なく優位に試合を進めていきたいです。