『ハードワーク』で4得点!開幕からの負けなしを維持

ア式蹴球女子

 残暑の暑い日差しがピッチに照りつける中、ホーム東伏見にて関東大学女子リーグ戦(関カレ)第3節が行われた。早大はまだ勝ちのない東洋大に対し、39分、FW平國瑞希(スポ3=宮城・常盤木学園)のシュートで先制に成功する。後半は相手にボールを持たれる時間帯もあったが75分のFW河野朱里(スポ2=静岡・藤枝純心)の直接FKを皮切りに、終盤に3得点。相手を突き放した早大が4-0の快勝で開幕3連勝を飾った。

『ハードワーク』が実り久々の快勝となった

 第1節(帝京平成大戦、○1-0)、第2節(大東大戦、○1-0)共に苦しみながらの勝利となった早大の今節のテーマは『ハードワーク』。高い位置でボールを奪い、相手を押し込むことができるかがこの試合の焦点となった。開始早々の6分、MF中村みづき(スポ3=浦和レッズレディース)のCKにDF三浦紗津紀(スポ2=浦和レッズレディースユース)がファーサイドでヘッド。しかし、ここは相手DFがライン上ではじき返し、先制ゴールとはならない。ピッチを大きく使いながらボールを保持する早大に対し、東洋大の守備陣も穴をつくることなくこれに対応していく。早大はシュートを撃てども水際でブロックされ、先制点を奪うことができない。迎えた39分、ようやくスコアが動く。FKの流れからFW大井美波(社2=大阪・大商学園)がクロスを上げると相手のクリアが中途半端になったところに平國が反応。ファーストタッチでボールをいい位置に収めるとそのまま右足を一閃(いっせん)。「思い切り撃った」(平國)と振り返るシュートはコースを見事に射抜き、早大がリードを得て前半を折り返した。

先制点を決めた平國はこの日2得点の活躍を見せた

 追加点に向け攻撃にアクセントを加えたい早大は後半開始から左サイドにドリブルが得意なFW熊谷汐華(スポ2=東京・十文字)を投入。後半の攻めは左サイドに重心を置くかたちとなった。70分、その熊谷が左サイドでボールを奪いFW山田仁衣奈(スポ1=大阪・大商学園)につなぐと最後は中村がシュート。追加点が生まれたのはその5分後だった。PA前でFKを獲得するとボールをセットしたのはエースの河野。ゴール左上へと狙い澄まされたシュートに相手GKは一歩も動くことができない。蹴った本人も驚くゴラッソにより大きな2点目がスコアボードに刻まれた。するとこのゴールを皮切りに早大オフェンス陣が東洋大を畳み掛ける。カギとなったのはこの試合に向け共通意識として掲げた『ハードワーク』だった。90分、高い位置でボールを奪いバイタルエリアに侵入すると途中出場のMF安部由希子(スポ2=宮城・聖和学園)が絶妙なスルーパスを通し、最後はMF高瀬はな(スポ1=ジェフ千葉レディースユース)が3点目。アディショナルタイム3分にもショートカウンターから平國が自身2点目を流し込み、東洋大に引導を渡す。4得点の圧勝劇で見事に開幕3連勝を飾ってみせた。

 ここまでの関カレは得点を決め切ることができず、自ら苦しい戦いを招いてしまっていた。嫌な停滞感を払拭するべく、チームとして練習から取り組んできた『ハードワーク』が早速結果につながったことは大きな収穫だろう。特にこの試合の3点目と4点目は体力を消耗している終盤に前線からのプレスで奪い取ったゴールだった。「最後にかけて続けて得点できたのは、自分たちのペースに戻すことができたという自信にもこれからつながっていく」(河野)。また一つ成長した早大が次に相見えるのは因縁の相手、慶大。この日見せた強みを出し、ライバルを確実に退けたいところだ。

(記事 桝田大暉、写真 新庄佳恵)

スターティングメンバー

関東大学女子リーグ第3節
早大 1-0
3-0
東洋大
【得点者】(早)38,90+3平國、75河野、90高瀬
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 木付優衣 スポ2 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 渡部那月 社2 兵庫・日ノ本学園
DF 奥川千沙 スポ3 静岡・藤枝順心
DF 三浦紗津紀 スポ2 浦和レッズレディースユース
DF 32 中田有紀 スポ1 兵庫・日ノ本学園
MF 中井仁美 スポ3 兵庫・日ノ本学園
MF →74分 高瀬はな スポ1 ジェフ千葉レディースユース
FW 平國瑞希 スポ3 宮城・常盤木学園
MF ◎10 中村みづき スポ3 浦和レッズレディース
FW 26 大井美波 社2 大阪・大商学園
FW →HT 熊谷汐華 スポ2 東京・十文字
FW 河野朱里 スポ2 静岡・藤枝順心
FW 28 山田仁衣奈 スポ1 大阪・大商学園
MF →84分 阿部由希子 スポ2 宮城・聖和学園
◎はゲームキャプテン
監督:福島廣樹(昭45教卒)
コメント

FW平國瑞希(スポ3=宮城・常盤木学園)

――快勝となりました。試合を振り返っていかがでしょうか

前線からプレスをかけていこうということで、みんなでハードワークをして守備ができました。それが4点という結果になったと思います。

――2得点となったご自身のプレーを振り返っていかがでしょうか

最初のシュートを決め切れたのはよかったのですが、もっと決められるシーンがあったので、しっかり決め切ることが大切だなと思います。

――ドリブルで効果的に仕掛けていましたね

監督(福島廣樹、昭45教卒)からも持ち味のドリブルでどんどん仕掛けろと言われていて、自分の特徴をしっかり生かしてチャンスをつくれたのでよかったです。

――1点目はコースに確実に決めることができました

まずいいところにトラップできて、思い切り撃ったら入ったのでよかったです。

――気持ちの良いゴールでしたね

はい(笑)。

――0で折り返すか、リードで折り返すかは大きな違いだったかと思いますが

1節(帝京平成大戦、○1-0)も2節(大東大戦、○1-0)もなかなか点を決められなかったので、前半の内に点を取って自分たちのゲームができたのはよかったです。

――後半は左サイドが起点となり、右サイドの選手がフィニッシュに絡む展開でした

汐華(MF熊谷汐華、スポ2=東京・十文字)が後半から入って縦に仕掛けてくれたので、中にチャンスがくることが多かったです。そのチャンスを生かせるように中の人間がフィニッシュにこだわっていけたら、もっと点を取れたと思います。

――ここまでの試合とは違い、苦しいところから突き放すことができましたね

これまでは点が取れずに苦しい試合になっていました。自滅していく場面が多かったのですが、きょうは決め切れたので、次の試合でも早い内に点を取れたらいいなと思います。

――関カレは3節が終わりましたが、相手に研究されている印象も受けます

サイドバックや自分がボールを持つと相手は縦を切ってくるのですが、それに対応して中にも外にも仕掛けられるように、練習からこだわってやったいきたいです。

――次節の早慶戦に向け意気込みをお願いします

しっかり自分たちのサッカーができるよう、早い内に点を取って、自分もその点に絡めるようにしっかり練習で合わせていきたいです。

FW河野朱里(スポ2=静岡・藤枝順心)

――本日は快勝となりました。振り返っていかがですか

前半から自分たちが前から(プレスを)かけていって、相手のサッカーをさせなかったことが今回の勝因につながったと思います。

――前節の大東大戦(○1-0)から中日が少ない中、チームとしてどう取り組んできましたか

大東大戦のときは前からかけることができなくて、どこでボールを取り切るかがはっきりしていなかったのですが、そこを練習メニューに組み込んで前線からプレスをかけて前で取り切るということをコンセプトにやってきました。それを結果として出すことができて良かったです。

――結果として4得点という大量得点にもつながりましたね

瑞希ちゃん(平國)がいい時間に決めてくれて、そこから前半を折り返すことができました。後半に入ってから最初は危ないシーンが続きましたが、そこから2、3、4点と最後にかけて続けて得点できたのは、自分たちのペースに戻すことができたという自信にもこれからつながっていくと思います。

――おっしゃっているように、後半は何度か危ないシーンが見受けられました

前半がいいプレーができた分、同じ気持ちで後半に臨んだらいいプレーはできないと思います。前半以上の気持ちで後半に臨まないといけないなと思わされました。

――75分のFKからのゴール後は少し驚いている姿が印象的でした

はい(笑)。FKを蹴るのは初めてだったのでした。誰も蹴る人がいなかったので蹴ったのですが、直前にみっちゃん(MF中村みづき、スポ3=浦和レッズレディース)に「朱里どっちに蹴ればいいかな?」と相談しました。結果としてみっちゃんが左向き蹴るように指示してくれたので良かったです。

――次節は早慶戦となります。意気込みをお願いします

ケイオーとは何度も戦っているので、向こうに知られている分こっちも相手のことを知っています。自分たちのサッカーをして相手のプレーをさせないということを意識して、自分たちがきょう以上のプレーをできるように一週間調整していきたいと思います。

MF高瀬はな(スポ1=ジェフ千葉レディースユース)

――今節は快勝となりました。途中出場となりましたが試合を振り返っていかないですか

勢いがある相手だということは解析で聞いていたので、自分たちもそれに負けないようにハードワークしようとチーム全体で共有できていました。それが結果につながって良かったと思います。

――開幕戦や前節と比べても満足する結果となりましたか

そうですね。中日が少なくて疲れているのはみんな同じですが、気持ちをどれだけ強く持てるかが大事だと思います。今回は気持ちの部分でいい結果につながったと思います。前節と開幕戦はチャンスがあった中で決め切れない部分がチームとしての課題だったので、今回はそれが少しでも修正できたので良かったです。

――関カレでは初得点となったご自身の得点シーンを振り返っていかがですか

短い時間の中でも結果を残すことがいまの自分の課題なので、しっかり決め切ることを意識していました。結果として決めることができたので良かったと思います。出たら絶対に結果を残すというのが今後の目標ですね。

――次節は早慶戦となります。意気込みをお願いします

少しでも出場機会を得て、チームとしても全部の試合で勝てるように気持ちを強く持って頑張っていきたいと思います。