ワセダの持ち味を発揮できず、初黒星を喫す

ア式蹴球女子

 ゴールデンウィークの合宿を終え、その成果を見せるべく迎えた関東女子リーグ戦(関東リーグ)第4節。これまで連勝中のワセダは武蔵丘女子短大と対戦した。前半は両チームともにリスクの低い攻撃で、決定的な好機を作ることなく0-0で折り返す。しかし後半開始直後、相手のシュートに反応したDFに当たり、オウンゴールを喫してしまう。1点を返そうと攻撃に臨むも、得点までは一歩及ばず。0-1と今季初黒星で試合を終えた。

 MF山本摩也(スポ4=スフィーダ世田谷)やDF大島瑞稀(社4=宮城・常盤木学園)ら、主力を欠いて挑んだ今節。ボランチに期待の新人、MF安部由希子(スポ1=宮城・聖和学園)を迎え、MF正野可菜子(社4=兵庫・日ノ本学園)をトップ下に起用するなど新しいメンバー構成で戦いに臨んだ。しかし前半、アウェーでの試合ということもあり、なかなかリズムをつかむことができないワセダ。シュートチャンスこそ与えなかったものの、自陣での展開を許しゴール前を簡単に取られてしまう。一方の攻撃は、足元でのプレーを得意とする相手DFに苦戦を強いられ、中盤でボールを奪われるシーンが続く。そんな中訪れた42分、正野がドリブルでPAまで突破。相手のファウルを誘い出し、PKを獲得するも、左ポストに跳ね返り得点とはならず。チャンスを自分たちのものにすることはできず、スコアレスドローで前半を終えた。

前節よりスターティングメンバーに起用されている安部

流れを変えたい後半。しかし開始早々、容易にPAまで運ばれると、右サイドからシュートを打たれてしまう。バーに当たり、一度はピンチをしのぐも再び相手にチャンスを与えてしまう。DF堀口佳織(スポ4=千葉・幕張総合)が体を張った守備で必死に食らい付くが、まさかのオウンゴール。またも先制点を許してしまった展開に気持ちを切り替え、得点を奪い返そうとする。しかし「単調なプレーばかりになってしまった」(MF松川智主将、スポ4=大阪桐蔭)と焦りを交えたロングパスが目立ち始めるワセダ。なかなか相手陣での攻撃を繰り広げることができない。87分には、FW河野朱里(スポ1=静岡・藤枝順心)が好機を演出するもゴールにまではあと少し届かず。足元の技術に翻弄(ほんろう)され、チームの持ち味を生かすことができないまま試合終了となった。

初黒星に肩を落とす選手たち

 これまで順調に勝利を収めてきただけに悔しい黒星。とはいえワセダの戦いはまだ始まったばかりだ。「誰が出ても、常に一定のワセダらしさを出さなくてはならない」(松川)と言うように、主力を欠いたときこそ真のチーム力が試される。次節は昨季、関東リーグ前後期ともに敗戦を喫した日テレ・メニーナ(メニーナ)との対戦。「ミスをしても切り替えることが重要」(正野)の言葉通り、今節における課題を克服し強敵との戦いを制することが期待される。

(記事 中澤奈々、写真 渡部歩美)

スターティングメンバー

結果
関東女子リーグ戦第4節
早大 0-0
0-1
武蔵ヶ丘女子短大
【得点者】(武)50、OG
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 学部学年 前所属
GK 河邊花観 スポ4 宮城・常盤木学園
DF 2◎ 堀口佳織 スポ4 千葉・幕張総合
DF 34 三浦紗津紀 スポ1 浦和レッズレディースユース
DF 14 菅原靖巴 スポ2 浦和レッズレディースユース
DF 24 渡部那月 社1 兵庫・日ノ本学園
MF 高木ひかり スポ4 静岡・常葉学園橘
MF 29 安部由希子 スポ1 宮城・聖和学園
MF →45 松川智 スポ4 大阪桐蔭
FW 平國瑞希 スポ2 宮城・常盤木学園
MF 10 正野可菜子 社4 兵庫・日ノ本学園
FW 11 川原奈央 スポ3 兵庫・日ノ本学園
MF →69 熊谷汐華 スポ1 東京・十文字
FW 32 山田彩未 スポ1 ジェフ千葉レディースユース
FW →45 河野朱里 スポ1 静岡・藤枝順心
◎はゲームキャプテン
監督は福島廣樹(昭45教卒)
コメント

MF松川智主将(スポ4=大阪桐蔭)

――今季初黒星となってしまいましたが試合を振り返って

きょうの試合はアウェーということもあって自分たちのしたいことも、明確にできなかった部分もありますし、相手のつなぐサッカーを抑えきれなかったというのが大きいと思います。最終的にシュートにまで持っていくことがなかなかできなくて、相手に対して怖い攻撃ができませんでした。

――やはりアウェーはやりづらさを感じますか

多少ホームと比べるとやりづらさを感じることはありますが、やっぱりインカレ(全日本女子大学選手権)などはアウェーの試合ばかりなのでこういった試合でも自分たちのサッカーができないといけないということを強く感じました。

――ゴールデンウィークの合宿ではチームとしてどのような収穫を得ましたか

2チームで尾瀬の大会に出たのですが、1日2試合という結構ハードなスケジュールの中でフィジカル面、メンタル面というのを強化していこうという目的でやってきました。

――前半、球際での争いに苦しめられていた印象でしたが

相手が足元、足元というタイプなので足元に強くて、逆に足元に強く行きすぎて相手にすぐかわされてしまうというシーンもあったので、そこは自分の判断でボールに強く行くということを練習から強く意識していかなくてはならないと思います。

――主力メンバーを欠いた中での中盤の展開に関しては

誰が試合に出てもワセダのサッカーをしなくてはならないので、やはり下級生が出ても常に一定のワセダを見せなくてはならないと思います。

――後半から出場した中で、どのような点に意識して臨みましたか

やっぱり足元に強い相手だったので裏とかをついたり、シュートが少なかったのでシュートを打っていこうと思っていたのですが自分自身もシュートを打つ機会がなくて、全体的にも打つ機会が少なかったのでそこは課題になるのかなと思います。声を出してチームを引っ張ろうという意識はありました。

――相手ペースで展開される試合に関してチームとしての課題は

そうですね。最後の方になってくると、やっぱり前に前に急ぎ過ぎる場面であったり、単調なプレーばかりになってしまったりしたので、そこは状況に応じてプレーを変えてゴールに向かっていこうという姿勢を大事にしていかなくてはならないと感じます。

――次節はホームで、昨季勝ちを収められていない日テレ・メニーナ(メニーナ)戦となります。意気込みの方をお願いします

きょねんは前期後期ともに負けてしまっているので、ことしこそは絶対に勝ちたいという思いはあります。メニーナもきょうの相手と同じように足元が強いチームで、スピードや技術にも長けているので自分たちは頭を使ったプレーをしていきたいと思います。

MF正野可菜子(社4=兵庫・日ノ本学園)

――きょうの振り返り

全体的に相手の方が流動的で、自分たちのやりたいことをやられたなという印象です。

――ゴール前までのつながりが見られませんでしたが

やはりチームで流動的にできていなかったという点が大きいですね。また、いつもと違うピッチで慣れていないことから、ミスがすごく多かったと思います。個人的には、今回はトップ下でやらせてもらったのですが、全然チームの役に立てなくて、申し訳なかったと思います。

――主力選手が欠けている中での試合でしたが

主力が抜けている中で、いかに戦えるかが重要になってくるので、主力がいないとしてもレベルを下げないで、そしてしっかりゲームをつくるということがこれからの課題になると思います。

――次節への意気込み

試合に出たら、しっかりチームの役に立つということを考えていますし、ミスをしても切り替えられるかが重要かなと思います。きょうの試合ではそれができなかったので、次は意識して取り組みたいと思います。

FW平國瑞希(スポ2=宮城・常盤木学園)

――きょうの試合を振り返って

きょうは風が強く、前半は相手が風上ということもあってスペースにボールを出せず、相手のリズムで試合が進んでしまいました。

――平國選手自身の持ち味をあまり発揮できていないようでしたが

なかなか縦に仕掛けることができず、足元で受けて後ろに戻すばかりになってしまいました。

――無得点に終わってしまいましたが、相手DFの印象を聞かせてください

相手のセンターバックが頻繁に上がってきたので、サイドハーフはその対応に追われてしまい攻撃に枚数をかけることができませんでした。

――きょうはいつものつなぐサッカーではなくロングボール主体のサッカーでしたが、その点について聞かせてください

いつもはボランチやトップ下を中心にボールを丁寧に細かくつなぐことができていましたが、きょうは相手の激しいプレッシャーもありボールをうまく収めることができなかったので結果的にロングボール主体となってしまいました。

――次節への意気込みを聞かせてください

きょう決めるべきところで決めることができず負けてしまったので、次節は自分がしっかりと決めてチームの勝利に貢献したいです。

DF渡部那月(社1=兵庫・日ノ本学園)

――連勝ストップということで振り返って

前半は無失点に抑えられていましたが、後半はオウンゴールというかたちで失点してしまいました。全体的に焦りがあったので、最後までボールをつなぐ場面もありましたがそこでしっかり決めていければ、こういうことはなかったのかなと思います。

――前半のつながらない攻撃を後半も引きずっている印象でしたが

決定機は結構あったと思いますが、それをいかに決められるかが今後につながってくると考えています。

――自身のプレーを振り返って

きょうはDFに回ることが多くて、前線にボールが入ってもサポートが遠く行けませんでした。前に大きく蹴り出した時にDFラインがもっと押し上げて行かないといけないと思いました。

――相手のDFについて

前からプレスをかけてきて、それをうまくかわせるようにしなければいけないと思います。前に大きく蹴るのは良いのですが、その後のサポートを早くしなければならないと思います。

――中盤でボールを失うシーンが多く見受けられましたが

中盤というのは重要なポジションなので、誰が出てもしっかりとできるようなチームになっていかなければならないと思っています。

――セカンドボールへの意識について

DFと前線との距離が遠く、中盤がすかすかになってしまい、なかなかセカンドボールが拾えていなかったという印象が強いです。

――次節は強敵メニーナ戦ということですが

次はホームなので、みんなしっかりと守備からやっていき、前線も決められるところで決めて行って欲しいと思います。

――合宿については、どういったことを強化されましたか

合宿では走り込みをし、連戦が続きました。しんどかったですが、チームがまとまっていき声掛けなどもできていったので、それをきょうの試合でも出せたら良かったのですが、出ていませんでした。声というのはとても重要だと思うので、次節ではしっかり出せるようにしたいです。

――その他に身に付けられたことはありますか

最後の集中力や、PK戦になる試合もあったのですが、そこに至るまでのディフェンスの集中など最終的なメンタル面でも強くなったと思います。