4回目の開催となる早関定期戦はことしも真夏の炎天下の中で行われた。4年生がフルスタメンとなって挑んだこの試合。開始早々、ゲームの主導権を握ると数多くのチャンスを生み出すも、なかなか点を積み重ねることができない。気持ちを新たに挑んだ後半、ワセダのペースを乱すことなくハードワークを展開し、ゴールラッシュを演出。FW川原奈央(スポ3=兵庫・日ノ本学園)がハットトリックを達成するなど、勢いを止めることなく11-0と完封勝利を収めた。
ワセダは立ち上がりから積極的にシュートを打っていく。しかしゴール上にそれたりポストに当たったりとボールはなかなか枠を捉え切ることができない。そんな中迎えた24分、MF山本摩也副将(スポ4=スフィーダ世田谷)からの左クロスをMF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)が頭で合わせ、先制点を挙げる。その後も幾度となくセットプレーからの好機を生み出し、シュートを重ねていくワセダ。MF熊谷汐華(スポ1=東京・十文字)を筆頭に、サイドからの展開においても多くのチャンスをつくり出す。しかし決めるべきところで決め切れず、なかなかゴールに結び付けることができない。思うように追加点を挙げられないまま合計2得点で前半を折り返した。
4年生全員出場で圧勝をつかんだ
気持ちを入れ替え迎えた後半。開始早々、山本がミドルシュートを収めると続くように高木が追加点を獲得。その後も交代出場したMF中村みづき(スポ2=浦和レッズレディース)が連続2ゴールを決めるなど完全に流れをものにした。DFラインをあげ、勢いよく全員で攻撃を仕掛けていく。相手にボールを与えることなくワンタッチでテンポよく展開。67分、川原はこぼれ球を冷静に収めると、その後もキーパーをかわしてゴールネットを揺らすなどハットトリックを達成。圧巻のゴールラッシュを繰り広げると後半だけで9得点を挙げ、気づけばスコアは二桁に。相手に実力の差を見せつけ、見事完封勝利を収めた。
ハットトリックを達成した川原
ワセダの大勝で幕を閉じた早関定期戦。無失点に抑え、大量得点を挙げることができた一方で、クロスやシュートの精度など課題も見つかり今後に向け、実り多い戦いとなった。間もなく始まる合宿では今回の反省を踏まえ弱点を克服し、迫る関東大学女子リーグ戦(関カレ)に備えたいところ。「メンタル面やフィジカル面を強化して一戦一戦勝ちたい」(松川主将)、「全勝を目指したい」(DF大島瑞稀、社4=宮城・常盤木学園)と、関カレ王者奪還に向けた選手たちの気合いは十分だ。
(記事 網代祐希、写真 近藤廉一郎、佐藤諒)
スターティングメンバー
両校主将によるペナント交換
結果
第4回早関定期戦 | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 11 | 2-0 9-0 |
0 | 関学大 |
【得点者】(早)24松川、34熊谷、46山本、47高木、60、63中村、67、76、78川原、71、87中井 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 河邊花観 | スポ4 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 2 | 堀口佳織 | スポ4 | 千葉・幕張総合 |
DF | 4 | 大島瑞稀 | 社4 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 3 | 奥川千沙 | スポ2 | 静岡・藤枝順心 |
DF | 22 | 田中宏実 | 法4 | 広島大付福山 |
MF | 7 | 高木ひかり | スポ4 | 静岡・常葉学園橘 |
MF | →56分 | 安部由希子 | スポ1 | 宮城・聖和学園 |
MF | 6◎ | 松川智 | スポ4 | 大阪桐蔭 |
MF | 10 | 正野可菜子 | 社4 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 8 | 山本摩也 | スポ4 | スフィーダ世田谷 |
MF | →56分 | 中村みづき | スポ2 | 浦和レッズレディース |
FW | 30 | 熊谷汐華 | スポ1 | 東京・十文字 |
MF | →70分 | 中井仁美 | スポ2 | 兵庫・日ノ本学園 |
FW | 31 | 河野朱里 | スポ1 | 静岡・藤枝順心 |
FW | →45分 | 川原奈央 | スポ3 | 兵庫・日ノ本学園 |
◎はゲームキャプテン 監督は福島廣樹(昭45教卒) |
コメント
MF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)
――大量得点での勝利となりましたが試合全体を振り返ってみていかがですか
前半はなかなか得点を決められなかったのですが、後半にかけてペースをつかんで大量得点できてよかったです。
――4年生全員でのスタメンとなりましたが
初めてこういった試合で4年全員が出られて、最後の年ということを実感しましたし、何か残したいという思いでやりました。
――松川主将の先制点で試合が動きましたが、そのシーンを振り返っていかがですか
相手もついてきてなくて2列目から頭で合わせられて、摩也(MF山本摩也副将、スポ4=スフィーダ世田谷)からのボールもいいところに来たので合わせるだけでよかったです。
――暑い中でのゲームや試合が続いていますがコンディション的にはいかがですか
そうですね。暑い中での練習はまだ慣れてない部分があるのですが、関東大学女子リーグ戦(関カレ)など暑い中での試合になってくるのでこれから合宿があるのですがその中で暑さにも慣れてしっかりハードワークできるチームになりたいと思います。
――少し触れられていますが、合宿ではどのような点を強化したいですか
暑い中での試合となるので、メンタル面でのサポートであったりサッカーの面では正確さをどれだけ高められるかが重要になってくると思います。
――チームとしては、失点や決定力に関する課題が多く挙がっていましたがそちらに関してはいかがですか
きょうの試合でもなかなか決定力がなくて、苦しい時間が続いたのですが関カレやインカレに向けてもっと上げていかなくてはならないし、失点も多いのですがきょうは無失点で抑えられたので関カレも無失点ということを意識してやっていきたいです。
――関カレでは開幕戦が早慶戦となりますが意気込みというのは
早慶定期戦のようになるのかな、というのは考えていてその中でも自分の対策もしていかなくてらならないですし、炎天下の中での試合となると思うのでその中でどれだけ自分たちの戦い方ができるかが重要になってくると思います。やはり慶大には引き分けて悔しい思いをしているので必ず勝ちたいと思います。
――関カレ全体に向けての意気込みをお願いします
関カレは結構日程が詰まっている中で毎週試合があってハードなのですが、その中でコンディションを整えてメンタル面やフィジカル強化をして一戦一戦勝てたらいいなと思います。
MF山本摩也副将(スポ4=スフィーダ世田谷)
――試合全体としては
結構暑い中でも、いつも変わらずにやっていこうという気持ちで臨んで、もうちょっと大きな動きや仕掛けができたら良かったですが、11点取れたんで良かったかなと思います。
――前半シュートシーンが多くあった中で2点にとどまってしまいましたが
個人的には外しまくって申し訳ないと思っています。また、最近ファーストシュートが遅いというのが課題だったのですが、きょうの試合でもファーストシュートが遅かったので、シュートの意識だったりを高めて、最終的にはゴールするのは気持ちだと思ってるのでそういう部分を強化したいです。
――ご自身、最後の早関定期戦となりましたが
早慶戦に続く定期戦ということですが、まだまだ歴史が浅いんですけど、その中で試合に出られて、こういう環境にいれることはいい経験になりました。今回で自分は最後ですが、後輩たちが頑張って連勝記録というのは伸ばしていってほしいです。
――夏合宿がもう少しで始まると思いますがどのような強化を目標にしていますか
個人的には、ケガ明けで試合に出られていない状況が続いているので、そういった面でコンディションを上げていくことと、走り込みだったりが合宿であると思うので、それを乗り越えて関カレにいい形でつなげていきたいです。チーム的には一度フラットな状態でフィジカルだったり、アジリティというのをたくさんやる時間があるので、短い期間ですけどそういった面を少しでもレベルアップできたらと思っています。
――関カレに向けて目標などはありますか
暑い中でもしっかり最後まで走れる体力であったり、ベースの部分が勝負を分けると思うので、そういった部分を合宿で突き詰めていきたいです。そうすれば自然と関カレにいい状態で臨めると思います。
――今後に向け意気込みをお願いします
本当にあと半年くらいしかないので、個人的には悔いのない半年間にしたいですし、大学サッカー最後の試合まで気持ちを出してやっていきたいのと、どれだけチームに貢献できるかだと思うので、オンオフでしっかり考えて過ごしていきたいと思います。
GK河邊花観(スポ4=宮城・常盤木学園)
――完封勝利となりましたが、試合を振り返っていかがですか
攻めるかたちが多い中で、これまでカウンターで失点することが多かったので攻めているときのリスクマネジメントを意識しようとDFと共有しながらプレーしていました。
――きょうは守備としての出番はあまりなかったと思いますが、後ろから攻撃を見ていていかがでしたか
決め切れなかったことが多かったり、前半の最初はシュートが少なかったのでハーフタイムにはシュートを多めにしようという話をしました。しかし、チャンスをもう少し決められたらいいかなと思いました。
――前期全体を振り返ってみて、失点における課題が多く上がっていましたが河邊選手としてはいかがでしたか
昨年はずっと試合を見ていて、ワセダは失点が少ないチームというイメージしていた中でことしは失点が多くなってしまったというところが大きな反省点だと思います。メンバーも何人か変わっているのですが、やることが変わってない中で失点が多いことはチームでも課題になっています。最近は良くなってきたと思いますが、自分で取り切るとかチームとして守ろうという意識が低かった中でのミスというのが失点につながったと思うので、これからは全員で守ろうという意識でできたらなと思います。
――これから迎える合宿では、これまでにおっしゃった部分も含めてどのような点を強化していきたいですか
私も含めてGKは3人いるのですが、みんなクロスボールやハイボールが苦手でそういうところから失点につながっていると思うのでCKを含めてクロスボールへの強化ができたらなと思います。
――関カレはインカレに向けて重要な戦いになってくると思いますがそちらに向けての意気込みをお願いします
関カレはこれまでの結果を踏まえて安定した守備で、攻撃が楽な気持ちで攻められるようなかたちをつくっていきたいと思います。
DF大島瑞稀(社4= 宮城・常盤木学園)
――試合の総括をお願いします
前半は少しパスのずれや相手が粘り強く守ってきたのに対し、自分たちが決め切れなかったり、かたちもつくれなかった場面がありましたが、後半を通して、しっかりサイドを使って展開できましたし、テンポ良く展開して点が取れたので、良かったと思います。
――今回の早関定期戦では完封することができましたね
昨年は1失点してしまったのでことしこそは無失点でやろうと思っていたので、無失点で終えられて良かったと思います。
――ご自身のプレーに関しては
あまり攻められる場面が少なく、安定したプレーをしようと心掛けたんですけど、パスのずれや小さいミスがあったのでそこを修正していきたいです。
――夏合宿がもう少しで始まると思いますがどのような強化を目指していますか
一番は走力の部分で皆に負けないように走っていきたいと思っています。個人の技術もこれから関カレに入ってくると思うので、どのチームにも通用するような動きができるように強化していきたいです。
――関カレに向けて目標などはありますか
やっぱり全勝を目指したいです。
――今後に向けての抱負を最後にお願いします
まずは合宿で走り切るということと、チームとしてはコミュニケーションをしっかり取ってチーム力を上げていきたいと思います。
DF堀口佳織(スポ4=千葉・幕張総合)
――この試合では4年生が多く出場されていましたが試合前どのような話をされたのでしょうか
ヒロ(DF田中宏実、法4=広島大付福山)が初めての試合で緊張すると言っていましたし、自分も久しぶりの公式戦だったので、楽しんでやろうと。ハードワークをして自分たちのサッカーをしようと話しました。
――11-0というスコアですが、もう少し得点できたのではといった印象ですが
そうですね。前半にあまり点が入らなかったという点で物足りない部分はありますが、後半は一人一人がハードワークをして9点を取れたのは良かったと思います。
――MF高木ひかり(スポ4=静岡・常葉学園橘)選手からクロスの上げ方や中の選手の動き出しについて指示が出て以降、後半は改善されたように見えましたが
そうですね。サイドで良いかたちをつくれてはいたんですけど、クロスの質がまだまだな部分があったので、もう少しその精度を上げられれば得点につながったのかなと思います。
――攻められる場面は少なかったですが、リスクマネジメントの部分ではどのようなことをDFラインで共有しましたか
きょうは攻撃参加する時間が長かったのですが、それでも相手のカウンターからピンチになる場面があったので、常に相手の位置を確認しながらやろうと話しました。
――これから始まる合宿ではどのようなことを高めていきたいですか
メインは走りになってくると思うので、しっかり4年生が引っ張ってチーム力を上げていけたらなと思います。
――その先には関カレがあります。どのようなことを意識していきますか
もちろん優勝することが第一ですが、関東女子リーグ戦(関東リーグ)では失点が多かったので、DFとしてその部分を改善して無失点で優勝できればいいなと思います。
DF田中宏実(法4=広島大付福山)
――初の公式戦、どういう気持ちで臨みましたか
早関戦ということで少し相手のレベルが落ちるので自分も出してもらえたと思いますが、そんな中でも自分がこれからAの試合に出られるように、タッチ数を少なくするなど良いアピールをしてしっかり出し切ろうという気持ちで臨みました。
――関カレ前の大事な試合だったと思いますが、きょうの試合を振り返っていかがですか
前半攻めていましたがサイドを大きく展開しても上げ方が単調になったり中の詰めの工夫がなかったりで決め切れなかったという反省があります。しかし前半あれだけ動いて崩したというのがあって後半相手が疲れて沢山点を取れたと思うのでそこはよかったなと思います。
――炎天下の試合はいかがでしたか
いつも12時くらいに練習しているので普段から体調の管理をしっかりしてちゃんと(試合に)合わせるようにしています。
――合宿ではどのようなことを強化していきたいと思いますか
個人的には体力面で他のチームメイトに劣るので合宿ではたくさん走ると思うのでそこを強化していきたいなと思っています。ゴール前の崩しやサイドからクロスを上げて合わせるなどはチームで詰めていきたいと思います。
――関カレ開幕戦に向けて意気込みをお願いします
早慶戦では悔しい思いをしたのでしっかりと強い気持ちを持って、暑いですが走り切って勝ちたいと思います。
MF高木ひかり(スポ4=静岡・常葉学園橘)
――スコア・内容共に圧勝したこの試合を振り返っていかがですか
前半はあまり点が取れなかったんですけど、この暑さの中での戦いで、継続してやりたいことができたから最終的に大量得点につながったと思います。それを結果で出せたのが良かったですね。
――前半は特に左サイドのMF熊谷汐華(スポ1=東京・十文字)選手の突破力を生かすようなスルーパスが高木選手から数多く出ていました
やっぱり汐華の強みを生かせるようにボールを出して得点チャンスをつくるのが自分の仕事だと思うので、それを考えながらプレーできたのは良かったと思います。
――前半、サイドからのクロスに対して、中の選手の動きにもっと変化をつけるよう指示していましたが、やはりもう少し工夫があればといった印象だったのでしょうか
そうですね。(クロスを)上げて終わりみたいになっていたので。後半はそれが修正されてサイドからクロスが上がる場面が多くなったので良かったと思います。
――やはり前半にクロスの本数に対して決定機をそれほどつくり切れていなかった要因はその点にあったといったところでしょうか
そうですね。中が空いているからただアーリークロスを上げるのではなく、中央にブロックを形成して守る相手をどうやって崩していくかが大事だと思います。個ではなくチーム全体で守る相手にはサイドをえぐって攻めることが必要だったのかなと思います。
――高木選手の得点もサイドからのクロスに合わせるかたちでしたが
なぜかたまたま前線にいました(笑)。良いボールが入ってきたので合わせるだけでしたね。
――これから始まる合宿ではどのようなところを高めていきたいですか
フィジカル面の練習が多くてキツい走りの練習ばっかだと思うんですけど、皆で声を出しながら励まし合って乗り越えられればなと思います。
――その先には関カレがあります。どのようなことを意識していきますか
昨年は日体大に負けて連覇が途絶えるという結果になってしまったのは自分たちの弱みが出たからだと思います。どこにも負けないくらい強いチームでありたいので、関カレは全日本女子大学選手権(インカレ)優勝に向けたステップアップとして皆で頑張りたいと思います。
MF正野可菜子(社4=兵庫・日ノ本学園)
――快勝でしたね
結果としては点もたくさん入って良かったんですけど、その中でもミスや味方との共通理解がまだまだ未完全なところがあるなと感じたので関カレへ向けてこれから仕上げていきたいと思います。
――ミスや味方との共通認識の食い違いは具体的にどのような部分で現われましたか
受け手と出し手の意思疎通がずれていて下手なパスで相手ボールになってしまうことがすごくもったいないと感じたので、まずはそこからお互いに意識し合えたらいいなと思います。
――前半と後半で得点数に差が出ましたがその要因は何だと考えていますか
前半は、ボールはワセダで回っていたと思うんですけど、前でのプレーができていないというか、ハーフラインあたりでずっと回していただけなのかなっていうのもありましたし、最後のクロスの質やシュートの精度が欠けていたのかなと思います。
――これから合宿を行うと聞いたのですが、そこではどんな練習をしますか
とりあえず走ると思います(笑)
――合宿の後はしばらく空くと思うのですが、その期間はどのようなところを伸ばしていきたいですか
関カレは多分暑いと思うのですが、きょうでも暑さで(プレーの)精度や質が落ちてるっていうのはあったと思うので、まず暑さに慣れることです。あとはチームの精度を上げていかないとこれからは勝てないのかなと思います。