じりじりと真夏のような日差しが照りつける早大東伏見グラウンド。3連勝と乗りに乗っているエンジイレブンが姿を現した。スターティングメンバーを送り出すハイタッチの瞬間に見えた弾ける笑顔からは、現在のチームの雰囲気の良さがうかがえる。序盤から終始ワセダがボールを支配し、多くのチャンスをつくり出す。前半こそ無得点であったが、66分、CKにDF三浦紗津紀(スポ2=浦和レッズレディースユース)がヘディングで合わせてゴール。これが決勝点となり、前期最終節へさらに勢いが付く4連勝となった。
豪快なヘディングで4連勝に導いた三浦
「最初から出し惜しみすることなくみんな積極的に前からプレスをして、しっかりディフェンスラインからポゼッションができていた」(MF中村みづき、スポ3=浦和レッズレディース)。試合早々からリーグ首位の貫禄を見せつけるかのように、ワセダは圧倒的にゲームの主導権を握る。キャプテンマークを巻いた中村を中心に細かくパスを回し、MF柳澤紗希(スポ2=浦和レッズレディースユース)や、FW河野朱里(スポ2=静岡・藤枝順心)が何度も相手ゴールに襲い掛かる。しかし、食らいついてくる相手を前に先制点が遠い。そのまま0-0で前半を折り返した。
「攻撃に厚みをだすためにもサイドバックが関わっていかないといけないと思っていた」と語るDF渡部那月(社2=兵庫・日ノ本学園)を始めとするディフェンス陣も、後半から積極的な攻撃参加を見せた。狙い通り前線に鋭い縦パスを出して攻撃のスイッチを入れる。FW平國瑞希(スポ3=宮城・常盤木学園)も滑り込みながらシュートするなど体を張ってゴールを狙い、幾度となく得点のチャンスを狙う。そして66分、立て続けに得たCKの2本目。柳澤の放ったボールに相手DFに競り勝った三浦が頭で合わせ、ついにゴールネットを揺らした。高い技術とスピードを持ち合わせた相手にあわやという場面もあったが、GK木付優衣(スポ2=ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)が思い切りの良い飛び出しで立ちはだかり、最後まで得点を許さない。全員が集中を切らさずにプレーし、1−0で勝利をつかみ取った。
渡部をはじめとするディフェンス陣も積極的な攻撃を見せた
「きつい試合だった。最後は攻め続けられていて、なんとか守ったという感じでした」(三浦)。ポゼッションはワセダが完全に上回っていたものの、集中力を一瞬たりとも切らすことのできないような緊張感があった今試合。試合後の選手たちは、疲労の色を隠せないようだった。終わってみれば1−0だが、このスコア以上に多くの収穫があった試合であったことは間違いない。次節で関東リーグは前期最終節となる。相手は現在2位でワセダを追う浦和レッズレディースユース。厳しい戦いが予想されるが、いまのワセダには勝ちしか見えていない。
(記事 篠原希沙、写真 高橋弘樹)
スターティングメンバー
関東女子リーグ戦第6節 | ||||
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早大 | 1 | 0-0 1-0 |
0 | 日テレ・メニーナ |
【得点者】(早)66三浦 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 16 | 木付優衣 | スポ2 | ジェフユナイテッド市原・千葉レディース |
DF | 2 | 渡部那月 | 社2 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | 3 | 奥川千沙 | スポ3 | 静岡・藤枝順心 |
DF | 4 | 三浦紗津紀 | スポ2 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 32 | 中田有紀 | スポ1 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 6 | 柳澤紗希 | スポ2 | 浦和レッズレディースユース |
FW | →78分 | 大井美波 | 社2 | 大阪・大商学園 |
MF | 8 | 中井仁美 | スポ3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | →71分 | 高瀬はな | スポ1 | ジェフ千葉レディースユース |
MF | ◎10 | 中村みづき | スポ3 | 浦和レッズレディース |
FW | →90分 | 山田仁衣奈 | スポ1 | 大阪・大商学園 |
FW | 7 | 河野朱里 | スポ2 | 静岡・藤枝順心 |
FW | 9 | 平國瑞希 | スポ3 | 宮城・常盤木学園 |
FW | 22 | 熊谷汐華 | スポ2 | 東京・十文字 |
FW | →61分 | 熊谷遥楓 | スポ3 | 北海道大谷室蘭 | ◎はゲームキャプテン 監督:福島廣樹(昭45教卒) |
関東女子リーグ戦1部順位表 | |||||||||
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順位 | 校名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失差 |
1 | 早稲田大学 | 16 | 6 | 5 | 1 | 0 | 13 | 1 | +12 |
2 | 日テレ・メニーナ | 11 | 6 | 3 | 2 | 1 | 11 | 7 | +4 |
3 | 浦和レッズレディースユース | 10 | 6 | 3 | 1 | 2 | 10 | 7 | +3 |
4 | ジェフ市原・千葉レディースU-18 | 9 | 5 | 3 | 0 | 2 | 9 | 8 | 1 |
5 | 関東学園大学 | 9 | 6 | 3 | 0 | 3 | 10 | 12 | -2 |
6 | 筑波大学 | 4 | 6 | 1 | 1 | 4 | 7 | 11 | -4 |
7 | 東京国際大学 | 4 | 5 | 1 | 1 | 3 | 4 | 12 | -8 |
8 | 慶大 | 2 | 6 | 0 | 2 | 4 | 1 | 7 | -6 |
※第6節暫定 |
コメント
MF中村みづき(スポ3=浦和レッズレディース)
――4連勝ということですが、本日の試合を振り返っていかがですか
きょうは天気も暑かったし、結構きつい試合になるかなと予想していました。ですが、最初から出し惜しみすることなくみんな積極的に前からプレスをして、リスクマネジメントをしつつディフェンス面でも厳しくできていたので良かったと思います。サイドを中心にサイドバックが上がれていたと思うので、そこはハーフとの関係が良かったです。攻撃に関しては、しっかりディフェンスラインからポゼッションができていました。それは得点にはつながりませんでしたが、全体的に良かったと思います。
――相手は足元の技術に優れた選手が多かったと思いますが、どんなことを意識していましたか
足元がうまい選手が多いので、飛び込みすぎると一発で交わされてしまうというのがありましたね。特に中盤の選手は足元がうまい選手が多かったので、ディフェンスとしてはインターセプトを狙うのはもちろん、無理はしないでじっくり対応していました。個人的には前線に入ったときに、プレスバックを意識していましたね。
――今節で4連勝ということで、チームとしてもさらに勢いづいてきているのではないでしょうか
そうですね。4連勝というのは大きいと思いますし、勢いがあるのも事実だとは思います。しかこのようなところでこけたりせずに、しっかり次も勝って前期優勝したいです。
――次戦で前期が終了となりますが、意気込みをお願いします
個人としては試合に出ることができたら、しっかり落ち着いてゲームをつくることだったり、前線からハードワークをしたり、守備や場面では追ったり、球際では負けないという基本的なところを頑張ろうと思います。チームとしてはこの勢いをしっかりもって、失点が少なくこれているので次節もしっかり0で抑えて得点できたらいいと思います。
FW平國瑞希(スポ3=宮城・常盤木学園)
――チームとしてうまく試合に入ることができたのではないかと思いますが、試合を振り返ってください
決めきらなければならないシーンも多かったのですが、みんなで焦らずにプレーできたことは良かったと思います。
――後半にリードを奪ってから、なにか意識したことはありますか
とにかく全員で前から守備をしていって、ハードワークを続けていけたのが良かったと思います。
――メニーナには足元の技術が巧みな選手が多かったと思いますが、前線でプレーする選手として気をつけたことがあれば教えてください
相手のサイドハーフやサイドバックに食いつきすぎないように、しっかり体を張ってプレーすることを意識したのですが、何回か抜かれてしまったのでそこは今後気をつけたいところです。
――今日の勝利で4連勝となりました
流れが悪くてもみんなで声を出し合えているので、チームの雰囲気は結構良いのではないかと思います。
――次の試合への意気込みをお願いします
次節の相手のレッズユースも強いチームなので、きょうみたいに粘り強い戦いができるように自分も貢献していきたいです。
DF渡部那月(社2=兵庫・日ノ本学園)
――勝利おめでとうございます、振り返っていかがですか
立ち上がりから全員で前出てプレッシャーをかけていこうとしていました。最初からゲームを支配することができていたのでよかったです。
――攻撃に積極的に参加していましたが、気をつけた点はありますか
攻撃に厚みをだすためにもサイドバックがかかわっていかないといけないと思うので、ボールが前にでたときは攻撃にスイッチが入ったと思っているので、そこで支えることができて良かったです。
――縦パスを多く使い攻撃の支点になっていましたがどうですか
中村みづきさん(スポ3=浦和レッズレディース)を見ながら有効的に縦パスを使おうと意識していました。
――きょうの相手チームの印象はどうですか
足元がすごくうまいチームなのですが、高校生なのでフィジカル面では勝っています。なので、足でボールを取りに行くのではなく体全体を使ってプレスをかけていこうと意識していました。
――守備面では無失点といい形でした
守備については、センターバックの二人が相手チームの9番をしっかりマークして潰してくれていたのでそのカバーに回ったり、インターセプトを狙ったりしていました。
――今回の勝利で4連勝となりいいかたちで次に臨めると思います、最後に次戦の意気込みをお願いします
次は浦和戦なのですが去年のこの時期に負けているので、次は勝って前期優勝したいと思います。
DF三浦紗津紀(スポ2=浦和レッズレディースユース)
――きょうの試合を振り返ってみていかがですか
きつかったですけど、勝てて良かったです。最後は攻められていて、なんとか守りきれてって感じだったので。
――得点シーンについて、練習通りといった感じでしたか
きょねんは何点か取れていたんですけど、ことしはまだ0点で練習でもあまりうまくいっていないことが多かったです。色々と工夫しながら考えてやっている中での1点だったので、すごい嬉しかったです。
――相手は技術もスピードもある選手が多くいましたが、どのようなことを意識してディフェンスをしていましたか
FWの選手がかなり速いというのは情報として入っていて、上手いというのも聞いていました。出させないというのと簡単に交わされない、シュートを打たせないというのを意識してやりました。
――4連勝ということで、チームの雰囲気はいかがですか
負けないなっていうのは感覚として出てきたので、これからもまた勝ち続けたいなと思います。
――次戦に向けての意気込みをお願いします
古巣ということもあって、絶対負けたくないので(笑)。空回りしないように強い気持ちを持って勝ちたいと思います。