終盤は苦しむも、3戦連続の完封勝利

ア式蹴球女子

  5月とは思えぬ暑さの行われた関東女子リーグ戦(関東リーグ)第4節。関東リーグの開幕から3連勝と勢いに乗っているア式蹴球部女子(ア女)は、敵地・浦和駒場スタジアムに乗り込んだ。去年の関東リーグでも2戦2勝を収めている浦和レッズレディースユースに対して、序盤から何度もチャンスをつくり出す。30分に待望の先制点を挙げると、52分にも2点目を追加。この2点を守り切り、勝ち点3を獲得した。

 ゴールデンウィーク期間中に行われた合宿で、フィジカル強化を図ったア女。今節も強い日差しが差す中で、積極的なプレーを見せる。前半開始直後、DF渡部那月(社4=兵庫・日ノ本学園)のロングフィードに、抜け出したFW河野朱里(スポ4=静岡・藤枝順心)が反応。最後はMF熊谷汐華主将(スポ4=東京・十文字)がシュートを放つも、これは相手DFがブロック。惜しくも得点には結びつかなかったものの、早くも得点を予感させるシーンをつくりだした。しかし前半12分、アクシデントが起こる。ヘディングで競った河野が相手と激しく接触して転倒。しばらく身動きを取ることができず、ピッチ外で治療を受けた。幸い大事には至らずコートに戻ってきたものの、エースの離脱に一時は重い空気が流れた。風向きが変わったのは、30分だ。CKのチャンスにDF三浦紗津紀(スポ4=浦和レッズレディースユース)が頭で合わせると、このボールがバーを直撃。これを河野が押し込み、待望の先制点を挙げた。その後も何度か決定機が訪れたが、決めきることができず1-0で前半を終える。

先制点を決めた後、喜ぶ河野(左)と村上(右)

 後半も、いきなり見せ場をつくる。河野が左サイドからクロスを上げると、走りこんでいた村上がヘディング。ゴールに吸い込まれ、2点目を決めた。しかし、「(後半は)相手のドリブルについていけなかったり、自由にシュートを打たせてしまった」という言葉通り、ここから前半とは打って変わって相手に攻め込まれる場面が続く。しかし、勢いよく向かってくる相手に対して、渡部や三浦を中心に体を張ったディフェンスで得点を許さない。82分には、大きく手前に出ていた相手GKの頭上を狙ったボールをDF冨田実侑(スポ2=岡山・作陽)が蹴るが、これは惜しくも枠の外。3点目にはつながらなかった。また、88分には、GK木付優衣(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)に猛然と迫ってきた相手FWが木付からボールを奪い、そのままシュート。わずかにゴールから逸れて失点のピンチを免れた。このようにひやりとする場面であったものの、早い段階で決めた2点を守り切り、2-0の完封勝利を収めた。

積極的なプレーを見せた冨田

 きょうの白星によって、開幕4連勝で首位を独走しているア女。しかし、「全然思うような戦い方ができなかった」と三浦は試合を振り返る。後半は相手に攻め込まれる場面も増え、フリーでシュートを打たせてしまうなど苦しい時間帯もあった。しかし、体を張った守備からカウンターで得点を決めるなど、確かな収穫があったことは事実だ。結果だけではなく内容にもこだわるストイックな姿勢が、ア女をさらに強くする。次節は、神奈川大戦。全日本大学女子選手権でも激闘を繰り広げた相手だ。また現在関東リーグ2位につけており、楽な試合運びにはならないだろう。「同い年には負けたくないというようなプライドもある」(三浦)。来週は関東リーグ10連覇に向けて、1つ目のヤマ場になりそうだ。

(記事 下長根沙羅、写真 石塚ひなの、守屋郁宏)

スターティングイレブン

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第24回関東女子リーグ戦
早大 1-0
1-0
浦和レッズレディースユース
【得点】
(早大)31’河野朱里、52’村上真帆
(浦和レッズレディースユース)なし
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 木付 優衣 スポ4 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 24 佐々木 呼子 スポ2 宮城・常盤木学園
DF 32 小林 菜々子 スポ3 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 三浦 紗津紀 スポ4 浦和レッズレディースユース
→92分 23 源関 清花 スポ3 ちふれASエルフェン埼玉
DF 渡部 那月 社4 兵庫・日ノ本学園
MF 安部 由希子 スポ4 宮城・聖和学園
→82分 40 加藤 希 スポ1 アンジュヴィオレ広島
MF ◎11 熊谷 汐華 スポ4 東京・十文字
MF 村上 真帆 スポ2 東京・十文字
MF 13 高瀬 はな スポ3 ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18
→76分 37 並木 千夏 スポ1 静岡・藤枝順心
DF 15 冨田 実侑 スポ2 岡山・作陽
FW 10 河野 朱里 スポ4 静岡・藤枝順心
◎=キャプテン
監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘)
コメント

DF三浦紗津紀(スポ4=浦和レッズレディースユース)

――ゴールデンウィーク中は合宿も行ったと思いますが、この期間でどんな強化をしてきましたか

(実戦で)いろんな選手とプレーをする機会を持てた合宿になったと思います。あとはフィジカル面で強化を図るということで、試合数をこなす中で走るということをこなしてきました。守備では「みんなでこう守りたい」ということを少しずつかたちにできたのかなというのがありました。

――早大の選手として、古巣とのアウェーゲームはこれが最後になるかと思います。やはり特別な感覚もありましたか

やっぱり毎回思うのはやりにくいという印象です。でもその中で結果は絶対に残したいと、強い気持ちを持っていました。

――試合を振り返っていかがですか

全然思うような戦い方はできなくて、反省だらけなんですけど、持ち味であるセットプレーだったり、カウンターというところで得点ができたので、強みが出せたのかなとも思います。

――この試合に向けて準備してきた戦い方はどんなことですか

足元がうまい選手が多いので、そういうところをしっかり埋めるというのと、その中でもスペースのリスク管理というのをしっかりやっていこうと、準備をやってきていました。

――終盤は押し込まれる展開でしたが、あの時間帯の戦い方についてはいかがですか

相手が勢いを持って前に来ていたので、(自分たちも)前でやろうと思っていたんですけど、なかなか前に来ていたのをひっくり返すことができなかったです。その中で、守備でも後手に回ってしまったと思います。クリアであったり、大きいプレーで(局面を)ひっくり返すというところのレベルをもっと高くしていかないといけないと思いますし、守備で後手になってしまった時にどこでスイッチを入れるのかとかは、やっぱり自分が中心となってやっていかないといけないのかなと思います。

――とはいえ、3試合連続の完封です。この結果についてはいかがですか

数字だけ見たら無失点で、良いものだと周りから思われると思うんですけど、関東リーグで戦っている中では、無失点というだけでは満足いかないものがあります。内容にももうちょっとこだわっていきたいなと思います。

――来週は大学チームの中ではトップクラスの実力を持つ神奈川大との対戦です

もちろん高校生との試合もそうなんですけど、やっぱり同い年には負けたくないというようなプライドもあるので、気持ちは自ずと出てくるかなとは思います。絶対に勝ちます。

MF村上真帆(スポ2=東京・十文字)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

相手は高校生なんですけど、プレッシャーも早いし、すごく上手いので。後ろはセーフティーに、前は絶対点を決めてということだったので、勝てて良かったです。

――きょうはどのような戦術で臨まれましたか

結構相手のサイドが絞るっていうふうにスカウティングでやったので、サイドを有効に使っていこうと思いました。

――前半は早大が押している展開でした

結構自分たちの流れでできて、そこで1点決めることができて良かったです。

――後半は逆に押されていましたが

後半はゴール前とかで相手がドリブルしたのに対してついていけなかったり、自由に(シュートを)打たせてしまっていたので、そこをもっと最後まで体張って守らなければいけないと思いました。

――ヘディングを決められましたが得点シーンを振り返っていかがですか

最近練習でも試合でもすごく(シュートを)外していて。前半も、朱里さん(FW河野)からすごく良いボールが来たのに絶好のチャンスを外してしまったので、絶対に決めようと思って、決められてよかったです。

――合宿ではなにをしましたか

主に試合と、走りでした。(試合では)2チームに分かれたんですけど、普段組まない組み合わせとかが多くて、何試合もするうちに声掛けとか連携をしながら、みんなのプレーが分かって。その人の特徴を生かしたプレーをどうしたらできるかっていうのがよく分かった合宿でした。

――来週は神奈川大戦です。意気込みをお願いします

神奈川大は去年もやって接戦なので、もちろん勝つんですけど、圧倒できるように。神奈川大の短所をついていきたいと思います。