終了間際に痛恨の失点、連勝止まる

ア式蹴球女子

 梅雨時の暗く重い雲の下、関東女子リーグ戦(関東リーグ)第11節筑波大戦が行われた。ワセダは序盤から流れをつかみ切れず、無得点で前半を終える。後半も守備ブロックを形成する相手を崩し切れない。すると終了間際の90分、相手のカウンター攻撃から痛恨の失点を許す。反撃及ばずそのまま0-1で試合は終了。関東リーグ後期の連勝が3で止まり、悔しい敗戦となった。

 第10節の快勝に続き勝利を収めたい今節。後期4連勝を懸け、前期4-1で勝利を収めた筑波大に挑んだ。しかし前半の立ち上がりから相手の組織的な守備に苦しむ展開に。14分、ようやくワセダに初めてのシュートがうまれる。FKから流れたボールを最後に合わせたのはDF小野田莉子主将(スポ4=宮城・常盤木学園)。惜しくも枠外となるが主将の一撃で徐々に流れを引き寄せる。その後も立て続けに攻め込むが、なかなかゴールが奪えない。またこの日は要所でのパスミスも目立ち、本来のリズムに乗ることができない。重苦しい展開のまま0-0で前半が終了。

初のフル出場を果たした堀川。最終ラインからタイミングの合ったクロスを放った

 ワセダは後半からMF中井仁美(スポ1=兵庫・日ノ本学園)を投入。前節途中出場から2得点した中井に前線の活性化が託された。後半はボールを保持しサイド攻撃から幾度となく敵陣に侵入。72分、MF権野貴子(スポ4=宮城・常盤木学園)が落としたボールにMF正野可菜子(社3=兵庫・日ノ本学園)が右足を振り抜く。そのままゴールに吸い込まれるかに思えたが、相手GKの好セーブで先制の機会を逃してしまう。さらに守備を固める相手に対しゴールが遠い。そして悲劇が訪れる。引き分け濃厚となった90分、敵陣でボールを失うとDF陣の裏にロングボールが蹴り込まれる。抜け出した相手FWがGK三田一紗代副将(社4=京都精華女子)をかわすとボールは無人のゴールへ。「カウンター一本を狙っているというのは分かっていたのに、そこに対応できなかった」(三田)。土壇場で悔やまれる失点を許したワセダは、最後の反撃へ。MF高木ひかり(スポ3=静岡・常葉学園橘)のセンタリングを正野が右足で合わせる。しかし相手DFが懸命のブロックで防ぎ、万事休す。無情な笛が鳴り響き試合は終了。0-1で痛恨の敗北を喫するとともに後期開幕から続いた連勝が3で止まる結果となった。

ホームでの痛い今季2敗目となった

 『攻め続けながらも点が取れない』、『引いて守る相手を崩し切れない』、『相手カウンターに対するリスクマネジメントが不十分』、依然多くの課題が残るワセダ。敗北からこそ学べることがきっとあるはずだ。「きょうの負けを無駄にしない」、小野田主将の言葉通り、この敗戦からどう成長していくのかが大事だ。次節の関東学園大戦はワセダの真価が問われるだろう。

(記事 桝田大暉、写真 橘高安津子、栗田麻里奈)

スターティングメンバ―

関東大学リーグ戦第11節
早大 0-0
0-1
筑波大
【得点者】(早)、(筑)90山守
早大メンバー
ポジション 背番号 名前 前所属 学部学年
GK 三田一紗代 京都精華女子 社4
DF 大島茉莉花 鹿児島・神村学園 スポ4
DF ◎4 小野田莉子 宮城・常盤木学園 スポ4
DF 17 堀川玲奈 ジュブリーレ鹿児島 スポ4
DF 23 奥川千沙 静岡・藤枝順心 スポ1
MF 高木ひかり 静岡・常葉学園橘 スポ3
MF 権野貴子 宮城・常盤木学園 スポ4
MF 10 正野可菜子 兵庫・日ノ本学園 社3
MF 13 山本摩也 スフィーダ世田谷 スポ3
FW 11 川原奈央 兵庫・日ノ本学園 スポ2
FW →59分 平國瑞希 宮城・常盤木学園 スポ1
FW 14 一原梓 宮城・常盤木学園 スポ4
FW →45分 中井仁美 兵庫・日ノ本学園 スポ1
◎はゲームキャプテン
監督は福島廣樹(昭45教卒)
コメント

DF小野田莉子主将(スポ4=宮城・常盤木学園)

――ホームでの痛い敗北となってしまいました

ボールを保持している時間はこちらの方が長かったのに結局決定的な場面というのはつくれていなくて、その中で一瞬の隙で相手にやられてしまい、本当に残念な結果になってしまったと思っています。

――筑波大は前線の縦への意識が高いチームだと感じましたが

ことしは(3バックのため)カウンターを受けやすく、ボールを失った後にスペースを与えてしまってスピードのある選手には危ないシーンをつくられてしまいがちでした。試合前からある程度想定していたのでDFの中でカウンターにしっかり対応しようという話はしていたんですけど、結局そのカウンターから失点してしまいました。でもあれは防げた失点だったので、本当に残念です。

――今季は3バックでやっていくという中でカウンター攻撃を浴びるというのは仕方のないところごあるかと思いますが、現時点での改善策は

まだボールを失った後の切り替えが遅く、ファーストディフェンスで相手の勢いを止めることができていません。こちらが全体的に前掛かりになっているところで、スペースを相手に使われてしまっています。まずは全体的に切り替えを早くして、相手の攻撃を止めるということをやっていきたいです。前半はそれができているのに、最後の方になってくるとちょっと緩くなってしまうところがあるので、そこを改善しなければいけないなと思います。

――小野田選手ご自身もセットプレーから何度か好機を演出していました

攻めていながらもなかなか点を取れていないということがあったので、DFであってもチャンスをつくりたいという気持ちもありました。打たないと始まらないと思ったので、シュートの意識を自分がつけることで周りが勢いづけばいいなという意識はありました。

――それでもなかなかシュートまでいけず、前半を無得点で終えました

関東リーグ(関東女子リーグ戦)後期が始まってから厳しい試合が続いていた中で、前節の武蔵丘女子短大戦(○3-0)でいい流れがつくれたので、それを一つの基準としてやっていこうという意識は持っていました。でも相手がしっかりゴール前をブロックしてくるチームになった時に、やっぱり崩せないというのが今のチームの現状で、まだまだ改善できてない課題なんだという風に改めて感じました。

――後半もいくつか決定機があった中で得点を奪うことができませんでした

決められるシーンはあったと思いますし、一人一人がもっと強引にでもゴールに向かっていく姿勢を持たないと、相手にとって怖い攻撃というのはできないと思います。その最後のところの強引さというのをもっと持っていけるようにしたいです。

――セカンドボールが奪えず攻撃につなげられない時間帯について

相手にも技術のある選手は何人かはいましたがそんなに多くはなかったので、相手が浮いたボールの処理がうまくないのでそこを狙っていこうというのはハーフタイムに話していたんですけど、そういう少しの競り合いの中で相手の方がセカンドボールへの反応が速かったです。それが試合を通しての全体的な感想です。ハイボールもそうですし、普通のパスに関しても相手の方が反応が速くて、インターセプトされてカウンターという場面が何回かあったので、もう少しこっちから動いていけたら良かったと思います。

――先ほど「防げた失点だった」と仰っていましたが、試合終了間際には一瞬の隙を突かれカウンターから失点してしまいました

あの場面は、まず点を取りたいというところで自分がすごく上がってしまっていて、守備への戻りが少し遅くなってしまいました。もっと速く戻れていたら、あそこは千沙(DF奥川、スポ1=静岡・藤枝順心)が1対1にならずに済んだと思いますし、その1対1に関しても、GKとの連携でのミスだったと思います。一つ一つの判断の遅さがあの失点につながってしまったと思います。

――次節はアウェーでの関東学園大戦となります

きょう負けてしまったので次は絶対に勝ってつなげていかなくてはいけないです。きょうの負けを無駄にしないために、より良いサッカーをするために、1週間準備して関東学園大戦に臨みたいと思います。

GK三田一紗代副将(社4=京都精華女子)

――4連勝を目指した今節ですが、悔しい結果となりました。試合全体を振り返っていかがでしたか

もう完全にワセダの方が攻めていたので、(相手はカウンター)一本だけ狙っているというのは分かっていたのにそれでやられてしまったのがすごく悔しいです。不甲斐ないというか、最後まで戦えなかった自分たちが弱かったなという印象です。

――前半を無得点で終えて、ハーフタイムにチームでは何を話しましたか

まずシュートを打とうということは意識的にやろうと言ったんですけど、あとはサイドに入った時に簡単にもっとクロスを上げようということをチームとして徹底しようと。

――相手の守備ブロックに苦しむ中、カウンター一本で失点してしまいました。そのシーンを振り返っていかがですが

自分自身が引き気味のポジションを取ってしまっていたというのが一番の原因だと思います。でも、そのロングボールを蹴った相手に対して誰も(プレスに)いけてなかったし、カウンター一本を狙っているというのは分かっていたのにそこに対応できなかったというのと、最後は止め切れなかった自分が悪いかなという感じです。

――後期の連勝がストップしてしまいました。次節に向けて抱負をお願いします

次はもう勝つしかないので、皆で改善してこの負けをどう生かすかっていうのが強くなるための一歩だと思います。この負けをただの負けにするんじゃなくて、勝てるチームにしていかなければならないと思います。絶対勝ちます。

DF堀川玲奈(スポ4=ジュブリーレ鹿児島)

――きょうの試合に向けて、どのような意気込みで臨まれましたか

自分が先発で出るということは分かっていて、早慶サッカー定期戦で選手としても主務としても悔しい思いをしたので、しっかりとその悔しい気持ちを晴らすために、準備の段階からしっかりと気持ちを入れて臨みました。

――今節はフル出場でしたが試合を終えてみて

一人一人が生き生きしていないなと感じました。好きでサッカーをやっているのに、楽しめていないということがこういう結果をうんでしまったし、そういった気持ちの部分が悪いのかなと思います。技術的にはそんなには悪くないと思うのですが、それをどう生かすのかという意識がチームとして欠けていたのかなと思います。

――きょうの敗因はそういった気持ちの面にあるのでしょうか

そうですね。相手が堅く守ってくるということはスカウティングで分かっていたので、焦らずに自分たちの攻撃ができるかがきょうの勝敗の分かれ目だったと思いますが、そこで余裕が無かったことが敗因だと思います。

――個人的に立ち上がりのところから振り返ってみていかがですか

立ち上がりから自分の強みである体の強さを出してしっかり相手に当たることはできていたのですが、シンプルにボールを回せていなかったところが、前半良くなかったところです。後半はだいぶ改善できていたと思いますが、どういうメッセージで味方にパスを出すかとか、そういった細かいところがまだ意識できていないところなので、そこをもっと改善して次につなげていけたらなと思います。

――試合全体を通して、ご自身を評価してみていかがですか

これからの成長を期待して50点くらいかなという感じです。途中で改善できたところは良かったと思いますが、まだ成長できるし、成長しないといけないと思うので、そのくらいだと思います。

――最後に次節に向けて意気込みをお願いします

次節は中断期間前最後の試合になります。今節の結果で2位の浦和レッズレディースユースに差を縮められてしまったので、これ以上負けは許されないです。しっかりと勝っていけるように、練習から気持ちと一緒にプレーを改善して、勝ちたいと思います。

MF権野貴子(スポ4=宮城・常盤木学園)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

前半から、サイドを使って攻撃をしようということで試合に臨んだのですが、ゴール前バイタルエリアでもシュートの意識が低く、丁寧につなごうとしている部分が多かったです。後半は、きれいにつなぐことよりもシュートを打つということを意識したのですが、最後の決め切るところやパスの精度も悪く、サイドもうまく使えず試合終了となってしまいました。

――筑波大の印象は

カウンターをすごく狙ってるというのが印象的で、そこのケアをしっかりしようということを話してはいたのですが、もっとファーストディフェンスをしっかりとして、連動した守備をしなくてはならなかったと思います。

――きょうはいつものポジションと違って2トップでの出場でしたが

前回の試合もきょうと同じポジションで出させていただいたのですが、相手の裏を狙うプレーの意識や、期待に応えられるようなプレーをしようということを心掛けて臨みました。

――サイドから崩し何度もチャンスをつくっていましたが、ゴールにまで持ち込めなかった要因は何だと思いますか

出し手と受け手のタイミングであったり、上げるほうもただ上げていたり、相手と駆け引きをせずにただ入ってつぶれる、といったことが多かったと思います。そういうところを普段の練習からお互いに高め合わないと、こういう結果になると思います。

――次節はアウェーで関東学園大との試合です。意気込みをお願いします

この負けが無駄にならないように改善していき、必ず次節は勝ちたいと思います。

MF正野可菜子(社3=兵庫・日ノ本学園)

――試合を振り返って

勝ち切れなかったことが一番悔しいです。

――サイドで崩してチャンスをつくれている中で、最後決めきれない点はどう考えていますか

自分自身もチャンスをたくさんもらって決め切れないところがあったので、そこはちゃんと決めないと今回の試合のようになってしまうと思いました。

――失点されてはいけない時間帯での失点でしたが

カウンターに弱いので、そこは改善していかなければいけないなと思います。

――個人の課題は

決め切るというところは決めないとチームもしんどくなるので、精度を上げていかないといけない部分です。

――チームの課題はどのような点ですか

あの時間帯での失点も今後の試合で注意していかなければいけないことになりますし、これを機会にもう一度自分たちを見つめ直して次の試合に備えていきたいです。

――次節に向けて抱負をお願いします

悔しい思いをしているので、しっかり勝って今後の試合につなげたいと思います。

FW平國瑞希(スポ1=宮城・常盤木学園)

――きょうの振り返りをお願いします

途中からの出場で、流れを変えようと思っていたのですが、相手のカウンターで自分たちの攻撃のリズムがつかめなくて、個人的に課題の残る試合となりました。

――交代までの時間はどのような準備をしていましたか

FWなのでとにかく点を取ろうという気持ちでアップしていました。

――得点が欲しい展開で投入される起用法ですが、どのような気持ちで備えていますか

アップ中も試合を見て、試合の流れをしっかりとイメージして、そのイメージに合うプレーをしようと心がけています。

――筑波大のディフェンス陣が堅く、いつものようなアグレッシブなプレーが見られませんでしたが

相手のDFが大きく蹴っていて、つなぐシーンがなかったので、自分たちもなかなかプレッシャーをかけることができず、カウンター攻撃のボールをただ受けることしかできませんでした。

――アウェーで行われる次節に向けて意気込みをお願いします

自分が流れを変えるという気持ちをもって、得点というかたちでチームに貢献できれば良いかなと思います。

DF奥川千沙(スポ1=静岡・藤枝純心)

――試合終了間際の失点でしたが振り返って

最後あの時間帯に相手はカウンターでしか来ないと分かっていたのに、それに対処し切れなかったことはディフェンスの課題だと思いますし、自分が1対1にならないようなディフェンスをしっかりやっていかなければならないなと思いました。

――失点するまでは良い守備をしていた印象でしたが、いかがですか

相手がFWに一本縦パスを通すというかたちをとってきていたので、こちらとしてはそこをつぶせば良かったので、それがしっかりできたから安定した守備ができたのかなと思います。

――攻撃に関しては後ろから見ていてどのような印象でしたか

なかなか点が入らずに多分みんなもうずうずしていたと思うので、それを練習からしっかり決められるようにしていきたいです。

――いつもの試合ではオーバーラップすることもありますが、きょうは見られませんでした

あまりしないほうがいいとは思うんですけど、チャンスがあればどんどん行きたいと思っていましたが、相手のFWが足の速い選手が多くてそれをケアするためにも、きょうはあまりいかないように控えました。

――次節関東学園大戦に向けての意気込みをお願いします

守備は安定性、攻撃は決定力をしっかり見せつけていきたいと思います。