関東大学女子リーグ戦(関カレ)第4節がホーム・早大東伏見グラウンドで行われ、ワセダは筑波大と対戦した。前節の神奈川大戦を1―1のドローで終え、勝利を収めたい一心でこの試合に臨んだ。ところが前半から思うようにチャンスを作ることができない。GK山田紅葉(スポ3=東京・十文字)のナイスセーブに助けられ何とか0―0で折り返す。迎えた後半もなかなかシュートまで持っていけずに重苦しい時間が続き、得点を奪えないまま試合終了。今節も、勝ち点3をものにできなかった選手たちの表情には悔しさが表れていた。
試合序盤からロングパスを多用し、前線の速い選手を生かすことで好機を演出しようとする。しかし、「ロングボール一辺倒になってしまった」(MF山本摩也副将、スポ4=東京・スフィーダ世田谷)と語るように、パターンが単調になってしまい、思うような攻撃を仕掛けることができない。そんな中26分にカウンターを食らい、一対一という危機的状況をつくられてしまう。山田紅が体を張ったセーブを見せ、何とか失点を逃れるワセダ。その後も自陣を脅かされ、強固な守備を強いられる。大きなチャンスがないまま迎えた40分、CKを獲得。MF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)のキックにDF松原有沙(スポ2=大阪・大商学園)が頭で合わせるもわずかに左にずれゴールとはならない。リズムがつかめないまま0-0で前半を終えた。
CKを頭で合わせるもわずかにずれ、得点とはならず
迎えた後半、攻撃の修正が求められた。ロングボールを使うことに固執せず、ボランチを経由したボール回しのイメージを持って臨んだ選手たち。しかし、なかなか思い通りのプレーを展開することができない。ワセダの攻撃パターンを先に読まれ、相手を優位に立たせてしまう。「つなぎを意識していかなければならなかった」と松原は振り返る。それでも61分に細かくパスを回し、GKを交わしたMF中村みづき(スポ2=浦和レッズレディ-ス)が足を伸ばして合わせるもゴール右に。その後、終了間際に得たCKに最後の望みをかけたエンジイレブン。松川の蹴ったボールは松原に当たるが、うまくミートせず惜しくも得点とはならない。結局最後までネットを揺らすことができないまま試合は終わりを遂げた。
関カレも折り返し。ワセダの底力を見せるときだ
前節のドローに引き続き、またしても勝利をつかみ取ることができなかったワセダ。関カレでは苦しい状況が続いている。しかし下を向いている暇はない。きょうの流れを断ち切って今度こそは勝ちにつながるプレーを選手全員が見せるはずだ。「1試合1試合落とすことなく、強い気持ちを持っていきたい」という松川主将の言葉には、関カレ優勝へのまっすぐな熱意がうかがえる。次節、ワセダは国士館大と対戦する。きょうの試合で見つかった課題を克服し、次節こそは勝利を飾りたい。
(記事 土谷奈々、写真 進藤翔太、田中佑茉)
スターティングメンバー
結果
関東大学女子リーグ戦第4節 | ||||
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早大 | 0 | 0-0 0-0 |
0 | 筑波大 |
【得点者】なし |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 16 | 山田紅葉 | スポ3 | 東京・十文字 |
DF | 4 | 大島瑞稀 | 社4 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 5 | 松原有沙 | スポ2 | 大阪・大商学園 |
DF | 34 | 三浦紗津紀 | スポ1 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 24 | 渡部那月 | 社1 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 6◎ | 松川智 | スポ4 | 大阪桐蔭 |
MF | 15 | 中村みづき | スポ2 | 浦和レッズレディース |
MF | →74分 | 三田村桃子 | スポ2 | 宮城・常盤木学園 |
MF | 10 | 正野可菜子 | 社4 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | →45分 | 熊谷汐華 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | 8 | 山本摩也 | スポ4 | スフィーダ世田谷 |
FW | 11 | 川原奈央 | スポ3 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | →57分 | 中井仁美 | スポ2 | 兵庫・日ノ本学園 |
FW | 31 | 河野朱里 | スポ1 | 静岡・藤枝順心 |
FW | →45分 | 山田彩未 | スポ1 | ジェフ千葉レディースユース |
◎はゲームキャプテン 監督は福島廣樹(昭45教卒) |
コメント
MF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)
――スコアレスドローという結果になりましたが
きょうは絶対に落としてはいけない試合ってことをわかっていたのですが、なかなか自分たちのペースに持っていくことができずに逆に相手に持ってかれてしまう場面が多くて相手の方が一対一のチャンスとかつくり出していたので、自分たちは何もできなかったゲームだったなと思います。
――松川選手はDF寄りのポジションを取って堅い守備をしていましたね
高木(MF高木ひかり、スポ4=静岡・常葉学園橘)が普段しているポジションを自分がやっていたのですが、少し引きすぎてしまったかなという印象を自分でも受けました。守備になった時に守備に対する気持ちが強すぎて、攻撃になった時に切り替えて攻撃へのシフトっていうのができていませんでした。距離感が遠くて、相手にセカンドボールを取られることも多かったので、そこはもっと自分から押し上げてっていうプレーができたらなと思います。
――試合は終始どっちつかずの展開となってしまいました
自分たちの方がチャンスは少なかったのかな、ということは試合を通して感じていて、相手の戻りが速くて自分たちの距離感は遠く、なかなか全体が関わって流動的な攻撃がありませんでした。その部分でボールホルダーに対して周りが関わってワンツーであったり抜け出せたりしたらよかったのかなと感じました。
――後半は、サイドからの攻撃を封じられ理想のプレーを展開できなかったように思われましたが
自分がボランチをやっていた中で、ワイドに展開できたらよかったのかなと思うのですが、そこでなかなかDFからパスを受けることができませんでした。展開といっても自分たちのDFからの苦し紛れの展開になっていたなと感じていて、そういった時にアリサ(DF松原有沙、スポ2=大阪・大商学園)から大きなボールが出ていたのですが、そればっかりになってしまって相手も対応してきたのかなと思います。ゲームの中でも流れを読み取って変えていく必要があるかなと思いました。
――皇后杯関東予選からどのようにコンディションを整えてきましたか
先週は3連戦で優勝し、その流れで今週も勝とうと話はしていたのですが大学生のリーグ戦はそううまくいかず、今回ドローに終わってしまいました。次からはもう落とせない試合が一戦一戦続いていくので次につながるように1試合に意気込んで、勝ちだけをつかみ取りたいと思っています。
――関東大学女子リーグ戦(関カレ)は苦しい状況が続いていますがどのように打破していきたいとお考えですか
きょうの試合みたいに苦しい展開になった時に、一人一人が自分たちのどこが悪いかゲームの流れを読み取って、それを共有していく必要がありますし、一人でも打開できる選手がいればそこで空気が変わるのかなと思いました。
――来週は国士館大との試合となります。意気込みをお願いします
関カレも残り少なくなってきたのですが、自分たちの目指している日本一に向けてはほんの通過点に過ぎないので関カレも優勝するという気持ちで1試合1試合落とすことなく、強い気持ちを持っていきたいです。この前戦った皇后杯関東予選のように外から見ても強い気持ちを持っていることがわかるような試合をしていかなくてはならないと思います。
MF山本摩也副将(スポ4=東京・スフィーダ世田谷)
――きょうは中断期間を経ての試合でしたがいかがでしたか
皇后杯関東予選で優勝でしたのでその勢いを関カレにもつなげようっていう感じでやりました。
――試合終了時落胆した表情を見せていましたね
もう2分けしてしまったしこの引き分けは負けに等しいというか。引き分けという結果がダメだったなと思います。
――引き分けに終わってしまった原因は何だとお考えですか
やっぱり試合の入りが悪かったし、それを自分たちで立て直せずに流れのままで試合を進めてしまったっていうのがすべてですね。
――筑波大は足を使ってくる印象を受けたのですが、実際にやってみていかがでしたか
前半とかはロングボールで前の速い選手が抜け出して、堅守速攻じゃないですけど、しっかり守って前の速い脚で仕留めるっていうサッカーを徹底していたので、それに相手が乗ってしまった時間もあったし自分たちがすべて原因かなと思います。
――ロングボールをかなり使っていました
蹴れる選手もいて新しい武器として取り入れているなかで、それ一辺倒になってしまったというか同じリズムやテンポでサッカーをしてるだけじゃやはり試合も変わっていかないので、臨機応変にやれなかったところは課題だし、あと守備の部分で距離感も悪かったのでそこは改善していかないといけないなと思います。
――MF高木ひかり選手(スポ4=静岡・常葉学園橘)の欠場も流れに乗れなかった原因のひとつでしょうか
ずっと試合に出ている選手ですし、ワセダの中心としてやってくれている選手ですけど、そこを理由にしてはいけないと思うし、チーム力としてどうこうというより他の選出や出ている選手がやらなきゃいけないと思います。
――次戦への意気込み
さっきも言ったんですけど、きょうの引き分けは負けと考えて、自力優勝するには全勝しかないし、インカレもまだ決まってはいないし、結構ギリギリの戦いだと思っているので、次戦は必ず勝つようにしてしっかりみんなで準備をしていきたいと思います。
MF正野可菜子(社4=兵庫・日ノ本学園)
――スコアレスドローに終わったこの試合ですが、率直な感想をお聞かせ下さい
悔しいというか自分のチームで勝てず、何もできなかったです。
――試合中でも相手に自分たちの思うようにやらせてもらえていなかったのでしょうか
球際としては向こうの方が強く来ていましたし、ワセダの攻撃が単調で相手にとってはやりやすい攻めしかしていなかったのかなという印象です。
――ロングボールを多用していましたが、ハーフタイムで攻撃の修正なども話に上がったのですか
全体的な動きが分かりやすいというのもあったので、もうちょっとチームで距離感をよくしていこうというのは前半の途中から意識的に声をかけていたのですが、それがうまく修正できなかったですし、自分たちのミスが多かったからやはり点にはつながらなかったのかなと思います。
――このような試合展開だとチームとしてもフラストレーションが溜まってしまうのでしょうか
チームとして今回は全然上手くいかなくて、そういったところで打開できる選手だったり、自分も含めそういったきっかけになるプレーをしていかなければと思います。
――きっかけづくりやスイッチを入れる事ができるアクションが必要ということですね
そうとも言えますし、チームとしてこうしようだとか、雰囲気高めるだとか、そういったところが欠けていたのだと思います。
――トーナメントが終わりまたリーグ戦に戻ってきた事もあり、切り替えも難しかったのでは
勝つという点では変わらないので、そこは継続しないといけないですが、やっぱりどこかが抜けてしまっていたのかなと思います。
――ここからまた次の試合へ切り替えていくのは難しいと思いますが、次の国士館大戦に向けどのような取り組みをしていくのかお聞かせ下さい
今回のようなことはもうできないので、しっかり次に切り替えないといけないですし、勝っていくしかないので、そこはしっかりチームでつくり上げていきたいと思います。
GK山田紅葉(スポ3=東京・十文字)
――きょうの結果についてお願いします
全然満足できていないというか、むしろ不甲斐ないというかそんな感じです。
――月曜日に皇后杯優勝されましたがきょうに向けてどのように調整されましたか
自分の中でこれは切り替えて過去は過去っていう形で全く別の大会に入っているので、勝ったということはひとまず置いておいて次の試合にシフトを切り替えていかないといけないなという思いで練習に取り組んでいました。練習が雨ということで少しシミュレーションしにくい部分もあったんですけど、気持ちの面ではちゃんとこっちにシフトしていこうという思いで中の日にちは過ごしていました。
――ピンチの場面で何度もセーブしていましたがきょうのご自分のプレーはいかがでしたか
絶対負けたくないという思いもあったので、ああいうピンチというのは試合の中で必ず一回か二回は出てくるものだと思うので、まあそれが自分の役目だとも思っているので、そこは止めなきゃいけないと思ってやりました。
――攻撃の面で後ろから見ていてどこが気になりましたか
少し単調な攻撃になってしまっていたので、それはハーフタイムにも少し言われていて、改善してかなきゃいけないって言っていたんですけど、それがうまく後半でかたちに表すことができなかったのでそれは課題だなと思います。
――関カレでチームは苦しい位置にいると思いますがどうしていきたいですか
そうですね。本当だったらきょうの試合は絶対勝たなきゃいけない試合ですし、これからの試合も絶対勝たなきゃいけないんですけど、なってしまった結果は変えられないので、今回の課題をしっかり改善して練習から本気で取り組んで、次の試合からは負けなしで最後の日体大戦まで勝ち続けたいなと思います。
――次の試合までにどこを改善していこうと思いますか
攻撃のかたちがワンパターンにならずにちゃんと中も使いながら、そのイメージをみんなで共有できるようにそういう部分を改善したいなと思いますし、決してDFの方で課題がなかったわけではなくて、川原(FW川原奈央、スポ3=兵庫・日ノ本学園)が抜けた時にふわっとした空気があったので、そういう集中が切れた瞬間っていうのが一番危ないので、そういう部分でもちゃんと集中を切らさずに、堅実なプレーをするっていうのをDF陣も心がけなきゃならないなと思います。
――次の試合に向けて一言お願いします
次はもう負けられないので、絶対勝ちたいと思います。
DF松原有沙(スポ2=大阪・大商学園)
――きょうの試合はいかがでしたか
単調なプレーばかりになってしまって、そこからロングボールしかないという状態になってしまい、もっと足元へのボールを入れることができればよかったと思います。あとは、チャンスもあまりつくれず、相手にボールを回されてしまって、本当に自分たちのプレーができなかったというのがきょうの印象ですね。
――試合後の選手のみなさんの表情はかなり悔しそうでしたが、やはりこの結果に対して、悔しさはありますか
そうですね、負けられない試合が続く中で、勝ち点3を取れなかったことは悔しいですね。
――試合全体を通して、きょうは何が一番足りなかったと思いますか
ロングボールばかりになってしまって、サイドの裏しかない状態で、相手が引いてきても跳ね返されるばかりで、やはりこういうところで臨機応変にボールをつなげることができなかったことが、一番良くなかった部分だと思います。
――きょうの試合、松原選手からのロングボールが多かったことは、狙いというよりは、むしろそうさせられてしまったということなのでしょうか
前半は狙いとして使っていたのですが、後半はもう少しボランチを経由して展開しようという話をしていた中で、それがなかなかできず、自分がもう少しロングではなく、つなぎを意識していかなければならなかったと思います。
――無失点で終えたディフェンスに関しては
キーパーに救われた場面も多かったですし、自分ももっとレベルを上げていかなければならないと思いました。
――MF高木ひかり(スポ4=静岡・常葉学園橘)選手の欠場は、やはり影響がありましたか
ひかりさんはボールを奪われずに展開するのがすごくうまいのですが、きょうはみんなでカバーできたと思います。ただ、少なからず影響はあったのかなと思います。
――最後に次戦への意気込みをお願いします
もう本当に負けられないので、自分たちでしっかりと改善するべきところを改善して、自分たちの中で気持ちを高めて、自分たちのプレーで勝ちたいと思います。