春から長期に渡って行われた関東女子リーグ戦(関東リーグ)もついに最終節を迎えた。早大は前節終了時点で関東リーグ7連覇の快挙を達成したが、今試合は全日本大学女子選手権(インカレ)前最後の公式戦となるだけに白星で弾みをつけたい。前期関東リーグでは無失点に抑えた東京国際大(◯1ー0)に対し、早大はスムーズなパス回しで相手ゴールへと果敢に迫ろうとする。しかし37分の思いがけぬ失点からリズムが崩れると、連動性を欠き、終盤の追い込みもむなしく2失点を喫す。最後まで得点を奪うことができず、黒星で関東リーグを締めくくった。
インカレに向けて修正を図るために、早大はフォーメーションとメンバーを大幅に変更し今節に臨んだ。立ち上がりから、DF高木ひかり(スポ4=静岡・常葉学園橘)をはじめとするディフェンス陣の懸命な守備で相手の攻撃を防ぎ、優位にボール運びを展開した。開始8分には、フリーキックのこぼれ球を拾ったFW河野朱里(スポ1=静岡・藤枝順心)が左からシュート。相手ディフェンスに阻まれたボールをMF大島瑞稀(社4=宮城・常磐木学園)が再び押し込むが、またもやかき出されてしまう。その後はパスをつなぐも、シュートまでつなげられずもどかしい時間が続く。そして37分、まさかの失点。相手のロングシュートをGK河邊花観(スポ4=宮城・常磐木学園)が一度はセーブしたものの、こぼれ球を押し込まれる展開に。そのまま得点を奪い返すことができないまま前半を折り返した。
今季公式戦初出場を決めたFW杉森愛希(スポ3=東京・十文字)
1点ビハインドで迎えた後半は、序盤から互いに譲らない一進一退の攻防となった。そんな中、56分に早大はまたもや手痛い失点を喫す。相手に右サイドから裏へスルーパスを出され、フリーで抜け出されたまま2点目を献上。早大は焦りからか、独りよがりなプレーでチームとしての連動性を欠いてしまう。終盤は粘り強くゴールを狙ったものの、決定的なチャンスを手にすることができず。0ー2のスコアを動かすことができずに試合終了のホイッスルが鳴り響いた。
残り約2週間で、しっかりと調整していきたい
インカレ直前に厳しい結果となった関東リーグ最終節。MF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)は、「いかに落ち着いて次のプレーを読むか、全員が状況を把握することを意識して、その中でプレーを変えていかなくてはならない」と冷静に改善点を分析した。もう間もなく迎えようとしているインカレまでに、成長できる余地はまだまだあるはずだ。タイトルを3つ手にした今季の早大ならば、インカレ王者も夢ではない。大学日本一に向け、なでしこたちは最後まで全力で走り続ける。
(記事 新庄佳恵、写真 梶井夏葉)
関東リーグ7連覇を達成したア式蹴球部女子
結果
関東女子リーグ戦第14節 | ||||
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早大 | 0 | 0-1 0-1 |
2 | 東京国際大 |
【得点者】(東)37小林、56小泉 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 河邊花観 | スポ4 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 2 | 堀口佳織 | スポ4 | 千葉・幕張総合 |
MF | →45分 | 山本摩也 | スポ4 | スフィーダ世田谷 |
DF | 7 | 高木ひかり | スポ4 | 静岡・常葉学園橘 |
DF | 14 | 菅原靖巴 | スポ2 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 24 | 渡部那月 | 社1 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 13 | 三田村桃子 | スポ2 | 宮城・常盤木学園 |
DF | →64分 | 松原有沙 | スポ2 | 大阪・大商学園 |
MF | 6◎ | 松川智 | スポ4 | 大阪桐蔭 |
MF | 4 | 大島瑞稀 | 社4 | 宮城・常盤木学園 |
MF | 26 | 柳澤紗希 | スポ1 | 浦和レッズレディースユース |
FW | →80分 | 杉森愛希 | スポ3 | 東京・十文字 |
MF | 19 | 稲山菜月 | スポ2 | 東京・十文字 |
MF | →45分 | 正野可菜子 | 社4 | 兵庫・日ノ本学園 |
FW | 31 | 河野朱里 | スポ1 | 静岡・藤枝順心 |
◎はゲームキャプテン 監督は福島廣樹(昭45教卒) |
コメント
MF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)
――きょうの試合は、勝つのはもちろんのこと、全日本大学女子選手権(インカレ)に向けた調整の意味をも込めたものだったのでしょうか
そうですね、勝つことは大前提で、インカレ前の公式戦最後ということでフォーメーションを変えたりしながら臨みました。インカレに向けて、っていうのも含めて挑んだ中で、これがインカレだったら初戦敗退ということなので勝ち切れなかったことは残念です。インカレ前の関東女子リーグ戦(関東リーグ)で負けたことは最後に残る課題かなと思います。
――メンバーも大きく変わっていましたが、それも部内のメンバー争いからくるものだったのでしょうか
そうですね、誰が出てもおかしくない状況の中で、インカレを想定しながら戦いました。最終的に0-2で負けている中で自分たちがどう戦うかは明確にはなっていなくて、そういった意味での調整をしたいなと今回の試合を通して感じました。
――立ち上がりはパスが通っていた印象でしたが、試合をしていていかがでしたか
自分がプレーをしていてタッチ数少なくボールを回せていた印象はなかったのですが、味方にサイドやフォワードにボールが入ったときの周りの3枚4枚がもっと関われたら攻撃のバリエーションも増えますし、距離感がいい中での試合ができたのかなとは感じました。
――ビハインドを背負って迎えた後半におけるワセダのプレーというのはいかがでしたか
個人個人のプレーになってしまって、連動性に欠けてしまったのかなと感じました。焦る試合展開だったとは思いますが、その中でいかに落ち着いて次のプレーを読むか、状況を把握することをもっと全員が意識して、その中でプレーを変えていかなくてはならないと思います。やっぱりもっとシュートの意識を全体的に高めていかないと、ゴールも生まれないですし、勝つことはできないと感じました。
――アウェーの洗礼もありましたが、そういった経験もインカレに生きてくるのでしょうか
ポジティブにとらえるとインカレは関西のチームとも戦いますし、その中でアウェーの応援があるなかで試合をするかもしれないので、そういう状況を想定すると今回の試合はよかったのかなと思うのですが、これからいかに課題を改善できるかっていうのが試される期間だと思います。東京に戻ってくることを大前提に置いて、そこを追求していきたいと思います。
――インカレに向けて、今のチームに何が必要ですか
皇后杯全日本女子選手権(皇后杯)関東予選や皇后杯っていうのは流れがいい中での試合が多くて、一人がボールを持つと周りが動き出すという連動性があってトーナメントを勝ち進めたと感じています。最後に向けて、試合の流れを読む選手や状況に応じて戦っていけたらいいなと思いました。
FW杉森愛希(スポ3=東京・十文字)
――試合を終えて率直な感想は
自分が最後の10分でやることというのは決まっていたんですけど、それを結果として残せなかったので、正直に悔しいです。
――きょうの試合は関東リーグの最終節でしたが、チームとしてどのように臨まれましたか
優勝は決まっていたんですけど、最後の一戦をインカレのシュミレーションとして勝ちきれるようにと臨んだんですけど、いいところもあったんですけど、課題がたくさん残ったので、これから調整して改善していければいいなと思います。
――杉森選手自身、今季初、久しぶりの公式戦でしたが、いかがでしたか
最初自分が呼ばれた時に正直言って、来たか、という感じで、緊張も確かにあったんですけど、最後自分がやってやろうという気持ちの方が大きくて、最後10分しかなかったんですけど思いっきりやりました。
――きょうはFWでの起用でしたが、普段はどのポディションを練習されているのですか
普段はDFが多くて、センターバックとかが多いです。
――FWでの起用はいかがでしたか
FWは1年生の時にやっていて、久しぶりだったんですけど、自分のポテンシャルとか持っているものを、どう生かすかというのはいつも考えているのでそれを出せるように臨みました。
――周りの選手との連携などの面はいかがでしたか
正直、自分が最後に入った時のことをシュミレーションしたのは今回初めてというか、今まであまり調整していなかったんですけど、その部分で結構、思い違いとかかみ合わなかった部分はあるんですけど、それが今回わかったので、最後1週間ちょっとですけど、調整していきたいと思います。
――きょうの試合で課題が見つけられたというのは大きかったですか
そうですね、皇后杯が終わってからみんなの中でも納得いかない部分というのが多いんですけど、最後にこのチームで成長できる部分でもあると思うので、最後にできることをみんなでやりきれればいいかなと思います。
――最後に、インカレに向けて
今まで初戦敗退というのを何度も経験してきて、自分の中では4年生に最後優勝をプレゼントしたいというか、感謝の気持ちを表して、且つ自分の中でもちゃんと結果を残せるように、最後みんなの総力戦で戦いきれたらいいなと思います。
MF三田村桃子(スポ2=宮城・常盤木学園)
――公式戦久しぶりのスタメンとなりましたが試合に入ってみて手ごたえはいかがでしたか
ずっと試合に出られなくて、自分自身で思うこともあったのですが、今回はメンバーに選ばれて出られるってなった時に守備のことを結構多く言われていたので、そこでしっかり自分ができることを果たそうと思っていました。
――前半は結構流動的なパスに関わっていましたが、自分自身のプレー振り返っていかがですか
守備のことを意識はしていたのですが、攻撃に切り替わった時に自分が結構長い時間ボールを持つのではなくて、簡単に味方にはたいたりとかサイドを使うということを意識していたので、簡単にダイレクトにつなげることはできたので良かったです。
――なかなか厳しい戦いになりましたが、今のチームには何が必要だと思いますか
今回はインカレを想定した中での試合でしたが、今回の試合は前半からシュートを打つ機会が少なくて、終盤には打てたけど得点には結びつけられませんでした。相手を怖がらせるとかそういう面でガツガツもっといくということと、パスのミスを減らすことが大事になってくると思うので、焦らずに攻撃を効率よくできるかが重要になってくると思います。
――最後になりますが、三田村選手は残りの2週間でどのように調整していきたいですか
自分自身の目標でありチームの目標でもあるインカレ優勝に向けて、チームにどう貢献できるかをよく考えて、自分の特長を生かしつつチームに少しでも貢献していければと思います。