皇后杯全日本女子サッカー選手権でプロチームを相手に熱戦を繰り広げた早大。貴重な経験を積み、再び関東大学女子リーグ戦(関カレ)へと戦いの場を移した。東京国際大を迎え撃ったこの試合、前半18分にチームワークからMF中村みづき(スポ3=浦和レッズレディース)が先制点を挙げる。後半にも途中出場のMF熊谷汐華(スポ2=東京・十文字)が左足で豪快に決めると、守っても相手を寄せ付けず無失点。2-0の勝利で優勝が懸かる次節、日体大戦へと弾みをつけた。
立ち上がりからボールを支配する早大は両サイドを起点にチャンスをつくりだしていく。13分、右サイドでDF渡部那月(社2=兵庫・日ノ本学園)が粘り強くクロスを上げるとファーサイドに待ち構えていたMF大井美波(社2=大阪・大商学園)がヘッド。その5分後、今度は左サイドでの連携から早大が均衡を破った。高い位置でボールを受けたDF中田有紀(スポ1=兵庫・日ノ本学園)がMF平國瑞希(スポ3=宮城・常盤木学園)とのワンツーでボックス内に侵入すると落ち着いて中村にラストパス。中村は絶好のお膳立てを確実に決め、早大が先制に成功する。中田は持ち味の攻撃参加だけでなく、気持ちの込もった守備でも奮闘。左サイドからチームに活力をもたらし、その存在感を発揮した。ディフェンスラインの裏を狙う相手の攻撃に対しては守備陣が冷静なラインコントロールでオフサイドを誘発。大きなチャンスを与えることなく、1点のリードで前半を折り返した。
出色の活躍を見せた中田
相手を引き離し、勝負を決めたい早大は後半開始から熊谷汐を投入する。するとこの起用に熊谷汐は結果で応えてみせた。53分、中盤でボールを受けたMF中井仁美(スポ3=兵庫・日ノ本学園)が巧みなルーレットで相手を完全にいなすと左サイドを駆け上がる熊谷汐に展開。積極果敢なドリブラーは得意の持ち運びから豪快に左足を振り抜くと、シュートは逆サイドのネットに突き刺さった。「自分がどれだけ結果を残せるかっていうのはすごく大事になってくる」(熊谷汐)。チームにとって大きな2点目となると同時に、大井との熾烈(しれつ)なポジション争いを繰り広げる熊谷汐にとっても貴重なゴールとなった。終盤、確実にゲームを締めたい時間帯で少しばたつき、課題を残したものの、無失点のまま試合は終了の笛を迎えた。
貴重な追加点を決めアピールした熊谷汐
次節の日体大戦は関カレ優勝を懸けた大一番となる。直接対決に勝てば優勝という条件はくしくも昨季と全く同じシナリオだ。「チーム一体となって勝ちにいきたい」(GK山田紅葉主将、スポ4=東京・十文字)。因縁のライバルを破り、再びの栄冠をこの手でつかみ取ることができるか。地に足のついた戦いを見せる今の早大に死角はない。
(記事 桝田大暉、写真 篠原希沙)
大一番へ向け、視界は良好だ
関東大学女子リーグ戦第8節 | ||||
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早大 | 2 | 1-0 1-0 |
0 | 東京国際大 |
【得点者】(早)18中村,53熊谷汐 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | ◎山田紅葉 | スポ4 | 東京・十文字 |
DF | 2 | 渡部那月 | 社2 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | 3 | 奥川千沙 | スポ3 | 静岡・藤枝順心 |
DF | 4 | 三浦紗津紀 | スポ2 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 32 | 中田有紀 | スポ1 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | →78分 | 和田麗 | 人2 | スフィーダ世田谷ユース |
MF | 8 | 中井仁美 | スポ3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 5 | 松原有沙 | スポ3 | 大阪・大商学園 |
FW | 9 | 平國瑞希 | スポ3 | 宮城・常盤木学園 |
MF | 10 | 中村みづき | スポ3 | 浦和レッズレディース |
MF | →73分 | 柳澤紗希 | スポ2 | 浦和レッズレディースユース |
MF | 26 | 大井美波 | 社2 | 大阪・大商学園 |
MF | →HT | 熊谷汐華 | スポ2 | 東京・十文字 |
FW | 24 | 山田彩未 | スポ2 | ジェフ千葉レディースユース | ◎はゲームキャプテン 監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協) |
コメント
GK山田紅葉主将(スポ4=東京・十文字)
――2-0の完勝となりました。試合を振り返っていかがでしょうか
2-0で勝ち切れたことは良かったですが、最後の終わり方に課題を残したかなと思います。
――最後、不安定な部分があったといったところでしょうか
はい。最後、はっきりしたプレーを心掛けていたんですけど、クリアが相手にはね返されたりしてうまくラインを上げることができませんでした。クリアの仕方やどうプレーするかという共通認識の部分を反省できたらなと思います。
――相手はディフェンスラインの裏を狙ってくる相手でした
ディフェンスラインがはじいてくれた部分もありますが、背後に入ったボールに対してキーパーが出るのか、ディフェンスがクリアするのか曖昧なシーンがいくつかありました。そこもしっかり改善していきたいです。
――連携面をこれから上げていきたいといったところでしょうか
そうですね。最後はインカレ(全日本女子大選手権学)に向けて上げていくと思いますが、目の前の関カレにチームとして勝てるように、チーム全体の連携を練習からやっていけたらなと思います。
――次節日体大戦は大一番となります。どのように戦っていきたいですか
去年も勝てば優勝で、ことしも同じシチュエーションです。日体は因縁の相手でもあるので、チーム一体となって勝ちにいきたいです。
――優勝に向けて意気込みをお願い致します
掲げている目標の一つでもあるので、しっかり勝ち切って良いかたちでインカレにつなげられるようにやっていきたいです。
MF熊谷汐華(スポ2=東京・十文字)
――後半で途中投入され、すぐに結果を出しました
チームに勢いをつけたかったっていうのもありますけど、個人的にも結果を残したかったので、得点というかたちで結果を残せたことは良かったのかなと思います。
――全体的に見て、きょうのご自身の出来はいかがでしたか
早い段階で点を取れたことは良かったんですけど、その後の関わりであったり突破であったり、まだまだ足りないことは多かったかなと思います。
――ゴールシーンはカットインからのシュートでした。持ち味が出た場面だったのではないですか
ボールを持った時に角度もなかったので、クロスにするかシュートにするかちょっと迷ったんですけど、ちょっとコースが見えたので思い切って打とうと思いました。
――現状のポジション争いについてどう捉えていますか
ポジション争いがこういう風に激しい中で、お互いに切磋琢磨できているというのはあるんですけど、そんな中で自分がどれだけ結果を残せるかっていうのはすごく大事になってくると思うので、そこはこれからもちょっとこだわっていきたいところではあるなと思います。
――来週大一番を迎えます。チーム状況はいかがですか
きょう絶対勝って、来週の日体大戦で最終決戦っていうかたちにしたかったので、チームとしても調子は上がってきていると思いますし、うちは勝つしか優勝への道は残っていないので、全員の気持ちは揃っているので、あとはいろんな細かい点を修正していくという感じだと思います。
――次節への意気込みをお願いします
個人的には試合に出たい気持ちもありますし、チームとしても絶対勝たなきゃいけないので、1週間いい準備をして頑張りたいと思います。
DF中田有紀(スポ1=兵庫・日ノ本学園)
――きょうの試合全体通しての動きはいかがでしたか
前半、かなり上がれたので積極的にボールに関わっていこうと思ってやっていました。
――1点目のプレーを振り返って頂きたいのですが
平國さん(瑞希、スポ3=宮城・常盤木学園)からすごく良いパスが来て、シュートも打てたんですけど、みづきさん(中村、スポ3=浦和レッズレディース)も空いてたので、適切な方を選びました。
――ディフェンスラインがかなり高いように見えていましたが
いつもディフェンスラインは意識しているんですけど、中盤との距離感であったり球際であったりをきょうは常に意識してできていたかなと思います。
――きょうのご自身のプレーに点数をつけるとしたら
70、60くらいですかね(笑)。
――その理由は
自分の取り柄は守備もやるんですが、やはり攻撃参加なので、きょう点に絡めたというのはとてもよかったなと思います。ただ、もっとひとつひとつのパスの精度を上げていくなどしないと高いレベルでは戦えないと思うので、そこが課題かなと思います。
――次戦に向けての意気込みをお願いします
勝って勝ち点3を取らないと優勝できないので、結果にも内容にもこだわって、必ず勝ちたいと思います。