ついに幕を開けた関東女子リーグ戦(関東リーグ)。ア式蹴球部女子(ア女)の初戦の相手は慶大だった。強い雨と風が吹き荒れる難しいコンディションだったこともあり、「戦術的なことというよりは気持ちでもっていくしかない」(GK山田紅葉主将、スポ4=東京・十文字)と、お互いに気持ちをぶつけ合うかのようなゲームとなる。早大は前半23分にMF中井仁美(スポ3=兵庫・日ノ本学園)の技ありのループシュートで先制。その後も終始試合を優位に進めていった。何度かカウンターからピンチを迎えるも、DF三浦紗津紀(スポ2=浦和レッズレディースユース)を中心としたDF陣が奮闘する。無失点で試合を終え、気持ちのこもった早慶戦を1-0の完封勝利で飾った。
『挑越』をスローガンに、ことしも目指すは日本一だ!
前半は風下に立たされた早大。グラウンドに置いたボールでさえも流されてしまうほどの強風だった。その状況になかなか対応することができず、お互いにミスの目立つ立ち上がりとなる。しかも慶大のボールは風に乗って伸びていき、難しい守備を強いられた。それでもDF陣の安定したプレーでシュートまでは持ち込ませない。徐々に落ち着きを取り戻し始めた早大は23分、ペナルティーエリア内でのFW河野朱里(スポ2=静岡・藤枝順心)の落としに反応した中井がダイレクトでループシュート。見事ゴールネットを揺らした。その後も何度かチャンスをつくるも得点には至らず。1-0で前半を終えた。
サイドを入れ替えて迎えた後半。風を背負って戦うこととなった早大は、前半のようなカウンターによるピンチも少なくなる。攻撃の時間も増え、ゲームを支配していった。後半始まって6分でコーナーキックのチャンスを得ると、三浦が頭で合わせる。しかしこれは惜しくも相手GKの正面に。その後もMF中村みづき(スポ3=浦和レッズレディース)の強烈なミドルシュートなどで慶大のゴールに迫っていった。追加点こそ奪えなかったものの、攻守共に集中した試合運びで慶大を圧倒。完封勝利で関東リーグ好スタートを切った。
中井(一番左)が先制点を挙げ、弾けた笑顔で集う選手たち
関東リーグ8連覇が懸かっている中でプレッシャーはもちろんのこと、開幕からいきなりの早慶戦となったこの試合で勝利できたことは大きな自信になったはずだ。また、強い風雨という状況の中でも安定したディフェンスを継続できたことも収穫の一つだろう。長いシーズンのスタートを勝利で飾った早大。まずは関東リーグ制覇に向けて、大きな第一歩を踏み出した。
(記事 進藤翔太、写真 桝田大暉、中村ちひろ)
スターティングメンバー
関東女子リーグ戦第1節 | ||||
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早大 | 1 | 1-0 0-0 |
0 | 慶大 |
【得点者】(早)23 中井 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1◎ | 山田紅葉 | スポ4 | 東京・十文字 |
DF | 2 | 渡部那月 | 社2 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | 3 | 奥川千沙 | スポ3 | 静岡・藤枝順心 |
DF | 4 | 三浦紗津紀 | スポ2 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 32 | 中田有紀 | スポ1 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 6 | 柳澤紗希 | スポ2 | 浦和レッズレディースユース |
MF | →57分 | 高瀬はな | スポ1 | ジェフ千葉レディースユース |
MF | 8 | 中井仁美 | スポ3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 10 | 中村みづき | スポ3 | 浦和レッズレディース |
MF | →72分 | 安部由希子 | スポ2 | 宮城・聖和学園 |
FW | 7 | 河野朱里 | スポ2 | 静岡・藤枝順心 |
FW | 9 | 平國瑞希 | スポ3 | 宮城・常盤木学園 |
FW | 22 | 熊谷汐華 | スポ2 | 東京・十文字 | ◎はゲームキャプテン 監督:福島廣樹(昭45教卒) |
コメント
GK山田紅葉主将(スポ4=東京・十文字)
――開幕戦勝利おめでとうございます。試合を振り返っていかがですか
ありがとうございます。初戦なので難しい試合になると思っていたのですが、天候的にも何かスキル的なことや、戦術的なことというよりは気持ちでもっていくしかないなと思っていました。最終的に1点をもぎ取って勝てたことはチームにとってプラスだったと思います。
――対戦相手は今季から2部に昇格した慶大でしたが印象はいかがでしたか
いままでの早慶戦で引き分けが続いている相手だったので、そういう意味では気持ちを入れて絶対勝つという思いで戦いました。
――雨風で苦しみながらも早大が先制点を取りました。得点シーンを振り返っていかがですか
仁美(中井仁美、スポ3=兵庫・日ノ本学園)がうまく決めてくれたんですけれども、全体の勢いもあってのことだったので、前線の選手は守備にしても攻撃にしてもよく頑張ってくれました。
――後半もゴールを守りきりましたね
そうですね。でも、キーパーにボールがこないのが一番いいと思うので、前線の選手が頑張ってくれて、本当にそれはいいことなんじゃないかなと思います。
――1年生から2選手が出場されましたが、下級生のプレーはいかがでしたか
1年生ですけど戦力になる選手だと思うので、これからも学年に関係なく、どんな選手が出ても同じプレーができるような、そんなチームにしていきたいなと思います。
――初戦で見つかった新たなチームの課題はありましたか
後半少し足が止まっていたなというのは個人的な意見なのですが、そこは最後まで切らさずにやっていきたいなと思います。
――最後に次戦に向けての意気込みをお願いします
来週も関東リーグ優勝に向けて、一戦一戦全力で戦っていこうと思います。
MF中井仁美(スポ3=兵庫・日ノ本学園)
――悪天候の中での試合となりましたが影響はありましたか
前半は風下だったので、相手がロングボールを蹴ってきてカウンターが怖かったですね。ボールが戻されてしまいますし、やりにくかったです。
――そういった状況で、どんなことを意識してプレーしていましたか
福島廣樹監督(昭45教卒)からの指示もあったんですけど、安易な横パスは風で戻されてしまうので、横パスではなく、ななめ気味の縦パスを狙っていました。
――試合全体を振り返ってみていかがでしたか
早慶戦ということもありましたし、このグラウンド状況でもあったので、戦術どうこうというよりは気持ちのぶつかり合いになりました。しっかり勝てたので、ワセダのほうがそういった気持ちの面で強かったのかなと思います。
――事前にゲームプランなどは立てていたのでしょうか
こんな風が吹くとは思っていなかったので、それがなければいろいろと考えてはいたんですけど。この天候だったので、プランどうこうというのはなかったです。気持ちの勝負だと思っていました。
――それに関してのこの試合での評価としてはいかがでしたか
勝てましたし、良かったんじゃないかと思います。
――先制点のシーンを振り返ってみていかがですか
良いタイミングで前に上がれましたし、フリーな状態で朱里(FW河野朱里、スポ2=静岡・藤枝順心)から良い落としがきて、そこをしっかり決められたので良かったです。
――相手GKの頭を超えるシュートでしたが、狙い通りだったのでしょうか
そうですね。一応狙いました(笑)。上手くいったと思います。
――ついに関東女子リーグ戦が始まりましたが、目標は何でしょうか
目標は、きょねんまでずっと続いている連覇を止めないようにすることです。あと、昨季の4年生が偉大な人たちだったので、そこが抜けてしまったぶん、自分たちで新しいチームをしっかりと作っていって優勝したいです。
――8連覇中ですが、プレッシャーなどはありますか
ありますね。きのうは全然眠れなかったです。
――次戦の筑波大戦ではどんな試合をしていきたいですか
次はこんなコンディションでの試合ではないと思うので、しっかりとワセダらしさを出して常に試合を支配して勝ちたいと思います。
DF中田有紀(スポ1=兵庫・日ノ本学園)
――本日の開幕戦が関東リーグデビュー戦となりました。振り返っていかがですか
すごく緊張したんですけど、勝つという気持ちをみんなが持てていていいゲームができたと思います。
――雨風でコンディションが悪い中でも前半で早大が先制点を取りましたね
きょうは風がすごく強くて雨もあったので思うようなプレーができなかったんですけど、ゴールに攻めるという気持ちが持てていたのでそこが良かったです。
――高校との違いはきょうの試合で感じましたか
はい、そうですね。早い展開とか、フィジカル面でもすごい違うなと思います。
――緊張されていた中でも、中田選手のプレーはどのような点で勝利に貢献できたとお考えですか
粘り強さと気持ちの面です。自分はサイドバックで攻撃に参加することが多いのですが、オーバーラップやスピードに強みがあるのでそこだと思います。
――今季のご自身の目標は何でしょうか
優勝を目指して頑張りたいと思います。
――最後に次戦に向けての意気込みをお願いします
初戦で勝てていい流れがつくれたので、次の試合も必ず勝ちます。/p>