潮目を変えた村上弾。難敵・東洋大に3発快勝!

ア式蹴球女子

 前週からはうって変わって夏日となり、強い日差しが降り注ぐ東伏見サッカー場で、関東女子リーグ戦(関東リーグ)の第2節が行われた。開幕の早慶戦でライバルを一蹴し、勝利でシーズンをスタートさせたア式蹴球部女子(ア女)は、昨季の関東リーグ2部を制して昇格してきた新進気鋭のチーム・東洋大を迎えた。試合は、前半のうちに先制した早大が、後半にも2点を加えて快勝。完封勝ちで2連勝とした。

 早大にとっては、1月の全日本大学選手権準決勝で苦戦を強いられ、逆転で辛勝した(◯3-2)過去がある東洋大。この日も9分にMF熊谷汐華主将(スポ4=東京・十文字)が惜しいシュートを放ってからは、高く設定された相手の最終ラインにも苦しみ、なかなかシュートシーンをつくり出せない。ただ、守備では「(東洋大にボールを)持たせているという感じではできていた」(MF安部由希子、スポ4=宮城・聖和学園)。セカンドボールの回収もはかどり、互いにフィニッシュに至ることのできない状態が続く。前半も中盤に入ると、東洋大がペースをつかむ。25分にボックス手前からミドルシュートを浴びると、29分には自陣でクリアが甘くなったところをさらわれ、MF松井彩乃(4年)に決定的なシュートを許したが枠を外れる。その後も嫌な時間帯が続いたが、背番号7の一撃で守勢ムードをひっくり返した。35分、左サイドでフリーでボールを運んだMF山田仁衣奈(スポ3=大阪・大商学園)のクロスが、ゴール前に走り込んだMF村上真帆(スポ2=東京・十文字)の頭にぴったりと合う。ゴール左隅にたたき込んで、先制に成功した。その後はやや勢いを落とした東洋大に対し、早大は村上に決定機が2度訪れるなど攻勢を強めたが、追加点は奪えない。1点リードで前半を終えた。

先制点を決め、流れを引き寄せた村上

  ハーフタイムにMF高瀬はな(スポ3=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)に代えてDF中田有紀(スポ3=兵庫・日ノ本学園)を投入し、布陣を4-1-4-1に変えたが、後半に入っても早大ペースは変わらなかった。ポジションを1列上げたDF冨田実侑(スポ2=岡山・作陽)が何度もゴールに迫るなど攻め立てる。サイドハーフの選手を交代させ、同点弾を狙った東洋大の攻撃も、DF小林菜々子(スポ3=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)、DF三浦紗津紀(スポ4=浦和レッズレディースユース)の両センターバックを中心に跳ね返し続けると、待望の追加点が生まれる。安部のロングボールにFW河野朱里(スポ4=静岡・藤枝順心)が抜け出し、右足シュートで相手GKとの1対1を制して、リードを2点に広げた。直後、東洋大は2枚替えをするなどして状況の打開を図るが、以降は決定的なシーンを相手につくらせず、逆にチャンスが続いた早大。82分に安部の右CKから途中出場のFW山田彩未(スポ4=ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18)がヘディングシュートを決めて相手をノックアウトさせると、危なげなく試合を締めて勝ち点3を手にした。

2点目を決めた後喜ぶ選手たち

 開幕戦で上位争いの常連である日テレ・メニーナを下し、自信を携えて東伏見に乗り込んできた難敵を見事に攻略した。この日も「ディフェンスラインを高くしてくるというのはわかっていたが、慣れなくて苦戦してしまった」(村上)とはいえ、先制を許し、紙一重の展開に持ち込まれた1月の試合と同じ轍を踏むことはなかった。相手が前に出てきた時間帯をしのぎ、その後は理想的な試合運びで快勝。集中力を切らすことなく、クリーンシートも達成した。開幕2連勝となったア女だが、10連覇を狙う選手たちにとって、スタートダッシュは通過点にすぎない。この日のうだるような暑さで思い出されるのは、気温が上がった初夏以降に低空飛行した昨季の戦いぶりだ。春のうちにできるだけ貯金を積み重ねたい。そして、「いろいろなものを積み重ねながらやっていけたらいい」(安部)。結果だけでなく内容にもこだわり、狙うは今年こそ首位独走だ。

(記事 守屋郁宏、写真 下長根沙羅)

スターティングイレブン

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第24回関東女子リーグ戦
早大 1-0
2-0
東洋大
【得点】
(早大)35’村上真帆、63’河野朱里、82’山田彩未
(東洋大)なし
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 木付 優衣 スポ4 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 15 冨田 実侑 スポ2 岡山・作陽
DF 32 小林 菜々子 スポ3 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 三浦 紗津紀 スポ4 浦和レッズレディースユース
DF 渡部 那月 社4 兵庫・日ノ本学園
MF 13 高瀬 はな スポ3 ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18
→46分 中田 有紀 スポ3 兵庫・日ノ本学園
MF 安部 由希子 スポ4 宮城・聖和学園
MF ◎11 熊谷 汐華 スポ4 東京・十文字
MF 村上 真帆 スポ2 東京・十文字
MF 山田 仁衣奈 スポ3 大阪・大商学園
→67分 12 山田 彩未 スポ4 ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU18
FW 10 河野 朱里 スポ4 静岡・藤枝順心
◎=キャプテン
監督:川上嘉郎(昭51商卒=神奈川・横浜緑ケ丘)
コメント

MF安部由希子(スポ4=宮城・聖和学園)

――きょうの試合の感想としてはいかがですか

やっぱり暑かったですね。自分は試合にも慣れてないですし、集中力を切らさないようにという感じでした。それでも(集中が)途切れてしまったところもあったので、そこは試合を通して集中できるようにしなきゃいけないなと、きょう は改めて感じました。

――得点が入るまでは相手にボール支配されるシーンもあったと思いますが、集中して守ることができたのではないかと思います

できた部分とできなかった部分がどっちもあったと思います。(東洋大にボールを)持たせているという感じではできていたと思うので、そこは良かったです。でも、(中央へ)入ってきた時にどこで潰すかとか、細かいところはまだまだ修正していきたいなと思います。

――リードを奪ったあとは、非常に良い試合運びができたのではないですか

そうですね。やっぱり点が入ると気持ち的に緊張もほぐれると思いますし、(先に)点が入ったことはうれしかったです。

――セットプレーから何度も好機をつくりました。キッカーとしては良い感覚もあるのではないですか

中に競れる人たちがいっぱいいるので、良いところに上げようと頑張りました。

――それは今後も強みになってくる部分だと思いますが

そうですね。頑張ります(笑)。

――次戦に向けて

またいろいろなものを積み重ねながら、やっていけたら良いなと思います。

MF村上真帆(スポ2=東京・十文字)

――きょうの試合を振り返って

去年のインカレの準決勝で結構(東洋大に)苦戦したので、とりあえず先制点を取って絶対に勝とうという気持ちで臨みました

――点が入るまでは苦しかったと思いますが

相手はすごく特徴的なサッカーをしてきて、ディフェンスラインを高くしてくるっていうのはやっぱりわかってたんですけど、慣れなくてその戦い方に苦戦してしまいました。だけど1点入ったことによって自分たちの流れにできたので良かったです。

――東洋大の特徴は他にもありますか

あとは球際で素早く寄せてくるというのがあって、素早く寄せてこられると1個1個の小さなプレーも雑になってしまうので、その対応に苦しみました。

――点が入ったあとの展開はいかがでしたか

1点入ったことで自分たちにも余裕が出てきたので最初の焦っていた気持ちが無くなって、落ち着いて自分たちのプレーができたと思います。

――きょうのご自身のプレーについてはいかがでしたか

点は絶対決めようと思っていて。最初点を取れたのは良かったんですけど、他にもビッグチャンスを外してしまったので、次は絶対決めたいと思います。

――次節への意気込みをお願いします

結構暑くなってきているし、簡単な戦いではないことはもちろん分かっているので、しっかり一週間で疲労をとったり、相手の対策を取ったりしてしっかり良い準備をして迎えたいです。