激しい攻防戦を制す!

ア式蹴球女子

 前節は悔しい黒星で終えた関東女子リーグ戦(関東リーグ)。迎えた第12節は関東学園大を4-3で下し、勝ち点3をものにした。24分に相手に先制点を許したものの、MF正野可菜子(社3=兵庫・日ノ本学園)の豪快なシュートで同点に追いつく。前後半に1点ずつ加えた後、一度は同点に追いつかれるが、激しい攻防戦の中でMF権野貴子(スポ4=宮城・常盤木学園)がこの日2点目を決め、勝利を収めた。

 前節の反省を元に挑んだ今節。ワセダは立ち上がりから積極的にドリブルを仕掛け、試合を展開する。しかし関東学園大も負けてはいない。一度ボールを持つと、相手の速攻にワセダの守備が揺さぶられる。均衡が破られたのは24分、果敢なカウンター攻撃を得意とする相手MFに一瞬の隙を突かれ先制点を許してしまった。しかし、この失点を機にワセダはリズムをつかみ始める。ボールを支配すると、FW平國瑞希(スポ1=宮城・常盤木学園)が巧妙なドリブルで相手陣に攻め上がる。そして迎えた31分、フリーの状態で正野がパスを受け、華麗なシュートは左ポストを強襲しそのままゴールネットに突き刺さった。その後も速いテンポを崩さず、41分にはMF高木ひかり(スポ3=静岡・常葉学園橘)のミドルシュートが決まり前半を2-1で折り返した。

ミドルシュートを放つ高木

 後半になってもワセダの猛攻は止まらない。52分には権野が自らドリブルを仕掛けゴールを奪い、3-1とさらにリードを広げる。このままワセダが圧倒するかに思えたが、相手の勢いも一向に衰えない。隙をつかむと巧みにスペースを突いてくる攻撃に苦しめられる。55分には、スローインから失点し3-2。さらに迎えた80分には、再び相手のスローインからゴールを許し、同点に追いつかれる。しかしワセダに下を向く時間など無かった。豊富な運動量ながら疲れを見せず相手陣にプレスを掛け続ける。スコアは動かずこのまま試合終了かと思われた92分、勝負は決まった。途中出場のMF山本摩也(スポ3=スフィーダ世田谷)からパスを受けた権野がドリブル突破から相手ゴール左隅にシュートを決め、試合終了のホイッスル。勝利の女神はワセダに微笑んだ。

終了間際に勝ち越し点を決めた権野

 「チャンスをたくさんつくる」、「シュートを積極的に打つ」(高木)といった前節の反省を胸に挑んだ今節。果敢に攻撃を仕掛け、見事勝ち点3を手にした。しかし、同じような展開から立て続けに失点してしまうなど、守備には課題も残る。この後関東リーグは中断期間に入り、関東大学女子リーグ戦(関カレ)を迎えることとなる。「さらにレベルを上げたい」(権野)という選手の意気込みには、今後の活躍により一層期待が高まる。

(記事 渡部歩美、写真 芦川葉子)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません。

関東大学リーグ戦第12節
早大 2-1
2-2
関東学園大
【得点者】(早)33正野、45高木、53、92権野(関)24豊嶋、56菅、81浦島
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 前所属 学部学年
GK 16 山田紅葉 東京・十文字 スポ2
DF 大島茉莉花 鹿児島・神村学園 スポ4
DF ◎4 小野田莉子 宮城・常盤木学園 スポ4
DF 12 大島瑞稀 宮城・常盤木学園 社3
DF 23 奥川千沙 静岡・藤枝順心 スポ1
MF 高木ひかり 静岡・常葉学園橘 スポ3
MF →72分 山本摩也 スフィーダ世田谷 スポ3
MF 権野貴子 宮城・常盤木学園 スポ4
MF 10 正野可菜子 兵庫・日ノ本学園 社3
MF 15 高須咲帆 福井工大付福井 スポ4
MF 21 中村仁美 兵庫・日ノ本学園 スポ1
FW →89分 一原梓 宮城・常盤木学園 スポ4
FW 26 平國瑞希 宮城・常盤木学園 スポ1
FW →45分 川原奈央 兵庫・日ノ本学園 スポ2
◎はゲームキャプテン
監督は福島廣樹(昭45教卒)
コメント

DF小野田莉子主将(スポ4=宮城・常盤木学園)

――シーソーゲームを制し貴重な勝ち点を挙げました

最初に失点してしまって、一回リードしてもまた追いつかれてという本当に苦しい試合でしたが、こういう試合の中で最終的に勝ち切れたというのは次につながると思います。

――前節筑波大に敗北してから、チームの雰囲気というのはどのような1週間でしたか

負けたということで自然にチームの練習への態度というのも良い方に変わっていきました。戦術に関しては、引かれた相手に対して得点を奪えないということについて改善していこうという話がありました。

――今節の関東学園大は前期0-0で引き分けた相手でした

試合には勝ったんですけど、DFとしては本当に後味が悪い試合でした。3失点した中でも後半の2失点は同じかたちから失点していますし、チームとして勝てたので良かったですが、DFとしては本当悔いが残る試合になりました。

――前半先制点を奪われてしまいました

立ち上がりは早い時間からシュートを打てていて悪い入り方ではなかったと思うんですけど、自分たちとDFの裏や2枚目を狙った相手の動きというのに、全体としてもDFとしても対応し切れずに失点してしまったかなと思います。

――先制点を挙げられてしまった中で、前半のうちに2点を返しました。先制されるとなかなか逆転できないというのは、きょねんから課題として挙げられていましたが

きょねんとかはあまり苦しい試合というのは経験していないまま皇后杯(皇后杯全日本女子選手権)、インカレ(全日本大学選手権)に入ってしまって、先制されると勝ち切れないという試合でした。ことしは先制されても立て直せるというか、そういう強さはついてきたんじゃないかなと思います。

――後半は得点の押収となりました

攻撃としてはサイドからチャンスをつくれていたりと、前線の仕掛けもいつもよりあって結構良い崩しができたんじゃないかなと思います。でもその間に守備面でのリスクマネジメントができていなくて、カウンターされて数的不利な状況で対応するということも多かったです。2失点も、スローインからの失点ということで、本当にもったいないのでやってはいけないなと思います。

――3失点という数字についてDF陣として

前半から結構ぎりぎり最後のところで体を張って頑張れた部分もあったんですけど、結果的に3失点しているので改善していかなければいけない点は多いと思います。もちろん自分たちが最後のところで守り切るというのはもちろんなんですけど、前の人もうまく動かしながらいかに楽に守備ができるかというか、もっと効果的なコーチングをして全体的な守備をできるようにしていきたいと思います。

――関東リーグは一時中断しますが、オフ期間を経て関東大学女子リーグ戦(関カレ)に向けて

この関東リーグを通じて自分たちの通用する部分やまだまだ改善していかなければいけない点ははっきりしているので、それを関カレまでに修正して首位で終えて、インカレにつなげていきたいと思います。

MF権野貴子(スポ4=宮城・常盤木学園)

――きょうの試合を振り返って

前半の前半らへんだったのですが、トップ下とボランチの間がすごく空いていてバランスが悪く、前線にボールがいかなかったり、サイドに入ってもクロスに早く入りすぎてボールを失うことが多くなってしまいました。しかし試合が経過するにつれてバランスやサイドをもう少しえぐってあげる、ということができたのでそういう面は良かったのですが、失点は同じようなかたちだったのでもっと修正していかなくてはいけないと思いました。

――相手の印象は

2列目からの飛び出しをしてくる選手や、縦にスピードがある選手がいるな、という印象でした。

――きょうの試合では今季2得点目を挙げましたがお気持ちはいかがですか

きょうは本当に負けられない試合だったので、勝つということと得点を挙げるという気持ちで臨みました。シュートが入ったのは良かったのですが、ゴール前で細かくつなぐシーンがあったのでそういうところはもっと積極的にシュートを打っていかなくてはならないですし、冷静に落ち着けば決められる部分もあったのでもっと精度を上げていきたいです。

――前節の反省として、もっと積極的に裏を突くプレーをしていきたいということをおっしゃっていましたが、きょうの試合ではいかがでしたか

きょうもそういった部分を意識しましたし、サイドに入ったときにも、その選手を追い越して裏を狙おうという意識はしていました。

――これから一旦の中断期間を経て関カレが始まりますが、意気込みをお願いします

関カレも優勝を目指すことはもちろんのことなのですが、試合内容にこだわることや自分たちの目標であるインカレ(全日本大学選手権)、皇后杯(皇后杯全日本女子選手権)優勝へのステップアップとなるようにチームとしても個人としてもレベルを上げていきたいです。

MF高木ひかり(スポ3=静岡・常葉学園橘)

――きょうの試合を振り返って

立ち上がりがあまり良くなくて、点を先に取られたということもあってちょっと焦ったのですが、自分たちで立ち直せていいかたちで点を取れました。自分的にはミドルシュートを打って得点をするというのが目標だったので、そういうかたちで点を決められたのは良かったです。しかし、相手の2点目に関しては失点の場面にすごく絡んでしまったのでちょっと修正していかなくてはならないと感じました。

――相手の印象は

前線の選手の足が速くカウンターを仕掛けてくるというイメージだったのですが、きょうは足元で溜めて崩されるという場面も多くて、自分たちよりも相手の方がしっかり攻撃のパターンを持てているなという印象があります。

――きょうの試合では今季2得点目を挙げましたが、お気持ちはいかがですか

点に絡めていないという物足りなさや成績を残せていないということからチームに貢献できてないなと感じていたので、点を取って流れをつかめたというのはとても良かったのかなと思いますし、すごくうれしいです。

――きょうの試合では前節の反省を活かし、シュートを積極的に打っていましたがその点についてはいかがですか

反省の部分で、シュートをもっと積極的に打つことや、チャンスをたくさんつくる、というのが挙がっていてそれをしっかりできたのは良かったのですが、失点が多くてヒヤヒヤした場面が多かったのでそういうのを次は直していきたいと思います。

――次戦は中断期間を経ての関東大学女子リーグ戦(関カレ)となります。意気込みをお願いします

関カレは何連覇もしていますし、他の大学にはワセダは強いというイメージを与え続けたいと思うので、結果をしっかり残せるように頑張りたいと思います。

MF正野可菜子(社3=兵庫・日ノ本学園)

――接戦を制して勝利を挙げられました

最初は流れが悪かったですが、点を取れたことで流れを変えられたと思います。でも失点が多かったのでそこはまだ課題かなと思います。

――前節無得点で終えた中でこの1週間をどのように過ごしてきましたか

攻撃陣が点を取るという意識が自分も含めて課題でしたが、この試合ではその意識が強く見られたかなというところで、練習の中から意識できていたからかなと思います。

――今節の相手は前期スコアレスドローとなった関東学園大でしたが

前期と比べて戦い方を少し変えて、前掛かりにきていました。攻撃の面ではやりやすさはまだあったんですけど、失点もしているのでそこは課題です。もっと決められるところで決めていたら楽だったかなということもあります。

――先制されてしまいましたが、入りで見られた課題は

全体的に距離感や動き出しの部分で良くなかったので、相手に先につくられていたのかなと思います。

――ご自身の得点が同点弾となりました

奇跡だったと思います。あんなにうまくシュートが決まると思っていなかったのでホッとしています。イメージ的にはあそこらへんを狙っていたのですが、本当にいくとは思っていなかったので。

――後半は得点の押収となりましたが

後半の点を決められた時間帯については、守備が曖昧(あいまい)になってしまっていたと思います。これから関カレ(関東大学女子リーグ戦)に向けて、そういう時間帯も無失点で抑えられるようにしていきたいです。

――1カ月後の関カレ開幕に向けて意気込みをお願いします

関カレも1位を目指して、チームの役に立てるように攻撃面でも守備面でも頑張っていきたいと思います。

GK山田紅葉(スポ2=東京・十文字学園)

――乱打戦を制しての白星となりました

守備に課題があって、攻撃陣が頑張ってくれたからこそ勝てた試合だったと思います。GKとしては、DFラインとMFの連携を促す部分で課題が残ります。試合中に修正するという部分で、プレーヤー自身が気付くというのができていないので、そういうのを練習のゲームから取り組んでいかないとこういった試合でもプレーすることはできないと思います。練習からそういう意識を持ってやっていきたいです。

――後期開幕戦の東京国際大戦(○1-0)を含めて今季2回目のスタメン出場でした

前回出場した時は大雨だったので全くプレースタイルが変わってくるんですけど、どちらにしても結果的に勝てたというのが一つ大きな点です。自分の中でもプラスになるというのがあります。環境が全く違うので試合の比較というのは難しいんですけど、どちらの試合も選手の気持ちが入っていたので良かったと思います。

――関東学園大の攻撃陣の印象は

前節と変わらずスピードを生かしたカウンターというのをしてくるといくのは、前期のスカウティングを見た中で後期に向けてずっと意識してきました。GK、DF共にカウンターに対しての意識は切らさなかったので、今節もそういった一発のカウンターというかたちでの失点というのは防げたんではないかなと思います。

――先制点は許しましたが、その後2点を挙げて前半を折り返しました

2得点目というのはやっぱり大きくて、1-1に追いついた後に2点目を取って前半を折り返せたという意味では、気持ちが入る1点だったと思います。先制点に関しては、相手のモチベーションも上がってしまいました。先制点というのは自分たちが取らなくてはいけなくて、防がなくてはいけない失点だったと思います。

――後半に関しては2得点と2失点ということですがいかがですか

さっき言った、同じかたちから崩されたというのが課題です。失点の場面も、毎回CBが引き出されてしまって、スペースを使われるという同じかたちで、そういった試合の中での気付きというのが大事だと思います。今節に関してはFWたちが頑張ってくれたので、それは本当に感謝しています。

――オフ期間を経て関東大学女子リーグ戦に向けての意気込みをお願いします

もう負けられないので絶対に勝ちたいと思います。