いよいよ最終節を迎えた関東大学女子リーグ戦(関カレ)。これまで全勝を貫き、首位をキープしてきたワセダ。気になる対戦相手は同様に全勝で最終戦を迎えた日体大だ。引き分け以上で優勝が決まるこの戦いで、立ち上がりからリズムをつかむワセダ。しかし大きなチャンスを手にすることができないまま31分に先制点を決められてしまう。なんとか追いつこうと後半は猛攻をかけるも、決定的なシーンをものにすることができずそのまま試合終了。5連覇が懸かったこの試合に敗れ、ワセダは2位で関カレを終えることとなった。
攻守両面にわたり好プレーを見せた正野
好調な立ち上がりを見せた。開始早々、PA内でシュートを放たれるも、MF正野可菜子(社3=兵庫・日ノ本学園)らの体を張った守備でゴールを守り抜き、守備の厚さを見せつける。その後、得意とするポゼッションサッカーでボールを支配し、相手に思うようなプレーをさせない。しかし、「いいかたちはつくれたが、シュートまでいけなかった」(正野)というように積極的なドリブルを仕掛けPAまで運ぶも決定打を放てない。そのようなワセダのプレーに相手も食い下がる。俊足を生かした速攻に徐々にペースを持っていかれてしまう。隙あらばシュートを打つ日体大の攻撃にDF陣が苦しめられる。迎えた31分。ロングボールに素早く反応した相手FWが裏へ抜け出す。そのままゴール右端にシュートを打たれ先制点を決められてしまう。試合を立て直そうとFW川原奈央(スポ2=兵庫・日ノ本学園)がこの日のファーストシュートを放つもGK正面へ。その後もなかなか点数を決められず、0-1で試合を折り返す。
追いかけるかたちで迎えた後半。何とかしてシュートに持ち込みたいワセダであったが、相手に攻め込まれる時間が続きなかなかチャンスが訪れない。それでも正野、MF高木ひかり(スポ3=宮城・常盤木学園)らが果敢にドリブルで運び、再びリズムをつかみ始める。73分には、FW一原梓(スポ4=宮城・常盤木学園)のスルーパスを受けた正野が、相手DFをかわしゴールに向かうもオフサイドの判定。続く75分にはこの日初めてのCKを獲得し、DF小野田莉子主将(スポ4=宮城・常盤木学園)が頭で合わせるも、バー上へ。その後もワセダペースで試合を支配し、再三好機を演出するもあと一歩及ばず試合終了のホイッスル。関カレ連覇は4でストップし、悔しい敗戦となった。
宿敵・日体大にまたも敗戦。5連覇を阻止されてしまった
これまで8連勝で迎えた決勝対決であっただけに悔しさが残る最終節での黒星。しかし、下を向いている暇などない。選手たちにはまもなく再開するもう一つのリーグ戦、関東女子リーグ戦(関東リーグ)が待ち受けている。「いかにインカレに向けてつなげていけるか」(小野田)というように、ここでの反省をもとにどのような試合を繰り広げていくかが重要となる。来たる戦いにおいてどのような物語を描くのか―――。最終章に向け、いま本当の戦いが始まろうとしている。
(記事 渡部歩美、写真 橘高安津子)
スターティングメンバ―
関東大学女子リーグ戦第9節 | ||||
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早大 | 0 | 0-1 0-0 |
1 | 日体大 |
【得点者】(早) (日)平田 |
早大メンバー | ||||
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ポジション | 背番号 | 名前 | 前所属 | 学部学年 |
GK | 1 | 三田一紗代 | 京都精華女子 | 社4 |
DF | 3 | 大島茉莉花 | 鹿児島・神村学園 | スポ4 |
FW | →83分 | 平國瑞希 | 宮城・常盤木学園 | スポ1 |
DF | ◎4 | 小野田莉子 | 宮城・常盤木学園 | スポ4 |
DF | 23 | 奥川千沙 | 静岡・藤枝順心 | スポ1 |
MF | 6 | 松川智 | 大阪桐蔭 | スポ3 |
MF | 7 | 高木ひかり | 静岡・常葉学園橘 | スポ3 |
MF | →62分 | 山本摩也 | 大阪・大商学園 | スポ1 |
MF | 10 | 正野可菜子 | 兵庫・日ノ本学園 | 社3 |
DF | 12 | 大島瑞稀 | 宮城・常盤木学園 | 社3 |
MF | 31 | 三田村桃子 | 宮城・常盤木学園 | スポ1 |
MF | 8 | 権野貴子 | 宮城・常盤木学園 | スポ4 |
FW | 11 | 川原奈央 | 兵庫・日ノ本学園 | スポ2 |
FW | →45分 | 一原梓 | 宮城・常盤木学園 | スポ4 |
◎はゲームキャプテン 監督は福島廣樹(昭45教卒) |
コメント
DF小野田莉子主将(スポ4=宮城・常盤木学園)
――悔しい結果となってしまいましたが、率直にいまのお気持ちを教えてください
皇后杯(関東女子選手権兼皇后杯全日本女子選手権関東予選)で負けて残された試合全てで優勝しようという気持ちでやってきたので、本当に悔しいという思いが一番です。
――日体大というのは今季初の対戦になりましたが、準備段階ではどのような対策を
いつもの相手と同じようにスカウティングして臨んだという感じです。
――スカウティングの段階で分かったことであったり、日体大は2トップにロングボールを合わせてというシンプルな攻め方への対策は
4バックの関係の中で飛び出してきたところをうまくラインコントロールして、相手が飛び出してくるというのを制御できたらいいなと思っていたんですけど、やっぱり(4バックを)試している期間が短くて、前半はうまくはまらなくて相手に自由に抜けられた場面があったのかなと思います。
――失点のシーンも、相手に1本パスを通されてFWに裏に抜けられてというかたちからでしたが、いま改めて振り返ってみていかがですか
桃子(MF三田村、スポ1=宮城・常盤木学園)に関しては即席でCBをやってくれた中でいいプレーしてくれたと思っていて、それを周りがカバーし切れなかったというのがあの失点だったと思います。簡単に縦1本で抜けられてやられてしまったというので悔しいですね。
――その後追いつくことができず前半を0-1で折り返しましたが、前半を振り返ってみて
前半はこちらももちろん強い気持ちを持って試合に臨んだつもりだったんですけど、球際であったりボールにかけてくるスピードであったりという部分は相手の方が勝っていたのかなというのが前半の印象です。気持ちの面で少し相手に劣っていたのかなと思います。
――後半はワセダの方が気持ちの面でもプレーの内容としても上回っていたような印象を受けました
DFラインをしては4枚のラインコントロールというのを前半できなかった部分をしっかり改善して挑めたなというのは感じていて、全体としてもボールに対するアプローチの速さであったり球際の強さという部分が前半より改善されて、自分たちのペースで進めることができたんですけど、結局点数が取れてないのでそこの精度をもっと高めていかなくてはいけないなと思います。
――攻撃面に関しては、相手陣地でプレスがはまって奪いゴールに迫ったりと、数多くチャンスをつくれていました
なかなか相手のPA内まで入る攻撃というのがなくて、もっとラストパスの精度で相手に引っかかってしまう回数が多いので、もっとそこを高めたいと思います。クロスの本数も上がっているときはチャンスになっていると思うので、もっとサイドから崩してという攻撃も増やしていけたらいいと思います。
――8月末に開幕した関東大学女子リーグ戦(関カレ)ですが、8連勝できょうの最終節を迎えたということで、プレッシャーなどは感じていましたか
もちろん優勝が懸かっているというのがあっていつもより緊張もしたと思うんですけど、個人的にはそんなにというか、いつも通りの入り方ができたと思います。
――5連覇が懸かっていたというのも意識していましたか
もちろん負けちゃいけないという意識はずっと持っていたんですけど、そういう中で負けてしまったというのが…長い歴史がある中で自分たちの代で途絶えさせてしまったというのが本当に残念です。
――ホームである東伏見で宿敵の日体大に優勝を決められてしまいました
自分たちが本当は喜んでいるはずの場面で相手が喜んでいるということほど屈辱的なことはないんで、本当に悔しいです。
――関カレを終えて、全日本大学女子選手権(インカレ)までは関東女子リーグ戦(関東リーグ)の2試合のみとなりました。どのような気持ちで挑まれますか
どちらの2チームも本当に力のあるチームですので、そこで自分たちがどれだけできるか、高められるかがポイントとなると思うので、そこでいかにインカレに向けてつなげていけるかだと思います。まずは関東リーグの2試合に向けて下を向かずに前だけ向いてやっていきたいなと思います。
GK三田一紗代副将(社4=京都精華女子)
――きょうの試合を振り返って
相手チームは速い選手が2人いたのでそれに注意してやっていたんですけど、前半でこっちが引けを取ってしまってやられてしまったのが1番の印象です。後半からはラインを高く保って自分たちがやりやすいようにプレーできていたので、それがこれから積み上げてしっかりチームとしてできたらなと思います。試合を通して悔しいというのはやっぱりあります。
――強豪との試合でしたが
楽しもうと思っていたので、まあ楽しくはできたかなって思います。
――先制されたときの気持ちを教えてください
まだ時間があったのでまだいけるって思っていましたし、前の選手を信じて後ろでもう1点もやられないようにってやっていました。
――きょうはいつもより積極的に前に出ていた印象を受けましたが
相手はスルーパスとかDFの背後を狙ってくるプレーが多かったので、それに対応するという意味で自分も前のポジションをとって前で対応しようって思っていたので、それができて良かったと思います。
――相手は中でボールをキープして前線へ放り込んで足の速いトップを使っていくという攻撃パターンが多かったと思いますがその点はいかがですか
まさにその通りで、それしかやってこなかったので後半は守りやすかったし、うちらも攻めやすかったのかなとは思います。
――5連覇を阻まれてしまいましたが
先輩たちがつくり上げてきてくれた歴史なので、それを壊してしまったっていうのは4年生の責任でもありますし、チーム全体として足りなかったものが多かったのかなって思います。悔しいです。
――関東リーグ(関東女子リーグ戦)に向けての意気込みを教えてください
関東リーグはまた強い相手、ユースの選手たちでうまい選手ばかりなので、そこでもしっかりワセダのサッカーができるようにまた練習を積んで頑張っていきたいと思います。
MF権野貴子(スポ4=宮城・常盤木学園)
――5連覇を果たせなかったことについていまの率直なお気持ちを聞かせてください
5連覇が懸かっていて、チーム全体としても必ず勝とうっていう強い気持ちで戦ってたんですけど、負けてしまってすごい悔しいです。
――相手についてはどのようにお考えでしたか
おととしのインカレ(全日本大学女子選手権)の決勝でも負けていて、きょねんの皇后杯の関東予選でも負けた相手だったので、他の大学と比べて強い気持ちはありました。
――前半リードされて折り返して、ハーフタイムにはどのようなお話をされましたか
相手の2枚のFWが、自分たちのサイドバックの裏に空いたスペースに走りこんでくるというパターンがあったので、前からの守備を積極的にしてロングボールを蹴らせないということと、素早い判断でボールを散らすようにするということを意識して、後半に臨みました。
――なかなかシュートで終われないように思えましたが、それについてはいかがですか
相手は素早い攻守の切り替えで枚数をかけてボールを奪いにきていたので、もっと自分たちが、ボール保持者に対して早いサポートだったり判断だったりを心がけないと、攻撃につながらないかなという風に思いました。
――今後に向けて新たに見つかった課題はありますか
前からの守備が少し疎かになって、簡単に相手のFWにパスを通されてしまう場面が何回かあったので、そこはもっと前から枚数をかけて取りにいかないといけないし、攻撃に関してもそれぞれもっと早い判断・早いパススピードで展開して、シュートを狙わないといけないなと思いました。
――最後に、関東リーグの方が2試合残っていますが、そちらに向けての意気込みをお願いします
今回関カレの5連覇は逃してしまったんですけど、関東リーグの方はまだ2試合残っているので、必ず優勝できるように、どちらも勝ちたいと思います。
MF正野可菜子(社3=兵庫・日ノ本学園)
――今日の試合を振り返って
結果的に負けてしまったのが1番悔しいですけれども、インカレ(全日本大学女子選手権)へ向けて改善していくところは見つかったので、それに向けて頑張っていきたいと思います。
――強豪との試合でしたが
今シーズンやったことのない相手でまだどんなチームか分からなかったんですけど、それに対して前半自分たちの焦りがでてしまったので、そういうところは直していかなきゃいけないっていうのはあると思います。
――先制点を決められたときの気持ちはいかがでしたか
流れの悪い時間帯だったので、何があるか分からなかったんですけど、まだ時間はあるのでしっかり取り返しにいこうと思っていました。
――シュートまでいけなかったパターンが多かったですね
チャンスは何本かあったり、セットプレーもあったりして、まあそこで決め切れなかったのがきょうの結果だったので、今シーズン含め点を決め切れないっていうのがチームでも自分でも課題だったので、インカレでそういうところを直せるように頑張っていきたいです。
――5連覇を阻まれてしまいましたが
ワセダのいままでの流れを壊してしまったっていうのがすごい悔しいですけど、その分インカレ優勝っていうのをつかめるように頑張りたいです。
――次の関東リーグへ向けての意気込みをお願いします
負けるっていうことが絶対無いよう、チーム全体的に上げていきたいです。
MF三田村桃子(スポ1=宮城・常盤木学園)
――きょうの試合を振り返って
日体大ということで、ことし初めて戦ったのですが、絶対負けたくないという気持ちはあったのですが結果負けてしまってとても悔しいです。
――久しぶりの公式戦出場となりましたが
今回はセンターバックでの出場となったので、あまりやったことはなかったのですが相手に絶対負けないという気持ちと、周りが声を出しサポートしてくれたのでそれに一生懸命応えようという思いでプレーはできたと思います。
――相手FWの徹底したマークについていましたが
相手は足も速くて、ドリブルもできるし、シュート力もあるということだったので、前を向かせないようにきちんと前から当たっていこうというのはずっと意識していました。
――失点シーンを振り返っていかがですか
自分の判断ミスで裏に抜かれてしまったので、そこはしっかり改善して次に生かしたいなと思います。
――自身の守備で相手に思うようなプレーをさせていませんでしたが
それぞれのポジションで役割があるので、今回はセンターバックということで後ろにはGKしかいないので、それだけは徹底してやろうという気持ちでプレーしました。
――これまで無敗で首位を貫いていましたが、直接対決によってこのリーグ戦を2位で終えることになりました
今回は悔しい気持ちで終わってしまったのですが、これからまだ戦いは残っているので次にしっかりつなげられるようにきょうの負けをしっかり修正して次に生かしていきたいです。
――次週には関東女子リーグ戦が再開となります。意気込みをお願いします
試合に出ている出ていない関係なしに全員で気持ちを新たにして絶対勝ちに行きたいと思います。