高木の活躍『ひかり』、苦手なアウェーで勝ち星を獲得!

ア式蹴球女子

 ユニバーシアード競技大会に出場していたMF高木ひかり(スポ4=静岡・常葉学園橘)とFW川原奈央(スポ3=兵庫・日ノ本学園)、DF奥川千沙(スポ2=静岡・藤枝順心)が合流したワセダは、日テレ・メニーナ(メニーナ)と対戦した。課題であった立ち上がりを堅固な守りで乗り切り、前半をそのまま無失点で折り返す。後半に入ると、それまで守備に意識を向けていた高木が前線への攻撃参加でピッチを躍動。PKで先制したのち、豪快なミドルシュートで追加点を挙げ一気に相手を突き放す。終盤にゴールを許したものの、チーム一丸となって点差を守り抜き見事勝利。頂にまた一歩近づいた。

 ユニバーシアード組の3名を起用して臨んだ今節。対戦相手であるメニーナは前期関東リーグにおいて3点差で下したチームだったが、「ハードワークをしていかないと勝てない」と語るMF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)をはじめとして、選手たちに一切の油断はなかった。立ち上がり、ボールを奪えず我慢の時間が続いたものの、次第にペースをつかんできたワセダは攻勢に出る。20分、MF正野可菜子(社4=兵庫・日ノ本学園)とFW河野朱里(スポ1=静岡・藤枝順心)の連携で敵の守備を崩すと、パスを受けたMF中村みづき(スポ2=浦和レッズレディース)がシュート。決まりこそしなかったが、チームに活気をもたらした。その後もチャンスを手にすると、幾度となくゴールに迫るワセダ。先制点への流れを少しずつつくり出す。一方の守備面では、細かくつないで自陣を犯す相手を、センターバックの奥川とDF三浦紗津紀(スポ1=浦和レッズレディースユース)が中心となって最終ラインを築き上げ、前半を無失点で終えた。

DF陣の攻守両面における積極的な動きが大きな勝因となった

 後半、序盤は相手の流れだったが、随所で球際の強さを発揮し、ワセダは徐々にボール支配率を高めていく。64分、高木がPKを獲得すると冷静にシュートを沈め、待望の先制点を挙げた。続く75分、MF熊谷汐華(スポ1=東京・十文字)が落としたボールを高木がワンタッチで足元に収めると、強烈なミドルシュートで再びゴールネットを揺らす。「狙ったら思った通りのところに飛んだ」(高木)。2-0とリードを広げたワセダ。しかし、喜びもつかの間。82分、一瞬の隙を突いて抜け出した相手に裏を取られ、失点してしまう。ゴールを得て息を吹き返したメニーナを、チーム全員が決死の守備で押し返すと、ここで試合終了のホイッスル。2-1で白星を挙げ、勝ち点3を手にした。

ユニバーシアード競技大会を終え、さらに存在感が増した高木

 強固な守りが印象的だった今試合。常に声を掛け合ってDFへ意識を高めたことが大きな勝因であろう。しかし、好プレーが目立った半面、「集中力が切れたときに生まれた一瞬の隙を突かれて失点をしてしまった」(DF渡部那月、社1=兵庫・日ノ本学園)と課題が残ったのも事実。浮き彫りになったウィークポイントにも真摯に向き合っていきたい。これで関東リーグは中断期間に突入し、次に迎えるは関東大学女子リーグ戦(関カレ)だ。関カレ王者奪還に向け、約1か月という短い期間でどこまで高めることができるか。厳しい練習を経て、一回り大きくなった姿でピッチへ戻ってくることに期待したい。

(記事 佐藤諒、写真 米澤英輝、渡部歩美)

スターティングメンバー

結果
関東女子リーグ戦第12節
早大 0-0
2-1
日テレ・メニーナ
【得点者】(早)64、75高木(日)82植木
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 河邊花観 スポ4 宮城・常盤木学園
DF 大島瑞稀 社4 宮城・常盤木学園
DF 奥川千沙 スポ2 静岡・藤枝順心
DF 34 三浦紗津紀 スポ1 浦和レッズレディースユース
DF 24 渡部那月 社1 兵庫・日ノ本学園
MF 高木ひかり スポ4 静岡・常葉学園橘
MF 6◎ 松川智 スポ4 大阪桐蔭
MF 10 正野可菜子 社4 兵庫・日ノ本学園
MF 15 中村みづき スポ2 浦和レッズレディース
FW 11 川原奈央 スポ3 兵庫・日ノ本学園
MF →57分 熊谷汐華 スポ1 東京・十文字
FW 31 河野朱里 スポ1 静岡・藤枝順心
FW →70分 山田彩未 スポ1 ジェフ千葉レディースユース
◎はゲームキャプテン
監督は福島廣樹(昭45教卒)
コメント

MF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)

――今季、日テレ・メニーナ(メニーナ)に2勝挙げられましたが、試合を振り返っていかがですか

自分がワセダに入学してから、このヴェルディグラウンドでの試合でいい思い出がなかったので、きょう勝てて素直にうれしいです。

――前半は、守備に重点を置いていている印象でしたが

相手も技術が高いっていうことは分かっていたので無失点でいこうという話はしていました。前半は無失点で終えることができたのですが、そこから自分たちの得点につなげることがなかなかできず後半にゲームが動き出して最後に失点というのはもったいないな、と感じました。

――相手のプレースタイルもパスで動かすというものでしたが、手応えはいかがでしたか

結構狭いパスを通して、全員が動く、というサッカーをしてくるので自分たちもそこで一人一人がボールについて行って、ハードワークをしようということは練習から話していましたし、きょうの試合前も共有していました。

――開始20分ほどからシュートチャンスを生み出していましたが、プレーしていていかがでしたか

サイドバックも上がれて、センタリングやクロスも上がれていた中でなかなか決めきれず、その中でもっと前半のうちに1点欲しかったです。

――後半になって守備に重点を置きつつ、中盤の選手の前線への動きが目立ちましたがハーフタイムで何か話されたのですか

相手も動いてくる中で、しっかり自分たちもハードワークしていかないと勝てないということは分かっていました。相手は細かい動きをしてきたので、大きく展開していこうと話をしていましたし、最後まで集中を切らさずに戦い抜こうということを話しました。

――PKから試合が大きく動きました

裏に抜け出す動きだったり、枠内のシュートも増えてきたりしたので、そこで高木(MF高木ひかり、スポ4=静岡・常葉学園橘)が勢いを与えてくれてゲームに流れをつくってくれたので良かったです。

――今節は、開始早々の失点を抑えることができた一方で終了間際にゴールを許してしまいました

45分中の30分以降での集中力を切らさずにいこう、ということは自分たちの課題としても挙がっていて、そこを改善することができなかったので残りの関東女子リーグ戦(関東リーグ)や、関東大学女子リーグ戦(関カレ)に向けて無失点を重点を置いていかなければならない課題かなと思います。

――これで一旦関東リーグは中断になりますが、夏にかけて松川選手自身が高めていきたい部分とはどのようなところですか

ゲームの流れを読むことです。いま、試合がどういう流れか、チームがどういう状況なのか、ということを全員に伝えて、リズムを変えたり、無失点という課題を改善していったりしていけたらいいかなと思います。

――これから控える早関定期戦や、関カレに向けての意気込みをお願いします

夏は合宿など厳しい環境の中で練習が続くのですが、それは8月下旬からの関カレや、残りの関東リーグであったりのためなので日本一になるために夏の合宿から強化していきたいと思います。

MF高木ひかり(スポ4=静岡・常葉学園橘)

――まずはユニバーシアード競技大会についてうかがいます。銅メダルを獲得しましたね

結果には満足していないんですけど、金メダルに近い銅メダルだったと思います。久しぶりにセンターバックをやったんですけど、DFだけで守るんじゃなくてチーム全体で守るということを学べた大会だったと思います。即席のチームだったんですけど、チームワークがやっぱり大切だということを痛感しました。

――ユニバーシアード競技大会明けでしたが、コンディションはいかがでしたか

コンディションは全然大丈夫だったんですけど、ほとんどDFしかやっていなかったので、攻撃に関しての課題が自分の中にあって、それを考えながら取り組もうと思った試合でした。

――課題とは具体的に何ですか

ボールを散らすだったり、自分が組み立てるっていうポジションだったと思うので、守備を重視しながらそういうところにも重点を置いてプレーするっていうことを考えていました。

――きょうの試合はどのような気持ちで臨みましたか

自分がいない間、関東リーグが早慶女子サッカー定期戦を挟んで1勝1敗1引き分けくらいで、チームの雰囲気があんまり良くないなと思ったので、そういうのをなくすためにも今回しっかり勝たないといけないなと思って戦いました。

――2得点を挙げましたね

みんなの力があってこそだったなと思いますし、後ろから上がってフリーで打てたのが良かったと思います。

――後半は攻撃に参加する機会が増えた印象を受けましたが、意識したのでしょうか

トップ下の選手が前半動いてくれて、疲れも見えていたと思いますし、自分が上がれば自分のポジションに落ちてバランスを取ってくれるって分かっていたので、それを見計らいながら空いていたスペースに走っていったって感じです。

――PKは何を考えて蹴りましたか

あんまり自信がなくて、ユニバのときもPKが2回あって、2回とも蹴らずに終わってしまったので。自分で取ったPKだったので、周りの人に蹴れと言われたんですけど、外してもいいやと思って思いっ切り蹴りました。

――ミドルは狙っていたのですか

スペースが前にあったので、いいところにトラップができたっていうのもありますし、狙ったら思った通りのところに飛んだって感じです。

――夏はどのような練習をしますか

多分走りとかが多くなってきて、関カレやインカレ(全日本女子大学選手権)に向けての体力作りが増えてくるのかなと思います。

FW川原奈央(スポ3=兵庫・日ノ本学園)

――きょうの試合はいかがでしたか

ユニバーシアード組3人が帰ってきて、そこで経験できたことを少しでもチームメイトに伝えたいと思っていて、前半から気持ちを入れてしっかり集中してやれたので良かったと思います。

――そのユニバーシアード大会では見事銅メダルを獲得されましたが、大会を通じて得られたものは何ですか

サッカーのことだけでなく、生活面で自分が甘かった部分を実感できましたし、海外の選手はプレーも上手くて身体能力も高く、その中で日本が勝てるのは最後まであきらめない気持ちであったり、粘り強い守備になってくるということを改めて学ぶことができました。

――ユニバーシアードでもチームメイトだった高木選手が2得点を決めましたが、やはり頼もしい存在ですね

そうですね、やっぱかっこいいですね(笑)。すごいです。ユニバでもひかりさんが3人の中で一番結果を出していたので、自分も次はもっと活躍できるように頑張りたいです。

――試合を通じてチーム全体の守備がよかったように思いますが、それに関しては

これまで失点が多かったので、とりあえず守備から入るという気持ちで意識して戦った成果が、少し見られたかなと思います。

――関東リーグは中断期間に入りますが、これからの抱負をお願いします

関東リーグはすべての試合で勝たなければいけないと思っていますし、しっかりチームのレベルを上げて、優勝目指して頑張りたいと思います。

DF奥川千沙(スポ2=静岡・藤枝順心)

――今日の試合はいかがでしたか

前半は点が入らず、相手にパスを回される時間も多かったのですが、みんなで集中して2点取って勝てたことはすごくよかったと思います。

――今日は特に守備がよかったように思えましたが

これまでは攻撃ばかりに意識が行っていたのですが、みんなの中にまず守備をしてそこから攻撃っていう意識が植えつけられてきたのかなと思います。

――その中でも終盤に失点を許してしまいました

後半2点取った後にみんなバタバタしてしまって、あの場面は私のミスでもありますし、ちょっとしたところで崩れてしまった結果かなと思います。

――ユニバーシアード代表として見事銅メダルを獲得されましたが、代表で得たものは何ですか

一つの大会、一つの試合に対してチームがしっかりまとまることや、出る出ない関係なくチームに貢献することの大切さを学びましたし、海外の選手とプレーすることで、球際の厳しさとか激しさの違いがわかって、いい勉強になりました。

――関東リーグは中断期間に入りますが、これからの抱負をお願いします

中断期間中にそれまで上手くいっていなかったところを改善できるかということが大事になってくると思いますし、目標を高く、みんなでサッカーに集中していきたいと思います。

DF渡部那月(社1=兵庫・日ノ本学園)

――まず今節の振り返りをお願いします

前節からしっかり気持ちを入れて、前線を使っていたので今回も勝って連勝しようと思いました。守備は無失点を目指しましたが結果点を取られてしまったのは課題かな、と思います。

――守備について、前半は押されながらも無失点で切り抜けることができました

ユニバーシアード組が帰ってきて、そこから学んだことがみんなでしっかり声をかけることで全体的に守備の意識が強くなるということだったのでそれが実践できたのが守備の固さにつながったのかな、と思います。

――しかし、後半は失点を喫してしまいました

集中力が切れてしまって生まれた一瞬の隙を突かれて失点をしてしまったので、最後疲れてる中でもみんなで声をかけていれば失点には繋がらなかったのかな、と思います。

――試合を通して両サイドバックによる効果的な攻撃参加が目立ちました

上がらないサイドバックは怖くないので、チャンスがあれば積極的に上がって攻撃に絡んでいこうと考えていました。

――最後に関東リーグ中断期の調整と、8月末に行われる関カレへの意気込みを教えてください。

夏、暑くなるとは思いますが、関カレもあるのでそこでしっかり走れるように、全体として夏はしっかり走りたいと思います。関カレは昨年、日体大に負けているのでことしは全勝できるよう、チームに貢献したいです。