開幕2連勝と順調なワセダは今節、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースU-18(ジェフ千葉レディースU-18)と対戦。開始早々先制点を決められ、厳しい展開を強いられる。得点を手にすることができないまま迎えた後半、MF高木ひかり(スポ4=静岡・常葉学園橘)の同点弾で追い付くと、一度は逆転を許すものの再び高木、FW川原奈央(スポ3=兵庫・日ノ本学園)の終了間際のゴールで劇的勝利を収めた。
前節に引き続き、開始早々シュートを放ち先制点を手にしたいワセダ。しかし、試合は思わぬ方向に動いた。9分、クリアミスからクロスボールを合わせられ、まさかの失点。重くのしかかるビハインドを跳ね返そうと、相手陣での攻撃を展開する。22分にはFW河野朱里(スポ1=静岡・藤枝順心)が抜け出し、シュートを決めるもオフサイド判定。その後も高木、MF山本摩也副将(スポ4=世田谷スフィーダ)らが再三チャンスをつくり出し、ゴールまで迫るが得点までは一歩及ばず。ワセダペースで繰り広げられるゲーム展開に、シュートへの期待を残し前半を折り返した。
チャンスを逃さず2得点を決めた高木
そして迎えた後半。チャンスは早々に巡ってきた。山本の右サイドからのパスを高木が合わせ、豪快にネットを揺らす。待望の同点弾を手にし、このままの勢いで逆転したいワセダ。しかし球際での争いが繰り広げられ、なかなかシュートまで持ち込めない展開に。61分にはMF安部由希子(スポ1=宮城・聖和学園)が相手DFをかわし、ゴールへの積極性を見せるもGKに阻まれてしまう。そして迎えた80分。またも思わぬ方向にゲームは展開される。相手に少ないタッチ数での攻撃を許し、失点。しかし、ここからワセダは強さを見せつけた。85分、FW平國瑞希(スポ2=宮城・常盤木学園)からフリーの状態で受けた高木のダイレクトシュート。「練習がよく生かされたかたちだった」(高木)と日頃の成果を存分に発揮。試合は終盤に差し掛かり、両チーム共にゴールに攻め上がるシーンが続く。時折PAを揺さぶられ、ピンチを迎えるもDF奥川千沙(スポ2=静岡・藤枝順心)らの体を張った守備で最終ラインを崩させない。何とかして追加点を手にしたい選手たち。試合はロスタイムに突入した。このまま引き分けで試合終了か。迎えた92分、ラストチャンスはワセダに訪れる。高木のスルーパスに川原が抜け出し、GK上を越すループシュート。試合終了のホイッスルが鳴り響く中、3-2と逆転を果たした。
ラストプレーで川原の逆転弾!
まさに劇的勝利とも言える試合を繰り広げ、開幕3連勝を遂げたワセダ。しかし、ゴールへの執着心を見せるも「ちょっとした球のズレが原因で最後にシュートまでいけない」(GK河邊花観、スポ4=宮城・常盤木学園)、度重なる失点シーンを振り返り「DFラインの共通理解が必要」(奥川)と攻守両面における課題を述べた。次節こそ無失点、完封勝利を手にできるか。ワセダの飽くなき戦いはまだ始まったばかりだ。
(記事 渡部歩美、写真 豊田光司、松本理沙)
スターティングメンバー
結果
関東女子リーグ戦第3節 | ||||
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早大 | 3 | 0-1 3-1 |
2 | ジェフ千葉レディースU-18 |
【得点者】(早)46、85高木、92川原 (ジ)9田中、80米盛 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 学部学年 | 前所属 |
GK | 1 | 河邊花観 | スポ4 | 宮城・常盤木学園 |
DF | 2 | 堀口佳織 | スポ4 | 千葉・幕張総合 |
DF | 3 | 奥川千沙 | スポ2 | 静岡・藤枝順心 |
DF | 14 | 菅原靖巴 | スポ2 | 浦和レッズレディースユース |
DF | 24 | 渡部那月 | 社1 | 兵庫・日ノ本学園 |
MF | 7 | 高木ひかり | スポ4 | 静岡・常葉学園橘 |
MF | 29 | 安部由希子 | スポ1 | 宮城・聖和学園 |
MF | 10 | 正野可菜子 | 社4 | 兵庫・日ノ本学園 |
FW | →45 | 平國瑞希 | スポ2 | 宮城・常盤木学園 |
MF | ◎8 | 山本摩也 | スポ4 | 世田谷スフィーダ |
MF | →58 | 三田村桃子 | スポ2 | 宮城・常盤木学園 |
FW | 11 | 川原奈央 | スポ3 | 兵庫・日ノ本学園 |
FW | 31 | 河野朱里 | スポ1 | 静岡・藤枝順心 |
FW | →54 | 山田彩未 | スポ1 | ジェフ千葉レディースユース |
◎はゲームキャプテン 監督は福島廣樹(昭45教卒) |
コメント
GK河邊花観(スポ4=宮城・常盤木学園)
――ことしからGKとしてスタメン出場していますが、今季はどのような意気込みで挑んでいますか
まずいつも通り練習でやってきたことを信じて、気負わないでいこうと思って頑張っています。
――きょうは劇的な逆転勝利となりましたが、試合全体を振り返って
先制点を取られたというのもあるのですが、試合開始から終始落ち着きませんでした。攻めもうまくいっているように見えて、焦っている部分と瀬戸際の雰囲気でやっていたので、少し守備意識を高めていかなければならないのかなと思います。
――攻撃に関しては決め切れない場面が多いように感じましたが
ちょっとした球のズレが最後にシュートまでいけない原因だと思うので、そこはイメージをもっと共有して最後シュートで終われたらいいなと感じます。そうすれば守備にも入りやすいと思うのでそこは高めていきたいと思います。
――先制点を取られた場面を振り返って
流れ的にパスのズレ以外はそんなに悪くはないように見えたのですが、やっぱり人にはプレッシャーをかけられていても、ボールに対してはかけられていなくて、その流れで失点してしまいました。なのでDFと連携を取ってフリーな人をつくらないようにしていかなければいけないなと思います。
――1点ビハインドでハーフタイムに入りましたが、後半に向けチームではどのようなお話をされましたか
前半は忘れて0-0の気持ちでしっかり自分たちのプレーをすれば点が取れるので切り替えていこうと話していました。
――同点に追いついた後に、また追加点を許してしまいましたが
きょうは全体的に裏に蹴られたボールに対してDFが対応できていなかったので、自分ももう少し裏のケアをしていかなければいけなかったのかなと感じます。また、DF同士でボールに寄ってしまうことも多いので、それを止める技術というか、そこもやっていかなければな、と思っています。自分の一声で結構変わると思うので。
――相手は裏に抜ける素早い攻撃が特徴だったと思いますが、対戦してみて印象は
すごくシンプルな攻撃でした。自分たちも少ないタッチ数で簡単に展開しようと目指している中で、相手にそれをやられてしまったというのは悔しいですが、相手の良いところなので今後生かしていけたらいいのかなと思います。
――今シーズン無失点試合がいまだにない状態ですが、守備の課題は
ボールが少しでも浮いていたら、脚だけでいってしまったり、裏に流してそれを相手に取られたりしているので、自分を含めDFとしてはクロスボールなど浮いているボールに対してしっかりいけるようにしていくことが必要だと思います。また、ゴール前では強くシュートを打たせないというのを徹底していかなければならないと思います。
――次節への意気込みは
次こそは無失点でいきたいと思います。
MF高木ひかり(スポ4=静岡・常葉学園橘)
――今季初アウェー試合で意識したことは
特別意識したことはないのですが、ホームと変わらず自分たちのやりたいサッカーをやっていこうという思いで試合に臨みました。
――試合を振り返って
立ち上がりに結構うまいシュートで決められてしまって、流れが自分たちのペースにならなかったというのが悪かった点だと思います。また、前半攻めている中で得点を奪えなかったというのもこういう試合になってしまった原因だと思うので、もうちょっと決めるところで決めることだったり、落ち着いて点を決めることだったりなど、空いている選手を使ってプレーできたらよかったかなと思います。
――前半、何度もシュートまで持ち込むも決め切れなかった要因とは
1点ビハインドの中で焦りが見えたのもありますし、きれいなかたちで決めなきゃというのがどこかにあったので、泥臭い中でも決めていこうという気迫があればよかったと思います。
――失点シーンを振り返って
きれいなミドルシュートだったな、というのとどうしてあそこでフリーにさせてしまったのか、というのも思います。最初のチャンスで入れられてしまったのでそこは集中力が足りなかったなと思います。
――中盤として意識したことは
上がりすぎず、真ん中を空けてしまうと相手の速いカウンターで点を取られてしまうのでできるだけ中盤を埋めてそこでボールを散らして組み立てるみたいなことを意識しました。
――後半開始早々決めた同点ゴールを振り返って
ファウルだったのかそうではなかったのか分からないのですが、自分だけ動いているような感覚でフリーの状態でシュートが打てたのでよかったと思います。
――その後も、何度も切り返してゴールに向かうシーンが見られました
3点目、勝ち越しゴールを決めるチャンスもあったので自分が決められればヒーローだったものを奈央(FW川原奈央、スポ3=兵庫・日ノ本学園)に決めさせてしまったので(笑)、ちゃんと決め切るところは決めていきたいと思います。
――2点目のゴールシーンを振り返って
練習でよくするかたちであったので、平國(FW平國瑞希、スポ2=宮城・常盤木学園)が自分をよく見てくれていて、その時も自分フリーでシュートを打てたので練習が生かされたかたちだったなと思います。
――ゴールデンウイークに向けたチームの課題とは
やはり速い相手に対して、手数がかかっていない攻撃で点を取られてしまっているかたちが多いと思いますし、昨年もことしも失点がすごく多くてそれはやはりチームの課題だと思うので、得点をするよりも、得点を取られないチームになるために守備での貢献度を上げたいなと思います。またゴールデンウイークには大会にも出させていただいていろんな大学とも試合ができるということなので、自分たちの質を高めることはもちろんのこと、いろんなチームと試合して経験積めたらいいなと考えています。
――2週間ほど先のことになりますが、次節への意気込みをお願いします
関東女子リーグ戦(関東リーグ)は連覇が続いていることもあって、勝たなくてはならない試合が続くので、こういう難しい試合でなくてワセダの強さを見せられるような試合運びができればいいなと思います。
FW川原奈央(スポ3=兵庫・日ノ本学園)
――劇的な逆転となりましたが、今回の試合はいかがでしたか
立ち上がりは相手の勢いに押されて、自分たちでパスミスをしてカウンターから攻撃されていました。シュート自体はうまいシュートだったのでしょうがなかったんですが、そこから立て直すことができなくて前半を終えました。後半やっと自分たちのリズムで攻撃することができたのですが、自分たちのリズムで攻撃できるようにしていくのがこれからの課題だと思います。
――前半も攻撃のかたちはつくれていたように見えましたが、その点はいかがでしょうか
攻撃はできていたんですが、せっかく前に詰めてもズレが生じて取られたりしていたので、もっと積極的にシュートを打てば良かったなと思いました。
――ビハインドを背負ってのプレーはやはり精神的に負担がかかるものですか
やっぱりサッカーは一点の重みがすごくあるので、一点先に先制されると気持ち的にもしんどい部分があるので、そこは守り切りたいと思います。
――一点ビハインドでハーフタイムに入り、話し合われたことは
監督やコーチも言っていたのですが、攻撃自体は悪くなかったので、最後決めきるというところを意識して後半に臨みました。
――後半はサイドにボールが展開していくシーンが多かったように思いますが、それはチームとしての意識だったのでしょうか
自分の特徴として、やはり縦突破しなければいけないんですが、相手が強くなってくると一対一で仕掛けるのが難しくなってくるので、サイドに入った時にいかに人数を増やして崩せるかというのはチームとしてやっていきたいところです。まだまだそこは伸ばせると思います。
――そして逆転のループシュートですが、あれはもうキーパーを見た時に判断したのですか
そうですね。もう時間も無かったので、高木さん(MF高木ひかり、スポ4=静岡・常葉学園橘)が奈央は前にいろと言ってくれていたのでずっと前で待っていて、最後ナイスパスが来たので決めきることができて良かったです。
――こういった逆転劇はうれしいですね
最初ゆきこ(MF安部由希子、スポ1=宮城・聖和学園)から縦にもらって、あれもループで決めようと思ったんですが決め切れなかったので、次は絶対に決めようと思っていました。
――やはり得点への気持ちは高いのですか
はい。きょねんは自分で決めようという気持ちが低かったので、そこで悔しい思いをたくさんして、今季は積極的にゴールへ向かうのを目標にしていたので良かったです。
――チームの課題としては攻守のリズムといった点になってくるのでしょうか
自分たちで立て直すことがあまりできないというのがあると思います。それが話にも上がるのですがなかなか修正できないので、そこが修正できればまたレベルアップできると思います。
――修正の鍵になってくるのはどういった部分なのでしょうか
やっぱり気持ちの面でもっと自信を持っていいのかなと。自信を持ってプレーすることで失敗も無くなると思うので、もっと強い気持ちを持ってプレーしていきたいです。
――次節も勝ち続けていきたいところですが、最後に意気込みをお願いします
きょうの試合の反省をしっかりチームの中で理解して、次の試合も勝ちたいと思います。
DF奥川千沙(スポ2=静岡・藤枝順心)
――ラストワンプレーでの逆転勝利でしたが
実際はこういう試合はしない方がいいんですけど、最後に1点入って安心しました。
――今季初アウェー戦となりしたが、プレーしにくかった部分はありますか
風が強かったのでそういうところの対応だったり、地面のラインだったりだとかそういうところの適応能力をしっかり自分たちの中でも反省しなきゃいけない面だし、そういうのをもっと考えてプレーしたら良かったと思いました。
――優勢の中で特に前半では得点ができず、失点するかたちでしたが
やっぱりきょねんもそうでしたが、点数が入らないというのが改善点で、直さなきゃいけないところだったので、身に染みてもっと練習しないといけないし、そういう場面でメンタル的にも負けたりしたのかわからないですけど、失点してまった部分はDFラインも反省しないといけないので。まぁ切り換えてそのあとできたのは良かったと思います。
――どちらの失点もイージーな展開からだったように感じましたが
DFラインで何とかしようと思えば何とか出できた場面だと思うので、やっぱりそういう想定内の相手の攻撃で失点してしまうのは、もうちょっと練習したり、DFラインの共通理解、こういうときはこうしていこう、のような簡単なイメージだけでも持って、共有してやっていけたらいいかなと思いましたし、失点はチームの良い流れを崩してしまったりするので、点が入らないにしろ、良い攻撃が出来ている場面での失点はやはりしないようにしていきたいです。
――終了間際の危ない場面ではしっかりブロックをしてその後の得点につながるような守備をされていたと思いますが
そうですね。身体張ってなんぼだと思っているので(笑)、きれいに処理しようなんて思ってないので、ゴールだけはやらせないという意識ですかね。やっぱり頑張っているのは後ろだけじゃないので、前の人も頑張っているので、そういうところを強くメンタル持っていけたかなと思います。
――次戦に向けての意気込みをお願いします
ここ数試合は失点が続いているので、しっかり守備ラインで声かけて、無失点で勝ちたいと思います。