最初に登場するのは、サイドバックを務めるDF渡部那月(社4=兵庫・日ノ本学園)、DF和田麗(人4=スフィーダ世田谷ユース)、DF中田有紀(スポ3=兵庫・日ノ本学園)、DF冨田実侑(スポ3=岡山・作陽)。後ろからチームを支える4人に、今季の振り返りとインカレへの意気込みを伺った。
※この取材は11月22日に行われたものです。
「4連覇に向けてチーム力を高めていきたい」(中田)
終始笑顔を見せてくれた中田
――まずは、関東女子リーグ戦(関東リーグ)と関東大学女子リーグ戦(関カレ)の振り返りをお願いします
渡部 関東リーグは、今年で10連覇で絶対に優勝したいと思っていました。勝てたことはすごい良かったし、まだ1試合残っているんですけど(12月8日の日テレ・メニ―ナ戦)10連覇達成できてよかったです。関カレに関しては、うまくいかないことも多くてなかなか勝てない試合もあったので、そこはチームがもっと成長するためには必要なことだと思います。今回の関カレの結果を、インカレ(全日本大学女子選手権)に向けてつなげていけたらと思います。
中田 関東リーグは4月の半ばから始まりましたが、最初は良い出だしだったと思います。その結果10連覇できたというのは、この1年間の目標を達成できたのかなと思います。関カレでは、もちろん優勝を目指していたんですけど、なかなか結果も出せなくて、内容も悪い試合が続いていく中で、不安が残るものだったと思います。でもそれを、10月頃に気づけたので…。これから(インカレに向けて)大事な時期に向けて、(悪いところに)気づけたのは良かったなと思います。インカレ4連覇っていうプレッシャーはあるんですけど、そのプレッシャーだったり不安をまだ今なら改善できると思うので、4連覇に向けてチーム力を高めていきたいと思います。
渡部 長いよ(笑)。
一同 (笑)
和田 関東リーグも関カレも、ア女の状態はそんなに良いものではなかったと思います。同じだけど、ただ相手が違っただけで常に危ない部分を孕んでいました。関カレになって、だんだん自分たちのやっていることを相手チームが踏まえてやっていたので、うまくいかない部分が顕著に現れていたと感じています。
冨田 最初の方はうまくいっていたように感じていて、関カレになるとうまくいかなかったのは麗さん(和田)が言っていたことだと思います。やっぱり相手も自分たちを分析してきているのに対して、どうやってピッチの中で(プレーを)変えられるかが大事なことなのかなと気づかせてもらいました。インカレに向けてその気づきがうまくいくようにしたいです。4年生には(インカレ)4連覇を達成してほしいですし、というよりもチームが4連覇したいので、偉業を達成するためにみんなで頑張りたいです。
――11月24日には皇后杯2回戦が控えていますが、サイドバックのみなさまから見て今のチームの状況はどうですか
和田 試行錯誤している感じです。
――1回戦の福岡J・アンクラス戦(〇2-0)ではしっかりとした手ごたえはあったのですか
渡部 うーん(笑)。相手も相手でしっかり戦ってくるチームで、良い選手もいたので…。その中でもア女もしっかり戦えたのはよかったと思います。次はなでしこリーグ1部のチーム(マイナビベガルタ仙台レディース)なのでそう簡単には勝てないと思うんですけど、DFとしては無失点に抑えたいと思います。
「(渡部は)常に冷静で、前向きな声をかけてくれる」(冨田)
携帯電話をマイク変わりにして話す冨田
――次にお互いのプレーの印象を伺いたいと思います。まず、渡部さんのプレーの印象はどのようなものですか
渡部 わー、これ嬉しいやつ(笑)。
和田 安定しているプレーで…。
渡部 麗に言われると分析されてる感じする(笑)。
和田 (渡部の)優しめの、ふんわりしたパスが自分は結構好き。
渡部 ありがとう、受け取った(笑)。
冨田 常に冷静で、チームが苦しい時やミスが続いた時は前向きな声をかけてくれたり、(ペアを)組ませてもらうことが多いんですけど、前向きな声をかけてもらえるのは自分にとってもチームにとってもありがたいです。キックの精度とかもすごくて(笑)。
一同 (笑)。
冨田 うらやましいなという感じです。
中田 同じようなことと、プラスしてすり足(笑)。
渡部 おい(笑)。
中田 そのすり足は、良い意味で。(足が)遅く見えるけど、めっちゃ速いって感じです。ぎりぎりの、ライン出そうみたいなボールも触れちゃう。
和田 相手の予想を裏切れちゃうみたいなね。
中田 そう、それぐらいのスピードを持ってます。
渡部 褒め言葉か分からんわ(笑)。
――渡部さんは、ピッチの外だとどのような方ですか
中田 テンションが上がった時も、「うわー!」とはならない。常に冷静なんです。冷静にほほえむ(笑)。
和田 プレーと似てるよね。
渡部 性格出ちゃう。
――続いて、中田さんのプレーの印象はどうですか
冨田 前への推進力がすごい。サイドバックのように、サイドハーフのようなドリブルで入っていったりとか…。クロスとかもすごい良いボールを入れてくれていますし。1対1のディフェンスでも、(中田の身長が)そんなに高くはないと思うんですけど絶対負けないです。(冨田と)同じような身長だけど、全然(冨田と)違うというか…。
中田 それは謙虚すぎない?(笑)。
冨田 見習うところがたくさんあります。
和田 守備でも粘り強さは結構感じる。あと、ドリブルが印象的。「そこで行く?」って思っても、結構行けちゃうからすごいなって思う。
渡部 自分は高校(日ノ本学園高)から一緒なので。ぶっちゃけ言うと、高校と比べてすごく良くなりました。実際、高校時代はへなちょこな部分があったけど(笑)、すごい成長して大学入ってきたなって。キックも(高校時代は)へなちょこだったのに今ではしっかり蹴れるようになって。へなちょこに飛ばされてたあの有紀が、ここまで体張ってチームの勝利に貢献してくれてて助かるなって思います。
――ピッチ外での中田さんの印象はどうですか
渡部 真面目なんだけど、どこかしら変な部分はあるタイプ。自分では真面目を気取ってるけど、実際ツッコミどころは満載。
中田 気取ってないから(笑)。
渡部 真面目気取って、「ちょっと自分は大丈夫です」みたいなのを出してくるけど(笑)。「有紀、何してるの?」みたいな(笑)。
冨田 内に秘めたものがありそう。
中田 無い無い無い。
冨田 もちろん、良い意味で!闇とかじゃなくて…
一同 (笑)。
冨田 「やるぞ」っていう強い意志。
渡部 のるところは、ちゃんとのってくれるしね。
冨田 うんうん。
和田 髪型も女子ぶってる。
中田 初パーマなんです。
――冨田さんのプレーの印象は
渡部 チームに勢いがつく速さ。速いし、スピードに乗ってからも速い。
中田 なんか、軽い感じ。
渡部 無限に体力あるしね。
中田 自分が好きなのは、とみーのファーストタッチが、優しい。惚れる(笑)。
和田 もともとサイドバックだけど、全然サイドハーフの人よりも前に行くことにためらいが無い。サイドバックの経験があって、守備の仕方を知ってるから。それでサイドハーフをしてるから、攻撃面でも守備面でも安心するっていうイメージがある。
――冨田さんはピッチの外だとどうですか
渡部 天然。でも、ピッチの中でも天然発揮することもある。
中田 急にこけるとか。
渡部 急にボール見ないとか(笑)。「いや、それ行かんのかい」みたいな。
和田 おかしい感じなのにね、ボールが頭に当たってどんどん頭おかしくなってる(笑)。
中田 でもものすごく優しい心の持ち主です。
渡部 「そんなに謙虚にならなくても」って感じ(笑)。ただ声かけただけなのに、「すいません」って。謙虚すぎ。
「(和田は)努力の塊」(渡部)
対談をまとめてくれた渡部
――続いて和田さんのプレーの印象はどうですか
渡部 ボールに対する寄せの早さは、誰よりも早いと思います。1年の時から一緒にやってきたんですけど、1年の時はボールすらまともに蹴れなかったのに。
和田 練習しないで周り走ってる要員だった。
冨田 え!
渡部 なのに今ではこんなに堂々とプレーできている。努力の塊なのかなと思います。サッカーにもめっちゃ詳しい。
中田 海外サッカーのプレーをよく見ている練習があって、自分らの練習に組み込んでくれます。誰よりもサッカーに詳しくて、サッカー好きなんだなって思います。
冨田 ボールに対しても速いし、戻りも速い。自分的には、チームで一番スピードがあるんじゃないかなと思います。サッカーをすごい知ってて、自分とかは全然知らないのに対して、すごく丁寧に教えてくれます。動画を作ってくれたり、ピックアップしてくれて自分に教えてくれたりするんですよ。色々な人にそういうことをしてくださってるので、チームのために行動してくださっています。とても勉強になります。
――ピッチ外での和田さんはどうですか
中田 自分は、(和田より)年齢的には2個下なんですけど、見えないから下からめっちゃいじられてる。
渡部 自分らも(和田の年齢の)1個下なんだけれども、一番いじられてる。基本みんな麗に対しては強気(笑)。不思議ちゃんでもある。
中田 私服が特に個性的。ださいとかじゃなくて、変わってるときが頻繁にある。その道を貫いてる麗さんが、すごい。みんなに言われてるのに。
和田 何年後かには流行るから(笑)。
渡部 「それカーテンで作ったの?」ってみんなにいじられてる。カーテンみたいなスカートをよく履いてる。
――みなさんはサイドバックですが、他にやってみたいポジションはありますか
中田 前線。
和田 もっと点に絡みたい欲がある。
中田 点取りたい、点に絡みたい。
和田 自分は、中盤やりたい。ゲームをコントロールしたい。でも、無理だから(笑)。
渡部 ぶっちゃけ言うと、自分も(中盤には)憧れる。トップ下で、360度見えてますみたいな。相手来てるけど、うまくターンできるみたいなことをしてみたいとは思うけど、その場に立つとやれないと思う。
「キーマンは全員」(和田)
笑顔を見せる和田
――続いてインカレへの質問に移ります。インカレでキーマンとなる選手はどなたでしょうか
中田 自分はやっぱり朱里さん(FW河野、スポ4=静岡・藤枝順心)だと思うんですけど。点を決めないと勝てないし、トーナメント形式になると結果を出さないといけないので。そういう時に点を取ってくれる印象があるのは、朱里さんなんですけど、朱里さんだけに押し付けるのは違うので、チーム全体で取りにいきたいです。チームに勢いをつけてくれるのが朱里さんです。
渡部 必ずどこかしらでスイッチを入れてくれるのは朱里なので。あと、自分は紗津紀(DF三浦、スポ4=浦和レッズレディースユース)もこれまでずっと試合に出てチームを引っ張ってくれているので。関カレはケガで全然出られなかったですけど、チームに対する熱い思いを紗津紀自身はすごく持っているので、皇后杯とインカレでぶつけてくれるんじゃないかなと思います。
和田 全員で。
――最後にインカレに向けての意気込みをお願いします
冨田 最近、4年生とは長くてもインカレの決勝までしか一緒にサッカーでいないんだと実感しています。もっと(4年生から)学びたいし、教えてもらいたいことがあるので今の時間を大切にして、全員の思いがピッチの上で現れるようなプレーがたくさん出たらいいなと思いますし、どんな状況だろうともお互い支え合っていきたいです。4年生と、少しでも長くサッカーがしたいです。
中田 インカレ決勝までもう2カ月を切ってると思うんですけど、時間の流れはすごく早いなと感じています。4年生とサッカーができる時間も限られている中で、もっと自分自身も(4年生から)吸収したいし、4連覇を達成しないといけない責任と、それに挑戦するための覚悟が必要になってくると思います。最後は笑って、優勝して終わるのが私の最終的な目標です。
和田 「何連覇」っていう実感はないけど4連覇できたらいいなと思うし、大きい大会だけど自分の流れゆく人生の中で頑張るものの1つとして、頑張ろうと思います。
渡部 この1年間はうまくいかなかったことが多かったと思います。勝ってうれしかった試合よりは、勝ってほっとしたという試合が多くて。勝たなきゃいけないという不安があって、今年1年間は大学で一番苦しい1年間と感じています。それを乗り越えられたら、とても良い景色が見られると思うので、それが見られるようにこのチームで優勝したいなと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 下長根沙羅、写真 吉田寛人)
インカレに向けて意気込みを書いていただきました!
◆渡部那月(わたなべ・なつき)(※写真中央右)
1996年(平8)8月7日生まれ。161センチ。兵庫・日ノ本学園高出身。社会科学部4年。DF。スピードと精度の高いクロスで、早大の勝利に大きく貢献している渡部選手。持ち味を生かして、インカレでもチームを勝利に導いてくれるでしょう。色紙には「感謝」と書いてくださいました。
◆和田麗(わだ・うらら)(※写真中央左)
1995年(平7)7月15日生まれ。155センチ。スフィーダ世田谷ユース出身。人間科学部4年。DF。誰よりもサッカーに詳しいという和田選手。渡部選手からは「努力の塊」とその姿勢を絶賛されていました。色紙には「四連覇」と書いてくださいました。
◆中田有紀(なかた・ゆき)(※写真右)
1997年(平9)11月28日生まれ。154センチ。兵庫・日ノ本学園高出身。スポーツ科学部3年。DF。不動の左サイドバックである中田選手。他にやってみたいポジションは前線だそうです。インカレでは積極的な攻撃参加からの得点に期待です。色紙には「責任と覚悟」と書いてくださいました。
◆冨田実侑(とみた・みゆ)(※写真左)
1999年(平11)2月5日生まれ。153センチ。岡山・作陽高出身。スポーツ科学部2年。DF。ピッチ内では圧倒的なスピードでピッチを駆け回る冨田選手。ひとたびピッチを離れると天然というかわいらしいギャップがあるそうです。インカレでも底なしの体力でチームに勢いをつけてくれるでしょう。色紙には「勇気」と書いてくださいました。