決勝進出!インカレ連覇が目の前に迫る

ア式蹴球女子

 昨年末に行われた全日本大学女子選手権(インカレ)2回戦(帝京平成大戦○4-0)、準々決勝(新潟医療福祉大戦○3-0)で快勝を収め、仲間の待つ東京へと帰ってきたエンジイレブン。中日が空き迎えた準決勝は、関東大学女子リーグ戦(関カレ)で苦戦を強いられた(第7節△3-3)武蔵丘短大との対戦だ。アルビレックス新潟レディースへの新加入が決まったMF園田瑞貴をはじめ、足元の技術に優れている選手が多い相手をディフェンスラインでいかにつぶすことができるかが重要となった今試合。後半の失点シーンから焦りが見られる場面もあったが、2-1で決勝進出を決めた。

MF松原有沙(スポ3=大阪・大商学園)のトラップからのシュートで幸先よいスタートを切った

 サブで控えていたGK山田紅葉主将(スポ4=東京・十文字)のベンチからの掛け声と共に、ア式蹴球部女子(ア女)チーム全員の声が会場に鳴り響いた。試合開始のホイッスルが鳴ると、早大は開始早々から相手ゴールに迫る。松原のクロスをFW河野朱里(スポ2=静岡・藤枝順心)が押し込んだが、これは惜しくもポストに弾かれた。その直後、今度は相手に鋭いミドルシュートを撃たれてしまうが、GK木付優衣(スポ2=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)が飛び込みキャッチ。固く守って好機を逃さずに敵陣へと攻める早大は、ついに16分、均衡を破る。河野のパスを受けた松原のトラップからのシュートが待望の先制ゴールとなった。続いて26分には、DF三浦紗津紀(スポ2=浦和レッズレディースユース)のロングボールから河野が反転シュート。「さつ(三浦)と目が合って、あれが自分の得意な形だったので」(河野)と、互いのアイコンタクトから生まれた得点となった。

 リードを2点に広げて折り返した前半。「2点は一番危ない点差でもある」と松原が語ったように、後半は集中力を入れ直して挑んだが、57分に失点を喫する。中盤で相手の思うがままにパスを回されると隙を突かれ、得点を許してしまった。その得点を皮切りに早大ゴールへと仕掛けていく武蔵丘短大に対し、早大も負けじと決定的な場面を何度もつくった。66分に松原のFKからヘディングで何度も押し込もうとする。しかし、相手DFとの競り合いを制せず惜しくも得点にはならなかった。続いて試合終盤にMF中井仁美(スポ3=兵庫・日ノ本学園)も再三のシュートを放ったが、相手GKのセーブで追加点を得られない。その後もスコアは動かず2-1で試合終了。失点後も攻めの姿勢を貫いた早大に軍配が上がった。

失点後も最後まで攻めの姿勢を貫いた

 この一年間、ア女が一番に目指してきた大学日本一、そしてインカレ2連覇がいよいよ目の前に迫ってきた。決勝で当たるのは、関カレ最終節で大敗(●0-3)を喫し、インカレでは16回の優勝経験がある日体大だ。決勝で日体大と当たるのは4年ぶりであるが、ア女はこれまで24回行われたインカレの決勝で、一度も日体大に勝利を挙げたことがない。涙の準Vで終わった4年前のインカレ。終始ペースを握られ何もできなかった今季の関カレ最終節。明日の決勝で、涙ながらに山田紅主将が語った「インカレではこの借りを返したい」という言葉の有言実行を果たせるか。明日の決勝は、インカレ、そしてア女の歴史を変える、大事な一戦となるはずだ。ア女らしいサッカーで観客を沸かし、最高のフィナーレを迎えてほしい。

(記事 新庄佳恵、写真 桝田大暉、篠原希沙)

スターティングメンバー

全日本大学女子サッカー選手権大会準決勝
早大 2-0
0-1
武蔵丘短大
【得点者】(早)16松原、26河野(武)57八浪
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 木付優衣 スポ2 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 32 中田有紀 スポ1 兵庫・日ノ本学園
DF 三浦紗津紀 スポ2 浦和レッズレディースユース
DF 奥川千沙 スポ3 静岡・藤枝順心
DF 渡部那月 社2 兵庫・日ノ本学園
MF 中井仁美 スポ3 兵庫・日ノ本学園
DF 松原有沙 スポ3 大阪・大商学園
FW 平國瑞希 スポ3 宮城・常盤木学園
MF →84分 熊谷遥楓 スポ3 北海道大谷室蘭
MF ◎10 中村みづき スポ3 浦和レッズレディース
MF 22 熊谷汐華 スポ2 東京・十文字
FW 河野朱里 スポ2 静岡・藤枝順心
◎はゲームキャプテン
監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協)
コメント

MF中村みづき(スポ3=浦和レッズレディース)

――今季も決勝に勝ち進むことができました。いまのお気持ちは

決勝に行けるということは喜ばしいことだと思うのですがことしのア女が目指しているのは優勝することなので、ここで満足することなくいい準備をしていかないといけないなと思います。

――関東大学女子リーグ戦(関カレ)で3-3のドローとなった武蔵丘短大にどのような対策がありましたか

相手の7番がうまいということは前回対戦でわかっていたので、そこをしっかり抑えるということと武蔵丘短大はトリッキーなプレーが多いと前もってわかっていたのでしっかり人についていくということをチームで練習してきました。

――前半は2点リードと幸先のいいスタートだったと思いますが振り返っていかがですか

前半は点を決められたというのはよかったのですが、前半後半共に立ち上がりがよくなかったのでそこを課題として取り組んでいかないといけないと感じました。

――後半開始12分に失点し、そこから相手の勢いも増してきましたが

いつもだったらあそこから失点を重ねてしまうところだったのですが、あそこでしっか1失点に抑えられたというのはチームで成長できたところだと思います。

――全日本大学女子選手権(インカレ)の決勝で日体大とぶつかるのは4年ぶりです。意気込みを聞かせてください

関カレで負けた日体大(●0-3)に決勝であたれるというのは自分らにとっていいチャンスだと思うのでそのチャンスをものにして、2連覇を成し遂げたいと思います。

MF松原有沙(スポ3=大阪・大商学園)

――決勝進出となりました。今のお気持ちをお聞かせください

ここでしっかり勝って決勝に進めたのはすごく良かったです。ですが試合内容には課題があって、良い流れで試合を終えることができなかったのは改善すべき点だと思います。

――やはり後半の内容は満足できないでしょうか

そうですね。前半は良い流れで、自分たちのサッカーが完璧ではないですができていました。後半は相手のペースになってしまって、自分たちのプレーができなくてしんどい展開でした。チーム全体で、今どういうプレーをすべきかはっきりできたら良かったかなと思います。

――失点直後守備陣で集まっていましたが、どのようなことを話されたのですが

ミスからの失点で、今のはこうすべきだったとかもっとこうしようと話し合いました。

――先制ゴールの場面は落ち着いていましたね

朱里(FW河野朱里、スポ2=静岡・藤枝順心)から良いパスが来て、ヘディングで競ろうかと思ったんですが、相手とかぶると思ったので一歩引きました。そこからしっかりトラップして落ち着いて決められたので良かったです。

――追加点も含め、前半の早い段階で2点をリードできたのは大きかったですね

そうですね。それで流れをつくれました。でも2点は一番危ない点差でもあるので、ハーフタイムに監督(福島博樹、昭45教卒=東京・独協)からもう一回集中し直せと言われ、後半はそれを意識して入りました。良い時間帯でしっかり取れたのは良かったかなと思います。

――次は決勝戦です。日体大戦に向け意気込みをお聞かせください

インカレの舞台で借りを返すチャンスがあるのはうれしく思います。前回(関東大学女子リーグ戦第9節●0-3)大差で負けて悔しい思いがあって、今季最後の試合でもあるので、4年生のために貢献したいです。チーム全員で勝ち切って、2連覇できたらいいなと思います。

FW河野朱里(スポ2=静岡・藤枝順心)

――いまの率直な感想をお願いします

決勝進出できたということではほんとによかったなと思うんですけど、課題も多く見つかったのでそこは決勝に活かせたらなと思います。

――具体的には

練習ではアンダーツータッチでやっていたんですが、試合ではどうしてもボールを持つ時間が長くなってしまっていて展開も遅れてしまうので。そこはもっとみんなが判断を早くして少ないタッチ数でパスを繋げて、相手が付いてこれないような早い展開をできればいいなと思います。

――どのような対策をして試合に臨みましたか

ムサタンは足元が上手い選手が多くて、特に7番の選手とか。でもそこはディフェンスラインがきちんとつぶせていたと思うし、相手にやらせるところはやらせて、とるところはとる、ということが出来ていたと思います。

――得点シーンを振り返って

さつ(DF三浦紗津紀、スポ2=浦和レッズレディースユース)と目があって、あれが自分の得意な形だったので。いいクロスをあげてくれて後は自分が流し込むといういつも通りの形が出せたという感じでした。

――松原選手のゴールのアシストについては

いつもはあまりアシストをする側ではないんですけど、きょうは左側に流れるプレーが多かったので、どうせ流れるならいいクロスあげてアシストしようと思って。いいところにいてくれて、うまくそこにあげられたというのは自分のプレーの幅が広がったという点でよかったと思います。

――マークが厳しいようにも見えました

けっこう相手が後ろからきてて、アフターとかもあったんですけど、厳しい審判だったのでそこはなんとも言えませんが。そこでも倒れないフィジカルを付けていかないといけないと思うし、次の日体大はもっとくると思うので、そこで倒れずにきっちりキープできるようにしたいと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

次勝てばインカレ連覇なので。自分は4連覇を目標にしてるので、2連覇目を取りたいですし、なにより自分がもっと点を入れて、早い段階で点を入れたいなと思います。

DF三浦紗津紀(スポ2=浦和レッズレディースユース)

――武蔵丘女子短大は秋に複数失点を喫したチームでした。どんな対策をして臨まれましたか

(相手の)7番がすごく上手な選手だと分かっていて、関カレの時はセンターバックがその7番の選手に1枚引き連れられて出てしまって、そのギャップを突かれるというのがあったので、今回は監督からも、センターバックはあまり7番につかずに、しっかり後ろで構えて守備しようという方針があったので、それは意識してやっていました。

――内容を振り返っていただけますか

いつもやってるようなサッカーはできなかったんで、結構不甲斐ない試合だったんですけど、なんとか2点取れて、勝つことができたので良かったのかなという風に思います。

――2点目は三浦選手のロングボールから生まれました

「あ、空いてる」と思って(笑)。出したら朱里(FW河野朱里、スポ2=静岡・藤枝順心)がうまくやってくれて、良かったなと思います。

――後半、失点してからは攻め込まれた時間帯もありました

関カレでもそうでしたけど、ここで勢いづかせちゃったなというのが正直あって。ただその中で、自分たちが苦しみながらもしっかり耐えることができたというのは、ちょっと収穫なのかなとは思いますね。

――決勝への意気込みを聞かせてください

もうあと1試合ですし、この1年間やってきたことを証明したいなって思います。4年生を優勝させてあげたいです。

DF中田有紀(スポ1=兵庫・日ノ本学園)

――決勝進出おめでとうございます。いまのお気持ちはいかがですか

とりあえず、目の前の試合に勝てたことが良かったと思います。

――武蔵丘短大に対してどう対策してこられましたか

ムサタンは足元が本当にうまい選手ばかりなので、トップの7番の園田選手がきたときに、DFラインや球際での強さを意識していこうと話し合っていたのですが、できていたと思います。

――前半は2得点でいいかたちで折り返すことができました

やっぱり2点を入れて前半はいいかたちでできていたと思いますが、後半は失点後苦しくなって、焦ってしまった場面もありましたが勝てて良かったです。

――後半の失点シーンから守備としても忙しい時間が続きました

相手も点を取ろうとしてきていて、そこでやっぱり粘り強さが出せずに1失点してしまったのですが、1失点で抑えることができました。タッチ数や攻守の切り替えの面で、自分たちのサッカーができなかった部分も多くあったので、相手どうこうというよりも、決勝は自分たちのサッカーができたらいいと思います。

――自身初となるインカレですが、これまでの試合を振り返っていかがですか

やっぱりどの試合も緊張しますし、プレッシャーもありますね。でも楽しんでインカレ決勝の舞台で試合ができたらいいと思います。

――決勝に向けて意気込みをお願いします

関カレで0-3と完敗だったので、そのリベンジということで、内容も大事ですが結果が全てだと思うので、勝って4年生を優勝させてあげられたらと思います。