慶大を圧倒し続けた90分。5発快勝で後期も白星発進!

ア式蹴球女子

 関東女子リーグ戦(関東リーグ)8連覇に向け、前期を無敗の首位で折り返した早大。約1ヶ月の中断期間を挟んで迎えた後期の初戦は、10日後に定期戦を控える慶大と対戦した。慶大への声援が響く中行われたアウェイゲームだったが、序盤から主導権を握ったのは早大。立ち上がりにFW河野朱里(スポ2=静岡・藤枝順心)のゴールで先手を取ると、これを皮切りにリーグ最多得点の攻撃陣が牙を剥く。宿敵相手に5得点を奪うゴールショーを展開し、早慶女子定期戦の前哨戦とも呼べるゲームを快勝で飾った。

宿敵ケイオーから5点を奪うゴールショーを演じたFW陣

 スタートから5バックを形成して守りを固める慶大に対して、「サイドから早い段階でセンタリングを上げたり、泥臭いプレーで点を取ろうという話は監督からもあった」(FW大井美波、スポ2=大阪・大商学園)と狙いを持ってゲームに入った早大。立ち上がりから積極的にボールを動かして相手の隙をうかがった。すると6分、左サイドでドリブルで仕掛けたFW熊谷汐華(スポ2=東京・十文字)が中央にボールを送ると、大井が飛び込む。このこぼれ球を河野が詰めて幸先よく先制に成功した。その後もゲームを支配する早大は、18分に右サイドから大井がアーリークロスを送ると、飛び込んだ河野の動きが相手GKの判断ミスを誘いそのままゴールイン。36分にもDF渡部那月(社2=兵庫・日ノ本学園)のクロス性のボールがネットを揺らして追加点を奪った。随所でワンタッチプレーも見られるなど、終始いい流れで攻め立てた前半を3-0で終えた。

 FW平國瑞希(スポ3=宮城・常盤木学園)を投入し、選手の並びを少し入れ替えた後半も流れは変わらず。立ち上がりの51分には、その平國からのボールを中央で受けた大井に決定機が訪れた。DFを背負いながらボールを受けると、ゴールへの意識が生んだのは反転からのシュート。ゴール左隅を捉え、この日自身2点目を記録した。さらに勢いづく早大はロングボールで相手DFの裏を狙う動きが活発になると、これが実を結んだのは75分だった。MF中村みづき(スポ3=浦和レッズレディース)からの縦のボールに抜け出した河野が相手GKを引き付けラストパス。フリーで走りこんできた熊谷汐が確実に決めて5-0とした。一方、この日は守備も安定。90分間で慶大のシュートを枠外への1本に抑え込み、今季6度目のクリーンシート達成となった。

今節で2得点の活躍を見せた大井

 「(慶大が)5バック気味で来るっていうのはなんとなく分かっていた」(河野)というこの日のゲーム。中村を中心としてピッチの幅を使ったボール回しを見せ、慶大の3枚の中盤を翻弄(ほんろう)した。攻撃面は「イメージ通りできて上手く崩せた」(河野)と手応え十分だ。また、中断期間の練習試合で「失点が多くなってしまった」(渡部)という守備陣も、前線に残ってカウンターを狙い続けたケイオーの2トップに対して90分間集中を継続。起点になろうとする選手に確実にプレッシャーをかけ、的確なラインコントロールから大量のオフサイドも奪った。攻守ともに噛み合った結果の会心の勝利を挙
げ、後期の初戦をいい流れで通過した早大。次節は前半戦で唯一勝利を逃した筑波大との対戦となる。「力の差を見せつけて勝ちたい」(河野)と、後期全勝を目指す選手たちはリベンジを狙っている。

(記事 守屋郁宏、写真 下長根沙羅)

スターティングメンバー

後期関東女子リーグ戦第1節
早大 3-0
2-0
慶大
【得点者】(早)6河野、18・51大井、36渡部、75熊谷
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 木付優衣 スポ2 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース
DF 渡部那月 社2 兵庫・日ノ本学園
DF 奥川千沙 スポ3 静岡・藤枝順心
DF 三浦紗津紀 スポ2 浦和レッズレディースユース
DF 32 中田有紀 スポ1 兵庫・日ノ本学園
MF 中井仁美 スポ3 兵庫・日ノ本学園
MF →70分 高瀬はな スポ1 ジェフ千葉レディースユース
MF ◎10 中村みづき スポ3 浦和レッズレディース
MF 23 安倍由希子 スポ2 宮城・聖和学園
FW →HT 平國瑞希 スポ3 宮城・常盤木学園
FW 河野朱里 スポ2 静岡・藤枝順心
FW 22 熊谷汐華 スポ2 東京・十文字
FW 26 大井美波 社2 大阪・大商学園
◎はゲームキャプテン
監督:福島廣樹(昭45教卒)
関東女子リーグ戦1部順位表
順位 校名 勝点 試合数 得点 失点 得失差
早稲田大学 22 21 +19
ジェフ市原・千葉レディースU-18 15 13 11
日テレ・メニーナ 14 18 10 +8
浦和レッズレディースユース 13 14 10 +4
東京国際大学 10 15 -7
関東学園大学 14 -7
筑波大学 14 -7
慶大 12 -11
※後期第1節終了時点暫定
コメント

FW大井美波(社2=大阪・大商学園)

――今日の試合を振り返って

今日はケイオーが相手だったので、いつもぎりぎりの試合になるので、練習から慶應をイメージしてきょうもその通りやろうと思ったのですが、早い段階で1点取れてそこからいい流れにつながったと思います。

――きょうの慶應は引いて固めてきましたが、前線の選手として意識したことはありますか

いつも引いた相手に対してうまくやろうとしすぎて点を取れなかったので、サイドから早い段階でセンタリングを上げたり、泥臭いプレーで点を取ろうという話は監督からもありました。

――そんな中で大井選手は2得点を記録しました

まあ1点目はラッキーな、河野(朱里)さんが抜け出してくれて、相手GKのミスという形だったと思うのですけど、2点目はゴールに向かうという意識でプレーして点を取れたのでよかったです。

――きょうは後期初戦というだけでなく、早慶定期戦の前哨戦のような意味合いもあったと思います

ケイオー相手だと、お互いプライドを持っていつも以上に力を入る中で、きょうは多く点を取って勝てたのは良かったと思います。

――次節への意気込みをお願いします

後期開幕戦をいい流れで通過できたので、次の試合も自分たちの持ち味を出せるように、また次の練習から切り替えてやっていきたいと思います。

FW熊谷汐華(スポ2=東京・十文字)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

早い時間で先制点を取れて、いい流れで全体的に運べたので良かったです。

――前期の関東リーグが終わって1ヶ月が経ちましたが、後期開幕戦までの1ヶ月間、チームとしてどのようなことに取り組んできましたか。

前期で出た自分たちの課題を話し合って、修正して後期につなげていけるように練習試合などを通していい準備ができたと思います。

――今日は大量得点でしたが、ご自身の得点を振り返っていかがですか。

自分がフリーでもらえたのでいい形で、ラッキーなゴールでした。決められて良かったです。

――7月6日の早慶定期戦に向けても、今日の結果は自信のつくものになったのではないですか。

そうですね。チームでやりたいことが結構できた試合だったので、早慶戦に向けてもこれくらいの点差で勝てるように自信はついたと思います。

――次戦の筑波戦に向けての意気込みをお願いします

筑波とは前回引き分けているので、絶対に勝ち点3を取りにいきたいのと、今日のようにしっかり点を取っていきたいと思います。

FW河野朱里(スポ2=静岡・順心藤枝)

――早慶定期戦の前哨戦となる試合でした

定期戦の前に試合があるということで、自分たちの力を見せて敵わないということを思い知らせようということでチームとして入ったので、5点取って完封できたので良かったと思います。

――1点目を振り返って

1点目はこぼれてくる位置にいたのですが1個目はこぼれて来なくて、2個目で弾かれたところで自分のところに来て、反応できて良かったです。その前に2回くらい入れられるシーンがあったので、そこはもうちょっと決めてほしいなとは思いますけど、詰めれたのは良かったと思います。

――2点目を振り返って

GKの位置を見ることができていました。自分のモーションにGKが付いてきていて、このバウンドだとGKの手と足の間に行くなと想像してやっていたので、イメージ通りと言えばイメージ通りなんですけど。まあ、触りたかったなというのが正直なところです(笑)。

――慶大はかなり引いていましたが、その対処についてはいかがですか

5バック気味で来るっていうのはなんとなく分かっていました。こっちのフォーメーションが4-4-2で、張ってしまいがちなので、張ってしまうと前に固まってしまって裏に抜け出されるっていうのが分かっていたので、自分が一歩下がってそのスペースを空けて他の人に使ってもらうっていうのを意識してやっていました。そこはイメージ通りできて上手く崩せたと思います。

――すべてにおいて、プラン通り、イメージ通りにはまったということですね

はい。

――次戦に向けて意気込みをお願いします

(筑波大は)以前引き分けている相手で、そこだけ勝ち点3取れなかったので、ちゃんと力の差を見せつけて勝ちたいと思います。

DF渡部那月(社2=兵庫・日ノ本学園)

――本日の早慶戦は大量得点での勝利となりましたが、振り返っていかがですか

前半からしっかり決めることができたので、ほとんどワセダペースでできました。監督もケイオーには絶対負けないと言っていたので、全員で勝ちきれて良かったと思います。

――前期関東リーグ最終節からの1ヶ月間は、チームとしても個人としてもどう取り組んでこられましたか

他のチームも後期に向けてレベルアップしてくると思うので、自分たちも色々な練習試合に取り組んできました。DFとしては、中断期間で失点が多くなってしまったので、きょうは無失点でいこうと話し合ってやってきました。

――その言葉通り、きょうは無失点で終えることができましたね

ほぼ攻撃が頑張っていたというか、前からかけていたのですが無失点で良かったと思います。

――前期最終節に続き、今節も得点されていましたね

みんなに「狙ったの?」と言われたのですが(笑)、ぶっちゃけラッキーゴールでした。ですが入ったらゴールはゴールなので、良かったです。ファーサイドは狙っていたのですが、本当に入ってしまって良かったですね。ことしは個人的に点が決めたくて、点が決められるサイドバックに目標にしています。もっと点を取れたらいいなと思います。

――本日の内容は、7月6日に行われる早慶女子定期戦に向けても自信の付く内容だったのではないでしょうか

はい。これで早慶戦でも大差で勝てたらいいと思います。

――最後に次節の筑波戦に向けて意気込みをお願いします

前節は0ー0であまりいい内容ではなかったので、もっと攻撃面でDFラインからもサポートしていって、今度はしっかり勝ち切って、後期は全勝できるようにしたいなと思います。