4月から始まった関東女子リーグ戦(関東リーグ)は、はやくも第5節に突入。きょうはホームに現在2位でワセダを追う日テレ・メニーナ(メニーナ)を迎えた。9連覇を目指すア式蹴球部女子(ア女)にとって絶対に負けられない一戦だったが、試合は開始直後からメニーナのペースで進む。ア女は思うようにボールを回すことができず、なかなかフィニッシュまでいくことができない。後半もいくつかの決定機を逃し、0−0のまま試合終了。開幕からの連勝が4でストップしてしまった。
今季、これまで快勝を続けてきたア女。しかし、「本当に自分たちのプレーができなかった」とMF松原有紗主将(スポ4=大阪・大商学園)が振り返るように、きょうは一転してうまくパスが回らなかった。前半は、豊富な運動量と、個人技に加え、ロングボールなどで揺さぶりをかけてくるメニーナに攻め込まれる時間が続いた。対するワセダの攻撃陣も前線にボールを運ぶものの、相手の寄せの速いディフェンスに苦戦し、シュートで終わることができない。ようやく大きなチャンスが巡ってきたのは34分。ボールを受けたDF渡部那月(社3=兵庫・日ノ本学園)が放ったセンタリングにFW河野朱里(スポ3=静岡・藤枝順心)が飛び込んだ。これは惜しくもゴール右上に逸れてしまい先制とはならなかったが、この1プレーが攻撃陣を勢いづけた。この試合であまり見られなかった大きなサイドチェンジや、最終ラインからのロングフィードなどワイドな攻撃を展開。しかしどれも得点に結びつかないまま前半を折り返した。
現在得点ランキング上位につけている河野
ア女は後半からMF熊谷汐華(スポ3=東京・十文字)とMF松本茉奈加(スポ1=東京・十文字)の2人を投入し、巻き返しを図った。ところが、後半開始からわずか9分後、現在リーグの得点ランキング1位を走る菅野奏音(高校2年)が1人で持ち込み、豪快に振り抜いたシュートはクロスバー直撃。九死に一生を得たが、ヒヤっとする場面だった。さらにその直後、これまで献身的なディフェンスでチームを救ってきたDF中田有紀(スポ2=兵庫・日ノ本学園)が負傷退場。ア女は窮地に追い込まれた。しかし、ここで前節に引き続いての出場となったMF松本茉奈加(スポ1=東京・十文字)が持ち前の突破力を発揮する。熊谷汐からボールを受けた松本は右サイドをえぐり、センタリングを供給。そこに走り込んだ河野が折り返すも、誰も反応できずにまたも決定機を逃してしまった。その後もチャンスを決め切ることができないまま、時間だけが過ぎていく。試合終了間際には暑さの影響からか体力も限界となり、メニーナにボールを回され、あわやという場面を何度も迎えるが、リーグ戦初出場のGK鈴木佐和子(スポ1=浦和レッズレディースユース)の安定したセービングや、DF奥川千沙副将(スポ4=静岡・藤枝順心)とDF三浦紗津紀(スポ3=浦和レッズレディースユース)の身体を張ったディフェンスでなんとかゴールを守り切り、スコアレスドローで試合終了。今季初めての引き分けに終わった。
フル出場となった渡部
「つなげるところで簡単に取られてしまった」(松原主将)。「攻撃が焦り過ぎて単調になってしまった」(MF中村みづき副将、スポ4=浦和レッズレディース)。試合後、選手たちは改善していくべき課題を次々に口にした。チームの連携不足、ここぞの時の決定力に欠ける、といったいまのア女の課題が露わになった今節。しかし、「しっかりチームで課題を改善して、盛り上げていきたい」(奥川副将)。誰1人として下を向くことなく、すでに次こそはと気持ちを切り替えていた。この試合で見えた課題を自分たちの中でしっかりと消化しすることで、チームがさらなる成長を遂げることは間違いない。選手たちはこの失った勝ち点2を決して無駄にはしないだろう。次戦の相手もメニーナと同じく上位につけているジェフユナイテッド市原・千葉レディースU-18だ。厳しい戦いが予想されるが、次こそはア女のはじける笑顔を見ることができると信じている。
(記事 篠原希沙、写真 梶井夏葉)
スターティングメンバー
関東女子リーグ戦 第5節 | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 0 | 0-0 0-0 |
0 | 日テレ・メニーナ |
早大メンバー | ||||
---|---|---|---|---|
ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 21 | 鈴木佐和子 | スポ1 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 15 | 中田有紀 | スポ2 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | →61分 | 森田 海 | スポ2 | JFAアカデミー福島 |
DF | 4 | 三浦紗津紀 | スポ3 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 3 | 奥川千沙 | スポ4 | 静岡・藤枝順心 |
DF | 2 | 渡部那月 | 社3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | ◎5 | 松原有紗 | スポ4 | 大阪・大商学園 |
MF | 33 | 田中 実夏 | スポ2 | セレッソ大阪堺レディース |
MF | 9 | 平國瑞希 | スポ4 | 宮城・常盤木学園 |
MF | →46分 | 松本茉奈加 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | 10 | 中村みづき | スポ4 | 浦和レッズレディース |
MF | 17 | 大井美波 | 社3 | 大阪・大商学園 |
MF | →46分 | 熊谷汐華 | スポ3 | 東京・十文字 |
FW | 7 | 河野朱里 | スポ3 | 静岡・藤枝順心 | ◎はゲームキャプテン 監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協) |
コメント
MF松原有紗主将(スポ4=大阪・大商学園)
――率直な感想をお願いします
相手に随分と回されて、自分らもはめどころがはっきりせずに、全部軽いプレーになってしまって、ズルズルと下がってしまいました。悪い流れというか、本当に自分たちのプレーができなかったのなという感じです。
――無得点に終わった要因はなんだったと思いますか
そもそもまずシュートまでいけなかったというのと、攻撃の面で人数をかけられなかったり、つなげるところで簡単に取られてしまったり。もっと組み立てるところからしっかりやっていかないとシュートまでいけないですし。もっと落ち着いて組み立てるところはやって、状況にあった判断を全員ができたら良かったかなと思います。
――そんな中でも無失点でした
ディフェンスは前からはめれずに、サイドからとか少ないタッチで崩されてしまうことが多かったかなと思います。ただ、ボランチがあまりバックできてなくて、ディフェンスラインに任せっきりになってしまっていて、ディフェンスが体張ってくれていたのでよかったんですが、もっとボランチが下がってサンドしたり、カバーに入らないと、もっと高いレベルになると簡単に失点してしまうかなと思いました。
――日テレ・メニーナの印象は
それぞれみんな落ち着いていて、1人で打開できる力があるのに対して、自分たちはもっと連動してやらないといけなかったんですけど、個々になってしまっていて。個々で取れないならもっと2人、3人となって取り切らないといけなかったなと思います。
――チームの連携がきょう見つかった課題ということでしょうか
そうですね、どこではめきるかとかですね。これまでは自分たちが回してる試合が多かった中で、きょうは回されるという立場になって、いままでもずっと課題ではあった連動したディフェンスというのがあまり機能しなかったかなと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
次の相手もかなり走ってきたり、粘り強いというイメージがあるので、もっかいしっかりとディフェンスから修正して、合わせるところはから合わせて。今回出た課題を少しでも改善してプレーに表せたらいいなと思います。
MF中村みづき副将(スポ4=浦和レッズレディース)
――率直な感想をお願いします
きょうは首位対決だったので、勝たないといけなかったんですけど、得点も取れなかったので残念な結果だと思います。
――今季初の無得点に終わった原因は
攻撃が焦り過ぎて単調になってしまったのと、守備の面でも緩急がなくてだらだらと追ってしまったので、なかなかいいかたちで奪うことができなかったのが原因かなと思います。
――何度かピンチがありましたが、無失点に抑える事ができました
ディフェンスライン中心に声をしっかり出して、無失点というように守り切れたのはよかったんですけど、人数をかけているにも関わらず途中行かれてしまう場面もあったので、まだまだ課題があると思います。
――中村選手ご自身のプレーの出来については
全然良くなかったです。攻撃の面でも起点になれなかったし、守備の面でももう少しボランチと連携して、ボールを取りきるってことが出来たら良かったんですけど全然絡むことが出来ませんでした。自分は前の方の選手なんですけど、もっと声を出して守備の意識も高めないといけないと思います。
――戦ってみての日テレ・メニーナの印象は
メニーナは知ってるチームだったんですけど。足元がうまい選手が多いので、足でいったら簡単にかわされてしまうっていうイメージをみんなおそらく持っていたので、相手との間合いが遠くなってしまったかなと。なので、対峙した時の個々の対応をあげていかないと簡単にボールを回されてしまうかなと思いました。
――次戦への意気込みをお願いします
今回このように勝ち点が1となってしまったので、きょう出た課題をこの1週間できっちりと直して、次は絶対に勝ちたいと思います。
DF奥川千沙副将(スポ4=静岡・藤枝順心)
――今リーグ初の引き分けとなりました。率直な感想をお願いします
暑かったです。相手よりは走れていたと思うんですけど、バテ気味になっていたので、そこで動けるかが勝敗のカギだったのかなと思います
――おっしゃられていた通り、暑い中での試合となりました。コンディション的にはいかがでしたか
そうですね。みんな暑いのはわかっていたし、きのうも暑い中でトレーニングをしていたので、予想はしていたんですけど、それ以上の暑さに耐えられなかったというか。全員覚悟はしていたと思うので、それでできなかったことは各自、もう少しコンディションを整えて臨むべきだったのかなと思います
――きょうの対戦相手の日テレ・メニーナの印象はいかがでしたか
メニーナはいつも小柄でちょこちょこ回してくるイメージだったんですけど、背も高くて、ロングだったりとか、一対一の局面でレベルが上がってきているな、と試合中に感じて、その中でどうやって対応していくか、みんな考えていたと思います。
――奥川選手自身はどのように対応して、試合を組み立てていこうと
とりあえず早い段階で点は欲しかったんですけど、ずるずるとしてきて、失点だけはしないように、集中力切らさないように、90分間走れればいいなと思っていました
――ワセダ側は後ろからのロングボールが少なかった印象を受けたのですが
そうですね。狙ってはいたんですけど、相手もそれに対応してきていたし、自分たちのラインも少し低かったので、出しづらかったのかな、と思います
――無失点で試合を終えられたことに関してはいかがですか
それは90分間しっかり集中して、みんなが守備からっていうのを意識してできたからかなと思います
――きょうの試合で見つかったチームの課題は
決定機を逃さずにちゃんと点を決めるというのと、失いどころとか、ちょっとの集中の切れが後に繋がってくると思うので、しっかりそこを繋げられるようにしていきたいと思います
――次節に向けてひとことお願いします
しっかりチームで課題を改善して、盛り上げていきたいと思います