関東女子リーグ戦(関東リーグ)第9節は、前期快勝を収めた関東学園大(◯5-2)と対戦。ユニバーシアード女子代表のMF高木ひかり(スポ4=静岡・常葉学園橘)ら主力メンバーを欠いた中、どんな試合を見せるか注目が集まった。前半は序盤こそプレスの強い相手に苦戦するも、徐々にペースを整え始めると、39分にこぼれ球をMF中村みづき(スポ2=浦和レッズレディース)が押し込み先制ゴール。迎えた後半は、FKにDF三浦紗津紀(スポ1=浦和レッズレディースユース)が合わせ追加点を獲得する。2-0の完封勝利で、MF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)の「誰が欠けてもワセダというチームに変わりはない」という言葉を結果で示した。
「序盤は失点が多い」(松川)と、危険な時間帯に失点を許してしまうことが多かった関東リーグ前期。今節でも前半は相手に押される展開に。攻撃においてもシュートこそ果敢に狙うも、中盤からのプレスに苦戦しラインを下げてしまう。一方の相手は高さのあるトップに積極的にボールを集め、ゴール前まで攻め入ってくる。その中でもワセダはDFの連携を崩すことなく、落ち着いて相手の芽を摘んでいった。互いに大きなチャンスを作ることなく迎えた39分、「スピードと突破力が武器」と語るMF熊谷汐華(スポ1=東京・十文字)が左サイドから切り込む。これは惜しくも相手DFに阻まれるも、こぼれたボールをFW山田彩未(スポ1=ジェフ千葉レディースユース)が拾い、最後は中村が押し込みゴール。苦しい時間を乗り越え、1-0で前半を折り返した。
持ち味の突破力でチャンスメーカーとなった熊谷汐
ボランチとトップを交代して臨んだ後半。追加点が欲しいワセダであったが、なかなか好機を演出できずにいた。その中でもゴールへの意識を失うことなく、73分にはMF正野可菜子(社4=兵庫・日ノ本学園)がGK正面からドリブル突破しそのままシュート。バーに当たり得点こそならなかったものの、アグレッシブな攻撃でチームに流れをもたらした。続く79分には、山田からの鋭いパスにFW河野朱里(スポ1=静岡・藤枝順心)が飛び込むなど追加点への匂いを漂わせる。勢いを止めることなく迎えた85分、FKを獲得。「摩也さん(MF山本摩也副将、スポ4=世田谷スフィーダ)が私に合わせるとジェスチャーしてくれた」(三浦)。プラン通り山本からのキックを受けた三浦は、このビッグチャンスを逃すことなく決め、関東リーグ初のゴール。終了間際の追加点で勝利を確実なものにした。
守備における存在感を示すだけでなく、好機をものにした三浦
無失点で終えた今節は、守備がカギであったといえるだろう。三浦が「DFは体を張ってなんぼ」と述べるように、勝負どころでの共通意識が実を結んだ。次に控えるのは伝統の一戦、早慶サッカー定期戦。昨年はスコアレスドローという結果で終わり、悔しさを味わった。雪辱を果たすことはできるのか――。プライドがぶつかり合う、女たちの絶対に負けられない戦いが幕を開ける。
(記事 中澤奈々、写真 渡部歩美)
スターティングメンバー
結果
関東女子リーグ戦第9節 | ||||
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早大 | 2 | 1-0 1-0 |
0 | 関東学園大 |
【得点者】(早)39中村、85三浦 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 河邊花観 | スポ4 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 24 | 渡部那月 | 社1 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | 4 | 大島瑞稀 | 社4 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 34 | 三浦紗津紀 | スポ1 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 14 | 菅原靖巴 | スポ2 | 浦和レッズレディースユース |
DF | →77分 | 堀口佳織 | スポ4 | 千葉・幕張総合 |
MF | 13 | 三田村桃子 | スポ2 | 宮城・常盤木学園 |
MF | →45分 | 山本摩也 | スポ4 | 世田谷スフィーダ |
MF | 6◎ | 松川智 | スポ4 | 大阪桐蔭 |
MF | 10 | 正野可菜子 | 社4 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 15 | 中村みづき | スポ2 | 浦和レッズレディース |
MF | 30 | 熊谷汐華 | スポ1 | 東京・十文字 |
FW | 32 | 山田彩未 | スポ1 | ジェフ千葉レディースユース |
FW | →45分 | 河野朱里 | スポ1 | 静岡・藤枝順心 |
◎はゲームキャプテン 監督は福島廣樹(昭45教卒) |
コメント
MF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)
――きょうの試合からユニバーシアード女子代表が抜けましたが、その中でのゲームプランとは
代表選手が抜けたからといってもワセダというチームには変わりないので、そこはゲームプランを変えずに今まで通りやっていこうという感じでした。
――序盤は攻め込まれていた印象でしたが
相手も勢いがあるチームだったので、そこで自分たちは我慢して、どんどん前にゴールに向かっていこうと話していました。
――流れをつかんでからはワイドなパス回しが見られるようになりました
そうですね。中盤のパスが結構狙われたので、大きくワイドにコートを使うということができてよかったのかなと思います。
――封じ込まれていた中で、中盤として意識していたプレーとはどんなものでしたか
くさびのパスが入るんですけど、そこでの相手のプレスっていうのが結構強くて簡単に弾くということを意識していました。
――左サイドの好機を用いて先制点を奪いましたが
そうですね。結構汐華(MF熊谷汐華、スポ1=東京・十文字)がスピードある選手なのでそこをうまく使えたらなと思っていて。始めの何本かは相手に止められてしまうシーンがあったのですが、得点シーンというのはいいかたちか問われたら、そうではなかったと思いますが最終的に押し込めてよかったのかなと思います。
――攻められながらも守り切るパターンが徐々にかたちになってきましたがチームとして変わった点とは
序盤と終盤は、特に失点が多いということでその時間帯は特に集中して切らさないようにということを話しますし、きょうの試合でも最後の方は押し込まれることが多かったのですが、そういう時もチームで声を出し合って集中を切らさずにやっていこうと話していました。
――次戦は、4年目の早慶サッカー定期戦(早慶サッカー)となりますが、チームとして、キャプテンとして成し遂げたいことは何ですか
昨年は慶大に引き分けてしまったということで、ことしこそは全員で勝利をつかみ取りたいです。あとはやっぱり早慶戦って、選手が一丸となってつくりあげて、たくさんの方が応援に来てくれるということで、多くの方が関わってくれているのでその方たちと一緒に喜びを分かち合えたらなと思います。
DF三浦紗津紀(スポ1=浦和レッズレディースユース)
――きょうの試合を振り返って
ユニバーシアード女子代表の選手が3人抜けてしまった中で、なんとかやってやろうという気持ちがあって。2点取れて、無失点で終えることができてとりあえず満足しています。
――前半は苦しい状況の中でプレーしていていかがでしたか
相手の中盤の選手がドリブルで仕掛けてきていて、それに誰が行くのか、ファーストDFに誰が行くのか、っていう自分たちの声かけが悪かったと思っているのでこれからそういうところを修正していきたいと思います。
――関東リーグ前期は、失点という課題が挙げられていましたが、きょうのように攻め込まれても守り切る、というような展開が繰り広げられるように何かチームに変化があったのでしょうか
特に変わったことはないと思うのですが、みんなの共通理解というのが大体固まってきたとは思います。あとは体を張って一対一で負けない、という戦いが最近できているとは感じます。
――後半も攻められていた中で、三浦選手の守備がピンチを救っていたシーンが多く見受けられましたが
やっぱり無失点に抑えたいという気持ちが大きかったですし、DFは体を張ってなんぼだと思うのでそういうところで無失点に抑えられて嬉しいです。
――FKから今シーズン初の得点を決めましたがそのシーンを振り返っていかがですか
摩也さん(MF山本摩也副将、スポ4=世田谷スフィーダ)がFKを蹴る時に、私に合わせてくれるというジェスチャーをしてくれたので絶対に決めてやろうと思いました。あとはワセダに入ってから、公式戦で点を決めたことがなくて、早く決めたいと思っていたのでよかったです。
――その三浦選手の得点が勝利を決定付けました
自分はDFなので、得点でチームに貢献することは難しいのですが苦しい中でセットプレーとか攻撃陣が得てくれたチャンスでこうやって点を決められたら、チームの力に少しでもなれるのかなって思います。これからも頑張りたいです。
――最後に、次戦は早慶サッカーということで初めての舞台となりますが意気込みをお願いします
まだ経験したことがないので、どんな緊張感でどんな伝統があるのかわからないのですが、やっぱりワセダのユニフォームを着たからには勝たなくてはいけないと思うので、絶対に勝って終わりたいと思います。
MF熊谷汐華(スポ1=東京・十文字)
――きょうの試合からユニバーシアード女子代表選手が抜けましたがどのようなプレーを意識して試合に臨みましたか
ユニバの選手がいないからと言って負けられない試合で、この間の筑波大戦では勝ってすごい勢いだったので、ここで負けていては意味がないと思い、気を引き締めて勝とうと思っていました。
――前半は攻められていた印象でしたが、どのようなプレーを意識していましたか
攻められていた、ということに関してはもう我慢するしかないのでそこで気を緩めないで集中して乗り切れれば自分たちの時間帯って必ず来るので、それを狙って耐えるしかなかったです。
――前節の試合から、熊谷汐選手自身による左サイドの攻め上がりでチームに流れをつくっている印象ですが
自分の武器はスピードと突破力だと思っているので、サイドを上がることで得点のきっかけになればいいなと思ってプレーしているのですが、相手は結構縦に切ってきて最初から狙われていたので突破できない状況になってしまったので、そこをもうちょっと早い段階で気付いて打破できたらな、と思います。
――前半終盤に、熊谷汐選手自身がつくり出したチャンスボールが得点に結び付きましたがそのシーンを振り返っていかがですか
前半は相手に抑えられてしまっていて、何もできていなかったのでゴールを狙うつもりで上がっていって結果的にシュートにつながったのでよかったです。
――今後、さらにレベルアップしたい自身のプレーとは
きょうみたいに相手が自分の特徴に対応してきた場合に、違う戦い方ができるように、自分の力だけでなくて周りの力も上手く使ってプレーできるようになりたいです。
――次は早慶戦となりますが、1年生として初めて臨む戦いに向けての意気込みをお願いします
早慶戦って本当に伝統ある試合でまだどんなのものかを体感したことはないのですが、もし出場させていただくことができたら全力でプレーしたいと思います。