4-0と地力の差を見せつけ定期戦を制す

ア式蹴球女子

 年に一度の両校女子サッカー交流戦であり、ことしで第5回目を迎える早関定期戦が時之栖グラウンドで開催された。試合前のセレモニーでは昨年11-0で大勝した早大が優勝トロフィーを返還し、両校主将のペナント交換も行われた。試合は前半から白熱した戦いが繰り広げられ、早大は好機を迎えてもなかなか決め切れない時間が続く。しかし37分にFW山田仁衣奈(スポ1=大阪・大商学園)が先制に成功し、後半も山田仁とMF柳澤紗希(スポ2=浦和レッズレディースユース)がゴールを決め4-0で無失点勝利。ことしも早大が地力の差を見せつけ定期戦を制した。

今試合で得点を決めた山田仁(28)と柳澤(6)

 「前半は全然ボールが収まるところがなくて、攻め切れないまま1点を取れて終わってしまいました」とFW大井美波(社2=大阪・大商学園)が言うように、持ち味とするサイド攻撃や裏への抜け出しなどがうまく機能しない場面が多く見られた。この日最初のシュートは9分。DF三浦紗津紀(スポ1=浦和レッズレディースユース)が上げたボールを大井が押し込もうとするが、これは惜しくも右にそれてしまう。その後すぐに、MF宮沢里彩(スポ4=FC岐阜BELTA)のアーリークロスを再び大井が勢いよくシュートするがボールは相手GKの手元に収まった。33分にはMF三田村桃子(スポ3=宮城・常盤木学園)のCKから大井がニアで得意のヘディングでシュートしようとするもうまく合わず。夏合宿でさらに磨かれた守備で危ない場面は迎えなかったものの、決定機を生かし切れない時間が続く。しかしついに36分、DF杉森愛希(スポ4=東京・十文字)からのパスを大井がそらし、フリーになった山田仁がゴールに押し込んだ。待望の先制点を獲得し、前半を折り返す。

決め切れない時間が続く中、ついに山田仁が先制点を獲得した

 メンバーを入れ替え、前半の課題を明確にして迎えた後半。「前半は流れが悪かったので自分が出たら少ないタッチ数でリズム良く、まずは流れを良くしようと思いました」。そう語る柳澤が65分にゴール正面でダイレクトに放ったミドルシュートはゴールに突き刺さり、2点目を獲得。続いて68分には、山田仁がシュート。3点目とリードを広げ、83分には柳澤がCKをショートでFW山田彩未(スポ2=ジェフ千葉レディースユース)へとつなぎ、再び柳澤が左隅に押し込みこれで4点目を獲得。今試合でキャプテンマークを巻き、後半はGKとして出場した杉森は、「チームを盛り上げる声を誰よりも出そうということで、キャプテンマークを巻く重みというのはやま(GK山田紅葉主将、スポ4=東京・十文字)と一緒だという自覚を持っていました」と後ろから声を出し続け、全員が攻撃に意識を向けた。後半は3点を連取し、4-0で試合は終了。

 「去年は二桁得点だったのですが、前半が苦しくて、もう少し早めに点を取れたらもっと波に乗れて点を取れていたのかなと思います」と柳澤が語るように、例年ほどのゴールラッシュはなかったものの、ことしも早大が勝利を収め定期戦の幕は閉じた。これまでの公式戦は全て無敗を貫いている早大。間もなく始まろうとしている関東大学女子リーグ戦(関カレ)や皇后杯関東予選では、より高いレベルでの戦いとなってくるだろうが、これまでとは変わらない早大らしいプレーで戦い抜いてほしい。そしてその先には、ことしのスローガンである「挑越」を体現した選手たちの姿があるはずだ。

(記事 新庄佳恵、写真 梶井夏葉)

両校の集合写真

スターティングメンバー

第5回早関定期戦
早大 1-0
3-0
関学大
【得点者】(早)36・68山田仁、65・83柳澤
前半早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 山田彩未 スポ2 ジェフ千葉レディースユース
DF 三浦紗津紀 スポ2 浦和レッズレディースユース
DF 15 杉森愛希 スポ4 東京・十文字
DF 27 和田麗 スポ2 スフィーダ世田谷ユース
DF 31 高瀬はな スポ1 ジェフ千葉レディースユース
MF 13 三田村桃子 スポ3 宮城・常盤木学園
MF 17 宮沢里彩 スポ4 FC岐阜BELTA
MF 23 安倍由希子 スポ2 宮城・聖和学園
MF 25 八神友梨弥 スポ2 宮城・常盤木学園
FW 26 大井美波 社2 大阪・大商学園
FW 28 山田仁衣奈 スポ1 大阪・大商学園
◎はゲームキャプテン
監督:福島廣樹(昭45教卒)
後半早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 杉森愛希 スポ4 東京・十文字
DF 三浦紗津紀 スポ2 浦和レッズレディースユース
DF →79分 福井菜月 スポ4 宮城・常盤木学園
DF 27 和田麗 スポ2 スフィーダ世田谷ユース
DF →78分 稲山菜月 スポ3 東京・十文字
DF 31 高瀬はな スポ1 ジェフ千葉レディースユース
DF 32 中田有紀 スポ1 兵庫・日ノ本学園
MF 17 宮沢里彩 スポ4 FC岐阜BELTA
DF →65分 秋山由奈 スポ1 東京・八王子
MF 23 安倍由希子 スポ2 宮城・聖和学園
MF 柳澤紗希 スポ2 浦和レッズレディースユース
FW 26 大井美波 社2 大阪・大商学園
FW 28 山田仁衣奈 スポ1 大阪・大商学園
FW 24 山田彩未 スポ2 ジェフ千葉レディースユース
◎はゲームキャプテン
監督:福島廣樹(昭45教卒)
コメント

DF杉森愛希(スポ4=東京・十文字)

――ゲームキャプテンとして挑んだ試合を振り返っていかがですか

自分としてはチームを盛り上げる声を誰よりも出そうということで、キャプテンマークを巻く重みというのはやま(山田紅葉主将、スポ4=東京・十文字)と一緒だという自覚を持っていました。前回の十文字戦のトレーニングマッチがあまりいい雰囲気でできなかったので、この試合はいい雰囲気でできるように自分から声を出しました。

――前回のトレーニングマッチではどんな課題が出ていたのでしょうか

まず1つは、合宿明けということもあって、それぞれが持っているポテンシャルや技術とかメンタルを出し切れなかった部分があるので、そこをこの試合で出し切れるようにということをそれぞれ意識していました。これから関カレ(関東女子リーグ戦)やインカレ(全日本女子選手権)を目指していくにはまだまだ足りないと思うので、今後の課題として継続していくと思います。

――DFとして出場された前半を振り返っていかがですか

DFは守備に当てる時間というよりは攻撃をする時間の方が多かったのですが、チーム全体としてフィニッシュの部分で決めきれない部分が多かったです。以前からチームの課題としてあったやり切るサッカーを取り組んできているので、そこはもう少しできたのかなと思います。守備に関しては危なげなく終われたので良かったかなと思います。

――GKとして出場された後半を振り返っていかがですか

個々がそれぞれのポジションで何を出すかというのは分かっていたと思うし、そのメンバーで出てるということは、いかに公式戦に出るためにアピールできる場でもありました。きょうの勝利はそこを出し切れたかなと思います。最後集合したときに福島廣樹監督(昭45教卒)からも言われたように、もっとやり切れる部分があったので、課題として関カレにつなげていけたらなと思います。

――先日までの合宿はいかがでしたか

いつも夏学期は走り合宿みたいな感じなので、いままでもつらい合宿明けを乗り換えてきたのですが、ことしも夏学期の中でつらいフィジカルを終えて、チームの絆が深まって、さらにチームの総力も上がったと思います。

――ご自身で成長が感じられた部分はありましたか

守備を重点的に、チーム全体で守る守備を取り組んでいます。恐らくサイドバックやセンターバックで出場する可能性があるので、いかにチームをまとめて組織で守れるかという統率力を高められたかなと思います。

――関カレがまもなく始まりますが、後期のチームやご自身としての目標は何でしょうか

大きい目標はインカレ優勝ですが、皇后杯関東予選ではもっと上のレベルのチームと対戦すると思うので、高いレベルを見据えながら、しっかり関カレの試合も足下すくわれないようにみんなで1つ1つ勝ち切れるように取り組んでいきたいなと思います。昨シーズンはインカレで日本一となりましたが、ことしのスローガンは「挑越」なので、きょねんに続けるようにしたいです。また、サッカーレベルだけでなくてチーム力も大切にして、きょねんの結果にチャレンジして甘んじることなく、私もチームを引っ張りながら1つになって戦いたいなと思います。

FW大井美波(社2=大阪・大商学園)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

前半は全然ボールが収まるところがなくて、攻め切れないまま1点を取れて終わってしまいました。もっと点を取らなければいけない内容だったので、前半の反省を生かして後半はやり切るプレーというのを全員が意識したので点が取れて良かったです。

――前半の得点シーン振り返っていかがてすか

仁衣奈(FW山田、スポ1=大阪・大商学園)が止まっていたので、自分がそらして仁衣奈がフリーになれたので、そこは自分の特徴を生かせたので良かったです。

――後半を振り返っていかがですか

前半では中途半端なプレーばかりだったので、後半は明確でやり切るプレーを全員が意識できたので、それが点につながったと思います。前半はサイドがボールを上げ切.れなかったり、ゴールで終われなかったり、裏への抜け出しといった大きな動きがありませんでした。そういうところで全員がハードワークできていなかったのですが、後半は全員が意識をして攻めることができたので良かったです。

――前回の十文字高校とのトレーニングマッチで出た課題は何でしたか

オフ明けで動けないということもあったのですが、それは全員一緒でただの言い訳だと思.います。オフの後に試合があると分かっていた状況だったので、そこは自己管理ができていないまま、内容も悪かったです。走れていないし、ボールが足についていない感じでした。これからもオフはあると思いますが、そこは気をつけていかないといけないと思います。

――先日までの合宿はいかがでしたか

走り合宿という感じでやったのですが、その中でも戦術的な練習もしました。それを十文字戦で出せたら良かったのですが、全然出せていなかったです。守備の戦術を合宿でやったのですが、関カレも始まるので、合宿でやった戦術的なことと、みんなで走った走力で勝てればいいと思います。

――個人的に夏合宿を通して成長した点はありますか

午前中はボールをさわって、午後は走るという感じだったのですが、みんなで疲労がたまっていく中でも全員で盛り上げて、フィジカルも気持ちで走ったという感じでした。そういうところを試合でも、ラスト10分、5分のときに相手よりも走れるようにしていきたいです。最後の練習でケガをしてしまっていまはサイドをやっているのですが、最初はどのようなプレーをしたらいいか分かりませんでした。ですが、周りの選手が自分の特徴を分かって動いてくれたり、アドバイスをくれました。サイドを経験できたことで、どこのポジションでもできるようにしていこうという意識はあります。

――関カレに向けて意気込みをお願いします

きょねん優勝したので、絶対ことしも優勝を目指して、そこがインカレにもつながっていくので全勝できるように頑張ります。個人としても、どのポジションとして出場しても得点に貪欲になることは絶対必要だと思います。あとはどれくらい走れるかということなので、自分のヘディングの長所と、走り負けずに得点に絡んでいきたいと思います。

MF柳澤紗希(スポ2=浦和レッズレディースユース)

――後半からの出場となりました。ご自身のプレーを振り返っていかがでしょうか

前半は流れが悪かったので自分が出たら少ないタッチ数でリズム良く、まずは流れを良くしようと思いました。その次に自分がゴールを決めてやろうという思いで入りました。

――積極的に顔を出してボールを受ける姿勢が印象的でしたが、やはり意識していた部分なのでしょうか

真ん中の仁衣奈(FW山田、スポ1=大阪・大商学園)と由希子(MF安部、スポ2=宮城・聖和学園)の三人の中で誰か一人は顔を出すことを意識しました。うまく顔を出せたと思います。

――ご自身1点目のミドルシュートはきれいに決まりましたね

それまでにシュートを結構撃っていて外していたんですが、(得点場面では)うまくミートできて、ダイレクトで撃てたのは良かったと思います。

――2点目のショートコーナーからのシュートは狙っていたのでしょうか

はい。ショートコーナーから切れ込んでシュートという流れを練習からしていて、相手が一枚だけでチャンスだったので思い切り振り抜いたら入りました。良かったです。

――してやったりといったところでしょうか

はい(笑)、そうですね。

――4-0という結果ですが、もう少し点を決めたかったところでしょうか

そうですね。去年は二桁得点だった(◯11-0)のですが、前半が苦しくて、もう少し早めに点を取れたらもっと波に乗れて点を取れていたのかなと思います。

――先日行われていた新潟での合宿はいかがでしたか

3部練習ということで疲労もあったのですが、サッカー面だけでなく、生活面でもチームの結束が高まったので、チームとしても個人としてもこれからに向けてもっと強くなりたいですね。

――関東大学女子リーグ戦(関カレ)ではどのようなプレーを見せていきたいですか

きょうみたいに得点できればいいなというのと、流れが悪いときに自分が変えてやるという気持ちでチームに貢献できるよう頑張っていきたいです。

FW山田仁衣奈(スポ1=大商学園)

――今日の定期戦にはどのように臨まれましたか

いつもと違うメンバーで、こうやって出るチャンスをもらっているので、そこでしっかり自分の調子をアピールすることと、伝統のある戦いなので、しっかり勝つことを意識して戦いました。

――試合を振り返っていかがですか

自分自身は全然良くなくて、ボールが収まらなくて、そこをもっと改善していかないといけないです。あと前半もチャンスはあったんですけど、決めきれなかったので、決定力不足というのはあるので、しっかり決められるようにしていきたいです。

――合宿でご自身やチームとしての課題を強化しての今日の試合だったと思うのですが、いかがでしたか

――

合宿では、前からのプレスとか、ハイプレスの場面でディフェンスを頑張るという点を意識してやってきたので、全体として、後ろから声かけて、前からしっかりプレスかけるということをやっていました。、

――ご自身のゴールを振り返っていかがですか

結構寄せてくるなと思ったので、早めにシュートを打つことを意識したら、1点目は入ったので、良かったです。

――3点目はいかがでしたか

3点目は、美波さん(MF大井美波、社2=大商学園)が前で競ってくれると思ったので、そのこぼれをしっかり狙えたところが良かったと思います。

――今日の試合で得た課題などはありましたか

チームとしては、前半もそうなんですけど、落ち着けるところがなくて、バタバタしていたので、そこを前でしっかりボールをキープして、落ち着ける場所を作ることと、まだまだパスミスとか、そういう基本的なミスが多いので、そこは意識したら変わるところでもあるので、そこは全員で意識して改善していきたいと思います

――最後に関カレ等、今後の試合に向けてひとことお願いします

インカレに向けて、そこで勢いつけてやっていくのが大切だと思うので、まず初戦を全員で勝って、次に向けてチーム一丸となって戦っていきたいと思います