【連載】『反撃のキックオフ』 第2回 松川智×高木ひかり

ア式蹴球女子

 今季のア女を支える中盤の要、それはMF松川智(スポ3=大阪桐蔭)とMF高木ひかり(スポ3=静岡・常葉学園橘)の2人だ。的確な判断力で攻守を結びつけ好機を演出するボランチコンビは、さくねんそろってユニバシアード日本代表候補合宿にも選出された。今季これまでの戦いを振り返っていただくとともに、間近に迫った全日本大学選手権(インカレ)への決意を伺った。

※この取材は12月26日に行われたものです。

「メンタル的には負ける感じはしなかった」(高木)

高木

――まずは関東女子リーグ戦(関東リーグ)から振り返っていただきたいのですが、シーズンを通していかがでしたか

松川 そうですね…、前期に日テレ・メニーナ(メニーナ)と試合をして負けてしまって(●0-3)、後期も最初から勝とうという感じで入ったんですけど、そこで勝ち切れない(●2-3)というのがやはり課題だったのかなと思っています。前期と後期を通して優勝できたことは良かったんですけど、その中でも課題の残る試合が見えてきたので、もうちょっと自分たちで改善してインカレにつなげていけたらいいかなとは感じました。

高木 松川が言った通り、メニーナに2戦して2敗してしまったというのは昨年は無かったことですし、やっぱり個の技術においてはまだまだ足りない部分が多くて、年下の子たちにやられてしまっているというのは反省点でも多く挙がりました。そういう負けた試合を通して感じることが多かったというのは良かった反面もある分、すごい残念だったなと思います。でも結果的に優勝できたというのはトータル的に試合を通してできたことも多かったからそういう結果につながっていると思うので、その点は良かったと思います。

――いまメニーナの話が挙がりましたが、やはり関東リーグで印象に残った試合はメニーナ戦でしょうか

松川・高木 そうですね。

――もう少し詳しく伺いたいのですが、今季は得点力がある反面、大事なところで取り切れなかったシーンが目立ちました。その点についてはいかがでしょうか

松川 うーん…。

高木 何か攻撃のリズムがね。

松川 うん。スロースターターというか、そういうのが目立つかなと思います。

高木 立ち上がりとかがうまくいけばいい試合になるんですけど、それがうまくいかないとリズムがかみ合わない部分が多く見えてしまって。

松川 後半から良くなってもそれじゃ遅いって感じになっちゃって…。

――守備面の失点に関してはいかがでしたか

松川 後期になって結構ラインコントロールを修正して練習に取り入れたりというのはあって。話とかも結構(します)。オフサイドを取ったりということは結構やっています。

――次は関東大学女子リーグ戦(関カレ)についてです。惜しくも5連覇を逃してしまいましたが、その要因は何だったのでしょうか

高木 やっぱり(日体大との)直接対決に負けた(●0-1)ということが結果に大きくつながっていると思いますし、その試合を通して自分たちのサッカーが全くできなかったというか、目に見えて痛感するというか。

松川 いままでやってきたことが全然できなくて、やられっぱなしというような試合展開になりました。

――全勝対決ということでいつもと違うプレッシャーもありましたか

高木 自分個人的にはいけそうというか、試合に入る前はやってやるって気持ちがすごくあったんですけど、最初の立ち上がりで押し込まれてしまって、相手のスピードだったりを脅威に感じてしまって。その後にそのままつながっていってしまって、そこからディフェンスラインがボールをつなげずに蹴ってしまって、自分たちのボールにできない時間が多くあった分、引いちゃったというか…。

松川 うん。最初の勢いにやられて。

――そこでも立ち上がりの悪さが出てしまったのでしょうか

高木 そう?

松川 日体大もめっちゃ下からつないできたというのもあって、また個の技術も高くてやられっぱなしというのがありました。

――今季は日体大だけでなく他大学も力を上げていますが、それを感じることはありますか

松川 尚美学園大戦とかが印象的なんですけど、あの試合も同点に持っていかれて、最後の最後に逆転できた感じになって。その中で逆転できたことは良かったんですけど、その前に失点しないことを一番に考えないといけないなというのがありました。絶対負けられないという気持ちはあるんですけど、気持ちの面で焦ってしまったのが大きかったのかなと思います。結構勢いで来られちゃうと引いてしまうというのがあります。

高木 開幕戦の試合とかは先に先制して逆転されて、という感じで。きょねんのインカレ(●3-4姫路獨協大)もそんな感じだったんですけど、すごい早い段階で点を取れて余裕を持ち過ぎたというか。そういう気持ちはないと思うんですけど、結果的にそうなっちゃっているということは何かが悪いということだと思うんです。フォーメーションとかもすごく変わったんですけど、攻撃にかける分守備がおろそかになってしまう感じだから点をたくさん取られちゃったんだと思うし、それでも勝ち切れているのは自分たちの強みではあったかなとは思います。

――やはり試合展開で追われる難しさはありますか

高木 今シーズンはすごく感じたな、とは思います。1、2年生の頃にも試合に出させてもらっていたんですけど、その時は下級生だったので先輩についていけばいいのかなというのがあったんですけど、3年になって、チームの中心じゃないですけど、中盤でプレーしていることもあって、引っ張って行かないといけないというのがあって。相手の勢いに飲まれちゃうというか、そういう気持ちをすごく感じます。はね返さないといけないんですけど、ビビっちゃって。

松川 そうですね。追いつかれた試合だったり、逆転されたときとかは、焦りとか(を感じました)。声を出して落ち着こうというのはピッチ内であるんですけど、やっぱりどこかでプレーの面で焦ってしまうというのがあったように感じます。

安定したボールさばきでチームからの信頼も厚い高木

――次は皇后杯全日本女子選手権(皇后杯)の予選についてお聞きします。初戦を勝ち抜いたものの関東学園大に敗れてしまいましたが、あの戦いを振り返っていかがでしたか

高木 その試合も天候が悪くてピッチが悪かったので、つなぐなというか、セーフティにプレーしろという声が掛けられていて、その中で自分たちも全然ボール蹴れなかったし。

松川 相手は前に速い人だったりがいて、そこを全然抑えられていなかったり。全部セカンドボールも拾われて、悪い流れのままいってしまったですね。

――チームとしては初戦の横浜FCシーガルズを下し、いい勢いがあったのではないかと思いますが

高木 メンタル的には負ける感じはしなかったんですけど。何か圧倒されていたよね?

松川 うん。全部自分たちの間をやられて、スペースを取られてという感じでした。今シーズン負けた試合は基本的に全部圧倒されて、日体大戦もそうなんですけど、相手に支配される試合が(多かったです)。

――そこでやはり打開していく力が求められると思いますが、チーム内でもそういった話はよく出るのでしょうか

松川 試合の中で改善しようとはなるんですけど、なかなかそれができないっていう感じですね。

高木 ずるずるいっちゃうよね。

――そういった試合の中で、試合をコントロールする中盤としてどんなことを考えながらプレーしていますか

松川 何か悪い流れの時って結構守備の面でもうまくいっていないという印象で、でもやっぱりそこでボランチがトップに対して指示だったりを出さないといけないと思います。フォワードだけが追ってしまう場面が結構あって、それはもっと自分たちで改善してどう動くべきかを(伝えるのが)必要じゃないかなと思います。

高木 あんまり自分たちも引っ張るタイプじゃないので、なんか真ん中にいるって感じになっちゃって。そこで中心になって動かせるようなプレーができたらチームの状況を改善できるんでしょうけど、まだ全然できていないからこんな感じになっちゃっているのかなと思います。

――お二人自身はそんなに前に出るタイプではないと自己分析しているのでしょうか

高木 出ていきたい気持ちはすごくあるけど…(笑)。

松川 バランス気にしちゃう、やっぱり(笑)。

高木 こっち(松川)の方が影ですごく献身的です。

松川 どっちかというとあれやな、(高木が)攻撃系で(自分が)守備系やな。そんな気はします。

――2人で組む時に相手が出たがっているな、と感じたりする時もありますか

高木 うーん。でも流れの中でどっちかが行けばいいやって思っているので、そういう役割分担は別にしてないですね。

――先ほどもっとプレーで動かせるようになりたいとおっしゃっていましたが、やはりそう感じるシーンが多かったのでしょうか

高木 そうですね。やっぱり展開の部分だったりを求められているんですが、同サイドにボールを散らしてしまったり。攻撃の起点になれているのかというのはまだ分からないですし、自分はゲームをコントロールしている感覚はいままで一度もないですね。

松川 どっちかというと、いい流れのときは結構展開とか攻撃に二人のどっちかが関わってというのはあったりして。守備面では、やっぱりディフェンスになると守備の方が声を出してくれて。それに頼っちゃっているという感じはありますね。

――高木選手は関東リーグ、松川選手は関カレでそれぞれ出場機会を伸ばしましたが、チームの軸として起用されていることについてはいかがですか

松川 もう一試合一試合頑張るしかないって感じはあります。やっぱり他のボランチの選手もいますし、その危機感はあります。

高木 誰が出ても結果が残せるっていうチームではあると思うので、その中で自分がどうやって残っていくかというか、スタメンとして出場するためにはどういうプレーをすべきか、というのは考えながらプレーしていますね。

――特に今季は下級生もスタメンに食い込んで来ていますが、そういった勢いも感じますか

高木 やっぱりうまいなと思う部分もありますけど、まあ負けたくないという気持ちが大きいので(笑)。そういう子たちのいい部分をちょっと見て盗んだりして、それでも自分が負けないようにしっかりプレーで印象づけるとか、そういうのは考えますね。

――守備ラインの声というとDF小野田莉子主将(スポ4=宮城・常盤木学園)の存在はやはり大きいですか

松川 ずっと声を出しているので。

高木 守備においてはすごい助かりますね。(松川を見て)左の方にいるから(笑)。

松川 やっぱりフォワードに対してボランチが言えるのがベストなんですけど、それがなかなかいまの段階ではできていなくて。というので莉子さん(小野田)がけっこう言ってくれて、だいぶ助かっています。

――皇后杯本戦に出場できなかったことに対しては、いまどのようにとらえていますか

松川 本当に、負けた時は情けないというか悔しいという気持ちが一番にありました。いままで出て当たり前というのがあって、それが出れなくなって12月がぽっかりと空いちゃって、何してんだろ、って感じがあった。

高木 皇后杯本戦に出場したチームが自分たちが勝てるチームでもあったので残念でしたし、皇后杯に出るっていうのはさらに強い相手とできるチャンスの場でもあったので、そういう場を失ってしまったっていうのはすごく残念だったなって思います。

――皇后杯本戦を見に行ったりはしたんでしょうか

高木・松川 してないです(笑)。

高木 レッズ(浦和レッズレディースユース)とか残っていて自分たちと年も近いので、そういう人たちの活躍を見るのも大事だとは思います。

――後期は勝ち切らなければいけない部分で勝ち切ることができなかったということでしょうか

松川 自分たちがチームとして話していて、勝てて当たり前という考えがもう違くて、チャレンジャー精神を忘れちゃ駄目だなという話し合いがありました。

――今季から就任した福島廣樹監督(昭45教卒)についての質問です。大きな変更点として3バックに変わったことがありましたが、いかがでしたか

松川 攻撃の厚みはやっぱり3バックの分出ますけど、その分失点も多かったという印象です。

――皇后杯予選の後あたりから4バックに戻りましたが、ボランチとしても守備は楽になりましたか

高木 そうですね。多分失点をあまりしないという考えから3バックにしたと思うんですが、それがそれほどうまくいかなかったという感じで。4バックになって守備に追われる回数が減ったと思いますし、その分もうちょっと落ち着いてできるようになったかなと。ボールも後ろから受けるようになったし。ビルドアップの部分でも変わったと思います。

松川 4バックになったらサイドバックもどんどん上がれますし、攻撃のバリエーションも増えるのかなというのは感じますね。

――ではチーム全体の雰囲気に関してはどうでしょうか

高木 全体的にはめちゃくちゃいいよね。

松川 サッカーの時は上下関係なく話せるのかなと思います。

高木 さっきもイベントがあったしね。みんなでわいわいやったり。オンオフは切り替えられるチームですね。

「千葉!房総!浜焼き!」(松川)

松川

――ではこのあたりからお二人自身についての質問をしていこうと思います。今回この二人で対談してみての感想はいかがですか

松川 えー感想(笑)?

高木 しゃべれるかねって(笑)。そんな話はしたけど。

松川 別に普段からそんなにしゃべらないとかではなく、むしろ結構しゃべるんですけど。

高木 まあ、ボランチくくりだろうなーって(笑)。

――お察しの通りです(笑)。実は松川さんが非常におもしろいという話を小耳にはさんだのですが

高木 まあ関西人なんで(笑)。おもしろいですよ。

松川 いやいやおもしろくないですよ(笑)。

――お二人にお互いの印象を伺いたいと思います

松川 高木は何しているか分からないです(笑)。

高木 具体的にはあんまり言わないので、そんな感じです。

――あんまりプライベートの話を聞かないのですか

松川 はい、オフレコです(笑)。

高木 その分松川はア女の子たちとアクティブに色んなところ行ったりという感じです。

――逆にお互いのプレーの印象はどうですか

松川 結構高木は前に前にと、攻撃に参加してくれて、そこからゴールに結びつけてくれてというのが印象的で。それをインカレでもね(笑)。

高木 (笑)。

――逆に松川選手の印象は

高木 高校とか中学くらいから知ってるんですけど、左足のシュートとかボールの持ち方はすごいうまいな、っていうのがあって。一緒にボランチ組んでいて意外だなって思ったのは、競り合いに強いところで。

松川 それは多分やっていくうちに強くなった(笑)。

高木 マイボールに対して負けないんですよ。それはすごいなって思ったし、あれこんなにできる人だっけなって印象もあって(笑)。でもちょっとまだ遠慮している部分があると思うので、強烈なシュートをして欲しいなって思います。

――遠慮しているんですか

松川 いや、そんなことないです(笑)。

高木 多分自分が上がり過ぎちゃってるので、バランス取ってくれている分、多分いろんなところで見せてくれると思います。

松川 何、いろんなところって(笑)。

高木 コメントだったりプレーだったりで(笑)。

関カレ開幕戦で決勝ゴールを決めるなど、約1年間のケガから劇的な復活を遂げた松川

――お二人といえば、ユニバーシアード代表候補に選出されたのが大きな話題だと思います。先日合宿があったと思いますが、いかがでしたか

高木 前回大会(第27回ユニバーシアード)も行かせてもらったんですけど、その時よりは同学年が多かったので、フレンドリーで全員がコミュニケーション取れて仲良い感じだったしね。

松川 お互いの大学の話をしたりとかしましたね。

――松川選手は初選出でしたが

松川 やっぱり周りのレベルも高くて、そこから吸収するところはいろいろあったし、やっぱり普段とは違う環境で練習させてもらっていい刺激になりました。

――またプライベートな話に戻りますが、お二人はプライベートで遊びに行かれたりはするんでしょうか

松川 ご飯とか?

高木 うん、そうだね。

――3年生全体も仲がいいと伺いましたが

二人 そうですね。

松川 きのうもね(笑)。

高木 3年生だけでクリスマスパーティーをね(笑)。

松川 結構みんなしゃべるんで集まったらめっちゃうるさいです。

――誰が一番しゃべるんですか

高木 (松川を指して)と山本(MF山本摩也、スポ3=スフィーダ世田谷)(笑)。あと荒川(MG荒川菜摘、スポ3=福岡・明善)3人は突出して止まらないです。マシンガントークで。

松川 何かネタとかな、やりだして。ノリですね。

高木 多分いっぱいあると思いますよ。何か一発ギャグとかじゃなくて急にやりだすことがおかしいという感じなので、ちょっと真面目そうに見えますけど、そのギャップというか振り幅は見た目以上ですね。

――ギャップについて何かエピソードがあれば教えて下さい

松川 たまに高木も急に声のトーンが上がって、声がデカくなってテンション上がる時がめっちゃあります。最近多い(笑)。

高木 いやぁ、自分ではそんなつもりないんですけど…。あるみたいです(笑)。この人(松川)は終止ふざけているんですけど、その割にはいろいろ周りが見えている人だなと思います。

松川 全然そんなことはないですけど。

高木 謙遜してます(笑)。

――では同期で特に仲のいいひとはいますか

松川 プライベートですよね?

高木 摩也さんじゃね?

松川 いやどっか行くってなったらがちゃ(DF大島瑞稀、社3=宮城・常盤木学園)かな。オフの日とかで遊ぶってなってお互いヒマだったら、最近話題のTwitterとかで出てきたものとかに行こうってなります。

――最近行ったところで覚えているものは

松川 何行ったっけ?なかなか思い出せないんですけど、バスツアーとかに行きました。3月くらいとか。

高木 やば。まじか(笑)。

――どこに行かれたんですか

松川 千葉!房総!浜焼き!

高木 えっ、知らないんだけど。

松川 行ってたよ。お花摘みとか(笑)。

高木 キャラじゃないじゃん(笑)。二人とも。

松川 楽しかったですよ。バスなんで超楽で。全部連れていってくれるので。

――高木選手はどうですか

高木 オフの日はあんまりア女の人とはいないかなって感じですね。他の友達と遊びにいったり。

――今度は他の学年の印象を伺いたいのですが、お二人から見た4年生の印象はいかがですか

松川 真面目。

高木 くそ真面目だと思います。

松川 くそって(笑)。まあ、真面目っていう印象ですね。

高木 3年生がおちゃらけてる分、しっかりチームをギュッと引き締めさせている感じの人たちですね。

――では3年生はムードメーカーに徹しているという一面もあるんですか

松川 そうです(笑)。

高木 そうですっていいかわからないけど(笑)。そんな感じの役割かなと思いますね。

松川 (4年生は)みんな真面目というわけではないかな(笑)。4年生の中でも普通におちゃらけた人もいるし。

高木 主将(小野田)とか。

松川 うん(笑)。

高木 主将はめっちゃおちゃらけてますね。

松川 おちゃらけてるね、オフの面ではだいぶおちゃらけです。

――小野田主将はピッチ上で声を出しているイメージがつよいですが

松川 ギャップですね。だまされていますよ(笑)。

――では2年生の印象はいかがですか

松川 2年生はまだまだ出していないなという感じがあります(笑)。学年間で話していて結構ワーってなるんですけど、ア女全体で見たらまだまだかなという印象があります。

高木 確かに。個々一人一人で見ていったらちゃんとしゃべれるんですけど、まあア女のノリがすごいからねえ(笑)。

松川 3、4年生でワーってなっちゃうんですよ。

高木 それにちょっと便乗している感じなんです。まだまだ出し切れていないと思います(笑)。

――では最後に1年生の印象は

高木 1年生はまだつかめていない部分も多いかなとは思いますけど、普通に楽しそうだよね。

松川 うん。

――学年間の垣根はないですか

高木 そうですね、たぶんあんまり先輩って思われていないかなと思います(笑)。

松川 結構いじってきたりするもんね。

――ア女の選手の中で生まれ変わるならこの人が良いという人はいらっしゃいますか

高木 えー、全然考えたことなかったな。生まれ変わるなら…。プレーだったら可菜子(MF正野可菜子、社3=兵庫・日ノ本学園)とか摩也さんが良いなとは思うんですけど、その人になりたいとは…(笑)。思う?

松川 なりたい…?考えたことないや。

高木 生まれ変わりたくはないかな(笑)。難しい質問だな。自分のプライベートの方が楽しいかなって(笑)。

一同 (笑)。

松川 生まれ変わりたい…?茉莉花さん(DF大島茉莉花、スポ4=鹿児島・神村学園)のプレーとかなら。突き出して目立つタイプではないけど、ファーストタッチの位置だったり抜くタイミングとはすごいなって。

高木 センスがめっちゃ良いよね。それが普通にできるってのがすごいなと。

松川 相手をめっちゃ見ているなって。

――では結論としては生まれ変わらなくてもいいかなということでしょうか

高木 そうですね、それが正解です(笑)。

「気持ちをプレーで表す」(松川)

松川(左)と高木

――それでは次にインカレについてお聞きします。チームのいまの状況はいかがですか

高木 トレーニングマッチを結構やっているんですけど、良かったり悪かったり、その試合の中で良い部分が多かったり悪い部分も多かったり、一戦一戦でまだ波があります。まだこれから詰めていける部分もあるのかなと感じます。少し不安な部分もありますけど。

松川 立ち上がりが良いときと悪いときがめっちゃはっきりしてて、そこのところを自分たちのペースに持っていくのが課題なのかなと感じますね。

――トレーニングマッチではチームとしてどのような意図をもってやっていますか

高木 やっぱり結果にこだわっているというか、内容もそうですけど、点をたくさん取るとか失点をしないとかそういうところから細かい部分に広がっていくかなとは思います。

松川 いろいろやり方を変えていっている中で、適応能力はいまからでもつけられるのかなって。

――トレーニングマッチで得た手応えで、前より良くなっているなと感じるところはありますか

高木 前より良くなっているのは、ポゼッションとかボールを運ぶ力はついたかなと思いますね。

――お話にあった通り、やはりインカレでは立ち上がりや適応能力がカギになるといったところでしょうか

高木 相手がどう出てきたらこうやるみたいな適応能力は大事だと思いますし、相手の状況に応じて自分たちのやり方を変えるってわけではないですけど、少し工夫ができるようになったら良いのかなと思います。

――トーナメントは一発勝負になりますが、やはりいつもと違って難しいのでしょうか

松川 そうですね、相手がどんな戦い方をしてくるかもわかりませんし、関西のチームだとスカウティングもできないので、そうなってきたらやっぱり自分たちのサッカーを最後までやり通したいというのがあります。相手に合わせて負けるというのが一番嫌です。

高木 やっぱり難しいと思いますね。昨年は二人ともインカレには出ていないんですけど…。

松川 きょねんのがな、よみがえるというか。

高木 試合は見ていないんですけど話を聞く限りではガタっと崩れてしまったと思うので、そういうのを知っている分またそうならないかなという不安もあります。でもトーナメントというのはそういう状況でどれだけ力を発揮できるのかっていうのが試されている場だと思うので、一発勝負だからこそもっとチーム力を発揮したいです。できることはたくさんあると思うので力を発揮できるようにしたいなと思います。

――やはり昨年のインカレ初戦敗退はお二人にとって忘れられないものになっているんでしょうか

松川 相手がホームで男子部の応援もすごくて、その雰囲気にもやられてしまったし試合内容も全然駄目だったというのがあるので…。

――今回は3年生としてチームを引っ張る立場で臨むインカレとなりますが

松川 今、中盤に二人で出させてもらっている分、もっとできることがあるのかなとトレーニングマッチでも思います。それは守備面と攻撃面の両方にも言えることなんですけど、残りの期間は少ないですけど自分のやるべきことはまだまだあるんじゃないかなと思います。

高木 結構3年生で試合に出ている人が多いんですけどそれは期待されているから出させてもらっていると思います。あまり優勝経験がなくてどうやれば勝てるというのがわからないんですが、期待されている分自分の力を発揮するしかないかなと思います。

――今回で最後となる4年生への思いはありますか

松川 やっぱり一緒に優勝したいってめっちゃ思いますね。

高木 優勝したいですね。

松川 皇后杯も出れていないですし、関カレも落としてしまったので。最後のインカレは優勝するっていう。

――インカレでの個人の目標はありますか

松川 やっぱりもっとボランチからも得点できたらなと感じます。お互い点が取れていないから。

高木 アシストは多いですけど、ダイナミックなシュートとか少ないので。

――お二人は攻撃の意識は常にもっているという感じですか

高木 そうですね、その分守備の意識があんまり(笑)。

松川 お互い上がっちゃうときとかもあって。そこを突かれたら結構ピンチになっちゃう。

――インカレの組み合わせ表を見ての率直な感想はいかがですか

松川 どっちが上がってくるかはわからないですけど、関カレの開幕戦で国士舘大とやっていて怖いなという印象はありますね。次勝ったら関西勢が出てくるかなというところで、相手がどんなチームかわからない中で自分たちのペースにもっていくというのが重要かなと思います。

 

――このチームと戦って勝ちたいという特別な思い入れのあるチームはありますか

両者 日体大です。

高木 1年生のときの決勝も負けていますし、去年はお互い勝ち上がれず勝負できなかったってのがあるので。日体大がいるからワセダが負けているというのがあるから。

松川 毎年日体大に負けているよね。

――だからこそ最後に勝ちたい

高木・松川 そうですね。

中盤からの機動力が優勝へのカギとなる

――ワセダの注目ポイントや注目選手は誰ですか

高木 山本摩也ですね。シーズン中盤はあまり試合に出れていなかったですけど、持っているポテンシャルはすごく高いものがあると思いますし、いま攻撃のポイントになる選手なので。摩也さんにボールが収まるといい攻撃になることが多いし、点も取って前で動いてくれるからすごく助かります。

松川 ゴンさん(MF権野貴子、スポ4=宮城・常盤木学園)の得点力。やっぱりきょうのトレーニングマッチでも流れが悪いときに決めてくれて、ここっていうときに確実に決めてくれる選手だと感じます。

――優勝するために必要なことはなんでしょうか

高木 自信ですかね。やっぱり臆して負けている、ビビッて負けているというのがあるので、自分たちはできると強い気持ちを持つことしかないかなと思います。もっと仲間を信頼してサポートに回るとか助けてあげるとか、そういうワセダは強いぞじゃないですけど、自信をもってプレーしてもいいのかなと思います。

松川 気持ちの面で、流れが悪いときにどう断ち切るかとかそういうプレーとかじゃなくて、一人一人の気持ちをプレーで表すことが大切になってくるなと思います。

高木 (気持ちをプレーに出すのが)莉子さん(小野田)ぐらいで、みんなクールなんですよね。

松川 なんかそういうタイプじゃないというか。やっぱりここぞってときにそういうプレーで周りを。

高木 鼓舞するじゃないですけど、そういうプレーに何かを感じると思うので必要かなと思います。

――それでは最後にインカレに向けて抱負をお願いします

高木 インカレに良い思い出がないので、やっぱり優勝を味わいたいですし、優勝というかたちでこの一年頑張ってきた証拠を残したいです。この一年でどういうプレーしてきたとか自分の強みを発揮して、チームの為に一生懸命走るとか一生懸命声を出すとかをしてチームに貢献して勝ちたいなと思います。

松川 皇后杯本戦に出られなかったり関カレで連覇を逃したりしてチームとして落ちてしまう時期があったんですけど、最後にインカレがあるのでそれをものにしたいです。個人としても試合に出させてもらったときには走って献身的なプレーを出していけたらいいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 高柳龍太郎、桝田大暉)

最後の大一番に向け意気込みを色紙に書いていただきました

◆松川智(まつかわ・とも)(※写真左)

1993年(平5)11月1日生まれ。身長161センチ。大阪桐蔭高出身。スポーツ科学部3年。対談中も終止にこやかに質問に答えて下さった松川選手。ア女1おもしろいと噂の松川選手のポテンシャルをすべて引き出すことはできませんでしたが、プレーの面ではインカレで十二分に活躍してくれること間違い無し。中盤からの組み立てに期待大です!

◆高木ひかり(たかぎ・ひかり)(※写真右)

1993年(平5)5月21日生まれ。身長165センチ。静岡・常葉学園橘高出身。スポーツ科学部3年。高木選手のプライベートを暴くという早スポ記者陣の野望はまたしても空振りに。松川選手とのボランチコンビは対談でも抜群のコンビネーションを見せてくれました。インカレでは果敢な攻撃参加を誓ってくれた高木選手のプレーにぜひご注目を!