今年も開幕した皇后杯全日本女子選手権(皇后杯)。早大は、昨年の成績を上回る『ベスト8以上』を目指して福岡J・アンクラスとの1回戦に臨んだ。九州リーグに所属している相手に対して、前半からア式蹴球部女子(ア女)が優位に試合を進めて先制に成功する。後半は、ア女のプレースタイルに慣れてきた相手が必死の追い上げを見せ、ひやりとする場面も何度か見られる。失点のピンチが続く重い空気感を打ち破ったのは、途中出場のMF松本茉奈加(スポ2=東京・十文字)の豪快な2点目だった。この2点目をきっかけに再び息を吹き返したア女は、さらにもう1点を追加し3-0で快勝。2回戦に駒を進めた。
前半は、相手の甘いパスを何度もインターセプトしてチャンスにつなげるなど、ア女のペースで試合が進む。9分には、MF熊谷汐華主将(スポ4=東京・十文字)が相手からボールを奪ってクロスを供給。最後はFW山田仁衣奈(スポ3=大阪・大商学園)が頭で合わせたが、これは惜しくもゴール上に逸れる。待望の先制点が生まれたのは22分。CKを獲得すると、MF柳澤紗希副将(スポ4=浦和レッズレディースユース)の正確なキックにDF三浦紗津紀(スポ4=浦和レッズレディースユース)が頭で合わせる。最後は、このボールをFW河野朱里(スポ4=静岡・藤枝順心)が頭で押し込み先制点をあげた。前半を通して相手に隙を与えることなく落ち着いてア女らしいサッカーを見せ、1-0で前半を終えた。
1点目を決めた河野(左)に駆け寄る選手たち
後半になると右サイドを中心に崩され、相手に何度もシュートを許してしまう。ア女の方がボールを回す時間は長いものの、前半とは打って変わってなかなか決定的なチャンスが訪れない。71分には、DF中田有紀(スポ3=兵庫・日ノ本学園)が前線まで上がりボールをつないだものの、パスの出しどころを見出すことができずに相手ボールになってしまう場面も。重い空気がピッチに流れる中で、74分にはピンチが訪れる。相手にFKを与えると、パスを早大ゴール前でつながれてシュートを放たれた。このボールはバーを直撃し、万事休す。バーに救われた早大は、1-0とリードはしているもののいつ同点に追いつかれてもおかしくない状況。この局面を打開したのは、76分に投入された松本だった。「追加点を取るイメージで入った」という松本は、相手の中途半端なクリアボールを見逃がさずに奪い取ると、そのまま豪快にシュート。このボールがゴール左隅に吸い込まれ、2点目を決めた。得点が欲しい時間帯に下級生のゴールが決まったア女は、このプレーで再び勢いを取り戻す。試合終了間際の88分、熊谷が左サイドで粘ってボールをキープして、河野に預ける。河野が体を反転して放ったシュートがゴールネットに突き刺さり、ダメ押しの3点目。久々の完封勝利を収め、選手たちにも笑顔が見られた。
途中出場してまもなく2点目を決め、チームを勢いづけた松本
戦い慣れていない九州のチームを相手に、格の違いを見せつけたア女。しかし、後半にはなかなかフィニッシュまで持っていくことができず流れが停滞した時間もあった。松本が「相手がどう来てるかを見て、サッカーを変えていえたらいいなと思う」と振り返るように、勝ち進んでいくごとにプレーに変化をつけることも重要になってくるだろう。2回戦では、なでしこリーグ1部に所属するマイナビベガルタ仙台レディースと対戦する。格上ではあるが果敢にチャレンジしたプレーを見せ、皇后杯でもア女の存在感を示したい。
(記事、写真 下長根沙羅)
スターティングイレブン
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第40回皇后杯全日本女子選手権 1回戦 | ||||
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早大 | 3 | 1-0 2-0 |
0 | 福岡J・アンクラス |
【得点】 (早大)22’、88’河野朱里、77’松本茉奈加 (福岡J・アンクラス)なし |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 木付 優衣 | スポ4 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | 2 | 渡部 那月 | 社4 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | 32 | 小林 菜々子 | スポ3 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | 4 | 三浦 紗津紀 | スポ4 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 3 | 中田 有紀 | スポ3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 6 | 柳澤 紗希 | スポ4 | 浦和レッズレディースユース |
MF | 5 | 安部 由希子 | スポ4 | 宮城・聖和学園 |
→86分 | 13 | 高瀬 はな | スポ3 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18 |
MF | 7 | 村上 真帆 | スポ2 | 東京・十文字 |
MF | ◎11 | 熊谷 汐華 | スポ4 | 東京・十文字 |
FW | 9 | 山田 仁衣奈 | スポ3 | 大阪・大商学園 |
→76分 | 17 | 松本 茉奈加 | スポ2 | 東京・十文字 |
FW | 10 | 河野 朱里 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
◎=キャプテン 監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘) |
コメント
MF松本茉奈加(スポ2=東京・十文字)
――皇后杯の目標は
去年のベスト8以上ということが、チームの中の目標ではあります。
――個人的な目標はありますか
出るとか出ないとかは、まだスタメンを取れていないのでわからないです。出たら、しっかり結果を残したり、チームのためにできることをやらなきゃいけないなといつも思います。
――前半はベンチから見ていていかがでしたか
出ているみんなに託しています。絶対にやってくれるだろうと思いながら見ていて、チャンスがあれば自分も出たいと思ってアップをしていました。
――後半は、全体的に振り返ってみていかがですか
相手も自分たちのサッカーに慣れてきていたので、(自分たちのサッカーを)そういう時に変えていかないと、もっと強いチームになってきたときにあの時間帯に点を取られる可能性があると思います。相手がどう来てるかを見て、サッカーを変えていえたらいいなと思います。
――試合に入るときにはどのような意気込みで臨みましたか
リードはしていたんですけど、まだ1点だけだったので追加点を取るイメージで入りました。
――2点目は振り返ってみていかがですか
無心だったのであまり覚えていないです。
――2回戦進出が決まりました。意気込みをお願いします
まずは疲労をしっかり全部取って、万全の準備をして臨みたいなと思います。