早慶女子サッカー定期戦(早慶サッカー)から中1日、関東女子リーグ戦(関東リーグ)の後期第4節が行われ、早大は関東学園大と対戦した。優勝に向け落とせない戦いが続く早大は前半だけで4−0とし、試合の主導権を完全に掌握。後半も2点を追加し、6−0で圧勝した。
この日はサイドを広く使った攻めで相手を敵陣に釘付けにし、試合を優位に進めていった。7分、ゴール前の混戦から最後はMF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)が滑り込んでシュート。これは前に出てきた相手GKにセーブされたが、その6分後には先制に成功する。13分、中村の右CKをDF三浦紗津紀(スポ3=浦和レッズレディースユース)がダイレクトボレー。早慶サッカーに続きセットプレーから先制点をもぎ取った。さらに20分、MF中井仁美(スポ4=兵庫・日ノ本学園)の折り返しを受けた中村がフリーの状態で右足を振り抜く。しかし強烈なシュートは相手GKにセーブされクロスバーを直撃。追加点とはならない。それでも止まらない早大は28分、DF渡部那月(社3=兵庫・日ノ本学園)がドリブルで右サイドを突破し速いクロスを上げると、ファーサイドから中に飛び込んできたのはFW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)。「さつ(三浦)に先に点を決められて悔しかった」と振り返るエースは、ダイビングヘッドでボールをゴールに押し込み、貴重な追加点をもたらした。3点目は33分、サイドから中に絞ってパスを受けたMF熊谷汐華(スポ3=東京・十文字)がスルーパス。それを受けた中村が河野に折り返すと、最後は河野が豪快なシュートをゴール右上に突き刺した。続く40分、切り返しで相手をかわした渡部が左足を一閃し、自らゴールを狙う。右45度から放たれたシュートは、綺麗な弧を描きゴール左に吸い込まれた。前半だけでスコアを4−0とし、早くも勝利を決定付けた。
完璧なシュートを決めた渡部
早大は後半に入っても攻撃の手を緩めない。55分、FW平國瑞希(スポ4=宮城・常盤木学園)がドリブルでバイタルエリアに侵入しそのままシュート。相手GKの頭上を貫くミドルシュートが決まり5−0とした。その4分後には、DF中田有紀(スポ2=兵庫・日ノ本学園)がカットインで切り込み右足でFW顔負けの鋭いシュートを放つも、わずかにゴール右へ逸れてしまった。60分には疲労を考慮してかMF松原有紗主将(スポ4=大阪・大商学園)と中村を同時交代。代わってMF安部由紀子(スポ3=宮城・聖和学園)とMF田中実夏(スポ2=セレッソ大阪堺レディース)が投入された。そして67分、河野のスルーパスに抜け出した熊谷汐が左足で冷静に流し込み6点目。試合はこのまま6−0で終了した。
絶好調の河野、向かうところ敵なしだ
受け身になる相手に対し、サイドをうまく使った攻めを展開し圧倒した早大。早慶サッカーではファーストDFを絞り切れなかったことも課題の一つとして残ったが、この試合では失った後に素早くプレスをかけボールを回収し、相手に付け入る隙を与えなかった。関東リーグは残すところあと3試合。日テレ・メニーナ、ジェフ市原・千葉レディースU−18、浦和レッズレディースユースと上位につける難敵との対戦が続いていく。「どの試合も絶対に勝ち切らないといけない」(渡部)。負けが許されない状況の中で、王者・早大はどれだけ真価を発揮することができるのか。激戦必至の残り3試合に注目だ。
(記事 栗村智弘 写真 篠原希沙・守屋郁宏)
スターティングメンバー
関東女子リーグ戦 後期第4節 | ||||
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早大 | 6 | 4-0 2-0 |
0 | 関東学園大 |
【早大 得点者】13三浦/28,33河野/40渡部/55平國/67熊谷汐 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 木付優衣 | スポ3 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | 15 | 中田有紀 | スポ2 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | 4 | 三浦紗津紀 | スポ3 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 3 | 奥川千沙 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
DF | 2 | 渡部那月 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | ◎5 | 松原有紗 | スポ4 | 大阪・大商学園 |
MF | →60分 | 安部由希子 | スポ3 | 宮城・聖和学園 |
MF | 8 | 中井仁美 | スポ4 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | →71分 | 村上真帆 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | 9 | 平國瑞希 | スポ4 | 宮城・常盤木学園 |
MF | 10 | 中村みづき | スポ4 | 浦和レッズレディース |
MF | →60分 | 田中 実夏 | スポ2 | セレッソ大阪堺レディース |
MF | 11 | 熊谷汐華 | スポ3 | 東京・十文字 |
FW | 7 | 河野朱里 | スポ3 | 静岡・藤枝順心 | ◎はゲームキャプテン 監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協) |
コメント
MF松原有紗主将(スポ4=大阪・大商学園)
――6-0の快勝でしたね
けっこう自分たちが攻めれる時間があったんですが、最近点が決められないという中できょうは6得点できて良かったなと思います。
――無失点、大量得点での勝利を達成しました
無失点に抑えられたのは良かったと思いますし、得点もいいかたちで、やりたいプレーで得点できたというのはこれからも続けていきたいです。
――さまざまな人が点に絡みました
いままでは朱里とかなかみにかたよっていたんですけど、色んな人が点を取れたのはチームにとって良いことだと思います。
――交代してベンチから見たチームはいかがでしたか
自分が抜けてからも逆サイドの展開だったり、いい崩しがあって、自分と違ったプレースタイルの子が入っていましたし、こういうプレーをしてみたいなとか、いい刺激になりました。
――次戦に向けて意気込みをお願いします
これからも負けられない戦いが続いていくんですが、前期2チームに引き分けているのでリベンジじゃないですけど、勝ちたいですし、きょうみたいに少ないタッチでの崩しだったりでやっていけば点も取れると思うので。あとは守備の面も少し改善して、優勝に向けてがんばっていきたいと思います。
DF三浦紗津紀(スポ3=浦和レッズレディースユース)
――早慶戦から中1日での試合となりました。きのうはどんな調整をされたんですか
早慶戦は帰りが遅かったこともあって、20分走って汗流すくらいで、本当に軽めで終わりました。
――試合を全体的に振り返っていかがでしょうか
勝たなきゃいけないっていう中での試合だったので、内容どうこうというよりは、勝ったことに大きな意味があるのかなと思います。
――先制点を決めたシーンについては
最近先制点がなかなか取れなかったですし、自分としても得点っていうのが全然できていなかったので、こういう(日程で)チームがあまり良い状況じゃない時に、チームの流れをつくれるようにゴールしたいなと思っていたので、集中していました。
――大量得点と無失点を達成しての勝利となりました
今シーズンの自分たちは、やることさえ一人一人がしっかりできれば、こういう試合ができるはずだと思っています。何かがかみ合わなかったりしてきて、今シーズンここまで結果があまり出てこなかったんだと思うんで、きょうなんで良かったのかというのを一人一人が考えて、継続していきたいと思います。
――次節に向けて
また次も勝たなきゃいけない試合ですし、勝っていけば優勝が決まると思うので、自力で決められるように、一個一個のプレーとかにしっかりこだわって、絶対勝ちたいと思います。
DF渡部那月(社3=兵庫・日ノ本学園)
――きょうの試合はいかがでしたか
先制点を早いうちに取れたことで、チームとして勢いをつけることができたと思いますし、無失点出会えられたことも良かったと思います。
――早慶サッカーに続いてきょうもセットプレーから先制点を奪いました
サイド攻撃からクロスを上げたり、コーナーを取れたりして、その中でセットプレーに強みがあるのはチームとしても武器になるので、もっと伸ばしていければと思います。
――きょうはサイドを広く使った攻めを展開できていたように思います
監督(福島廣樹、昭45教卒=東京・独協)からもサイドを使うように指示が出ていて、しっかり崩せて点につなげられたので良かったです。
――4点目は渡部選手の左足から生まれました
そろそろ点決めたいなあって思ってたので、良かったです(笑)。
――ああいったかたちは普段から練習していますか
なかなか左足で蹴ることはないんですけど、きょうはそれがいいコースに飛んでくれて良かったです。
――無失点で終えられたことも収穫になったのでは
ここ最近失点が少し多いなと思ってましたし、きょうはディフェンスラインを中心としてしっかり声がけができたと思います。無失点だったら負けることもないので、そこを突き詰めていきたいです。
――関東リーグ優勝に向けてここから正念場を迎えますが、どういった気持ちで残り3試合に挑みたいですか
どの試合でも絶対に勝ち切らなければいけないので、得点もそうですけど、DFとして無失点で終えるこもを第一に頑張っていきたいです。
FW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)
――感想をお願いします
早慶戦よりも点を取れたし、いろんな人が点を取れたというのも良かったと思います。
――無失点、大量得点での勝利が目標とのことでした
大量得点もできましたし、相手に責められる時間があまりなかったと思います。それはDF陣がうまくやってくれたので失点する感じはありませんでした。ただ、得点はもう少しできたかなと。後半2点しかとれてないので。そこはもう少し改善していかないといけないなと思います。
――得点シーンを振り返って頂けますか
ダイビングヘッド、珍しいですよね(笑)。あれはさつ(DF三浦紗津紀、スポ3=浦和レッズレディースユース)が先に点を決めていて、もちろん嬉しいことなんですけど、FWとしては悔しかったので、それがあのダイビングヘッドにつながったかなと思います。2点目はみっちゃん(MF中村みづき副将、スポ4=浦和レッズレディース)がいいボールをくれて、相手も周りにいなかったので1回タッチして、GKの位置もしっかり見てから決めることができたので良かったと思います。
――アシストも記録しています
あれはかなりいいかたちで崩せていて、実夏(MF田中、スポ2=セレッソ大阪堺レディース)からいいボールがきて。自分でもいけたんですけどしお(MF熊谷汐華、スポ3=東京・十文字)が走っているのが見えて、あっちはDFが全然ついてこれていなかったので出しました。ただ、パスは少しずれちゃったんですけどしおが上手くカバーしてくれたので良かったです。
――きょう出た課題は
後半の途中でありさん(MF松原有沙主将、スポ4=大阪・大商学園)とみっちゃんとひとさんが交代して、中盤がいつもと全然違うメンバーになった時に少し間延びしてしまったかなと。メンバーが代わっても同じ力を出せるチーム力が必要になってくると思うので、誰が出ても同じパフォーマンスができるようにしたいと思います。
――次戦に向けての意気込みをお願いします
もう勝ち以外許されない中で、前期はクラブチーム相手に引き分けが多かったので、まずは日テレ・メニーナからしっかり無失点で勝ちたいと思います。