幾度のチャンスメイク虚しく痛恨のドロー

ア式蹴球女子

 関東大学女子リーグ戦の第8節が行われ、早大は慶大と対戦した。前節同様、優勝に向けて勝ち点を落とすことの許されない試合である。前半の立ち上がりから両者が激しくボールを奪い合う展開。早大は決定機を決められず、前半を終えた。後半は慶大の長身FW山本(慶大)にボールが集められ、その山本を起点とした攻撃に苦しめられる。早大も何度も決定機を迎えるが、結局ゴールネットを揺らすことができず、慶大との対戦は0-0の引き分けに終わった。

 試合は慶大のキックオフで始まった。3分、FW山田仁衣奈(スポ3=大阪・大商学園)、MF安部由希子(スポ4=宮城・聖和学園)やMF柳澤紗希副将(スポ4=浦和レッズレディースユース)が右サイドでパスをつなぎ、攻めを展開。最後に山田仁がクロスを上げるが、慶大のDFにクリアされる。直後の4分にはセンターサークル付近からFW河野朱里(スポ4=静岡・藤枝順心)がMF熊谷汐華主将(スポ4=東京・十文字)に一度ボールを預け、熊谷が再び河野にスルーパス。反応した河野は相手DFラインを抜け出すもオフサイドの判定。その後も早大の攻撃は度々オフサイドにかかり、慶大に対し攻めあぐねてしまう。打って変わって、慶大はFW鈴木を中心に攻撃を仕掛け、早大ゴールに積極的に襲い掛かる。早大は24分、河野がGK志鎌(慶大)のパスをカットし、絶好の決定機を迎えシュートするが、惜しくもゴール左に外してしまう。29分にはDF源関清花(スポ3=ちふれASエルフェン埼玉)が相手の激しいファウルに遭い、負傷。源関と交代で、故障で長期離脱していたDF三浦紗津紀(スポ4=浦和レッズレディースユース)が出場する。「守備の厳しさが足りないと思っていたので、自分が(試合に)出たら、それを意識してチームに喝を入れる」(三浦)と復帰戦への思いを語った。その三浦が存在感を示したのは45分。右からのCKに三浦が相手DFと競りながらヘディング。得意の形ではあったが、惜しくも枠をとらえることができなかった。両者ともに得点できないまま前半を終える。

ケガから復帰した三浦。最終ラインで存在感を示した

 後半、最初に決定機を迎えたのは慶大であった。48分、ペナルティアーク付近から細かくパスをつなぎ、MF庄司(慶大)がシュート。しかし、これは早大のDF陣がなんとか体に当てボールをそらす。早大は52分、右サイドのMF並木千夏(スポ1=静岡・藤枝順心)が村上へつなぎ、村上が大きく左にサイドチェンジし慶大を翻弄(ほんろう)。河野にボールが渡り、河野からパスを受けたDF中田有紀(スポ3=兵庫・日ノ本学園)が左サイドからアーリークロスを蹴るが、中の2人に合わせることができない。58分、慶大は素早いカウンターからDF佐藤がシュートを放つが、GK木付優衣(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)が正確なポジショニングを取り、シュートを正面上でとらえた。ここまで慶大にペースを掴まれかけていたが、早大は反撃に転じる。64分、河野がヴァイタルエリア付近でボールを受けシュートを打つが、威力が足りず相手GKに抑えられる。その後も早大は並木や河野を中心に攻撃を仕掛けるも一向に得点を奪うことができなかった。怒涛(どとう)の攻めを続ける早大であったが、決定力を欠き得点できない状況が続く。代わって慶大は86分、鈴木のロングボールに反応した山本が抜け出しシュートを放つも早大の三浦が体に当て、再び慶大の決定機を阻んだ。最後はヴァイタルエリア付近でMF松本茉奈加(スポ2=東京・十文字)がシュートを打つも相手DFに弾かれてしまい、その直後、試合終了のホイッスルが鳴らされた。

痛恨の引き分けに、肩を落とす河野

 激しくシュートを打ち合う白熱した試合になったものの、両者ともにゴールネットを揺らすことはできず。スコアレスドローで試合を終えた両者であったが、その反応は対照的なものであった。喜ぶ慶大、沈む早大。自力優勝が消滅しており、勝ち点をできるだけ積み重ねていきたい早大にとって、引き分けはとても悔やまれるものだ。早大は幾度もチャンスを作り出したが、攻撃がうまくかみ合わなかった。「自分たちの弱さ、それこそ厳しさが足りなかったり、甘さが出てしまった」(三浦)。次週の皇后杯に向けてきょうの試合の課題を修正するほかない。

(記事 菅沼恒輝、写真 下長根沙羅、永池隼人)

スターティングイレブン

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第32回関東大学女子リーグ戦
早大 0-0
0-0
慶大
【得点】
(早大)なし
(慶大)なし
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 木付 優衣 スポ4 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 渡部 那月 社4 兵庫・日ノ本学園
DF 32 小林 菜々子 スポ3 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 23 源関 清花 スポ3 ちふれASエルフェン埼玉
→33分 三浦 紗津紀 スポ4 浦和レッズレディースユース
DF 中田 有紀 スポ3 兵庫・日ノ本学園
MF 柳澤 紗希 スポ4 浦和レッズレディースユース
MF 安部 由希子 スポ4 宮城・聖和学園
→46分 37 並木 千夏 スポ1 静岡・藤枝順心
MF 村上 真帆 スポ2 東京・十文字
MF ◎11 熊谷 汐華 スポ4 東京・十文字
FW 山田 仁衣奈 スポ3 大阪・大商学園
→68分 17 松本 茉奈加 スポ2 東京・十文字
FW 10 河野 朱里 スポ4 静岡・藤枝順心
◎=キャプテン
監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘)
関東大学女子リーグ戦1部 順位表
順位 大学名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
★帝京平成大 19 16 +9
★早大 17 17 +13
★日体大 17 16 +10
★東洋大 12 11 +4
★神奈川大 12 ★+1
★大東大 11 -1
慶大 10 -3
武蔵丘短大 19 -16
山梨学院大 -7
10 東京国際大 14 -10
※第8節終了時点
※★は第27回全日本大学女子選手権(インカレ)出場権獲得チーム。今リーグ戦1~7位のチームが関東地区からインカレに出場する
※9位のチームは2部リーグ2位のチームとの入替戦に出場する
※10位のチームは2部リーグに自動降格
コメント

DF三浦紗津紀(スポ4=浦和レッズレディースユース)

――復帰戦となりましたが、チームを離れていた期間、どのように試合を見ていましたか

自分が試合に出たらということをイメージしながら見ていましたが、守備の厳しさが足りないと思っていたので、自分が(試合に)出たらそれを意識してチームに喝を入れることができたらいいなと思っていました。

――今日の試合の自身のプレーを振り返っていかがですか

まだ6割くらいかなと思っていて、ケガ自体は問題ないですが、感覚のところで公式戦となると少し(感覚が)違うところがあるので、まだ(感覚を)戻していけなければいけませんが、実戦の中で(感覚の回復を)やっていくしかないと思うので頑張っていきたいと思います。

――きょうの試合の0−0という結果についていかがですか

今期、慶應と引き分けたことがなかったので、慶應もいいサッカーをしていましたし、自分たちの弱さ、それこそ厳しさが足りなかったり、甘さが出てしまったのかなと思います。

――慶應大に攻められる場面が多くあったと思います。慶應大の攻撃について何か感想はありますか

ワイドにピッチを広く使われて、ワセダの選手同士の距離が遠く、互いに取り所が合わなかったというのが印象で、もっと自分が声かけて(守備を)後ろからやっていけばよかったなと思いました。

――慶應大の決定機を体を張って阻んでいました

DFとして、復帰してまだ自分ができることは体を張ることくらいだと思っていたので、失点を防げてよかったと思います。

――皇后杯に向けて課題だと思うことはありますか

皇后杯は、自分たちよりレベルが上のチームとやると思いますが、そのような相手と試合するにあたって、きょうのようにボールを回されるという展開が多いと思うので、その中でどうボールを奪うのかと、奪ってからどうやって得点に繋げるかを、シンプルに正確にというところをもう少しクオリティをあげてやってかないといけないかなと思います

――皇后杯に向けて意気込みをお願いします

大きいことを言うと去年以上の結果を求めたいですが、やはり一戦一戦、特に1部の相手には去年と同じように勝てたらいいなと思うので頑張ります。