2週間の関東女子リーグ戦(関東リーグ)中断期間を経て、レベルアップしたエンジイレブンが再びピッチに姿を現した。「共通理解」を深め、チームで挑んだ相手は筑波大。序盤に一瞬の隙を突かれ先制点を許すも、MF中村みづき(スポ2=浦和レッズレディース)の今シーズン初得点が起爆剤となってMF熊谷汐華(スポ1=東京・十文字)、MF正野可菜子(社4=兵庫・日ノ本学園)がゴールを決める。終始、集中力を切らすことなく3-1で勝利。幸先のいい関東リーグ後期のスタートを切った。
まさに試合開始直後であった。「クリアミスに対して焦ってしまった」とDF大島瑞稀(社4=宮城・常盤木学園)が冷静さを欠いた一瞬の隙にゴールを奪われてしまう。だが、ワセダはすぐに気持ちを切り替えた。中盤を経由した筑波大のプレーを見抜くと、MF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)らボランチの選手を筆頭に、相手のパスをつぶしに掛かる。ボール保持率を高め、攻撃をかたちにし始めた21分。熊谷汐の縦突破からの左クロスに中村が好反応を見せた。「練習のかたちがそのまま試合に表れた」(中村)と理想的な連携をものにし、今季初ゴール。勢い付いたワセダの猛攻は止まらない。続く29分には熊谷汐がドリブルを仕掛け、そのまま左ネットを突き刺す豪快なシュートで逆転。その後も、ペースを乱さないポゼッションで追加点への期待を残し2-1でゲームを折り返した。
今季初得点を決めた中村
後半もワセダ優位のボール回しを展開する。相手の単純な攻撃パターンを先読みし、アグレッシブにゴールへ迫る選手たち。迎えた64分には中村からスルーパスを受けた正野が相手DFを交わし、大きくネットを揺らした。勢い余る追加点を獲得し、依然としてワセダの猛攻は留まることを知らない。ケガを克服し、公式戦復帰となったMF山本摩也(スポ4=世田谷スフィーダ)がヘディングで押し込もうとするなど攻撃面での層の厚さを見せつけた。試合終盤にかけて相手にドリブル突破されピンチを迎えたが、鍛え上げた「共通理解」でチーム一体となって守備を徹底し、最終ラインは譲らない。90分間、ボールへの執着心を途切らせることなく3-1で試合終了。関東リーグ7連覇に向け、王手をかけた。
松川の守備への動きがチームに安定感を生んだ
中断期間で取り組んできたパターンをしっかりとかたちに表し、勝ち点3を獲得したワセダ。次節からは、ユニバーシアード女子代表選手であるMF高木ひかり(スポ4=静岡・常葉学園橘)ら3選手がチームから離脱した状態で試合に挑むこととなる。しかし、戦いを重ねるごとに強まるワセダの結束力で、向かうところ敵なし。続くアウェイでのゲームで、次こそは先制点獲得、さらなる高みを目指す。
(記事、写真 渡部歩美)
スターティングメンバー
結果
関東女子リーグ戦第8節 | ||||
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早大 | 3 | 2-1 1-0 |
1 | 筑波大 |
【得点者】(早)21中村、29熊谷汐、64正野(筑)5横山 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 河邊花観 | スポ4 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 24 | 渡部那月 | 社1 | 兵庫・日ノ本学園 |
DF | 4 | 大島瑞稀 | 社4 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 34 | 三浦紗津紀 | スポ1 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 14 | 菅原靖巴 | スポ2 | 浦和レッズレディースユース |
DF | →77分 | 奥川千沙 | スポ2 | 静岡・藤枝順心 |
MF | 7 | 高木ひかり | スポ4 | 静岡・常葉学園橘 |
MF | 6◎ | 松川智 | スポ4 | 大阪桐蔭 |
MF | 10 | 正野可菜子 | 社4 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | →71分 | 山本摩也 | スポ4 | 世田谷スフィーダ |
MF | 15 | 中村みづき | スポ2 | 浦和レッズレディース |
MF | 30 | 熊谷汐華 | スポ1 | 東京・十文字 |
FW | 11 | 川原奈央 | スポ3 | 兵庫・日ノ本学園 |
◎はゲームキャプテン 監督は福島廣樹(昭45教卒) |
コメント
MF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)
――中断期間を経て、どのようなレベルアップを意識してきましたか
格上の練習試合をして、みんなの共通理解を深めました。それをきょうの試合で生かすことができてよかったです。
――相手は攻守のチェンジが素早い印象でした
相手の中盤の選手が、技術もスピードも携えていたので、そこにパスを入れさせない意識をしたのですが何本か入れられて、試合終盤にかけてドリブルを仕掛けられたので、そこはもっと修正していくべきところかなと思います。
――立ち上がりが悪かった印象ではなかったのですが、開始早々の失点シーンを振り返って
自分がガチャ(DF大島瑞稀、社4=宮城・常盤木学園)にバックパスをして、相手のハンドの疑惑っていうのもあったのですがその前に修正すべき点、というのはもっと正していくべきだし自分も一回ガチャにポンって落としてしまったのですが、あそこは外に一回切ってもよかったのかな、と思いました。
――前半の終盤からポゼッション率を高めてワセダの流れになりました。その中でも中盤の動きが要となっていましたが
そうですね。DFからパスを受けることができたので、左サイドのMF熊谷汐華(スポ1=東京・十文字)の前だったり、右サイドのMF正野可菜子(社4=兵庫・日ノ本学園)だったりにスペースが空いていたのでそこをどんどん狙っていく意識はしていました。
――次節からはユニバーシアード女子代表が抜けてしまいますが、その中で意識していきたいところは
3人抜けてしまうというのは、自分たちの中でもメンバーが欠けてしまうという点において影響はあるのですが、そこで違う選手が出ても同じようなプレーをするためには練習でも常に共通理解を深めることが重要です。3人欠けてしまっても、勝ち抜いて行けるようなチームでありたいです。
――次節への意気込みをお願いします
次もアウェイの関東学園大戦で、自分たちが苦手としているアウェイなのですが次こそはワセダの先制点でいいペース展開で試合に臨めたらな、と思います。
DF大島瑞稀(社4=宮城・常盤木学園)
――2週間の中断期間ではどのような強化をしてきましたか
守備面での共通理解を深めることと、レベルの高いチームと試合をすることができたので、そこで守備だけではない他の面でも共通理解を得ることができたのかなと思います。
――関東リーグ前期の課題から、守備面での強化が挙げられていましたがそれを試合で生かすことができましたか
そうですね。中盤の選手が守備の意識を強く持ってくれて、プレスバックとかしてくれたのでそこでしっかり取り切れた面がよかったかなと思います。
――先制されたシーンを振り返ってみていかがですか
私がクリアしようと思ったところを滑ってしまって行けなかったというところに原因があって、そこで焦ってしまったので冷静に対応できていたらなかった失点だったと思います。
――前半終盤から、ボール保持率が高くなり、攻められても最終ラインを張った守備が目立っていましたが、その点の意識に関しては
相手が結構簡単に裏にボールを出してきて、単純な攻撃をしてきたので読みやすかったですし、対応できてよかったと思います。
――相手は攻守の切り替えが早い印象でしたが
先ほども言いましたように、裏に出してくれるプレーが読めたことと、相手の選手は足が速いということもわかっていたのでしっかりDF面でチャレンジするところはチャレンジしてカバーの意識を強く持ちました。
――次節への意気込みをお願いします
次節はユニバーシアード女子代表で抜けてしまう選手がいるのですが、しっかり全員で戦ってチーム力を下げないで勝っていきたいと思います。
MF高木ひかり(スポ4=静岡・常葉学園橘)
――3週間ぶりの公式戦となりましたがゲームプランはどのようなものでしたか
相手はスピードがあったので、最初は守備から入る、という感じだったのですが先制点を取られてしまって。でも取られてしまったのですが、みんな焦る気持ちもなく、自分たちのかたちでプレーできたのがよかったと思います。
――筑波大のプレーに対する対策は
やっぱり守備から攻撃に移り変わった時にすぐに縦からのボールが入ってくるということをわかっていたので、DFラインも裏への対応もしっかりしていこうということを声かけしていました。FWに入ったときに、3度行けるようにボランチもそういった守備の意識からしていこうという感じでした。
――きょうの試合では高木選手のオールラウンドに渡ったプレーが印象的でした
ちょっと守備的なポジションを意識して試合に入っていたのですが、松川選手(MF松川智主将、スポ4=大阪桐蔭)が結構動いてくれて、その分空いたスペースに自分が入り込んだり、自分がフリーだったら周りにパス出したりということは考えてました。
――高木選手は次節からユニバーシアード女子代表としてチームから離脱しますが、そちらの方ではどのようなプレーをしていきたいですか
試合に出られるかどうかは分からないのですが、出られたら自分の持ち味は予測やパスを展開できるところだと思うので、そういう強みを発揮したいと思います。前回大会も召集されたのですが、その時は5位だったと思うのでそれを見上回る結果を残せるように自分の力を出したいと思います。
――ユニバーシアードの方ではDFでの起用となっていますが、成し遂げたいことは
ワセダだと、結構攻撃に関わるようなプレーをしているのですがDFとなったらまずは点を入れさせないことが大切だと思います。相手は色々な国の選手になるので、足が速かったり、技術が優れているチームだったりだと思うのですがそういう相手にも負けないように、しっかりゼロで抑えられるようにしたいです。
――4年目の早慶サッカー定期戦には出られないのですが、チームに応援メッセージをお願いします
昨年は、引き分けで終わって大会MVPをもらったのですが賞をもらうほどのプレーって特にした覚えってなくて。最後勝ちたいって気持ちもありましたし、目立ちたいなというのもありました(笑)けど、多分いまのチームの雰囲気や試合の流れの組立ての感じからしたら勝てない相手ではないと思うので、しっかり勝っていい報告をしてほしいなと思います。
MF中村みづき(スポ2=浦和レッズレディース)
――今季初ゴールとなりましたがそのシーンを振り返っていかがですか
練習の中でも汐華(MF熊谷汐華、スポ1=東京・十文字)が縦突破してクロスというかたちをよくあげてくれていたので、そのかたちがそのまま試合に表れてよかったと思います。
――他の得点シーンというのも練習で行っていたパターンでしたか
結構攻撃のところで枚数をかけられたと思うのですが、そういうところは練習でもみんなが意識していたところで攻撃の枚数をかけられるようにDFラインの押し上げとか、後ろから出られるようにしていたのでそういう点では発揮できたんじゃないかな、と思います。
――1点ビハインドを背負っての得点でしたが、何かプレッシャーなどを感じていましたか
自分は全く焦りとかなくて、みんなもそんなになかったと思います。よく監督(福島廣樹監督、昭45教卒)やコーチから言われる、守備の徹底というのをそこから実践して守備からゴールにつなげることができたのでよかったです。
――スピードある相手のプレーに対して意識したこととは
相手は攻守の切り替えが速かったのですが、中盤の選手を経由したプレーだったのでそこの位置を主にボランチの選手がつぶしてくれたので、自分はそのコースを切ろうと思って守備をしました。
――前半終盤からワセダの流れになりましたが、その中で心掛けたプレーとは
コートを広く使おうと思っていたのですが、自分自身試合終盤から疲れてしまってパスミスとか増えてしまって(笑)イメージ通りのプレーができなかったので、そこは課題だと思います。でもチームとして広いサッカーをできていたのでそこはよかったと思います。
――次節からユニバーシアード女子代表選手が抜けてしまいますが、どのようなゲームを展開していきたいですか
やっぱりユニバーシアード女子代表選手が抜けてもワセダのプレーっていうのは貫かなくてはならないと思いますし、自分だったらひかりさん(MF高木ひかり、スポ4=静岡・常葉学園橘)が真ん中で抜けてしまうのでひかりさんがやってきたつぶしや、広がりというのをみんなで補ってさらに強いサッカーができたらいいと思います。
――次節に向けての意気込みをお願いします
きょうの試合は、途中で疲れちゃってばててパスミスが増えてしまったので、最後まで集中して自分のプレーができたらいいと思います。