4-1で快勝!収穫の多い試合に

ア式蹴球女子

 朝方から激しく降った雨は上がり、秋を感じさせる冷たい風の吹く早大東伏見グラウンド。3週間ぶりとなる関東大学女子リーグ戦(関カレ)第6節の相手は、先日の関東女子選手権兼皇后杯全日本選手権関東皇后杯予選(皇后杯予選)でPK戦の末に辛勝した神奈川大だ。きょうこそは勝ち切りたいワセダはMF松原有紗(スポ3=大阪・大商学園)のゴールで早々に先制する。その後、追加点を挙げて2点のリードで前半を折り返したものの、後半は攻守がかみ合わず苦しい時間帯が続く。しかし試合終盤にMF高瀬はな(スポ1=ジェフ千葉レディースユース)、FW山田仁衣奈(スポ1=大阪・大商学園)が立て続けにゴールネットを揺らし、終わってみれば4-1の快勝となった。

 「1点目は早い時間に決めることができて、2点目も良い時間帯に入れることができたので良かった」と松原が振り返るように、前半の試合運びは圧巻だった。9分、DF奥川千沙(スポ3=静岡・藤枝順心)のFKから、この日ボランチ起用となった松原が抜け出し、鮮やかなボレーシュートで先制点を挙げる。守ってはロングボールで自陣に侵入してくる相手に奥川が冷静に対応。プレーを遅らせ、確実に相手のチャンスの芽を摘み取った。その後もMF中村みづき(スポ3=浦和レッズレディース)を中心にボールを前線へと繋げ、FW河野朱里(スポ2=静岡・藤枝順心)やFW熊谷汐華(スポ2=東京・十文字)にボールを集めて何度も好機をつくり出した。安定した守備から一気に攻撃のギアを入れ、相手ゴールに襲い掛かる。そんなワセダらしさを存分に発揮した。そして37分、相手のゴールキックを河野がカットし、そのこぼれ球から松原が相手GKの頭を越す豪快なミドルシュートを放った。これが待望の追加点となり、2点のリードで前半を折り返した。

今節2得点の活躍で圧倒的な存在感を放った松原

 このままワセダペースかと思われた後半開始直後、足元をすくわれてしまった。GK山田紅葉主将(スポ4=東京・十文字)が前にポジションを取っていたところ、その隙を突く相手の秀悦なロングシュートで痛恨の失点。この1点で息を吹き返した神奈川大とは打って変わってその後のワセダのプレーは精彩を欠き、チームは不穏な空気に包まれた。しかし、中村からのアーリークロスを河野が落とし、こぼれたところを高瀬が合わせて悪い流れを断ち切る3得点目を挙げる。これに続いて、FW平國瑞希(スポ3=宮城・常盤木学園)のドリブル突破からスルーパスで山田仁がダメ押しの4点目。結果4-1で勝利し、勝ち点を積み上げた。

4-1の快勝となった

 前半は主導権を握り、有利に試合を進めたものの、後半は攻守がかみ合わない時間帯が多く、試合全体を通して満足のいく内容とはならなかったかもしれない。しかし、皇后杯予選で勝ち切れなかった相手に90分で4得点を奪い勝利を収めたという結果はチームが成長している証だ。きょうで後半戦へと突入した関カレ。連覇に向けてワセダイレブンの勢いは止まらない。

(記事 篠原希沙、写真 田中佑茉、下長根沙羅)

スターティングメンバー

関東大学女子リーグ第6節
早大 2-0
2-1
神奈川大
【得点者】(早)9,38松原,76高瀬,78山田仁(神)48庭野
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK ◎1 山田紅葉 スポ4 東京・十文字
DF 27 和田麗 スポ2 スフィーダ世田谷ユース
DF →81分 中田有紀 スポ1 兵庫・日ノ本学園
DF 奥川千沙 スポ3 静岡・藤枝順心
DF 渡部那月 社2 兵庫・日ノ本学園
DF 三浦紗津紀 スポ2 浦和レッズレディースユース
MF →75分 高瀬はな スポ1 ジェフ千葉レディースユース
MF 松原有紗 スポ3 大阪・大商学園
MF 中井仁美 スポ3 兵庫・日ノ本学園
MF 10 中村みづき スポ3 浦和レッズレディース
FW →76分 山田仁衣奈 スポ1 大阪・大商学園
FW 平國瑞希 スポ3 宮城・常盤木学園
FW 22 熊谷汐華 スポ2 東京・十文字
FW 河野朱里 スポ2 静岡・藤枝順心
◎はゲームキャプテン
監督:福島廣樹(昭45教卒=東京・独協)
コメント

MF中村みづき(スポ3=浦和レッズレディース)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

前回戦ったときには1ー1で、勝てたのですが内容が良くなかったということで、ワセダらしさを出せるように臨みました。球際の部分で緩い部分があったり、個人的にはパスミスが多かったので納得のいくものではなかったです。でも結果として4ー1で勝てたのは前回に比べて成長したと言っていいのかなと思います。

――失点してからの流れの悪さの原因はなんだったと思いますか

こっちが中盤であまり作れていなかったのと、相手の中盤に自由にさせちゃって流れを持っていかれたかなって思います。しっかりと取りきるところで取りきるだとか、球際のところであったり、そういうことで個人個人が勝っていかなくてはいけないなと感じました。

――皇后杯予選の時と比べて、きょうの神奈川大の印象はいかがでしたか

後半の流れが悪くなったあとに流れを取り戻してからは神奈川大もあまり乗ってこなくなったので割とワセダが主導権を持ってできたんじゃないかなって思います。でも個人個人で神奈川大には上手い選手も多くて個々で運ぶ力であったり、競り勝つ力もあるので、強いチームだなとは思います。

――リーグ戦も折り返しとなりました。次戦に向けての意気込みをお願いします

まだリーグ戦も半分残っているのでしっかり一戦一戦勝って、前回大会優勝しているので、今回もそれに劣らないように優勝をして終えたいと思います。

MF松原有紗(スポ3=大阪・大商学園)

――本日は2得点ということで、この試合の主役になりましたね

1点目は早い時間に決めることができて、2点目も良い時間帯に入れることができたので良かったです。

――きょうはボランチ起用となりましたがいかがでしたか

監督(福島廣樹、昭45教卒=東京・独協)からシュートを撃つように言われていて、その意識がありました。ハーフタイムで攻撃の意識は良いけど、ディフェンスの戻りが遅いという話があったので、後半は引き気味を意識しましたね。まだ体力がなかったので、もっと体力をつけていけたらいいなと思いました。

――今回の起用は組み立ての部分を期待されてのことだったのでしょうか

そうですね。でも、なかなかボールを貰うことができなかったので、もっとディフェンスからボールを貰ってそこから展開できたら良かったかなと思います。

――ダブルボランチのMF中井仁美(スポ3=兵庫・日ノ本学園)選手との連携面ではどのようなことを意識しましたか

二人が前に行ったり、引きすぎたりしないように、バランスを見ながらやろうと話しました。

――実際にプレーしてみていかがでしたか

やっぱり二人が一気に上がってしまったり、自分の運動量が少ない分、仁美に負担を掛けてしまいました。練習から何回かやってきて、結構わかってきたので、これからも合わせていきたいです。

――豪快なゴールとなった2点目を振り返っていかがでしょうか

(GKの位置は)見えていなかったんですけどシュートを撃てるチャンスだったので、撃ってみようかなと思って撃ったら入ったという感じです。

――決めた本人も驚きといったところでしょうか

そうですね(笑)。自分も結構びっくりしました。

――失点後、チーム全体として攻守につながりを欠いた印象でした

後半は仁美が低い位置にいて、自分が前に上がっていました。その時間帯から自分が低い位置でディフェンスから入ることを意識しました。

――先日の皇后杯予選で苦戦した相手に勝ち切れたことに関してはいかがでしょうか

勝ち切れたことは良かったですけど、まだまだ課題は多いです。最近の試合の中では良かったですけど、守備で厳しくいくところは厳しくいくのを意識してみんなでやっていけたらいいです。

――次戦に向けて意気込みをお聞かせください

来週の武蔵丘短大は神奈川大と同じで足下があるチームなので、しっかり一対一で粘り強くディフェンスできたら良いゲームができると思います。そこを意識してやっていきたいです。

MF熊谷汐華(スポ2=東京・十文字)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

皇后杯予選では神奈川大とやってるんですけど、その時はPK戦で勝ててもいい内容でも無かったので、きょう関カレのこの神奈川大戦でどれだけ結果を残せるかというのをすごく意識して入った試合でした。

――あまりドリブルで仕掛ける部分が少なかった中で攻撃への関わり方はいかがでしたか

きょうは割と真ん中から崩す場面が多くて、サイドから展開しなくても崩せました。なので、あまりあえてサイドに開くということはしなかったんですけど、それでもサイド攻撃が少なすぎたかなとは思います。

――失点した後の攻守の切り替えに関してはいかがですか

あの失点はいらない失点だったなという気持ちがあって、入れられた時に2-1になってしまったので、そこから気持ちを引き締めないといけないと思いました。2-1は結構怖い点差なので。切り替えてしっかりやろうという気持ちでいました。

――きょうは4-1と突き放しましたね

4点取れたことはすごくよかったと思います。失点のところはまた改善していかなければならないと思います。

――次の武蔵丘短大戦の意気込みをお願いします

武蔵丘短大はまた神奈川大とは違う特徴を持ってるチームなので、スカウティングなどを参考にしながら、自分たちのやるべきことをしっかりやって絶対に勝ちたいと思います。

DF渡部那月(社2=兵庫・日ノ本学園)

―― 試合全体を振り返っていかがですか

福島監督から、皇后杯予選以降いい試合ができていないと言われていました。皇后杯予選の神奈川大戦では内容で負けていたので、きょうの試合は内容面でも負けられなかったです。球際での強さを意識して試合に臨みました。

――その相手に、きょうは内容的にも良い試合になりましたか

ひとりひとりの気持ちが相手よりも強かったと思います。球際での強さとシュートへの意識もあって良かったと思います。

――きょうは渡部選手自身が攻撃にあまり参加していないように見えました

当てて、落として、ラインをとるということも意識しながら、チャンスがあれば攻撃に参加できるようにはしています。

――1点を失ったあと、相手の出足が増えて、攻守がつながらないという場面がありましたが、その時はどのようなことを考えてプレーしていましたか

試合の中で、必ず相手のペースになる時間はくると思っています。そこで全員が集中して、ディフェンスラインが声を出し、しっかり耐えられるかということが大事になってくると思ってプレーしていました。

――キーパーとのリスクマネジメントについては、どのようなことを話していましたか

相手の中盤の選手が強く、特にサイドバックが高い位置をとってくるということだったので、サイドハーフとサイドバックの連携を話していました。前半にキーパーへのバックパスでピンチを招いていたので、後半のバックパスは、確実に通せるときだけにして、シンプルにやろうと話していました。

――皇后杯に向けて、チームで取り組んでいることはありますか

レベルが高くなると、現状の間合いでは通用しないと思うので、少ないタッチ数でいくことと、球際に強くいけるようにしています。ディフェンスとしては、無失点でいけば負けないので、無失点に抑えられるように頑張ります。

――次戦の武蔵丘短大戦に向けて意気込みをお願いします

去年までは、関東リーグでよく対戦していたのですが、ことしは2部に落ちて、初めて対戦します。個々の技術が高く、上位争いをしているので、しっかり球際にいけるように、ディフェンスは無失点に抑えられるように、頑張ります。