完封勝利で前期を折り返す!

ア式蹴球女子

 4月に新体制で始まった関東女子リーグ戦(関東リーグ)も、前期最終節を迎えた。浦和レッズレディースユースとの首位争いから、なんとしても勝ちたいワセダはこの日、東京国際大と対戦。試合は開始12分でFW河野朱里(スポ1=静岡・藤枝順心)が先制点を奪うと、一気に流れを引き寄せる。後半は、追加点を狙うも、思うような攻撃を展開できない。時折ピンチを迎えたが、DF陣らが中心となった踏ん張りで無失点勝利を果たし、関東リーグの前半戦を首位で折り返した。

 MF中井仁美(スポ2=兵庫・日ノ本学園)、MF中村みづき(スポ2=浦和レッズレディース)をスターティングメンバーに起用し、これまでとは違ったかたちで挑んだ今節。試合は、序盤からワセダペースで繰り広げられる。迎えた12分。中井のクロスに反応した河野がヘッドで押し込み、見事に先制点を収める。「1トップなので、絶対に点を取らなければいけない」とチームの期待に応えた河野。その後も追加点は無かったものの、ショートパスでつなぐなど流動的なプレーで相手を翻弄(ほんろう)する。また、中盤のDFラインを下げることで守備への意識を強めるワセダ。これが功を奏し、点を与えることなく1-0で前半を折り返した。

先制点へと結びつけた中井のアシスト

 後半になると一変、東京国際大はプレスの位置を高く置き始める。「FWとMFの間延びが激しくなってボールロストが早くなってしまった」(河野)と対応してきた相手に思うような展開を繰り広げられない。しかし、チャンスをつかむとMF高木ひかり(スポ4=静岡・常葉学園橘)、MF熊谷汐華(スポ1=東京・十文字)がミドルシュートを放つなど追加点への意識をかたちにする。72分には熊谷汐からの左クロスに中村が合わせ、見事な連携をものにするもゴールまでは一歩届かず。一方の相手もわずかなチャンスを逃さない。試合終盤にかけシュートを許し、ピンチを迎えてしまう。しかし、最後まで集中力を切らすことなくゴールを守り抜き、勝ち点3を獲得。最終節を完封勝利で終えた。

今季2得点目を獲得した河野

 これまでの試合を振り返り、選手からは口々に「失点が多かった」と語られた。その中でつかんだ今季初の無失点での勝利が、今後につながる大きな糧になったことは間違いない。今節の結果を持って関東リーグ首位に返り咲き、良いかたちで締めくくったワセダ。次は3週間という短い期間を経て、関東リーグの後半戦がスタートする。「全勝を目指してチームで一つになって頑張っていきたい」と意気込みを語るMF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)。無失点勝利への執念を絶やすことなく、7連覇を目指すエンジイレブンから目が離せない。

(記事 中澤奈々、写真 近藤廉一郎)

スターティングメンバー

結果
関東女子リーグ戦第7節
早大 1-0
0-0
東京国際大
【得点者】(早)12河野
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 河邊花観 スポ4 宮城・常盤木学園
DF 24 渡部那月 社1 兵庫・日ノ本学園
DF 大島瑞稀 社4 宮城・常盤木学園
DF 34 三浦紗津紀 スポ1 浦和レッズレディースユース
DF 14 菅原靖巴 スポ2 浦和レッズレディースユース
MF 高木ひかり スポ4 静岡・常葉学園橘
MF 6◎ 松川智 スポ4 大阪桐蔭
MF 12 中井仁美 スポ2 兵庫・日ノ本学園
MF →73分 正野可菜子 社4 兵庫・日ノ本学園
MF 15 中村みづき スポ2 浦和レッズレディース
MF 30 熊谷汐華 スポ1 東京・十文字
FW →78分 川原奈央 スポ3 兵庫・日ノ本学園
FW 31 河野朱里 スポ1 静岡・藤枝順心
◎はゲームキャプテン
監督は福島廣樹(昭45教卒)
コメント

MF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)

――きょうのゲームプランとは

関東女子リーグ戦(関東リーグ)最終節ということで、絶対に負けられない戦いだったのでチーム全員で戦おうということを意識しました。

――前半のうちに先制点を奪えたことで、その後ゲームを展開しやすかったでしょうか

そうですね。でも、油断っていうのが危ないと思っていたのでそこは油断しないで、みんなで集中を切らさず90分戦っていこうということをピッチ内でも話し合っていました。

――ボランチのお二人がいつもより下がっているように見えましたがDFへの意識ということでしょうか

そうですね。やっぱり今季は失点が多いので、ボランチも守備への意識をしなければならないということが課題にも上がっています。全員守備に向けてまずは中盤からきっちりしていきたいところです。

――特に前半は、ワセダのボール保持率が高かったと思いますがプレーしていかがでしたか

ボランチが受ける場面であったり、サイドから攻撃する場面っていうのが多くできたのでそこは評価して良いところなのかなと思います。逆に、最後のゴールのところまで行けなかったところも課題かなと思います。

――今季初無失点勝利となりましたが、お気持ちとしてはいかがですか

最終節に無失点で終えられたことは本当に嬉しいです。でも今までの試合も、無失点で終わらなければならなかったという点においてチームの意思疎通や共通理解をもっと増やしていかなくてはならないと思います。

――これまでの関東リーグ前期を振り返って点数をつけるなら何点ですか

60点くらいですかね。

――理由というのは

やっぱり2敗してしまったことと、失点がかなり多いというのが挙げられます。

――後期に向けて、松川選手自身が強化したい部分というのは

チームが失点することが一番いけないのですが、してしまったときに最上級生である4年がチームを引っ張っていける存在にならなくてはいけないと思います。あとはピッチ内での改善も増やしていけたら後半を良くすることはできるのかなと思います。

――チームとしてレベルアップしたい点はどのようなところですか

守備の意識を高めることです。

――3週間後に始まる関東リーグ後期への意気込みをお願いします

前期に失点が多かったり、2敗してしまったりしたので後期は必ず全勝を目指してチームで一つになって頑張っていきたいと思います。

DF菅原靖巴(スポ2=浦和レッズレディースユース)

――最終節ということで、これまでの関東リーグを踏まえてチームで話したことは

これまでの6試合は無失点で試合を終えることができていなかったので、まず無失点で勝って終わることができるようにとチームで話してプレーしてきました。

――無失点で終えることができましたが、率直にいかがですか

最後は押し込まれたりする場面もありましたが、全員が声を掛け合い集中して守りきることができたので良かったです。

――今節はスタメンの変更が多かったと思いますが

ケガ人でメンバーが変わったりということもあって、いつもと違うポジションでやっている人もいました。それでもチームとしてやることは変わらないと思うので、しっかりできて良かったです。

――前半は守り切れている印象でしたが

自分は相手のキープレイヤーのサイドハーフの選手だと思ったので、あまり上がりすぎずに裏に蹴られたときのケアができるようにということを意識してやっていました。

――後半は相手のDFのプレスが前からになっていた印象でしたが

うまくサイドを広く使えることができたら、もっと楽に攻撃展開できたのかなとは思います。

――後半は球際など含め押されてしまう場面もありましたが

やっぱり相手のFWの選手が大きいということもあって、ポイントにして蹴ってきていたと思います。そういったところでどうしても競り合い全てに勝つことは難しいと思うので、そういったときのセカンドをもっと周りが意識してその後を拾うことができると良いと思います。

――3週間と短い期間で関東リーグ後期を迎えると思いますが、それまでに改善すべきところ

この試合は無失点で終えられましたが、余裕を持って勝ったわけではなかったと思います。そういう意味ではしっかりと余裕を持ってラインを形成して、無失点で終えられるようにチームで練習できたら良いと思います。

MF中井仁美(スポ2=兵庫・日ノ本学園)

――きょうの試合ではどのようなプレーを意識して試合に臨みましたか

今季、関東リーグに全然出られていなかったのでとにかく積極的に行くことと、ゴールへ向かうことを意識しました。

――きれいなアシストで先制点に結び付けましたが、そのシーンを振り返っていかがですか

サイドにおける1対1で絶対に負けないと思っていたので仕掛けたら、たまたまいいクロスが上がってよかったです。

――特に前半はワセダのボール保持率が高かったと思いますが、プレーしていていかがでしたか

結構人数かけて流動的に動けて、何人もボールに関わるサッカーができていたと思います。そのことによってボールも動いたし、人も動いたし良い攻撃ができたんじゃないかな、と思います。

――後半はボールを支配しながらもシュートへのチャンスがなかなか得られませんでしたが

相手も対応してきたっていうのもあると思うのですが、自分たちの攻撃の仕方が全部同じになってしまったことが原因だと思います。ずっと同じボールの回し方になってしまっていたので、そこで違う崩しができるようにこれからしていければ、と思います。

――ことし、中井選手自身がレベルアップさせたいプレーや技術はありますか

とりあえずアシストでもゴールでも良いのですが、結果を残す、ということです。そういうことによってチームの信頼も得られると思うので、そこから頑張りたいと思います。

――最後になりますが、3週間後に控える関東リーグ後期への意気込みをお願いします

前期は、結構失点が多くて今回初めて無失点だったので、後期はとにかく失点をなくして、攻撃面でも見てて面白いサッカーができるように工夫して頑張りたいと思います。

MF中村みづき(スポ2=浦和レッズレディース)

――試合全体としてはいかがでしたか

前半は攻撃面で流動的に動けていい感じに崩せたと思うんですけど、後半は停滞した部分があったので、そこは前線で動きをつけて裏とかに飛び出せたら良かったかなと思います。

――今季初フル出場を果たしましたが

いままで試合全体に絡めなくてすごく悔しかったんですけど、今回のように最後まで出られたことを後期の関東リーグにつなげれたらいいなと思いました。

――ボール支配率を保持できていましたがシュートシーンが少なかったのは

相手もゴール前で体を張ってきたというのもありますけど、ゴール前で皆ボールを持ち過ぎてたと思うので、ゴール前こそシンプルにもっとゴールを狙っていけばシュートも増えていくと思います。

――打開策を試合中に見つけ出したりはしましたか

監督からもゴールエリア入ったらゴールを狙っていいと言われていたんですけど、なかなか持ち出したときにゴールを見ることができないと前半思っていたので、後半は体勢が悪くてもとりあえず打ってみようと思っていたんですけどそれでもシュートが少なかったと思います。

――無失点に抑えたのが今季初ということでしたが

DFの人たちがすごく頑張ってくれていて、空中戦のところとかで体を張っていてくれていたのでそのことが無失点につながったと思います。

――この試合で関東リーグは一旦終わりますが後期に向けて意気込みを

個人にも通じることなんですけど前半できていた流動的なサッカーを90分間通してやるとともに、守備の面でもしっかり無失点に抑えて主導権を握ったサッカーをしたいです。

FW河野朱里(スポ1=静岡・藤枝順心)

――試合全体としてはいかがでしたか

チーム自体、最初の立ち上がりが良くて、得点も序盤に取れたので良かったと思うんですけど、そのあとにゴールになかなかいけなかったということと後半の最後の方は集中が切れて押し込まれる場面が毎試合あるので改善していかなければいけないなと思います。

――自身のゴールを振り返ってみて

仁美さん(MF中井、スポ2=兵庫・日ノ本学園)がいいタイミングで相手を交わしてくれて、全員違う方向を向いてたので自分だけ裏にいけて仁美さんと目があってヘッドで合わせるだけでした。

――今季2得点目ですがゴールへの意欲というのはどのようなものを持っていますか

1トップなので絶対点を取らなければいけないポジションなので、任せられる限りは毎試合点を取ること目標にやっています。

――シュートシーンが少なかった原因は

相手が前からきたというのもあるんですけど、それに対して相手のかたちに合わせてDFしてしまうと引いたかたちになってしまうので、FWとMFの間延びが激しくなりロストが早くなってしまうことが原因だと思います。

――リーグ戦はこの試合で一旦中断しますが、自身の修正点は

ボールの受け方であったり裏に抜けることやもっとシュートを多く打って精度を上げていくことが課題です。

――チームとしては

もっと得点力を上げて前半で3点は決めて、後半は精神的余裕を持って迎えられるような試合展開ができればいいなと思います。

――後期の関東リーグに向けて意気込みをお願いします

前期は2敗してしまって不甲斐ないと思っているので、ワセダという名前を背負って試合する限り1敗も許されないので後期は全勝して終わりたいと思います。