終始優位なサッカーを展開し、まずは宿敵に1勝!

ア式蹴球女子

 ついにもう一つのリーグ戦、関東大学女子サッカーリーグ戦(関カレ)が始まった。昨シーズンの雪辱に燃えるワセダに立ちはだかる開幕戦の対戦校は、因縁の相手である慶大。高いボール保持率でゲームを支配する前半、MF高木ひかり(スポ4=静岡・常葉学園橘)が待望の先制点を挙げる。その後も幾度となく相手ゴールに迫り、追加点への期待を残し試合を折り返す。だが後半は一転、慶大の堅い守りを崩せず、次の1点まで一歩及ばない。さらに終盤にかけて相手にボールを回される時間帯が続いたが、大きな決定機をつくらせることなく守り切り、1-0で勝利した。

 以前から、立ち上がりの時間帯に失点してしまうことが多かったワセダ。しかし、「合宿で共通理解を深めた」(MF松川智主将、スポ4=大阪桐蔭)と自信を持って語るように、巧みなパスサッカーで圧倒的にボールポゼッションをしていく。10分、FW河野朱里(スポ1=静岡・藤枝順心)がFKを獲得。キッカー松川の放ったボールは絶妙な位置に飛んだものの惜しくもゴールとはならなかった。しかしその後も、FW川原奈央(スポ3=兵庫・日ノ本学園)のシュートを皮切りに惜しいシュートを連発し、得点への期待を高めていく。そして迎えた34分、「裏へ抜けるプレーを狙っていた」と語る高木が、松川からのロングパスに狙い通り抜け出し、勢いそのままシュート。一度は相手GKに防がれるが、冷静にもう一度蹴り込み、待望の得点をワセダにもたらした。その後も攻撃の手を緩めることなく何度も慶大ゴールに襲いかかり、終始ワセダペースのまま1-0で前半を折り返した。

序盤からワイドな攻撃でテンポよく試合を展開した

 追加点への期待がかかる後半、代わって入ったMF熊谷汐華(スポ1=東京・十文字)が開始早々いきなり切り込みシュートに持ち込む。これは惜しくも外れるが得点を予感させるものとなった。その後もワセダペースでボールを支配するが、5バックを有する相手DFのカベを破ることができない。時折相手のカウンターに自陣を脅かされピンチを迎えるが、今季公式戦初出場となったGK山田紅葉(スポ3=東京・十文字)がファインセーブを連発しチームを盛り立てた。試合終盤にかけて、慶大のさらなる猛攻を受けるも、選手たち全員が気迫のこもったプレーを発揮。PA内でこぼれ球を押し込まれそうになるなど手に汗を握る場面もあったが、見事ゴールを守り切り、1-0で開幕戦勝利を獲得した。

ファインセーブを連発した山田

 後半は慶大にペースを握られる場面がわずかにあったものの、終始ワセダの強みとする巧みなパス回しで試合を支配し、相手に決定機をつくらせなかった。開幕戦かつ早慶戦という出来過ぎのような舞台での無失点勝利は、関東女子リーグ戦が中断期間に入ってから得た新たな力を存分に発揮したからこそのもの。ところが「引いて守る相手を最後まで崩せなかった」(高木)と語るように、この結果に満足することなく、貪欲に自分たちのサッカーを追求しようとする姿勢は素晴らしい結果につながるはずだ。「(早慶定期戦での)借りを返せたという意味で大きな勝利」(MF中村みづき、スポ2=浦和レッズレディース)。宿敵慶大に勝利した勢いに乗って、ワセダのさらなる躍動に期待したい。

(記事 篠原希沙、写真 近藤廉一郎、高橋弘樹)

スターティングメンバー

結果
関東大学女子リーグ戦第1節
早大 1-0
0-0
慶大
【得点者】(早)34高木
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 16 山田紅葉 スポ3 東京・十文字
DF 24 渡部那月 社1 兵庫・日ノ本学園
DF 大島瑞稀 社4 宮城・常盤木学園
DF 34 三浦紗津紀 スポ1 浦和レッズレディースユース
DF 14 菅原靖巴 スポ2 浦和レッズレディースユース
MF 6◎ 松川智 スポ4 大阪桐蔭
MF 高木ひかり スポ4 静岡・常葉学園橘
MF 10 正野可菜子 社4 兵庫・日ノ本学園
MF →81分 中井仁美 スポ2 兵庫・日ノ本学園
MF 15 中村みづき スポ2 浦和レッズレディース
MF →85分 山本摩也 スポ4 スフィーダ世田谷
FW 11 川原奈央 スポ3 兵庫・日ノ本学園
MF →45分 熊谷汐華 スポ1 東京・十文字
FW 31 河野朱里 スポ1 静岡・藤枝順心
◎はゲームキャプテン
監督は福島廣樹(昭45教卒)
コメント

MF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)

――早慶戦勝利おめでとうございます。慶大に勝ったのは久しぶりですが、試合を振り返ってみていかがですか

引いてくる相手に対して、自分達はなかなか試合を通してシュートまで行けずに苦労した部分があったのですが、前半の1点を守り切れたのは良かったことかなと思います。

――スカウティングはしていましたか

早慶戦を見て、スカウティングというのはしたのですが相手が引いてくるということに対する対策を、練習の時からもっとしておくべきだったなというのを試合を通して感じました。

――ワセダが攻めている時間帯が長い中で、時折カウンターで仕掛けられ危ないシーンもありました

大きいカウンターではなくて、小さいカウンターばかりでしたが、自分たちが攻める中でちょっとしたパスミスや、共通理解ができていない場面があったので、相手の選手に容易にパスを与えてしまったシーンは反省すべきだなと思いました。相手の選手は速かったのですが、そこからシュートを打たせることはあまりなかったのでショートカウンターや、相手のカウンターは狙い目だったと思いました。けど、そこにはまらないように考えていた中でなかなかうまくはいかず、クリアするところもはっきりできなかったので、後半特に攻められるシーンが多かった中でどのようにプレーするかをはっきりしなくてはならないと思います。

――ワセダの苦手とする、引いてくる相手でしたが、サイドなど得意のプレーでの展開を意識していたのでしょうか

早慶定期戦では5バックをしてきた中で、自分たちのプレーをすることができずシュートまで行くことができませんでした。今回もシュート数はそこまで多くなかったのですが、サイドを使ってワイドに攻撃しようということを話していました。どんどんシュートを打っていこうということに関しても話してはいましたが、今回もなかなか行けなかったので自分たちの課題でもありますし、今後の練習にも生かしていかなくてはいけないことかなと思います。

――合宿ではどのような強化を図りましたか

4泊5日をずっとみんなで過ごしたことで、共通理解を深めたりミーティングの中で戦術理解であったりを全員で取り組んできました。

――関東大学女子リーグ戦(関カレ)開幕ということで目標をお願いします

昨シーズンは悔しい結果に終わってしまったので、ことしこそは優勝して全日本大学女子選手権(インカレ)にもつなげていきたいです。

――東京国際大との試合に向けての意気込みをお願いします

中3日での試合の中で、それに合わせてどのようにコンディションを整えていくかが重要になっていきますし、練習もそこまで数多くはできませんが共通理解を大事にしたいです。それから、東京国際大がどんな相手かを想定しながら自分たちの戦い方を考えていくべきかなと思います。

MF高木ひかり(スポ4=静岡・常葉学園橘)

――まずは、きょうの試合を振り返ってみていかがでしたか

私は前回の早慶戦には出ていないので、きょうの試合に向けてとても気持ちは高ぶっていましたし、勝とうという気持ちで試合に臨みました。慶大が引いて守ってくるというのはわかっていたので、それをいかに崩していくかというところを考えてはいたのですが、それを最後まで崩し切ることができなかったのでそれがとても残念ですね。

――きょう唯一となった得点シーンについてお聞きしたいのですが

相手のサイドの守りが堅くてサイドから崩せないので、どうしてものプレーが続いてしまっていたので、相手の裏に抜けるようなプレーを狙っていたところに、松川(MF松川智主将、スポ4=大阪桐蔭)からいいパスが来たという感じですね。

――一度はGKに阻まれましたが、冷静にもう一度シュートされていましたね

実は、ゴールした瞬間を自分では見れていなくて(笑)。もう1対1になった時にこれは入れないとな、と思っていたんですけど、GKに止められてしまって。その後、もう一度シュートはしたんですけど、ゴールのところに相手DFがいるのが見えていたので入ってないかと思っていました。ほんと、入ってよかったなと思います。入ったので、結果オーライですね!(笑)。

――試合中、攻撃の起点となっていることもあり、チーム全体のバランスを見て様々なところでプレーしていたように見えました

そうですね、きょうの試合ではボールが集まっていたので、私からボールを出すことが多かった気がします。なので、これからは色々なところからボールを出していけるように相手を動かしたりするなど、工夫が必要になってくるなと思いました。

――次の東京国際大戦に向けて今回の試合のどのような点を直していきたいでしょうか

さっきミーティングで言われたんですけど、今日自分たちの攻めの方のCKが0だったらしいんですよ。それはやっぱり深い攻撃ができていないということだと。今度は、相手のエンドライン際、深い位置を突くような攻撃をきちんとしていかないといけないなと思いました。

GK山田紅葉(スポ3=東京・十文字)

――まず、今日の試合を振り返っていかがですか

初戦ということで難しい試合になると思っていましたが、守備陣の頑張りもあり、要所でしっかり抑えることができて良かったと思います。それが今回の無失点につながったと思います。

――今季初出場ということで今まで悔しい想いをしてきたと思います

そうですね。しかし初出場といってもいつでも試合に出られる準備、心構えをしていました。なのでようやく「自分の出番がきた。チャンスがきた」という思いでした。また自分の試合での目標が「無失点」ということなんですが、今回無失点で終えることができ自信にもつながりました。次戦も無失点でいきたいと思います。

――早慶戦ということで、久々の勝利ですが、チームの雰囲気はいかがですか

前回の早慶戦では引き分けというのがあり、選手全員が悔しい思いをしていまし。この試合はインカレにもつながる大事な試合でこのような結果で良かったです。

――後半攻め込まれることが多くなり、体を張ってゴールを守る姿が印象に残っていますが、自分の持ち味が出せましたか

自分の持ち味である瞬発力も発揮でき、セービングでは誰にも負けない自信があるので、今後もこういう危ない場面が出てくると思うので、そういう点では自分の長所を発揮できて良かったです。

――次戦は東京国際大学との試合ですが

次も「無失点」にこだわってチーム全員で勝ちにいきたいです。

DF菅原靖巴(スポ2=浦和レッズレディースユース)

――開幕戦勝利となりましが率直な感想は

無失点で勝てたということが良かったと思います。

――久しぶりに先発出場でしたが

自分にできることをやるだけという気持ちで臨んだので、しっかりできたのは良かったと思います。

――定期戦では引き分けた慶大との試合でしたが

定期戦では2年連続で引き分けていたので、ここはしっかりと勝って関カレのスタートを切れるようにと考えていたので、良かったと思います。

――試合の入りに関しては

最初は勢いで相手がやってくると思っていたので、落ち着いてプレーをするということを心掛けていました。

――試合全体を通してワセダペースで試合を進めていた印象ですが

前半は後ろからつないでというプレーをしてきてたのですが、後半は終盤はパワープレーでくる部分があったのでその場面でしっかりと対応してプレーできたのは良かったと思います。

――後半の終盤はカウンターなどで攻め込まれるシーンが増えましたが

最後なので、相手も点を取りにくると分かっていたので、相手がサイドから走ってくるのを気にしながら、上がるか上がらないかの選択をし、リスクマネジメントをしっかりしていくことが、今後大事なのかなと思いました。

――この試合で見つかった改善点は

相手がパワープレーに切り替わったときに、自分たちの切り替えが遅くて裏に走られたということがあったので、そういうところで時間帯に応じて相手のプレーを予測して、中の人間で声を掛け合っていくことが重要になってくると思います。

――次節の東京国際大は中3日というタイトな日程での試合となりますが

中3日なのでしっかり疲れを取るということと、しっかり士気を高めて試合に臨めるようにしていきたいと思います。

――今後に向けての抱負を最後にお願いします

まずは試合に出て、無失点勝利に貢献できるように頑張っていきたいと思います。

MF中村みづき(スポ2=浦和レッズレディース)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

勝てたことは良かったのですが、個人的にはあまりボールに絡めなかったので、できたことが少ない試合だったと思います。

――関カレ開幕戦を実際に終えて、どういったお気持ちですか

自分自身関カレに出場するのが初めてなのですが、すごく大切な大会だということはチームメートの話を聞いたりしてわかっていたので、普通の試合よりは緊張しました。その中でみんなで盛り上げながら、いい雰囲気でやれたと思います。

――伝統の一戦である早慶戦で勝利したことに関してはいかがでしょう

初戦を取るということはすごく難しいことですし、前回の対戦は引き分けだったので、その借りを返せたという意味でも、大きな勝利だと思います。

――1点を守り抜く展開になりましたが、その点に関しては

無失点で終えたいという気持ちは全員あったとは思うのですが、あくまで攻めの姿勢を貫こうとはしていましたし、その結果としていいかたちの攻めができなかったことは、今後の課題だと思います。