昨年の全日本女子選手権(皇后杯)で、ア式蹴球部女子(ア女)がINAC神戸に大金星を挙げたことは記憶に新しい。まずは、皇后杯出場を勝ち取るべく第40回関東女子選手権 (兼)皇后杯全日本女子選手権関東地区予選(関東女子選手権)に臨んだ。参加する19チームのうち、上位7チームに皇后杯出場資格が与えられる今大会。昨年は優勝して皇后杯出場を決めているため、ことしは連覇を成し遂げての皇后杯出場が期待される。初戦の相手は前橋育英高。試合はア女のペースで進むかと思われたが、前半は勢いのある相手から得点を奪うことができない。メンバーを3人入れ替えた後半、スタミナ切れの相手から4得点奪取に成功。初戦を突破し、2回戦に駒を進めた。
得点が生まれず、もどかしい前半となった。「相手陣地で全然プレーできなかった」(FW河野朱里、スポ4=静岡・藤枝順心)。前線にボールが入らず、決定的なチャンスがなかなか生まれない。逆に相手は、得点には結びつかないものの積極的な動きを見せ、シンプルなサッカーを展開する。28分には、DF渡部那月(社4=兵庫・日ノ本学園)が右サイドを駆け上がり、思い切りよく角度の無いところからシュート。しかし、これはGKに阻まれ、得点には結びつかない。この後も、決定的なチャンスにつながるプレーが生まれず、0-0で前半を終えた。
前半は1点が遠かった
トーナメント方式のため、何としてでも勝たなければいけないこの試合。後半に巻き返しを狙うべく、MF柳澤紗希(スポ4=浦和レッズレディースユース)、MF山田仁衣奈(スポ3=大阪・大商学園)、DF冨田実侑(スポ2=岡山・作陽)を投入した。すると、71分、山田仁がペナルティエリア内の河野にパス。受けた河野が、右サイドから強烈なシュートを叩き込み、待ち焦がれた先制点が生まれた。この得点を機に、気持ちの余裕が生まれたア女。74分、左サイドを突破したDF中田有紀(スポ3=兵庫・日ノ本学園)が、クロスを供給。右サイドで待ち構えていた山田仁が落ち着いて流し込み、追加点を挙げた。さらに、77分には、河野のクロスに山田仁が頭で合わせ、3点目。復帰戦で2得点と活躍を見せた山田仁は、試合後「両方ともいいボールが来すぎた」と振り返り、笑顔を見せた。3-0と相手を突き放したア女。さらに83分には、相手GKのキックミスを見逃さなかったMF村上真帆(スポ2=東京・十文字)が距離のあるところから駄目押しの4点目を決め、完封勝利を収めた。
公式戦の復帰戦となった山田仁。途中出場から2得点!
トーナメント方式という独特な緊張感もある中で、初戦を突破したア女。終わってみれば4-0と、後半に地力を見せつけた。しかし、河野が試合後に「自分たちのスタミナ勝ちというか、気力で4点が入ったのかなというのが正直あります」と語るように、相手の足が止まったところをア女が畳み掛けるという試合展開となった。2回戦で勝利すれば、皇后杯出場が決定する。終始相手を圧倒し、皇后杯出場を確実に勝ち取りたい。
(記事 下長根沙羅、写真 守屋郁宏)
スターティングイレブン
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関東予選優勝!中村の左足がチームを勝利に導いた/第39回関東女子選手権(2017.10.01)
第40回関東女子選手権 | ||||
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早大 | 4 | 0-0 4-0 |
0 | 前橋育英高 |
【得点】 (早大)61’河野 朱里、74’、77’山田 仁衣奈、83’村上 真帆 (前橋育英高)なし |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 木付 優衣 | スポ4 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | 2 | 渡部 那月 | 社4 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | 32 | 小林 菜々子 | スポ3 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | 23 | 源関 清花 | スポ3 | ちふれASエルフェン埼玉 |
→41分 | 15 | 冨田 実侑 | スポ2 | 岡山・作陽 |
DF | 3 | 中田 有紀 | スポ3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 5 | 安部 由希子 | スポ4 | 宮城・聖和学園 |
→78分 | 13 | 高瀬 はな | スポ3 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18 |
MF | 25 | 阪本 未周 | スポ2 | 大阪・大商学園 |
→41分 | 9 | 山田 仁衣奈 | スポ3 | 大阪・大商学園 |
MF | 14 | 田中 実夏 | スポ3 | セレッソ大阪堺レディース |
→41分 | 6 | 柳澤 紗希 | スポ4 | 浦和レッズレディースユース |
MF | 7 | 村上 真帆 | スポ2 | 東京・十文字 |
MF | ◎11 | 熊谷 汐華 | スポ4 | 東京・十文字 |
FW | 10 | 河野 朱里 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
◎=キャプテン 監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘) |
コメント
FW河野朱里(スポ4=静岡・藤枝順心)
――きょうの相手は高校生でしたが、やりづらさはありましたか
いや、それはあまり考えていませんでした。普段やったことの無い相手ということで試合に臨みました。
――前半は0-0でしたが振り返ってみていかがですか
相手がすごくシンプルなサッカーをしてくる中で、自分たちが保守的になってしまって、相手陣地で全然プレーできなかったことが課題として挙げられます。
――ハーフタイムではどのようなことを話されましたか
個人として、周りと連携するということについては、自分がとにかく裏に抜けるからそのスペースを、とか相手のいないスペースを使うということを攻撃陣に伝えて、共通理解として後半に臨みました。
――後半は4点入りましたが、前半から修正したことは何ですか
メンバーも大きく変わったので、個人の特徴を生かすという面では必然的に変えなければいけないこともありますし、相手もある程度足が止まってきた中で自分たちのスタミナ勝ちというか、気力勝ちで4点が入ったのかなというのが正直あります。
――先制点を決められましたが
ペナルティエリア内だったんですけど、あそこで相手のラインががたがただったので、左SBの裏にシンプルに顔を出したら仁衣奈(山田)が見てくれていました。前半に、なつ(渡部)がニアにシュートを打った時に、結構自分たちにとってチャンスになっていたので、相手のGKはニアが弱いのかなと思っていました。そこを狙えて良かったかなと思います。
――初戦を突破されましたが、今後に向けて意気込みをお願いします
日体大が上がってきたら、関カレの良い調整になると思いますし、来季2部に上がってくる大和シルフィードに関しては、格上なのでチャレンジャーの気持ちを持って戦えるのは、自分的には楽しみな相手かなと思います。
FW山田仁衣奈(スポ3=大阪・大商学園)
――復帰戦でしたね
久しぶりだったので緊張したんですけど、しっかりチームが勝ててよかったです。
――前半はベンチから戦況を見ていたと思いますが、どのように展開を見ていましたか
(相手が)高校生というのもあって、勢いのあるチームで、真ん中の枚数もワセダより1枚多くて、そこでセカンドボールが拾えていなかったので、中盤を支配されていたなというイメージがありました。うまくいかない中であまり声が出ていなかったし、要求はしていたと思うんですけど食い違いがあってミスが多かったりとかしていたと思います。もし自分が出たらサイドで起点をつくるという部分と、声で盛り上げられるようにしたいなと思っていました。
――リーグ戦とは違ってトーナメントのプレッシャーのようなものは感じていたのでしょうか
自分としては、トーナメントなので負けたら終わりという試合で、相手は高校生でしたけど、ナメてかかったら足もとをすくわれるというのもあるし、結構緊張をして入りました。
――結果として山田選手は2得点を記録しました。どちらも綺麗に決まった得点でしたね
両方ともいいボールが来すぎて、1点目は有紀(DF中田有紀、スポ3=兵庫・日ノ本学園)から来て、(自分は)フリーで流し込むだけでしたし、2点目も朱里さん(FW河野朱里、スポ4=静岡・藤枝順心)が顔を上げたときに「来るな」というのは感じていて、意識して中で準備していました。すごくいいボールが来て頭に当てるだけで入ったという感じなので、自分の点というかみんなで取った点という感じでした。
――2点目はヘディングシュートでしたが、当て方の難しい角度から来たボールだったのではないですか
皇后杯のボールは結構弾むので、難しいんですけど、薄くですね。でも当てるだけでした。
――来週は2日連続で試合があります。厳しい試合が続いてゆくと思いますが
関東予選の自分たちの目標は優勝なので、その目標を実現できるようにチーム一丸となって戦っていきたいと思います。