シュート16本も不発。優勝へ後がなくなる初黒星

ア式蹴球女子

 関東女子リーグ戦も佳境に入り、この試合を含め、残すところ3試合。9連覇を目指す早大は、日テレ・メニーナ(メニーナ)との後期第5節を迎えた。優勝争いが白熱する中、勝ち点を積み上げるというだけでなく、ライバルを優勝争いから脱落させるという意味でも、勝利が欲しい一戦となった。しかし、この日は自慢の攻撃陣が沈黙。好機こそつくるものの、ゴールネットを揺らすには至らない。もどかしい展開が続くと、80分に痛恨の失点を喫してしまう。そのまま0-1でタイムアップを迎え、今季初黒星となった。

 コイントスで勝った早大は、風上のエンドを選択。高い足元の技術を持つメニーナの選手たちがボールをつなごうとする中、序盤は激しく吹く追い風に背を押されるように、果敢にハイプレスを仕掛けた。「ここで取り切ろう、ということを理解できていた」(MF松原有沙主将、スポ4=大阪・大商学園)。組織だった動きでパスコースを限定し、相手から選択肢を奪った。19分に最前線でFW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)がボールを奪って好機をつくると、ここから早大が一方的にボールを握る時間帯が続く。しかし、相手の人数をかけた守りを前に、素早い展開には至らず。アタッキングサードに幾度となく侵入したが、なかなかラストパスを通すことができない。好機が訪れたのは28分。FW熊谷汐華(スポ4=東京・十文字)が、左サイドでの河野とのパス交換からペナルティエリア内へ抜け出すが、シュートは枠外へ。その後は、ともに攻撃のかたちをつくることができずにいたが、42分、メニーナにゴールに迫られる。右から左へ素早くサイドを変えられると、DF船木和夏(高校2年)に強烈なミドルシュートを放たれる。クロスバーを叩くと、跳ね返ったボールをめぐる混戦はGK木付優衣(スポ3=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)らが体を張って守り、事なきを得た。

 2人の選手交代を行い臨んだ後半も、多くの好機をつくったのは早大。54分、4選手が絡んだテンポの良いパス回しから右サイドを崩す。河野からのパスに、ゴール前に走り込んだMF柳澤紗希(スポ3=浦和レッズレディースユース)が合わせたが、DFに阻まれた。60分には、左サイドの河野から松原を経由しサイドチェンジ。ボールを受けたMF平國瑞希(スポ4=宮城・常盤木学園)は、細かいタッチで相手選手をかわし、右45度からミドルシュートを放つが、GKに処理されてしまう。さらに、66分には松原が、67分にはMF中村みづき(スポ4=浦和レッズレディース)がそれぞれバイタルエリアからフリーでシュートを放つが、いずれも決め切れず。その後は、再び両者が攻撃の糸口をつかめない時間帯が10分ほど続く中、状況を打開したのはメニーナ。80分、ハーフウェーライン付近からの一本の縦パスで、船木に右サイドを突破される。折り返しに中央で選手がつぶれ、ファーサイドで待ち構えていたMF菅野奏音(高校2年)が決めた。これで追う展開となった早大は、直後の82分。柳澤の右サイドからのCKに、ニアサイドでDF奥川千沙(スポ4=静岡・藤枝順心)が頭で合わせたが、枠の左へ外れる。さらに、アディショナルタイムにはエリア手前から柳澤がミドルシュートを放つが、わずかにゴール上に外れ、万事休す。シュート数では圧倒したが1点が遠く、優勝へ向け黄信号が灯る敗戦となった。

 力負けだった。「(相手には)ひたむきさがあるなと感じた」(木付)。メニーナの球際への寄せの速さと、徹底したカバーリングに苦戦。組織的な守備を前に、ブロックの外側でシュートを打たされるようなシーンも散見された。この日、勝ち点で並んでいたジェフユナイテッド市原・千葉レディースU-18(ジェフ)が引き分けたため、早大は首位から陥落。次節、東伏見に迎えるのはそのジェフだ。引き分けなら自力優勝の可能性が、敗れれば優勝の可能性そのものが消滅するという、まさに背水の陣となる。下を向いている暇はない。「少しでも多くのことを改善して、強い気持ちで勝てたら良い」(松原)。今こそ全員の力を結集し、天王山となる一戦で、必ずや勝利をつかんでくれるはずだ。

 

(記事 守屋郁宏)

 

※撮影が禁止のグラウンドだった為、今記事に写真の掲載はありません


 

 

関東女子リーグ戦 後期第5節
早大 0-0
0-1
日テレ・メニーナ
【早大 得点者】なし
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 木付優衣 スポ3 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 15 中田有紀 スポ2 兵庫・日ノ本学園
DF 三浦紗津紀 スポ3 浦和レッズレディースユース
DF 奥川千沙 スポ4 静岡・藤枝順心
DF 渡部那月 社3 兵庫・日ノ本学園
MF ◎5 松原有紗 スポ4 大阪・大商学園
MF 中井仁美 スポ4 兵庫・日ノ本学園
MF →46分 柳澤 紗希 スポ3 浦和レッズレディースユース
MF 平國瑞希 スポ4 宮城・常盤木学園
MF 10 中村みづき スポ4 浦和レッズレディース
MF →88分 田中 実夏 スポ2 セレッソ大阪堺レディース
MF 11 熊谷汐華 スポ3 東京・十文字
MF →46分 大井美波 社3 大阪・大商学園
FW 河野朱里 スポ3 静岡・藤枝順心
◎はゲームキャプテン
監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協)
コメント

MF松原有沙主将(スポ4=大阪・大商学園)

――きょうの試合を振り返っていただけますか

風もあって、特に前半は自分たちがチャンスを作れた中で、決めきれないというのが後半も続いてしまって、一本のカウンター気味の相手のプレーで失点してしまって、隙をつくった結果がそういうふうになったと思います。もっとシュートを打てる場面とかもあったので、決定力というのはずっと出ている課題ではあるので、そこをもっと上げていかないといけないなと思いました。一つ一つの甘さが出た結果かなと思います。

――立ち上がりから、高い位置からのプレスで主導権を取ったように見えました

結構はめどころがはっきりしていて、自分たちの中でここで取り切ろうということを理解できていた部分も大きくて、結構はめることもできていたんですけど、それが後半になって、できていた部分もあったんですけど、ゆるくなってしまうところだとか、中盤での球際の部分で行き切れないだとか、そういうものが出てしまったので、それ(良いパフォーマンス)をずっと90分間通してできるようにしていかないと思います。できない時ももちろんあると思うので、そこはまた違う対策ではないですけど、(できない時に)どうするかというのを共通理解を深めていけたら良かったかなと思います。

――ボールを握る時間も長かったと思いますが、なかなか普段と同じような崩しにはつながりませんでしたね

朱里(FW河野、スポ3=静岡・藤枝順心)に当たった時の関わりが遅くなってしまったり、押し上げがなかったりという部分で、もうちょっと距離を近くしてプレーできたら、いつもみたいなダイレクトでの崩しだったり、サイドからも攻めることができたと思うので、そこは関わりというのをもうちょっと大事にしてやっていきたいと思います。

――きょうの試合で悔いが残る部分というのはどういうところですか

やっぱり一本(のパス)でやられてしまったので、そこの対応をはっきりさせるという部分と、決め切れなかったという部分だと思います。

――次戦は優勝を目指す上で非常に大きな意味を持つ一戦になりますが

勝たないと優勝がないという状況になったと思うので、今回色々と反省点も出たので、もう一回1週間チームの中で少しでも多くのことを改善して、強い気持ちで勝てたら良いなと思います。

FW平國瑞希(スポ4=宮城・常盤木学園)

――感想をお願いします

相手は技術があるのに、足だけで行ってしまったり、守備でのハードワークが足りなかったかなと思います。

――今リーグ初めての敗戦となりました

リーグ戦、絶対に負けられない中で失点してしまって、悪い流れを攻撃陣も断ち切れなかったので悔しいです。

――

数的不利を結構作られてしまったかなとは思います。でも自分が(ボールを)持った時にもっと縦にいったり、タメを作れば周りがサポートに来れる時間できたんじゃないかなと。自分の判断の遅さは課題だと思います。

――きょう見えたチームの課題は

後半、流れが悪い時に声をかけあって、いい方向に持っていくことができなかった部分です。そこは自分も4年生なのでもっとリーダーシップをとってプレーだったり声かけだったりで悪い流れを断ち切れるようにしたいと思います。

――次戦に向けての意気込みをお願いします

とにかく勝たないといけないので、チーム全体でしっかりと練習に取り組んで、自分も得点やアシストでチームに貢献したいと思います。

GK木付優衣(スポ3=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)

――感想をお願いします

やることがきちんとやれていなかったと思います。選手間で話して、できていないことを良くしようということがなかったかなと。

――前半、かなり指示を出していましたね

ファーストディフェンスを行かせたいんですけど、どうしてもGKからだと遠くて遅くなっちゃったりするのでもう少し中盤から守備の方向づけをしないといけないかなと思いました。

――GKからみたきょうのチームのプレーや、試合全体の運び方など

前半、風上を取れたんですけど、ゴールに向かってプレーをできていなかったと思います。チームとしてどう戦っていくのか、どういう試合運びをするのか、という統一が取れてなかったかと思います。

――相手の印象は

純粋に上手だなと思いました。

――具体的には

上手というか、ひたむきさがあるなと感じました。それがいまの私たちに足りていない部分だと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

きょねんは早くに優勝を決めていたんですけど、ことしはまだなので。しっかりと勝ち切って優勝できるようにがんばります。